この記事の概要
遺伝子鑑定をテーマや重要な要素として取り扱った小説は、サスペンスやミステリー、SF、さらには法廷ドラマに至るまで幅広いジャンルで展開されています。以下に、そのような小説の例やテーマを詳しく紹介します。
DNA鑑定は、親子関係の確認や出生時の取り違え、犯罪捜査など、さまざまな物語で重要な役割を果たすモチーフとして描かれてきました。この記事では、遺伝子鑑定・DNA鑑定を題材にした小説や映画のうち、実在が確認できる作品を厳選して紹介します。あわせて、フィクションで描かれる鑑定と、実際のNIPPT(出生前親子鑑定)の違いについても解説します。
この記事でわかること
- 出生時の「取り違え」を描いた日本の小説・映画
- 遺伝子操作をテーマにした海外小説
- DNA鑑定が法廷ドラマの鍵となる海外小説
- フィクションと実際のNIPPT検査の違い
出生時の「取り違え」をテーマにした小説・映画
『そして父になる』是枝裕和
是枝裕和監督の映画『そして父になる』(2013年、カンヌ国際映画祭審査員賞受賞)は、監督自身の手によって小説化もされている作品です。エリートサラリーマンの野々宮良多は、6歳になる息子・慶多が出産した病院で他人の子と取り違えられていたことを、DNA鑑定の結果によって知らされます。血のつながりと、6年間ともに過ごした時間、どちらが「親子」を形づくるのかを問いかける物語です。
この作品が印象的なのは、DNA鑑定が「真実を明らかにするゴール」ではなく、そこから家族の関係を改めて選び直す「スタート地点」として描かれている点です。昭和期に実際に起きた新生児取り違え事件がモチーフになっているとされ、フィクションでありながら現実の重さを伴う作品といえます。
作中では、DNA鑑定の結果を知った後も、それぞれの家族がすぐに答えを出せず葛藤する様子が丁寧に描かれます。血縁関係が判明することと、実際にどう暮らしていくかを決めることは別の問題である、という点を静かに問いかける作品です。
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法的鑑定もできる
遺伝子操作・デザイナーベビーを描いた海外小説
『わたしのなかのあなた』ジョディ・ピコルト
アメリカの作家ジョディ・ピコルトによる『わたしのなかのあなた(My Sister’s Keeper)』(2004年)は、白血病を患う姉ケイトのドナーとして、受精卵の段階で遺伝子を選択して生まれた妹アナを主人公にした物語です。アナは13歳のとき、姉への腎臓提供を求められたことをきっかけに、両親を相手に訴訟を起こします。
親子関係の証明ではなく、遺伝子情報を選んで子どもを設計するという生命倫理上の問題を扱った作品で、遺伝子検査・遺伝子医療の進歩が家族にもたらす葛藤を描いています。
物語の中でアナは、姉を助けるために生まれてきたことと、一人の人間として自分の体をどう扱うかを自分で決める権利との間で揺れ動きます。遺伝子技術が可能にした選択肢が、必ずしも当事者全員を幸せにするとは限らないという、重い問いを投げかける小説です。

DNA鑑定が法廷ドラマの鍵となる海外小説
『パーフェクト・マッチ』ジョディ・ピコルト
同じくジョディ・ピコルトの『パーフェクト・マッチ(Perfect Match)』(2002年)は、検察官の主人公ニーナ・フロストが、5歳の息子への性的虐待の犯人とされた人物を法廷で射殺する場面から始まる衝撃的な物語です。DNA鑑定の結果が有罪の決め手とされたものの、実は骨髄移植によって同じDNA型を持つ別人(異母兄弟)が真犯人だったという展開が、物語の核心にあります。
DNA型が一致しても、それが必ずしも「本人」を意味するとは限らないケースがあるという、DNA鑑定の限界と信頼性の両面を考えさせられる作品です。実際の親子鑑定・血縁鑑定では、こうした特殊なケース(骨髄移植によるキメラ現象など)を避けるため、採取する検体の種類や採取方法が慎重に選ばれています。
骨髄移植によって提供者のDNA型が受容者の血液に現れる現象は医学的に報告されているものの、頻度としてはまれです。検査を依頼する際に骨髄移植歴などの事情がある場合は、事前に検査機関へ伝えることで、血液以外の検体(口腔粘膜など)を使うといった対応が可能になります。
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遺伝子による社会格差を描いたSF映画
『ガタカ』(1997年)
イーサン・ホーク主演のSF映画『ガタカ(GATTACA)』は、遺伝子操作によって生まれた「適正者」が社会の中枢を占める近未来を舞台にした作品です。自然妊娠で生まれ、心臓に疾患を持つ主人公ヴィンセントは、遺伝子情報によって人生の可能性が決められてしまう社会(ジェノイズム)に反発し、他人のDNAサンプルを使って宇宙飛行士の夢をかなえようとします。
タイトルの「GATTACA」は、DNAを構成する4つの塩基(G・A・T・C)の頭文字を組み合わせた造語です。公開から30年近くが経ちますが、着床前診断など遺伝子技術が現実に進歩している今だからこそ、改めて考えさせられるテーマを扱った作品として評価されています。
作中でヴィンセントは、自分の遺伝子情報を偽るために、他人の血液や尿、皮膚片を日常的に用意します。遺伝子情報がここまで社会的な意味を持つ未来は極端な設定ですが、遺伝子検査の結果をどこまで、どのような目的で使うべきかという論点は、現実の遺伝子医療にも通じるテーマです。
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フィクションと実際のNIPPT検査の違い
私自身、こうした作品を通じて「DNA鑑定」に関心を持ち、実際の検査について調べてから来院される方にお会いすることがあります。フィクションの中のDNA鑑定は、事件の真相や家族の秘密を暴く劇的な演出として使われることが多いのですが、実際のNIPPT(出生前親子鑑定)は、そうした緊迫した場面とは異なり、日常の延長にある医療行為です。
ヒロクリニックのNIPPTは、妊娠6週から母体血液を採取するだけで検査でき、STR法(Short Tandem Repeat)という法医学的に標準とされる手法を用いています。52座位を分析することで高い精度の判定を実現しており、検体はバーコードで管理し、取り違えを防ぐ体制を取っています。共同監修者の堤修一(医学博士、元東京大学先端科学技術研究センター准教授)は「フィクションで描かれるDNA鑑定は、物語を盛り上げるために誇張された演出が加えられていることがほとんどです。実際の検査は、採取から解析、結果報告までのプロセスが厳格に管理されており、ドラマのような劇的な展開が起きることはありません」と話しています。
物語をきっかけにDNA鑑定へ関心を持たれた方も、実際の検査の仕組みや精度については、正確な情報を確認したうえで検討することをおすすめします。私自身、フィクション由来の誤ったイメージ(結果がその場ですぐ出る、採取した検体があれば誰でも簡単に鑑定できる、など)を持ったままご相談に来られる方に、実際の検査の流れを一つひとつご説明する機会が少なくありません。
よくある質問
まとめ
DNA鑑定・遺伝子鑑定は、『そして父になる』の出生時の取り違え、『わたしのなかのあなた』の遺伝子操作、『パーフェクト・マッチ』の法廷での逆転劇、『ガタカ』の遺伝子による社会格差と、それぞれ異なる角度から物語のモチーフとして描かれてきました。いずれもフィクションとしての演出が加えられており、実際の検査の仕組みや精度をそのまま反映したものではありません。
実際のDNA鑑定の費用や種類についてはDNA鑑定の費用(私的、法的鑑定の比較)、ドラマで描かれる不倫と鑑定の関係については代表的な不倫ドラマと遺伝子鑑定で解説していますので、あわせてご覧ください。
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ヒロクリニックでのDNA出生前親子鑑定
ヒロクリニックのDNA出生前親子鑑定(NIPPT)は、全国のヒロクリニック直営クリニックでご利用いただけます。この検査は妊娠6週0日から提供され、1回の来院で検査が完了するため、必要な時間と労力を最小限に抑えることができます。自社ラボ「東京衛生検査所」(CAP認定・ISO9001取得)による検査ですので、安心してお受けいただけます。ただし、ご夫婦そろっての受診をお願いしています。そうすることで、より正確な検査結果を得ることができます。ご興味のある方は、こちらをクリックしてご予約いただくか、お問い合わせください。※料金・再検査対応の詳細は公式料金ページでご確認ください。
略歴
- 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
- 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
- 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
- 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
- 2009年 医療法人社団福美会 理事長
- 2015年 医療法人社団福美会 理事
資格・所属
- CAPラボディレクター
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
- 日本医師会 産業医
- 東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
堤 修一 (つつみ しゅういち)
医師・医学博士 / ヒロクリニック博多駅前院 院長
略歴
- 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
- 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
発信・関連リンク
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。





