この記事の概要
DNA鑑定技術の進歩により、妊娠中に胎児の遺伝情報を解析して親子関係を確認できる出生前親子鑑定(NIPPT)が可能となりました。とりわけ、非侵襲的DNA出生前親子鑑定(NIPPT: Non-Invasive Prenatal Paternity Testing)は、妊娠6週目から可能で、母体・胎児へのリスクがほとんどないことから、安全で信頼性の高い検査方法として世界中で急速に普及しています。
本記事では、「DNA鑑定はいつから可能になったのか?」「出生前親子鑑定はどのように発展してきたのか?」という疑問に答えるべく、その歴史を1970年代の初期技術から最新のNIPPTに至るまでを解説します。
1. 出生前DNA鑑定技術の黎明期
1.1 羊水検査と絨毛膜採取(CVS)の登場
- 1970年代、出生前診断における画期的な進歩として、羊水検査(amniocentesis)や絨毛膜採取(CVS)が導入されました。
- 本来の目的は染色体異常(例:ダウン症候群)の検出でしたが、理論的には胎児のDNA情報を得る手段にもなり得たため、限定的に出生前親子鑑定にも応用され始めました。
1.2 技術的・倫理的課題
- この時代の鑑定は侵襲的手法であり、母体や胎児への流産リスク(0.5〜1%)が伴ったため、親子鑑定としての活用は限定的でした。
- また、DNA解析技術そのものが未成熟であり、正確性や信頼性の点で限界がありました。
妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定
2. DNA解析の進展と応用
2.1 STR・PCR技術の登場
- 1990年代に入ると、DNA型鑑定技術が飛躍的に進歩します。
- STR(短鎖反復配列)とPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって、微量DNAからでも高精度の個人識別が可能に。
2.2 出生後親子鑑定の標準化
- この時代においては、出生前ではなく出生後のDNA鑑定が主流となり、法的親子関係の確認や、犯罪捜査、移民手続きなどに利用されました。

3. 非侵襲的DNA鑑定の誕生
3.1 胎児cfDNAの発見
- 2000年頃、香港の研究チームが、妊婦の血液中に胎児由来のcell-free DNA(cfDNA)が存在することを発見。
- この発見により、母体からの採血だけで胎児の遺伝情報を取得できる可能性が広がります(Lo et al., 1997)。
3.2 NIPT技術としての応用
- 当初はNIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)として、染色体異常(21トリソミーなど)を調べる検査に使われました。
- 同じ技術を応用することで、DNA出生前親子鑑定(NIPPT)が実現。
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4. DNA出生前親子鑑定の商業化と普及
4.1 妊娠6週目から可能に
- 高感度技術により、妊娠6週目以降の母体血液中でも、胎児cfDNAが十分検出可能に。
- 特定の父親候補と母親のDNAと比較し、胎児の遺伝子情報から親子関係を99.99%以上の精度で判定。
4.2 商業検査サービスの登場
- アメリカ・ヨーロッパ・日本などで、民間検査機関がNIPPTを提供するようになり、出産前の親子確認が一般化。
- 検査費用も徐々に低下し、費用相場:10万〜20万円程度で提供されるようになっています。
5. 現在の技術水準と倫理的課題
5.1 技術的信頼性の高さ
- 最新のNIPPTでは、高精度なSNPマーカーや次世代シーケンシング(NGS)を用いて、微量なcfDNAからでも確実に親子判定が可能です。
5.2 倫理的・法的な論点
- 一方で、同意のないDNA鑑定(非同意鑑定)やプライバシー侵害など、法整備の遅れが指摘されています。
- 一部の国では、裁判所の許可がなければ出生前DNA鑑定を禁止しているケースもあります。
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6. 日本におけるNIPPTの普及状況
6.1 ヒロクリニックの事例
- 国内では、ヒロクリニックが非侵襲的出生前親子鑑定の普及を先導。
- 全国に直営クリニックを展開し、1回の来院・母体採血のみで完了する検査方式を提供。
- 検査後、1〜2週間で結果通知。再検査無料、法的証拠力を備えたレポートも選択可能。
6.2 妊娠6週からできる鑑定
- ヒロクリニックでは、妊娠6週以降であれば検査可能であり、国内での信頼性が高いと評価されています。
まとめ
DNA鑑定はいつから可能になったのか? その答えは、1970年代の羊水検査やCVSによる試みから始まり、1990年代のDNA型鑑定技術の発展、そして2000年代の胎児cfDNA発見と非侵襲的技術の確立に至ります。
現在では、妊娠6週目から母体の血液だけで実施できる高精度な非侵襲的DNA出生前親子鑑定(NIPPT)が一般的となり、法的・倫理的議論とともに進化を続けています。
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参考文献
- Lo, Y.M.D., et al. (1997). Presence of fetal DNA in maternal plasma and serum. Lancet, 350(9076), 485–487. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(97)02174-0
- American College of Medical Genetics and Genomics. (2016). ACMG statement on noninvasive prenatal screening. https://www.acmg.net/
- Bianchi, D. W., et al. (2012). DNA sequencing versus standard prenatal aneuploidy screening. New England Journal of Medicine, 367(19), 1870–1878. https://doi.org/10.1056/NEJMoa1202958
- 日本産婦人科学会. (2021). 出生前遺伝学的検査に関するガイドライン. https://www.jsog.or.jp/
よくある質問
Q DNA鑑定はいつから始まったのですか?
A本格的なDNA鑑定は1990年代から普及しましたが、出生前診断にDNAを用いる試みは1970年代の羊水検査や絨毛膜採取から始まりました。
Q最初の出生前DNA鑑定方法は何ですか?
A羊水検査(amniocentesis)や絨毛膜採取(CVS)です。これらは染色体異常検出用でしたが、DNA抽出が可能なため親子鑑定にも一部活用されました。
Qなぜ初期の出生前鑑定はあまり普及しなかったのですか?
A侵襲的で流産リスクが0.5〜1%あったため、安全面や倫理面の問題から限定的な使用にとどまりました。
Q非侵襲的な出生前鑑定(NIPPT)はいつ誕生しましたか?
A2000年前後、香港の研究で妊婦の血液中に胎児のcfDNAが存在することが発見され、非侵襲的鑑定の基礎が築かれました(Loら, 1997)。
QNIPPTとNIPTの違いは何ですか?
ANIPTは染色体異常の検査で、NIPPTは父親との遺伝的関係(親子関係)を調べる出生前親子鑑定です。
QNIPPTが可能となったのは妊娠何週からですか?
A妊娠6週目以降であれば、母体血中の胎児cfDNAが十分に含まれるとされ、検査が可能です。
Q商業ベースのNIPPTはいつから普及し始めましたか?
A 2010年代以降、アメリカ・欧州・日本を中心に民間検査機関がサービス提供を開始し、急速に普及しました。
Q本ではどこでNIPPTが受けられますか?
Aヒロクリニックなどの全国展開する専門機関で受けられます。1回の来院で完結し、法的鑑定にも対応しています。
QNIPPTの技術はどの程度信頼できますか?
A最新技術ではSNPマーカーやNGSを使用し、99.99%以上の精度で父子関係を判定可能です。
QNIPPTに関する倫理的な課題はありますか?
Aはい。同意のない検査(非同意鑑定)やプライバシーの扱いに関する問題があり、法整備やガイドラインが求められています。





