最新鋭の医療機器とその機器を使った治療方法をご紹介
ヒロクリニック形成外科・皮膚科では、患者様一人ひとりの症状に合わせた最適な医療を提供するため、診断から治療に至るまで、常に最新鋭の医療機器を導入し、アップデートを続けています。皮膚疾患の治療において最も重要なのは、「正確で迅速な診断」と「患者様のライフスタイルや症状の程度に合わせた適切な治療アプローチ」です。
本記事では、当クリニックに完備されている最新の診断機器「ダーモスコープ」と、難治性の皮膚疾患に劇的な効果をもたらし、多くの患者様のQOL(生活の質)を向上させている「光線療法(ナローバンドUVBおよびエキシマライト)」について、その仕組みから対象となる疾患、そして実際の治療の流れに至るまで、詳しく解説いたします。
ダーモスコープ
皮膚科における診察の基本は「視診(目で見て診断すること)」ですが、人間の肉眼だけで得られる情報には限界があります。皮膚の表面には角質層が存在し、光が乱反射するため、皮膚の奥深くにある色素の分布や構造までは透かして見ることができません。そこで威力を発揮するのが「ダーモスコープ」です。

ダーモスコープとは
ダーモスコープは、皮膚の表面にある色素性病変(ほくろやシミ、腫瘍など)を数十倍に拡大して詳細に観察することができる特殊な拡大鏡(器具)です。
通常の拡大鏡との最大の違いは、光の乱反射を防ぐ仕組みにあります。従来型のダーモスコープでは、ほくろのような色がついている病変部に専用のゼリー(超音波検査などで使われるようなエコーゼリーやミネラルオイル)を塗ってからレンズを密着させます。これにより、皮膚とレンズの間の空気の層がなくなり、光の乱反射が抑えられ、表皮の奥底から真皮の浅い部分にある色素のネットワークや毛細血管の配列をくっきりと透見することが可能になります。(現在ではゼリーを塗らなくても特殊な偏光フィルターを用いて同様の観察ができるタイプも普及しています)。
診断精度を劇的に向上させる理由
表面にゼリーを塗って観察することによって、肉眼では絶対に見えない微細な所見が明らかになります。医学的なデータによれば、ダーモスコープを用いた観察により、皮膚ガンの診断精度が10~20%上昇するといわれています。
黒い腫瘍で最も有名かつ恐ろしいものに、「悪性黒色腫(メラノーマ)」という皮膚癌があります。悪性黒色腫は進行が非常に早く、早期発見・早期治療が生命を左右する重大な疾患です。ダーモスコープは、もともとこの悪性黒色腫と、良性の「色素性母斑(一般的なほくろ)」や「脂漏性角化症(加齢によるいぼ)」などを正確に鑑別するために開発されました。
デジタルカメラ連動による経過観察の重要性
当クリニックで採用しているダーモスコープの多くは、上部にデジタルカメラが装着されており、拡大した画像をそのまま高画質で撮影・保存できるタイプのものです。 これにより、以下のような大きなメリットが生まれます。
患者様への分かりやすい説明: 撮影した画像をモニターに映し出しながら、「ここはこういう構造だから安心できるほくろですよ」と視覚的にご説明できるため、患者様自身の納得感と安心感につながります。
客観的な比較: 過去の画像データと現在の状態を比較することで、「数ヶ月前より色素の非対称性が増しているか」「境界がぼやけてきていないか」など、微小な変化を正確に捉えることができます。
不要な生検の回避: 以前は「悪性かもしれない」と疑われた場合、診断を確定させるために皮膚の一部をメスで切り取る「生検」という痛みを伴う検査が必要でした。ダーモスコープの普及とデジタル記録により、良性の特徴をはっきりと確認できるケースが増え、患者様の体への負担(不要な手術)を大幅に減らすことができるようになりました。
光線療法(ナローバンドUVB照射)
正確な診断が下された後、特に慢性的で治りにくい皮膚の炎症疾患に対して絶大な効果を発揮するのが「光線療法(紫外線療法)」です。
光線療法とは何か
光線療法とは、太陽光線の中に含まれる紫外線のうち、皮膚の免疫異常を正常化させる特定の波長を持つ人工の紫外線(UV)を、専用の機器を用いて皮膚に直接照射して行う治療のことです。
紫外線(UV)は波長の長さによって、UVA(長波長)、UVB(中波長)、UVC(短波長)の3つにわかれます。UVCはオゾン層で吸収されるため地表には届きません。皮膚科領域の治療では、おもに真皮まで届くUVAと、表皮を中心に作用するUVBが使用されてきました。
最新の治療法「ナローバンドUVB」の誕生
かつて主流だった「ブロードバンドUVB(幅広い波長のUVB)」や「PUVA療法(UVAと薬剤を併用する治療)」は、効果はあったものの、紅斑(やけどのような赤み)や水ぶくれ、長期間の治療による色素沈着といった副作用(熱傷リスク)が課題でした。
その中で登場した最新の光線療法が「ナローバンドUVB」です。ナローバンドとは「波長の幅が狭い」という意味で、UVBの中でも治療効果が最も高く、かつ副作用が少ない「309~313nm(ナノメートル)」というごく狭い幅の紫外線だけをピンポイントで照射する技術をさします。
光線療法の際に起こりうる熱傷(やけど)は、主に309nmより短い波長の紫外線で引き起こされます。つまり、ナローバンドUVBは紅斑を起こす有害な波長を極力カットしているため、高い出力でしっかり治療を行っても熱傷を起こす危険が非常にすくないのです。これにより、安全かつ短期間で高い治療効果を得ることが可能になりました。
どうして光で皮膚の病気が治るのか?(メカニズム)
「なぜ紫外線を当てるだけで皮膚が綺麗になるのか?」と疑問に思われるかもしれません。 難治性の皮膚疾患の多くは、皮膚の局所で免疫細胞(Tリンパ球など)が異常に活性化し、自分自身の皮膚を攻撃して過剰な炎症を起こしている状態です。
光線療法で照射されたナローバンドUVBは、皮膚に集まっている異常なT cell(Tリンパ球)に対して直接働きかけ、「アポトーシス(細胞の自然死)」を誘導します。
アポトーシスとは、細胞が自らプログラムされた死を迎える仕組みのことです。これにより、悪さをしている炎症細胞の数が速やかに抑制され、過剰な免疫反応が沈静化し、赤み、かゆみ、落屑(皮膚が剥がれ落ちること)といった症状を劇的に抑え込むことができるのです。
保険適応となる主な疾患とその効果
ナローバンドUVBは、その高い安全性と有効性が国にも認められており、多くの難治性皮膚疾患に対して健康保険が適応されます。代表的な適応疾患は以下の通りです。
- 乾癬(かんせん) 皮膚が赤く盛り上がり、その上に銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)が厚く付着してポロポロと剥がれ落ちる病気です。ナローバンドUVBは乾癬治療の切り札の一つであり、塗り薬だけでは改善しなかった厚い皮疹を平らにし、長期的な寛解(症状が出ない状態)へと導きます。
- アトピー性皮膚炎 激しいかゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返される疾患です。ステロイド外用薬でのコントロールが難しい中等症から重症の患者様に対して、光線療法は非常に有効です。過剰な免疫反応を抑えるだけでなく、かゆみを感じる神経線維が皮膚の表面まで伸びてくるのを防ぐ効果もあり、かゆみの軽減に直結します。これにより、ステロイドの強さや使用量を減らしていくことが可能になります。
- 尋常性白斑(じんじょうせいはくはん) 皮膚の色素を作る細胞(メラノサイト)が機能しなくなり、皮膚の色が白く抜けてしまう病気です。マイケル・ジャクソンが患っていたことでも知られています。ナローバンドUVBを照射することで、毛穴の奥に残っているメラノサイトの増殖・移動を強力に刺激し、失われた色素の再生を促すことができます。
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう) 手のひら(掌)や足の裏(蹠)に、無菌性の膿疱(うみが溜まった小さな水ぶくれ)が繰り返しできる病気です。痛みを伴い、歩行や手作業など日常生活に大きな支障をきたしますが、光線療法を併用することで症状の早期改善が期待できます。
治療の頻度と受診について
光線療法は「継続」が非常に重要な治療です。1回の照射で劇的に治るものではなく、回数を重ねることで徐々に効果を発揮します。 治療開始当初は、週に1回から2回程度のペースで照射を繰り返すことが最も望ましく、効果的です。症状が落ち着いてきたら、2週間に1回、1ヶ月に1回と、徐々に間隔を空けていく「維持療法」に移行します。
ご希望の方は、まずは一度ご来院いただき、医師の診察の上で適応を判断いたします。ご予約・ご相談はお気軽にご連絡ください。また、光線療法は保険診療でうけられますので、ご来院の際はかならず健康保険証(および各種医療証)を持ってきてください。
光線療法(ナローバンドUVB照射)とは
光線療法とは人工の紫外線(UV)を照射して行う治療のことです。
紫外線(UV)にはUVA,UVB,UVCにわかれますが、おもにUVA、UVBが皮膚科領域では使用されています。その中で最新のものがナローバンドUVBです。ナローバンドとは波長の幅が狭いという意味で309~313nmの幅の紫外線をさします。光線療法の際に起こりうる熱傷は309nmより短い波長の紫外線で起こるため、ナローバンドUVBは高い出力で治療しても熱傷を起こす危険がすくないのです。
保険適応があり、乾癬、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、掌蹠膿疱症などに保険適応があります。光線療法ではUVBによってT cell リンパ球にアポトーシスをおこし、炎症細胞の数を抑制し、炎症を抑えます。
週に1回から2回程度の照射が望ましいです。ご希望の方はご連絡ください。
保険診療でうけられますのでかならず健康保険証を持ってきてください。
ヒロクリニック形成外科・皮膚科で導入している光線療法の医療機器

手や足だけ、あるいは顔の一部だけなど、限られた狭い範囲にのみ症状がある場合に使用します。健常な皮膚に無駄な紫外線を当てることなく、必要な部分にだけ安全に照射することができます。

全身照射の可能なナローバンドUVB治療器です。
キャビン型(ボックス型)の大型機器です。内部に多数の紫外線ランプが配置されており、患者様は服を脱いで中に入り、数十秒から数分間立っているだけで、全身にくまなく一気に紫外線を照射することができます。全身に広範囲に広がるアトピー性皮膚炎や乾癬の患者様に最適で、塗り薬を全身に塗る手間を大幅に省くことができます。

半身照射する機械もあります。立位のまま照射するために短時間で照射が可能になります。
縦型のパネル状になった機器です。全身型に入るほどではないが、背中全体やお腹全体など、ある程度広い範囲に照射が必要な場合に活躍します。立位のまま、服をめくり上げて照射器の前に立つだけで治療ができるため、着替えの手間が省け、非常に短時間で照射が可能になります。お仕事の合間や帰り道など、忙しい方でも無理なく治療を継続できます。

エキシマライト光線療法機器 「セラビームUV308」
医療機器認証番号:220AGBZX00156000.
エキシマライトは、 308±2nmのキセノンエキシマランプという光線を用いますが、従来のナローバンドUVBより、 波長ピークが3nm短いことで、光線作用が急激に上昇し、つまり効果が高くなります。結果、照射時間が従来のUVBより、さらに短くなります。
セラビームUV308の圧倒的なメリット
- 照射時間が極めて短い 効果が非常に高いため、1カ所あたりの照射時間はわずか数秒〜十数秒で済みます。従来のUVB治療器よりもさらに短時間で終了するため、患者様の身体的負担や拘束時間が大幅に軽減されます。
- 難治性の局所病変にピンポイントで効く(ターゲット療法) エキシマライトは照射面が小さく設計されており、専用のフィルターやテンプレートを使って健常な皮膚を隠すことができます。これにより、ナローバンドUVBの全身照射を続けても最後まで残ってしまった「肘や膝の分厚い乾癬の皮疹」や「顔や手先の治りにくい白斑」など、頑固な局所の病変に対して、強いエネルギーをピンポイントで叩き込む(ターゲット療法)ことが可能です。
- より早い色素の再生 特に尋常性白斑や円形脱毛症などの治療において、エキシマライトはメラノサイトの活性化や毛根の免疫異常の改善に非常にシャープな効果を示し、従来よりも早い段階で改善の兆し(色素の再生や発毛)が見られることが多いのが特徴です。













