眼瞼内反症とは？

• 「内反」とは、まぶたの縁が内側に向いてしまう状態です。
  
• 結果として まつげが角膜や結膜に当たり、痛み・涙・充血・角膜障害を起こします。
  
• 特に高齢者（加齢でまぶたの支持組織がゆるむ）、先天性、外傷後などで見られます。
  

手術が必要になる理由

• 点眼や一時的な処置（まつげ抜去）では根本解決にならない
  
• 放置すると角膜にキズがつき、視力低下や角膜潰瘍の危険がある
  
• そのため、まぶたの向きを正しく外側に戻す手術が必要になります
  

手術方法の種類

内反の原因や重症度によって術式が異なります。

1. 皮膚・筋肉切除法（Hotz法など）
   
   • 下まぶたの皮膚と眼輪筋を少し切り取り、縫い合わせてまぶたを外向きにする
     
   • 高齢者の加齢性内反で多く使われる
     
2. 縫合法（Everting suture）
   
   • 皮膚を切らずに、糸で内側に曲がったまぶたを外側に引っ張り固定する
     
   • 小児や軽度の症例で使うことが多い
     
3. 外側支持術（Lateral tarsal strip法など）
   
   • 下まぶたの外側の靱帯を補強して、緩んだまぶたを外側に引き締める方法
     
   • 中〜重度の内反症に有効
     

手術の流れ

1. 局所麻酔をまぶたに行う（小児では全身麻酔のこともある）
   
2. 適切な術式で皮膚や筋肉を処理、または縫合
   
3. まぶたを外向きに整え、縫合で固定
   
4. ガーゼで保護して終了
   

手術時間と入院

• 手術時間：30分〜1時間程度
  
• 多くは日帰り手術で可能
  
• 大きな修復を行う場合は1泊入院になることもある
  

メリット

• まつげが角膜に当たらなくなり、痛みや流涙が改善
  
• 角膜障害や視力低下を防げる
  
• 見た目も自然に近くなる
  

デメリット・リスク

• 腫れや内出血が数日残る
  
• 再発の可能性がある（特に高齢者や皮膚が余っている場合）
  
• 傷あとが残ることがある（まぶたのしわに沿うように切るので目立ちにくい）
  
• 感染や縫合不全のリスク
  

術後の注意

• 数日は腫れや内出血があるが、1〜2週間で落ち着く
  
• 抜糸は通常1週間前後
  
• 点眼薬や軟膏で感染予防
  
• 強い運動やまぶたをこするのは避ける
  

まとめ

眼瞼内反症手術は、まぶたの向きを外側に整え直すことで、角膜への刺激を防ぎ、視力を守るための手術です。
比較的短時間で済み、効果が高い治療ですが、再発の可能性もあるため術式の選択と術後のケアが大切です。