
先天性耳瘻管とは?
- 耳の前や耳の付け根に小さな穴(孔)が生まれつき開いている状態を「先天性耳瘻管」といいます。
- 発生の過程で耳の組織が癒合する際に一部が閉じきらず、皮膚の下に小さな管が残ってしまうのが原因です。
- 多くは症状がありませんが、細菌が入ると腫れ・痛み・膿が出る炎症を繰り返すことがあります。
手術が必要になる理由
- 感染や炎症を繰り返す場合
- 腫れやしこりで見た目に違和感がある場合
- 膿がたまって膿瘍(のうよう)を形成した場合
- 根治のためには瘻管を根元から完全に切除する必要があります
手術の目的
- 瘻管(小さな穴とその奥に続く管)を完全に取り除く
- 再発を防ぐ
- 耳の形や見た目をできるだけ自然に保つ
手術の流れ
- 麻酔
- 小児は全身麻酔、大人は局所麻酔で行うことが多い。
- 小児は全身麻酔、大人は局所麻酔で行うことが多い。
- 切開
- 耳の前の小さな穴の周囲を切開。
- 耳の前の小さな穴の周囲を切開。
- 瘻管の摘出
- 皮下に入り込んだ瘻管を周囲の組織から丁寧に剥がし、根元まで完全に切除。
- 時に耳軟骨に接しているため、一部軟骨も切除することがある。
- 皮下に入り込んだ瘻管を周囲の組織から丁寧に剥がし、根元まで完全に切除。
- 縫合
- 傷口を整え、丁寧に縫合して終了。
- 傷口を整え、丁寧に縫合して終了。
手術時間と入院
- 手術時間:30分〜1時間程度
- 多くは日帰り、または1泊入院
メリット
- 炎症や膿の再発を防げる
- 長期的に清潔で安心できる
- 見た目も自然に整う
デメリット・リスク
- 出血や感染のリスク
- 瘢痕(きずあと)が残る可能性
- 瘻管を取り残すと再発することがある
- 一時的に耳の周囲が腫れる
術後の注意
- 数日はガーゼや絆創膏で保護
- 抜糸は1週間前後(溶ける糸の場合は不要)
- 術後しばらくは強い運動や耳周囲の刺激を避ける
- 赤み・腫れ・膿が出た場合は早めに受診
まとめ
先天性耳瘻管摘出術は、耳の前にできた生まれつきの小さな穴とその奥に続く管を取り除く手術です。
炎症や再発を防ぐためには、根元から丁寧に切除することが重要です。比較的短時間で済み、日帰り可能なことが多いですが、再発予防のために確実な手技が必要です。













