皮弁作成術(ひべんさくせいじゅつ)

  • 皮弁とは?
    周囲の血管を温存したまま皮膚や皮下組織を一部切り取り、欠損部へ移動させて覆うための「皮膚のかたまり」のことです。
  • 目的
    傷や腫瘍切除後の欠損を、自分の皮膚で自然に再建する。移植よりも血流が保たれやすく、生着(なじみやすい)。
  • 特徴
    ・小〜中範囲の欠損に多用される
    ・色調や質感が周囲と似ているので整容的に優れる

皮弁移動術(ひべんいどうじゅつ)

  • 概要
    作成した皮弁を、周囲の欠損部に「回転」や「前進」「側方移動」などの方法で動かして再建する術式。
  • 方法の種類
    • 回転皮弁:円弧状に回転させて欠損を覆う
    • 前進皮弁:皮膚を前にスライドさせる
    • 側方皮弁:横方向へずらす
  • メリット
    周囲と色や質感が一致し、自然な仕上がりになる。

皮弁切断術(ひべんせつだんじゅつ)

  • 概要
    皮弁を作成して欠損部に移植し、一定期間血流が安定してから、皮弁と元の場所のつながり(茎)を切断する手術。
  • 流れ
    1. 皮弁を作成し、血管がつながったまま欠損部へ移動
    2. 時間をかけて血流が新しい場所になじむ
    3. 生着が確認できたら、元の部位との茎を切断して独立させる
  • 用途
    大きな欠損や遠い部位への再建に用いられる

遷延皮弁術(せんえんひべんじゅつ)

  • 概要
    皮弁の血流を徐々に弱める操作を段階的に行い、最終的に切り離しても血流が保てるようにする工夫。
  • 方法
    数回に分けて部分的に茎を細めたり、一部を切断したりして血管の「慣らし」を行う。
  • 目的
    ・皮弁の血流を安定させる
    ・移植先での生着率を高める
  • 適応
    大きな皮弁や遠方への移動が必要な場合

まとめ

  • 皮弁作成術:血流を保った皮膚組織を作り出す
  • 皮弁移動術:作った皮弁を回転・前進・側方などで動かす
  • 皮弁切断術:皮弁がなじんだ後に元の部位との茎を切断
  • 遷延皮弁術:皮弁の血流を段階的に慣らしてから切断

→ これらはすべて、欠損部をより自然に再建するための手技であり、整容性と機能性を両立させるのが目的です。