
全層植皮術とは?
皮膚を欠損した部位に、皮膚のすべての層(表皮+真皮)を移植する方法です。
移植に使う皮膚(ドナー皮膚)は、体の他の部分(耳の後ろ、鎖骨の下、鼠径部など、目立ちにくい場所)から採取します。
適応されるケース
- 外傷や手術後で皮膚欠損がある場合
- 熱傷後の瘢痕拘縮(ひきつれ)を改善する場合
- 腫瘍切除後の再建(顔・手など整容性が重要な部位)
- 口唇、まぶたなど動きが大切で、薄く柔らかい皮膚が必要な部位
手術の流れ
- 麻酔
欠損部の大きさによって局所麻酔または全身麻酔を選択。 - ドナー皮膚の採取
- 耳の後ろや鎖骨の下などから、表皮+真皮全層を採取
- 採取部は直接縫い合わせて閉じるため、目立ちにくく治る
- 耳の後ろや鎖骨の下などから、表皮+真皮全層を採取
- 移植部の準備
- 移植先(受ける側)の創面をきれいにし、血流を確保
- 移植先(受ける側)の創面をきれいにし、血流を確保
- 移植と縫合
- 採取した皮膚を欠損部に合わせて縫合
- ガーゼや圧迫包帯で固定し、血流がなじむのを待つ
- 採取した皮膚を欠損部に合わせて縫合
手術時間と入院
- 小範囲:1時間前後、日帰りまたは短期入院
- 広範囲:2時間以上、入院が必要
メリット
- 皮膚の厚みが十分あるため、見た目が自然
- ひきつれや収縮が少なく、関節や顔などの部位に適する
- 長期的に安定した皮膚が得られる
デメリット・リスク
- 採取部に縫合痕が残る
- 移植部で血流が不十分だと生着しない可能性
- 一時的に色調の違いが出ることがある
- 感染や出血のリスク
術後の注意
- 移植部は動かさず安静に保つ(初期の血流確保が重要)
- 圧迫固定を1〜2週間継続
- 抜糸は約1〜2週間後
- 傷あとを目立たなくするために紫外線予防や保湿ケアが大切
- 大きな移植部位ではリハビリも必要
まとめ
全層植皮術は、皮膚のすべての層を移植して、欠損部を自然に再建する手術です。
部分皮膚移植よりも厚みがあるため仕上がりが自然で、ひきつれが少なく、顔や関節など整容性・機能性を重視する部位に適していますが、ドナー部に傷跡が残る点がデメリットです。













