陥没乳頭(陥没乳首)とは

乳頭(乳首)が皮膚の下に埋もれてしまい、十分に突出していない状態をいいます。成人女性の約10%に見られるとされます。

主な原因

  • 乳頭を支える乳管束の発達不足
  • **瘢痕(きずあと)**などによる圧迫
  • バストの大きさに対して乳腺と乳管のバランスがとれていない

陥没乳頭の種類

  1. 仮性陥没乳頭
    外部刺激(つまむ・授乳など)で一時的に突出する。
  2. 真性陥没乳頭
    刺激しても乳頭が出てこない。常に陥没しており、
    • 汚れが溜まりやすく不衛生
    • 炎症・感染を起こしやすい
    • 赤ちゃんがうまく吸えず授乳障害につながる

陥没乳頭の治療

治療は手術が基本です。

手術の方法

  • 乳管温存法
    授乳を希望する場合に選択。乳管を残したまま陥没の原因となる線維を処理し、乳頭を引き出して縫合します。
  • 乳管切離法
    重度の場合に行う。乳管を切って乳頭を外に出し、再発を防ぐ。授乳機能は失われますが、整容的に優れます。

手術の流れ

  1. 糸で乳頭を引き出す
  2. 乳頭を小切開し、陥没の原因を除去
  3. 傷口を縫合
  4. ドーナツ状の固定器具で乳頭を保護し、再陥没を防ぐ

手術時間は片側30分〜1時間程度、日帰りが可能です。

術後の経過と注意

  • 当日:濡らさない、抗生物質と鎮痛剤を内服
  • 翌日〜2週間:診察で確認。翌日からシャワー可。毎日消毒と軟膏塗布。
  • 抜糸後(1〜2週後):茶色の紙テープで固定し、処方された軟膏を塗布。
  • 傷跡は時間とともに目立ちにくくなる

メリット

  • 授乳機能改善(乳管温存の場合)
  • 不衛生な状態の改善
  • 見た目が自然になり心理的負担が軽くなる

デメリット・リスク

  • 再発の可能性
  • 乳管切離を行った場合は授乳ができなくなる
  • 出血・感染・感覚の低下のリスク

費用(保険適応)

当院では健康保険が適応されます。

  • 片側:約23,000円(保険適応時の目安)
  • 両側:約46,000円(保険適応時の目安)

まとめ

陥没乳頭は「仮性」と「真性」に分かれ、真性では授乳や衛生面に大きな問題が出やすいため、手術での治療が推奨されます。手術には乳管温存と切離の2種類があり、将来の授乳希望の有無で選択されます。形成外科専門医が整容性にも配慮して行うため、安心して相談できる治療法です。