
眼窩内腫瘍とは?
- **眼窩(がんか)**とは、眼球が収まっている骨のくぼみ(眼の奥の空間)のことです。
- そこにできる腫瘍を「眼窩内腫瘍」と呼びます。
- 腫瘍には良性(海綿状血管腫、神経鞘腫など)と悪性(リンパ腫、転移性腫瘍など)があります。
表在性とは「眼の奥深くではなく、比較的表層(浅い場所)にできている腫瘍」を指します。浅い位置のため、比較的取りやすい部類に入ります。
手術が必要な理由
- 腫瘍が大きくなると **眼球突出(目が前に出る)、視力低下、複視(物が二重に見える)**などを引き起こす
- 良性でも進行すると視神経を圧迫して失明の危険がある
- 悪性の可能性もあり、病理検査での診断が重要
手術の目的
- 腫瘍を安全に摘出し、視機能を守る
- 腫瘍が良性か悪性かを病理検査で確認する
- 腫瘍による眼球突出や見た目の異常を改善する
手術の流れ
- 麻酔
多くは全身麻酔で行います。 - 切開方法
腫瘍の位置に応じてアプローチが異なります。
- 下眼瞼(まぶたの下)を切開
- 上眼瞼のしわに沿って切開
- 結膜(まぶたの裏側)から切開
いずれも傷跡が目立ちにくい場所を選びます。
- 下眼瞼(まぶたの下)を切開
- 腫瘍の摘出
腫瘍を周囲の組織から丁寧に剥がし取り出します。表在性であれば比較的短時間で可能です。 - 止血と縫合
出血を止めた後、切開部を縫い閉じます。
手術時間と入院
- 手術時間:1〜2時間程度
- 入院:数日〜1週間ほど(腫瘍の種類や大きさにより変わる)
メリット
- 腫瘍による症状(視力障害・眼球突出・複視)の改善
- 腫瘍の性質を病理で確定できる
- 悪性腫瘍なら早期治療につなげられる
デメリット・リスク
- 出血や感染のリスク
- 神経や筋肉を傷つけると、複視やまぶたの動きの障害が残ることがある
- 腫瘍が深部まで広がっていた場合は取りきれないこともある
- 再発の可能性
術後の注意
- 手術後は腫れやあざが数日〜2週間ほど出る
- 一時的に複視が起こることがあるが、多くは改善する
- 抜糸は1週間前後で行う
- 病理結果に応じて追加治療(放射線・化学療法)が必要になることもある
まとめ
眼窩内腫瘍摘出術(表在性)は、眼の奥にできた比較的浅い腫瘍を切開して摘出する手術です。視力や見た目を守るために行われ、同時に病理診断も可能になります。リスクはあるものの、表在性であれば深部腫瘍に比べて安全に行えることが多いです。













