冷凍凝固摘出術とは?

皮膚にできた腫瘍や異常な細胞を、極低温(−196℃の液体窒素など)で凍らせて壊死させ、自然に脱落・吸収させる治療法です。
メスで切らずに処置できるため、出血が少なく、比較的負担が少ない方法です。

対象となる病変

  • 良性腫瘍(イボ、脂漏性角化症など)
  • 一部の前がん病変(ボーエン病、日光角化症など)
  • 小さな悪性腫瘍の補助療法

特に「切ると傷あとが目立つ場所」や「小児や高齢者で手術リスクを減らしたい場合」に選ばれることがあります。

手術の流れ

  1. 準備
    腫瘍の大きさや深さを確認します。通常は局所麻酔は不要ですが、大きい場合は麻酔をすることもあります。
  2. 冷凍凝固
    • 液体窒素をスプレーで吹きかける
    • または綿棒や金属プローブで腫瘍に直接あてる
      このとき、腫瘍を−40℃以下に凍らせます。
  3. 解凍
    数十秒〜数分でゆっくり解凍します。凍結と解凍を1〜3回繰り返すこともあります。
  4. 壊死と脱落
    凍結した細胞は壊死し、数日〜数週間でかさぶたになって脱落します。

かかる時間

処置自体は数分〜15分程度と短時間で終了します。

メリット

  • 出血がほとんどない
  • 切開をしないため縫合も不要
  • 外来で短時間に行える
  • 傷あとが比較的少ない(ただし完全に消えるわけではない)

デメリット・リスク

  • 水ぶくれやかさぶたができる
  • 凍結が不十分だと再発する可能性がある
  • 深い病変では完全に取り切れない場合がある
  • 色素沈着や白斑が残ることがある
  • まれに周囲の正常組織もダメージを受ける

術後の経過と注意

  • 数日後に赤みや腫れ、水ぶくれが出ることがある
  • かさぶたは自然に剥がれるまで無理に取らない
  • 洗顔や入浴は可能だが、強い刺激や擦り洗いは避ける
  • 数週間〜1か月で皮膚が新しく再生する
  • 色素沈着が残った場合は日焼け止めでケアをすると改善しやすい

まとめ

皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術は、液体窒素などで腫瘍を凍らせて壊死させ、自然に落とす治療法です。出血や縫合の必要がなく、外来で手軽に受けられるのが大きな特徴です。