DNA鑑定は非常に高い精度を持つ検査ですが、ごくまれに判定が難しくなる要因が存在します。サンプルの取り扱いや、双子・モザイク現象といった生物学的な特殊事情がその代表です。この記事では、DNA鑑定でミスや判定困難が起こり得る主な原因と、検査機関がどのように対策しているかを解説します。
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DNA鑑定でミスが起こる主な原因
DNA鑑定でミスや判定困難が生じる原因は、大きく分けて「サンプルに関するもの」「技術・手順に関するもの」「生物学的な特殊事情によるもの」の3つに整理できます。それぞれ見ていきましょう。
サンプルの汚染・劣化
採取したサンプルに、他人のDNAが混入したり、時間の経過で劣化したりすると、正確な解析が難しくなります。
- DNAの混入:採取・保管の管理が不十分だと、異なる人物のDNAが混ざることがあります。
- 時間経過による劣化:適切に保存されないと、DNAが分解して増幅や解析がうまくいかなくなる場合があります。
技術的なエラーとヒューマンエラー
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるDNA増幅や、STR型解析の工程では、わずかな条件の違いが結果に影響することがあります。ラベリングの取り違えやデータ入力ミスといった人為的な要因も、判定精度を左右する要素です。
これらのリスクは、検査工程を自動化し、検体をバーコードで一元管理することで大きく抑えられます。人の手による作業を減らすほど、取り違えなどのヒューマンエラーは起こりにくくなります。
近親者間の遺伝的な類似性
DNAは近親者間で似た部分が多いため、兄弟や親族が関わる鑑定では、より慎重な分析が必要です。ミトコンドリアDNA(母系で受け継がれる)やY染色体DNA(父系で受け継がれる)は、同じ系統の親族間で共通するパターンを持つため、単独では血縁の詳細な区別が難しい場合があります。複数のSTR型を組み合わせて統計的に判定することで、こうした類似性の影響を抑えています。
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出生前親子鑑定(NIPPT)特有の判定困難ケース
母体血を用いる出生前親子鑑定では、通常の親子鑑定にはない特有の事情が判定を難しくすることがあります。ヒロクリニックで実際に起こり得るケースは、次の2つに限られます。
一卵性双生児の父親側の血縁者が検査対象に含まれる場合
父親候補となる男性に一卵性の双子の兄弟がいる場合、2人のDNA型はほぼ同一のため、通常のSTR型解析だけでは区別できません。この点は、事前の問診で双子の有無を確認することで、あらかじめ把握できるケースがほとんどです。
消失双胎(バニシングツイン)のケース
妊娠初期に双子だったものの、片方の胎児が妊娠の経過とともに子宮内に吸収されて消失する現象を「消失双胎(バニシングツイン)」と呼びます。これは決して珍しい異常ではなく、妊娠初期にはしばしば見られる自然な経過の一つです。
この場合、母体血中に消失した胎児由来のDNAがわずかに残っていることがあり、検査結果の解釈が複雑になる可能性があります。検査を担当する医師が問診や超音波所見をもとに双胎の可能性を把握し、必要に応じて解析方法を調整することで対応しています。判定が難しいと考えられる場合は、検査前後の診察で丁寧にご説明します。
統括院長の岡博史は「消失双胎という言葉を初めて聞いて驚かれる方もいらっしゃいますが、多くの妊娠で起こり得る自然な経過です。検査結果に影響しそうな場合は、事前の診察でしっかりお伝えするようにしています」と話しています。
モザイク現象について
モザイク現象とは、同一個体の体内に、異なるDNAプロファイルを持つ細胞が混在する状態です。頻度は高くありませんが、双子の一方が発生初期に他方の細胞を取り込む「キメラ」と呼ばれる現象などで報告されています。
モザイク現象がある場合、採取する部位によって異なるDNAプロファイルが検出される可能性があります。検査機関では、複数座位のSTR型を組み合わせて総合的に判定することで、こうした特殊事情による誤判定を防ぐ体制を整えています。
ヒロクリニックの対策
これらのリスクに対応するため、ヒロクリニックでは次のような体制を整えています。
- 全自動検査システム:人の手を介する工程を減らし、ヒューマンエラーを防止しています。
- バーコード管理:検体を採取から解析まで一元管理し、取り違えを防止しています。
- 事前の問診:双子の有無など、判定に影響し得る情報を事前に確認しています。
- 第三者認証:自社ラボ「東京衛生検査所」はCAP・ISO9001を取得し、専属医師の管理下で運用しています。
検査結果の解釈に迷う点があれば、自己判断せず担当医師にご相談ください。特殊な事情がある場合ほど、事前の情報共有が正確な判定につながります。
よくある質問
DNA鑑定でミスが起こる確率はどれくらいですか。
適切な検査体制のもとでは、判定を誤る確率は極めて低く抑えられています。ただし、サンプルの汚染・劣化や、一卵性双生児・消失双胎といった特殊な生物学的事情がある場合は、通常より慎重な判定が必要になることがあります。
消失双胎(バニシングツイン)とは何ですか。
妊娠初期に双子だったものの、片方の胎児が子宮内に吸収されて消失する現象です。妊娠初期には珍しくない自然な経過の一つとされています。NIPPTでは母体血中にわずかに残る場合があり、判定に影響する可能性があります。
父親候補に一卵性の双子の兄弟がいる場合はどうなりますか。
一卵性双生児のDNA型はほぼ同一のため、通常のSTR型解析だけでは区別できません。事前の問診で双子の有無をお伝えいただくことで、検査機関側で対応方法を検討できます。
サンプルの取り違えを防ぐためにどんな対策がありますか。
ヒロクリニックでは検体をバーコードで一元管理し、全自動検査システムによって人の手を介する工程を減らしています。採取から解析までの取り違えリスクを抑える体制です。
検査結果に納得できない場合、再検査はできますか。
再検査の可否や条件は検査機関によって異なります。判定結果に疑問がある場合や、特殊な事情に心当たりがある場合は、自己判断せず担当医師や検査機関に直接ご相談ください。
まとめ
DNA鑑定は非常に高精度な検査ですが、サンプルの取り扱いや、一卵性双生児・消失双胎といった生物学的な特殊事情が、判定を難しくする場合があります。検査機関がどのような体制でリスクに対応しているかを知っておくと、結果への理解も深まります。
検査精度の詳しい仕組みは検査精度のページ、父性肯定率の考え方は父性肯定率・否定率とはでご案内しています。あわせてご覧ください。
妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定
略歴
- 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
- 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
- 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
- 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
- 2009年 医療法人社団福美会 理事長
- 2015年 医療法人社団福美会 理事
資格・所属
- CAPラボディレクター
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
- 日本医師会 産業医
- 東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
堤 修一 (つつみ しゅういち)
医師・医学博士 / ヒロクリニック博多駅前院 院長
略歴
- 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
- 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
発信・関連リンク
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
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- Wang Y, Chen Y, Tian F, Zhang J, Song Z, Wu Y, et al. Maternal copy number variations and discordant non-invasive prenatal testing results. Prenat Diagn. 2015;35(11):1110-1116.





