この記事の概要
DNA出生前親子鑑定(NIPPT)は、胎児の父親を特定するための画期的な技術です。これにより、従来の侵襲的な方法に代わり、母体や胎児にかかるリスクを最小限に抑えながら、正確な親子関係の確認が可能となりました。しかし、DNA出生前親子鑑定以外にもさまざまな出生前検査が存在し、それぞれに異なる特徴や利点があります。本記事では、DNA出生前親子鑑定と他の主要な出生前検査を比較し、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。
DNA出生前親子鑑定は父子関係を調べる検査であり、羊水検査やNIPT(新型出生前診断)など、胎児の染色体異常を調べる検査とは目的がまったく異なります。この2種類の検査を混同したまま比較すると、必要な検査を選び間違えてしまうことがあります。この記事では、代表的な出生前検査を一つずつ整理し、それぞれの目的・時期・リスクを比較します。
妊娠6週からできる親子鑑定
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この記事でわかること
DNA出生前親子鑑定と他の出生前検査の目的の違い
侵襲的な検査(羊水検査・絨毛検査)の特徴とリスク
非侵襲的な検査(NIPT・母体血清マーカー・超音波)の特徴
目的別に見た検査の選び方
DNA出生前親子鑑定と他の出生前検査は目的が違う
「出生前検査」とひとくくりに呼ばれていても、調べる対象はまったく異なります。DNA出生前親子鑑定は、母体血液中の胎児DNAを解析して父子関係の有無を判定する検査です。一方、羊水検査・絨毛検査・NIPT・母体血清マーカー検査・超音波検査は、いずれも胎児の染色体異常や形態異常を調べることを目的としています。
両者は採血・採取の方法が似ていることもあり、混同されがちです。しかし、父子関係を知りたいのか、胎児の健康状態を知りたいのかによって、受けるべき検査はまったく別のものになります。目的を取り違えないよう、まずこの違いを押さえておいてください。
侵襲的な検査の特徴とリスク
胎児の染色体異常を確定的に診断できる検査として、羊水検査と絨毛検査があります。いずれも母体のお腹に針を刺して検体を採取する侵襲的な検査です。
羊水検査
羊水検査は、母体の腹部に針を刺して羊水を採取し、含まれる胎児の細胞を分析する検査です。妊娠15〜16週以降に実施され、染色体異常の確定診断に用いられます。日本産科婦人科学会の産婦人科診療ガイドライン(産科編2023)では、羊水検査による流産リスクは0.1〜0.3%程度とされています。
絨毛検査
絨毛検査は、胎盤の一部である絨毛を採取して遺伝情報を調べる検査です。妊娠10〜13週頃という比較的早い時期に実施できますが、同ガイドラインでは、絨毛採取によって流産リスクが0.2%程度上昇するとされています。羊水検査より早い時期に確定的な情報を得られる一方、リスクをゼロにはできない点は共通しています。
これら2つの検査は、確定診断が得られる分、身体的なリスクを伴います。検査を受けるかどうかは、担当医と相談しながら慎重に判断する必要があります。
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非侵襲的な検査の特徴
母体への負担が少ない検査として、NIPT、母体血清マーカー検査、超音波検査があります。
NIPT(新型出生前診断)
NIPTは、母体血液中の胎児DNAを解析し、ダウン症候群をはじめとする特定の染色体異常の可能性を調べるスクリーニング検査です。採血のみで実施でき、妊娠10週前後から受けられますが、あくまで可能性を示すスクリーニング検査であり、陽性の場合は羊水検査などによる確定診断が必要になります。
母体血清マーカー検査
母体の血液中の特定物質を測定し、染色体異常のリスクを確率として示すスクリーニング検査です。妊娠15週前後から受けられ、比較的安価ですが、NIPTに比べて精度は低いとされています。
超音波検査
妊婦健診で通常行われる検査で、胎児の発育状態や形態的な特徴を画像で確認します。染色体異常を直接診断するものではありませんが、妊娠期間を通じて繰り返し実施できる点が特徴です。
出生前検査の比較表
ここまでの内容を、目的別に一覧で整理します。
| 検査名 | 調べる対象 | 実施時期の目安 | 身体的リスク |
|---|---|---|---|
| DNA出生前親子鑑定 | 父子関係 | 妊娠6週以降 | 採血のみ・リスクなし |
| NIPT | 染色体異常(スクリーニング) | 妊娠10週前後〜 | 採血のみ・リスクなし |
| 母体血清マーカー検査 | 染色体異常(スクリーニング) | 妊娠15週前後 | 採血のみ・リスクなし |
| 絨毛検査 | 染色体異常(確定診断) | 妊娠10〜13週 | 流産リスク0.2%程度上昇 |
| 羊水検査 | 染色体異常(確定診断) | 妊娠15〜16週以降 | 流産リスク0.1〜0.3%程度 |
| 超音波検査 | 発育状態・形態異常 | 妊娠期間中随時 | リスクなし |
統括院長の岡博史は「NIPTと出生前親子鑑定の名前が似ているため、両方を同じ検査だと思って問い合わせてこられる方が一定数いらっしゃいます。目的が異なる検査であることを、申し込み前に必ずご説明するようにしています」と、相談の現場での様子を話しています。
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目的別に見た検査の選び方
検査を選ぶときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 知りたいことは何か:父子関係なのか、胎児の染色体異常なのかを明確にする
- 確定診断が必要か:スクリーニング結果で十分か、確定的な結果が必要かを考える
- 身体的リスクをどこまで許容できるか:非侵襲的な検査を優先するか、確定診断を優先するかを判断する
父子関係と胎児の健康状態の両方が気になる場合は、それぞれ別の検査として計画を立てる必要があります。医療機関に相談する際は、知りたい内容を具体的に伝えると、適切な検査を案内してもらいやすくなります。出生前にできる検査の全体像は、妊娠中にできる遺伝子検査一覧|5種類を比較でも整理しています。
検査結果の位置づけを正しく理解する
いずれの検査も、結果は妊娠期間中の判断材料の一つにすぎません。DNA出生前親子鑑定で父子関係が判明しても、胎児の健康状態はわかりませんし、NIPTで染色体異常の可能性が低いと出ても、父子関係は確認できません。それぞれの検査が示す情報の範囲を正しく理解したうえで、必要な検査を組み合わせて計画することが大切です。
複数の検査を検討している場合は、どの検査をどの順番で受けるかについても、担当医と相談しながら決めることをおすすめします。検査ごとに実施できる時期が異なるため、スケジュールを一度整理しておくと、通院の負担を抑えられます。
よくある質問
DNA出生前親子鑑定とNIPTは同じ検査ですか。
異なります。DNA出生前親子鑑定は父子関係を調べる検査で、NIPTは胎児の染色体異常の可能性を調べるスクリーニング検査です。名前が似ていますが目的が違います。
羊水検査や絨毛検査にはどの程度のリスクがありますか。
日本産科婦人科学会のガイドライン(産科編2023)では、羊水検査で0.1〜0.3%程度、絨毛検査で0.2%程度、流産のリスクが上昇するとされています。侵襲的な検査を検討する際は、担当医とよく相談してください。
両方の検査を同時に受けることはできますか。
採血のタイミングを合わせられるか医療機関に確認するとよいでしょう。ただし、それぞれ別の検査として申し込みが必要になるのが一般的です。
NIPTで陽性と出た場合、DNA出生前親子鑑定でも確認できますか。
できません。NIPTの陽性結果を確定させるには羊水検査などの確定診断が必要です。DNA出生前親子鑑定は父子関係を調べる検査であり、染色体異常の確定診断には対応していません。
どの検査を選べばよいか迷ったときはどうすればよいですか。
まず「何を知りたいのか」を整理したうえで、医療機関に相談してください。目的を具体的に伝えることで、必要な検査を案内してもらいやすくなります。
まとめ
DNA出生前親子鑑定は父子関係を調べる検査であり、羊水検査・絨毛検査・NIPT・母体血清マーカー検査・超音波検査といった、胎児の染色体異常や発育状態を調べる検査とは目的が異なります。名前や採取方法が似ていても、混同したまま検査を選ぶと、知りたい情報が得られない可能性があります。
まずは「何を知りたいのか」を整理し、目的に合った検査を医療機関に相談しながら選んでください。
妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定
略歴
- 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
- 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
- 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
- 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
- 2009年 医療法人社団福美会 理事長
- 2015年 医療法人社団福美会 理事
資格・所属
- CAPラボディレクター
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
- 日本医師会 産業医
- 東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
堤 修一 (つつみ しゅういち)
医師・医学博士 / ヒロクリニック博多駅前院 院長
略歴
- 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
- 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
発信・関連リンク
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- Lo YM, Corbetta N, Chamberlain PF, Rai V, Sargent IL, Redman CW. Presence of fetal DNA in maternal plasma and serum. Lancet. 1997 Aug 16;350(9076):485-7. doi: 10.1016/s0140-6736(97)02174-0.
- Repiská G, Böhmer F, Szemes T, Minárik G, Kadasi L, Turňa J, et al. Selection of the most appropriate method for cell-free fetal DNA isolation. Clin Chim Acta. 2013 Jun 5;421:140-4. doi: 10.1016/j.cca.2013.03.011.
- Sorber L, Zwaenepoel K, Jacobs J, De Winne K, Goethals S, Reclusa P, et al. Comparison of three different platforms for cell-free DNA extraction from plasma. PLoS One. 2017 Aug 17;12(8):e0182285. doi: 10.1371/journal.pone.0182285.





