バニシングツインが与える影響

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この記事の概要

バニシングツインは、妊娠中に一方の胎児が消失する現象です。母体や残された胎児への影響、原因、注意点について詳しく解説します。

バニシングツイン(Vanishing Twin) とは、妊娠初期に双子として発育を始めた胎児のうち、片方が発育途中で消失する現象です。決して珍しいことではなく、双子と分かった段階で経験される方も少なくありません。もしご自身やご家族がこの状況に直面しているなら、まず知っていただきたいのは、これはどなたにも起こり得る自然な経過であり、ご自身の行動が原因で起きたものではないということです。そのうえで、この現象が出生前親子鑑定に与える影響について、落ち着いて確認していきましょう。

この記事でわかること

  • バニシングツインとは何か、どのくらいの頻度で起こるのか
  • 出生前DNA親子鑑定にバニシングツインが影響する仕組み
  • 鑑定結果にどのような形で現れる可能性があるか
  • 影響が疑われる場合に検討できる対策
  • 性別判定への影響と、ヒロクリニックでの対応方法

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バニシングツインとは

バニシングツインとは、妊娠初期に超音波検査で双子と確認された胎児のうち、片方が発育を止めて母体に吸収されるように消失する現象です。報告によって幅がありますが、双胎妊娠のおよそ15〜36%程度で起こるとされ、体外受精などの生殖補助医療による妊娠でも一定の割合で見られます。多くは妊娠6〜8週頃から始まり、妊娠12週頃までに起こることが中心ですが、まれに妊娠中期以降に確認されるケースもあります。超音波検査の技術が向上し、ごく早い時期の妊娠を確認できるようになったことで、以前より発見される機会が増えている現象でもあります。「最初の検診では双子と言われたのに、次の検診で一人になっていた」という経験をされる方も一定数いらっしゃり、決して特別なことではないとご理解いただければと思います。

なぜ出生前DNA鑑定に影響することがあるのか

出生前DNA親子鑑定は母体血液中の胎児由来DNAを解析するため、消失した双子のDNAが一定期間血液中に残っていると、解析結果に影響する可能性があります。NIPT(新型出生前診断)に関する研究では、消失した胎児由来のDNAが母体血液中に数週間、場合によっては10週間以上検出され続けた例が報告されています。出生前DNA親子鑑定も母体血液中のごく微量な胎児由来DNAを解析する点でNIPTと同じ原理を利用しているため、消失した双子のDNAが残っている時期に採血を行うと、生存している胎児のDNAだけを正確に取り出すことが難しくなる場合があります。

なお、双胎妊娠には胎盤を共有する「一絨毛膜性」と、それぞれが別の胎盤を持つ「二絨毛膜性」があり、報告では二絨毛膜性の双胎でこうした影響がより注目される傾向にあります。これは、胎盤が独立している分、消失した双子由来のDNAが生存している胎児の胎盤とは別に、しばらく母体血液中を巡り続けやすいと考えられているためです。ご自身の妊娠がどちらのタイプにあたるかは、通常の妊婦健診の超音波検査で確認されていることが多いため、担当医に確認してみるとよいでしょう。

鑑定結果に現れる可能性のある影響

  • 混合DNAによる判定の曖昧化:生存している胎児のDNAに、消失した双子のDNAが混ざることで、検出されるDNA型が通常とは異なるパターンになることがあります。この場合、判定結果の解釈が難しくなることがあります。
  • 複数の遺伝情報の混在:通常、胎児のDNA型は父親由来・母親由来の2セットで構成されますが、消失した双子のDNAが混ざることで、想定より多くのパターンが検出される場合があります。こうしたケースでは、担当の医師や鑑定士が慎重に結果を解釈します。
  • 胎児由来DNA割合(FF)の見かけ上の変動:消失した双子由来のDNAが混ざることで、解析に使うDNA全体のうち、生存している胎児由来のDNAが占める割合の見え方が変わることがあります。これにより、判定に必要な精度を確保しにくくなる場合があります。

こうした影響は必ず起こるわけではなく、消失の時期や採血のタイミングによって現れ方は異なります。実際には、消失から十分な時間が経過してから採血することで、問題なく判定できるケースも多くあります。鑑定を行う医師や鑑定士は、こうした特殊なケースがあり得ることを前提に結果を確認しているため、疑わしい点があれば、判定を急がずに追加の確認を行うのが通常の対応です。

残された赤ちゃんの妊娠経過への影響

多くの場合、妊娠初期に起こったバニシングツインは、生存している赤ちゃんの発育や妊娠経過に大きな影響を及ぼさないとされています。特に妊娠初期の早い段階で消失が確認されたケースでは、その後の妊娠が順調に経過することが一般的です。一方で、妊娠中期以降に確認された場合や、出血・腹痛などの症状を伴う場合は、念のため経過観察を丁寧に行うことが推奨されています。ご不安な場合は、出生前DNA鑑定の話とは別に、産科の担当医にも妊娠経過について確認しておくと安心につながります。

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影響が疑われる場合に検討できる対策

バニシングツインの可能性がある場合は、検査前に医師へ伝えたうえで、採血の時期や追加検査の必要性について相談することが大切です。あらかじめ選択肢を知っておくだけでも、いざという時の心構えができ、不安を和らげることにつながります。具体的には、次のような対応が考えられます。

  • 採血の時期を調整する:消失が確認された時期から十分な期間をおいて採血することで、消失した双子由来のDNAの影響を受けにくくなる可能性があります。
  • 超音波検査で経過を確認する:妊娠の経過を確認しながら、適切な検査時期を医師と相談して決めます。
  • 出産後の再検査を検討する:結果の解釈が難しい場合や、より確実な判定を希望する場合は、出産後に赤ちゃんから直接検体を採取する方法で再検査することもできます。出産後の検体は消失した双子の影響を受けないため、最も確実な判定方法のひとつです。
  • すでに検査を受けた後に結果へ疑問がある場合:鑑定書の説明を受けた際に、バニシングツインの経緯を伝えたうえで結果の解釈について再度確認することができます。必要であれば、出産後の再検査で最終的な確認を行うことも可能です。

いずれの対策も、まずは検査を依頼する医療機関にバニシングツインの経緯を正確に伝えることが出発点になります。ご自身で判断せず、医師と相談しながら進めることが、納得できる結果につながります。焦って結論を急ぐよりも、必要な情報がそろった状態で検査に臨むことが、結果として一番の近道になることが多いです。

性別判定への影響にも注意が必要

消失した双子と生存している胎児の性別が異なっていた場合、性別報告の判定に影響が出ることがあります。出生前DNA鑑定やNIPTの性別判定は、Y染色体由来のDNAが検出されるかどうかで判断されます。もし消失した双子が男児で、生存している胎児が女児だった場合、消失した双子に由来するY染色体のDNAが血液中に残っていると、実際には女児であるにもかかわらず男児と判定されてしまう可能性が報告されています。反対のケース、つまり消失した双子が女児で生存している胎児が男児の場合は、Y染色体由来のDNAが検出されること自体は変わらないため、判定への影響は比較的小さいと考えられています。バニシングツインの経緯がある場合は、性別報告についても参考情報として捉え、出生後にあらためて確認することをおすすめします。

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ご不安な気持ちに寄り添って

バニシングツインを経験されたことに対して、ご自身を責める必要は全くありません。双子と分かってから片方の存在が確認できなくなるという経過は、精神的に大きな負担を伴うものだと思います。私自身、診察の中でこうした状況にあるご家族とお話しすることがありますが、多くの場合、原因を特定することは難しく、偶発的に起こる現象であるとお伝えしています。鑑定結果に不確かな部分が残る場合も、それは検査自体の失敗ではなく、バニシングツインという特殊な状況によるものです。

また、双子を望んでいたご家族にとっては、片方のお子さんを失ったという喪失感を抱えながら、もう一人のお子さんの妊娠を続けていくという、複雑な気持ちを経験される方も少なくありません。そうした気持ちに正解や誤りはなく、ご自身のペースで受け止めていただければと思います。気になることがあれば、検査結果を待つ間も、遠慮なく担当医にお気持ちをお話しください。

ヒロクリニックでの対応

ヒロクリニックでは、バニシングツインの経緯がある場合、診察時にその旨をお伝えいただくことで、採血時期や結果解釈について医師から個別に説明を受けられます。検査はQiagen社のMiSeq FGx Systemを用いたSTR法で行われ、検体はバーコードで管理されたうえで自社の遺伝子専門検査所「東京衛生検査所」へ直接配送され、CAP・ISO9001の認証を取得した体制のもと専属医師の管理下で解析されます。バニシングツインのように特殊な事情がある場合、通常よりも慎重な解釈が必要になることがあるため、診察の際に経過を詳しくお伝えいただくことが、納得のいく結果につながります。必要に応じて、出産後の再検査についてもご相談いただけます。クリニックでの採血のため、その場で医師に直接不安な点を相談できる環境が整っている点も安心材料のひとつです。

まとめ

バニシングツインは、出生前親子鑑定に影響を与える可能性がある現象ですが、双胎妊娠の中では決して珍しいものではありません。消失した双子のDNAが母体血液中に一定期間残ることで、鑑定結果の解釈が難しくなったり、性別判定に影響が出たりする場合がありますが、採血時期の調整や出産後の再検査によって多くの場合は対応できます。妊娠初期の早い段階で起こったケースでは、残された赤ちゃんの発育に大きな影響を及ぼさないことも多く、過度に心配しすぎる必要はありません。大切なのは、バニシングツインの経緯を検査機関に正確に伝え、医師と相談しながら適切な時期・方法で検査を進めることです。ご不安な点があれば、一人で抱え込まず、担当医に率直にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

バニシングツインに関してよくいただくご質問をまとめました。

Q1. バニシングツインはどのくらいの頻度で起こりますか?

A. 報告によって幅がありますが、双胎妊娠のおよそ15〜36%程度で起こるとされています。多くは妊娠6〜8週頃から妊娠12週頃までに起こります。

Q2. バニシングツインは私の体に問題があったから起きたのでしょうか?

A. いいえ。バニシングツインの多くは偶発的に起こるとされており、ご自身の行動や体質が直接の原因とは言い切れません。ご自身を責める必要はありません。

Q3. バニシングツインがあると、出生前DNA鑑定は受けられませんか?

A. 受けられないわけではありません。ただし、消失した双子のDNAが血液中に残っている時期は結果の解釈が難しくなることがあるため、採血時期の調整が必要になる場合があります。事前に医師へ経緯を伝えていただくことで、適切なタイミングを一緒に検討できます。

Q4. 性別報告にも影響しますか?

A. 消失した双子と生存している胎児の性別が異なる場合、Y染色体由来のDNAの影響で性別判定が実際と異なる可能性が報告されています。出生後にあらためて確認することをおすすめします。なお、消失した双子が女児で生存している胎児が男児の場合は、影響は比較的小さいと考えられています。

Q5. 結果に不安がある場合、どうすればよいですか?

A. 出産後に赤ちゃんから直接検体を採取して再検査する方法があります。まずは検査を依頼した医療機関に、バニシングツインの経緯を含めて相談してください。

Q6. 検査機関にはいつ、どのように伝えればよいですか?

A. 予約時や採血前の診察の際に、超音波検査で確認された時期や経過をできるだけ具体的にお伝えください。医師がそれをもとに、適切な採血時期や結果の見方について案内します。

Q7. バニシングツインは残された赤ちゃんの健康に影響しますか?

A. 妊娠初期の早い段階で起こった場合、多くは大きな影響を及ぼさないとされています。妊娠中期以降の発生や症状を伴う場合は、産科の担当医による経過観察が推奨されます。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

医師監修 監修日:2024年8月28日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年8月28日

堤 修一 (つつみ しゅういち)

医師・医学博士 ヒロクリニック博多駅前院 院長

略歴

  • 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

発信・関連リンク

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. Landy HJ, Keith LG. The vanishing twin: a review. Hum Reprod Update. 1998;4(2):177-183.
  2. Gromminger S, Yagmur S, Erkan S, et al. The Influence of a Vanishing Twin on Non-Invasive Prenatal Testing (NIPT). Case Rep Obstet Gynecol. 2014;2014:405410.
  3. Curnow KJ, Wilkins-Haug L, Ryan A, et al. Clinical experience and follow-up with large-scale single-nucleotide polymorphism-based noninvasive prenatal testing. Am J Obstet Gynecol. 2015;212(4):527.e1-527.e9.

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