この記事の概要
毛髪からDNAを採取する際、必要な本数は状況や検査方法によって異なりますが、基本的には根元(毛根)が付いた毛髪が重要です。DNAは主に毛根に含まれているため、切り取られた髪の毛の部分(毛幹)では十分な量のDNAを得ることが難しいです。
毛髪はDNA鑑定に使えるサンプルの一つです
毛髪は、毛根部分に十分な細胞が付いていればDNA鑑定に利用できるサンプルの一つです。毛髪からDNAを採取する際には、正しい手順を踏むことで高品質なDNAを確保することが重要です。毛髪にはDNAが含まれていますが、特に毛根(毛球部)に豊富に存在しています。そのため、毛根がしっかりと付いた毛髪を採取することが不可欠です。以下に、毛髪からDNAを取るときの注意点と適切な取り方を説明します。
血液検体と比較すると、毛髪検体は自宅で採取しやすいという利便性がある一方、毛根の状態によって得られるDNAの量にばらつきが出やすいという特徴もあります。用途や求める精度に応じて、どちらの検体が適しているかを検討することが大切です。
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頭髪の取り方
毛髪からDNAを採取するときは、毛根がしっかり付いた状態の毛を清潔な手順で抜き取ることが基本です。毛髪からDNAを採取する際には、正しい手順を踏むことで高品質なDNAを確保することが重要です。毛髪にはDNAが含まれていますが、特に毛根(毛球部)に豊富に存在しています。そのため、毛根がしっかりと付いた毛髪を採取することが不可欠です。以下に、毛髪からDNAを取るときの注意点と適切な取り方を説明します。
注意点
- 毛根が付いていること:
毛髪のDNA鑑定には、必ず毛根(毛球部)が必要です。毛根には生きた細胞が含まれており、これがDNAを提供します。髪の毛の先端部分だけでは、DNAは含まれていないため、DNA鑑定には使えません。 - 自然に抜けた毛髪は避ける:
自然に抜けた毛髪や切れ毛には、毛根に十分なDNAが含まれていない場合があります。したがって、引き抜いて得た毛髪(根元がしっかりと付いているもの)を使用するのが望ましいです。 - 清潔な状態で採取:
DNA汚染を防ぐために、毛髪を採取する前に手をしっかりと洗い、清潔な状態で作業を行います。また、ピンセットなどを使う場合も、道具が清潔であることが重要です。 - 複数の毛髪を採取:
鑑定のためには、できるだけ多くの毛根付き毛髪を採取することが推奨されます。通常、5〜10本の毛髪を確保することで、DNA抽出の成功率が高まります。 - 外部からの汚染を避ける:
採取した毛髪を触る際は、素手で触らないように注意し、ピンセットなどを使用して採取します。また、毛髪を保管する際は清潔な袋や封筒に入れ、他のサンプルと混ざらないようにします。 - 毛髪が乾燥していること:
採取した毛髪は必ず乾燥した状態で保存します。湿気や水分が含まれるとDNAが劣化する可能性があるため、毛髪を洗った直後など、濡れている状態では避けるべきです。
毛髪からDNAを取る具体的な取り方
- 手や道具の清潔を保つ:
まず、手を石鹸でしっかり洗い、清潔な状態にします。ピンセットや採取に使用する道具も事前に消毒しておきます。 - 毛髪の採取:
毛根が付いた毛髪を5〜10本程度、ピンセットなどで抜き取ります。毛根(白い膨らみのある部分)がしっかりと付いていることを確認します。 - 毛髪の保管:
採取した毛髪は、清潔な紙封筒やプラスチック袋に入れます。湿気を避けるために、乾燥した環境で保管し、ラベルを付けて識別できるようにします。サンプルの混同を防ぐため、複数のサンプルを一緒に保管しないよう注意します。 - サンプルの送付:
鑑定機関にサンプルを送る際は、保管方法に注意し、なるべく早く提出します。長期間保存するとDNAが劣化する可能性があるため、迅速に処理されることが重要です。
正しい手順を踏むことで、高品質なDNAを確保し、鑑定の精度を向上させることができます。手順の一つひとつは難しいものではありませんが、毛根の確認や清潔な取り扱いを怠ると、再採取が必要になることもあるため、落ち着いて一つずつ進めることをおすすめします。
必要な本数について
毛根付きの毛髪は、5〜10本程度確保できれば十分なDNA量が得られるとされています。毛髪1本あたりから抽出できるDNAの量は、毛根の状態によって差があるため、本数に余裕を持たせておくと再検査のリスクを減らせます。
- 毛根付きの毛髪: 通常、毛根付きの毛髪が5〜10本あれば、十分な量のDNAを抽出できるとされています。検査機関によっては、より多くの本数を推奨する場合もありますが、少なくとも5本程度あれば、多くの場合で適切な結果が得られます。
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なぜ毛根が必要なのか 毛髪DNAの仕組み
髪の毛の目に見える部分(毛幹)には、DNA鑑定に必要な核DNAがほとんど含まれていません。髪の毛は、大きく分けて「毛幹(もうかん)」と呼ばれる目に見える部分と、「毛根(もうこん)」と呼ばれる皮膚の中に埋まっている部分に分かれます。毛幹はケラチンというたんぱく質を主成分とした、いわば「死んだ細胞の集合体」であり、核DNAをほとんど含んでいません。
一方、毛根の先端にある毛球部には、細胞分裂を行っている生きた細胞が存在し、ここに核DNAが豊富に含まれています。DNA型鑑定で用いられるSTR法は、この核DNAを解析する手法であるため、毛球部が付いていない毛髪(自然に抜け落ちた毛や、切った毛)では、十分な量の核DNAを確保できず、正確な鑑定が難しくなります。抜け毛が多い季節や、ブラシに絡まった毛髪を使いたいと考える方もいらっしゃいますが、こうした毛髪は毛球部が失われていることが多く、鑑定用のサンプルとしては推奨されません。
毛髪検体の限界と、精度を重視する場合の選択肢
毛髪検体は手軽に採取できる一方、DNA量が不安定になりやすく、法的な用途には向かない場合があります。毛髪は自宅で手軽に採取できる検体ですが、得られるDNAの量や質は、採取の仕方や毛髪の状態によって左右されやすいという特徴があります。量が不足していたり、劣化が進んでいたりすると、再検査が必要になったり、結果の信頼性が下がったりすることがあります。
そのため、裁判所への提出など法的な用途で確実な証明が必要な場合や、より高い精度を重視したい場合には、医療機関で採血して調べる血液検体による検査が選ばれることが一般的です。ヒロクリニックの出生前親子鑑定では、母体血液からSTR法により52座位を分析し、99.99%以上の精度で結果を報告しています。毛髪検体とどちらを選ぶかは、検査の目的(私的な確認か、法的な証明が必要か)に応じて判断することをおすすめします。
毛髪採取における同意と注意点
毛髪を採取して検査を行う場合も、検体を提供する方ご本人の同意を得ることが前提です。毛髪は自宅にあるブラシや衣類などから比較的手に入りやすい検体であるため、本人の同意なく採取してしまうことも技術的には可能です。しかし、同意を得ずに採取した検体による鑑定結果は、私的な参考情報にとどまり、法的な証拠として使うことはできません。プライバシーの侵害につながるおそれもあるため、推奨できません。
家族や親族の協力を得にくい事情がある場合は、無理に本人に知られずに検体を集めようとするのではなく、対話による同意の獲得を試みるか、それが難しい場合は家庭裁判所の調停・審判といった法的な手続きを検討してください。ご不安な点がある場合は、検査を申し込む前にクリニックへご相談いただくことをおすすめします。
結論
DNA鑑定の目的や方法によりますが、毛根が付いた毛髪が5本から10本程度あれば十分なことが多いです。毛髪からDNAを採取する際は、以下の点に注意することが大切です。
- 毛根が付いた毛髪を使用すること
- 自然に抜けた毛髪ではなく、引き抜いた毛髪を採取すること
- 手や道具を清潔に保ち、サンプルの汚染を防ぐこと
- 複数の毛髪を採取し、乾燥した状態で保管すること
- 検体を提供する方ご本人の同意を得たうえで採取すること
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よくある質問(FAQ)
毛髪からのDNA採取について、よく寄せられる質問にお答えします。気になる点がある場合は、下記もあわせてご確認ください。
切った髪の毛でもDNA鑑定はできますか。
できません。ハサミなどで切った髪の毛には毛根(毛球部)が含まれておらず、核DNAをほとんど含んでいないため、鑑定用のサンプルとしては使用できません。
ブラシに絡まっていた自然に抜けた毛でも大丈夫ですか。
自然に抜けた毛髪は毛根部分のDNA量が不十分な場合が多く、推奨されません。可能であれば、根元がしっかり付いた状態で引き抜いた毛髪を用意してください。
毛髪は何本くらい用意すればよいですか。
毛根が付いた毛髪が5〜10本程度あれば、多くの場合で十分なDNA量を確保できます。検査機関によって推奨本数が異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
採取した毛髪はどのように保管すればよいですか。
清潔な紙封筒やプラスチック袋に入れ、乾燥した状態で保管してください。湿気があるとDNAが劣化するおそれがあるため、洗髪直後など濡れた状態での採取は避けてください。
本人の同意なく毛髪を採取して検査に出しても問題ありませんか。
技術的には検査できる場合がありますが、同意を得ていない検体による結果は法的な証拠として使えず、プライバシー侵害のリスクもあるため推奨していません。検体を提供する方ご本人の同意を得たうえで進めてください。
毛髪検体と血液検体では、どちらの精度が高いですか。
一般的に、血液検体の方が安定してDNA量を確保しやすく、精度の面で有利とされています。法的な証明を重視する場合は、血液検体による検査が選ばれることが一般的です。
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略歴
- 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
- 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
- 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
- 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
- 2009年 医療法人社団福美会 理事長
- 2015年 医療法人社団福美会 理事
資格・所属
- CAPラボディレクター
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
- 日本医師会 産業医
- 東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
堤 修一 (つつみ しゅういち)
医師・医学博士 / ヒロクリニック博多駅前院 院長
略歴
- 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
- 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
発信・関連リンク
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- Higuchi R, von Beroldingen CH, Sensabaugh GF, Erlich HA. DNA typing from single hairs. Nature. 1988 Apr 7;332(6164):543-6.
- Linch CA, Smith SL, Prahlow JA. Evaluation of the human hair root for DNA analysis. J Forensic Sci. 1998 Mar;43(2):305-9.
- Wilson MR, Polanskey D, Butler J, DiZinno JA, Albert J, Budowle B. Extraction, PCR amplification and sequencing of mitochondrial DNA from human hair shafts. Biotechniques. 1995 Apr;18(4):662-9.
- McNevin D, Wilson-Wilde L, Harlow J, Robertson J. DNA profiling of hair shafts: a review. Forensic Sci Int. 2005 Dec 1;155(1):1-12.





