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風邪

寒い季節になると増えてくる「風邪」と「インフルエンザ」。どちらも発熱やのどの痛みなど似た症状があり、違いがわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか?
しかし、実はこの2つは原因ウイルス・症状の重さ・治療法・感染力など、根本的に異なる感染症です。この記事では、内科医の視点から風邪とインフルエンザの違いを丁寧に解説し、早期の見分け方や予防法、受診の目安まで網羅的にお届けします。

1. 風邪とインフルエンザの定義と原因ウイルス

風邪(かぜ症候群)とは

風邪は正式には「急性上気道炎」と呼ばれ、鼻やのど、気管などの上気道に炎症を起こすウイルス感染症の総称です。原因となるウイルスは200種類以上あるとされ、以下のようなものが代表的です。

  • ライノウイルス(最も多い原因)
  • コロナウイルス(新型ではなく、風邪の一因として)
  • アデノウイルス
  • RSウイルス

風邪は通常、軽度の発熱、鼻水、のどの痛み、咳などの症状が中心で、全身状態は比較的安定していることが多いです。

インフルエンザとは

一方でインフルエンザは、インフルエンザウイルス(A型、B型、C型)によって引き起こされる感染症で、風邪に比べて症状が急激かつ重篤になりやすいのが特徴です。
特にA型インフルエンザは毎年のように流行し、時にはパンデミックを引き起こすこともあります。

2. 主な症状の違いと発症の仕方

比較表:風邪 vs インフルエンザ

項目風邪インフルエンザ
主な原因ウイルスライノ、アデノ、RSなどインフルエンザウイルス(A型/B型)
発症のスピード徐々に悪化(1〜2日かけて)急激に発症(数時間で悪化)
発熱微熱(37〜38℃台)高熱(38〜40℃)が突然出る
鼻水・咳多くみられるあまり目立たないことも
頭痛・筋肉痛少ない強い(全身の倦怠感や関節痛)
倦怠感軽度強い(寝込むレベル)
合併症のリスク低い肺炎・脳症など重症化の可能性がある

解説:なぜインフルエンザは症状が重いのか?

インフルエンザウイルスは、感染した細胞内で爆発的にウイルスを増殖させる能力を持ち、短時間で全身に強い炎症反応を引き起こします。そのため、風邪とは比較にならないほどの急激な発熱・筋肉痛・悪寒・倦怠感が見られます。

3. 診断方法と医療機関での対応の違い

自己判断は危険。正確な診断には検査が必要

風邪とインフルエンザは症状だけで見分けるのが難しい場合があります。特に高齢者や持病のある方では、症状が典型的でないことも。
医療機関では、以下のような検査で診断を行います

  • インフルエンザ迅速抗原検査:発症から12時間以上経過すると精度が上がる
  • 血液検査(白血球数、CRPなど):細菌感染との鑑別に有効
  • 胸部レントゲン:肺炎が疑われるときに使用

治療方針の違い

● 風邪の治療

風邪は対症療法(症状をやわらげる治療)が基本です。

  • 解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)
  • 去痰薬・咳止め・抗ヒスタミン薬
  • 十分な休養と水分補給が回復の鍵です

● インフルエンザの治療

インフルエンザは抗インフルエンザ薬による早期治療が効果的です。

  • オセルタミビル(タミフル)
  • ザナミビル(リレンザ)
  • バロキサビル(ゾフルーザ)など

これらは発症から48時間以内に服用を開始することで、発熱期間を短縮し、重症化を防ぎます

4. 予防法の違いと共通点

共通する予防の基本

  • 手洗い・うがいの徹底
  • マスクの着用(特に飛沫感染の防止)
  • 十分な睡眠とバランスのとれた食事
  • 人混みを避ける、換気を行う
手洗い

これらは風邪・インフルエンザの両方に共通する基本的な感染対策です。

インフルエンザには「ワクチン接種」が有効

風邪には予防接種が存在しませんが、インフルエンザには毎年のワクチン接種が非常に重要です。
ワクチンを打つことで、以下のメリットがあります

  • 発症率の低下(約40〜60%予防)
  • 発症しても重症化のリスクを大きく減らす
  • 高齢者や乳幼児、基礎疾患のある方は特に推奨

接種時期は毎年10〜12月がベストとされています。

5. 風邪・インフルエンザを疑うときの受診の目安

以下のような症状があれば、早めに内科を受診しましょう。

  • 38℃以上の急な発熱+強い倦怠感や関節痛
  • 高齢者、乳幼児、持病のある方の発熱・咳
  • 呼吸が苦しい、咳が長引く(1週間以上)
  • インフルエンザ流行時期に発症した風邪様症状

また、インフルエンザが疑われる場合、できるだけ発症から12〜48時間以内に受診し、診断と治療を開始することが重要です

6. まとめ:正しい知識が、健康を守る第一歩

比較項目風邪インフルエンザ
原因多種多様なウイルスインフルエンザウイルス
症状の進行ゆるやかに悪化急速に発症・重くなることが多い
発熱微熱程度高熱(38〜40℃)が突然出る
治療対症療法中心抗インフルエンザ薬による早期治療