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糖尿病は日本国内で約1,000万人が罹患しているとされる慢性疾患です。しかし、その多くが「自覚症状がない」「健康診断で偶然見つかった」というケース。放置すれば、視力障害や腎不全、心筋梗塞などの合併症を引き起こすリスクもあり、早期発見と治療が非常に重要です。本記事では、糖尿病の初期症状を見逃さないためのチェックポイント、内科で行う検査・診断法、治療のアプローチについて、専門的かつわかりやすく解説します。
1. 糖尿病とは?基本的なメカニズムと分類
● 糖尿病の定義
糖尿病とは、インスリンの作用不足により血糖値が慢性的に高くなる状態を指します。血糖とは血液中のブドウ糖で、主に食事から得られ、細胞のエネルギー源として使われます。
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血中のブドウ糖を細胞に取り込ませて血糖値を下げる役割を果たします。このインスリンが十分に分泌されない、あるいは効きにくくなると血糖値が高くなり、糖尿病になります。
● 糖尿病の主な分類
| 種類 | 特徴 |
| 1型糖尿病 | インスリンを作る細胞が自己免疫で破壊される(若年発症が多い) |
| 2型糖尿病 | インスリンの分泌不足+効きにくさ(日本人の90%以上) |
| 妊娠糖尿病 | 妊娠中に初めて発見される耐糖能異常 |
| その他の特定の型 | 遺伝や薬剤、膵臓疾患による糖尿病 |
2. 糖尿病の初期症状:見逃しがちなサインとは?
糖尿病は初期段階では症状が出にくいため、気づかないまま進行するケースが多くあります。以下のような症状が見られた場合は注意が必要です。
● よくある初期症状
- 喉の渇きと水分の多量摂取(多飲)
- 尿の量や回数が増える(多尿)
- 体重減少(食欲があるにもかかわらず)
- 疲れやすい・倦怠感
- 目のかすみや視力の低下
- 皮膚のかゆみ、感染症(特に膀胱炎・皮膚炎)にかかりやすい
これらの症状は、「年齢のせい」「疲れているだけ」と見過ごされがちですが、血糖コントロールの乱れが背景にある可能性があります。
● 健診で指摘される「糖尿病予備群」とは?
血糖値が正常より高いが、糖尿病とは診断されない状態を「境界型糖尿病(糖尿病予備群)」と呼びます。この段階で生活習慣を改善することで、糖尿病の発症リスクを大幅に減らすことが可能です。
3. 内科で行う糖尿病の検査と診断方法
糖尿病の診断には、複数の検査を組み合わせて判断します。以下が内科で行われる主な検査です。
● 血糖値測定(随時・空腹時)
- 空腹時血糖値:126mg/dL以上で糖尿病が疑われる
- 随時血糖値:200mg/dL以上で糖尿病の可能性あり
● HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
- 過去1〜2か月の平均血糖値を反映する指標
- 6.5%以上で糖尿病の診断基準に該当
● 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
- 境界型や診断が難しい場合に実施
- 飲糖後の血糖値を時間経過で測定し、糖尿病かどうかを評価
● 尿検査
- 尿糖の有無
- 尿中アルブミン(腎障害の早期発見に有用)
● インスリン分泌能の検査(Cペプチドなど)
- インスリンの量や機能を評価し、1型・2型の鑑別に使用
4. 内科での糖尿病治療:生活改善と薬物療法の両輪
糖尿病の治療は、生活習慣の改善と薬物療法の2本柱で進められます。内科では患者の病態・合併症の有無に応じて、最適な治療法を提案します。
● 食事療法:糖尿病治療の基本
- 1日の総エネルギー量を適正に管理(BMI・活動量に基づく)
- 糖質の摂りすぎに注意(白米、パン、砂糖飲料など)
- 野菜・海藻・大豆製品を中心に摂取
- ゆっくりよく噛んで食べることで食後高血糖を防止
管理栄養士による栄養指導を行う医療機関も多く、継続的な食習慣改善が重要です。

● 運動療法:血糖値とインスリン感受性を改善
- 有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギングなど)を週150分以上推奨
- 筋力トレーニングの併用で基礎代謝とインスリン感受性を向上
- 医師と相談のうえ、無理のない範囲で継続を
● 薬物療法:生活改善で効果不十分な場合に
| 薬剤の種類 | 代表例 | 主な作用機序 |
| ビグアナイド系 | メトホルミン | 肝臓での糖新生を抑制、インスリン感受性改善 |
| DPP-4阻害薬 | シタグリプチン | インクレチンの分解を抑制し、インスリン分泌促進 |
| SGLT2阻害薬 | ダパグリフロジン | 尿中に糖を排出して血糖値を下げる |
| インスリン製剤 | 各種注射製剤 | インスリン分泌不足を補う |
※薬物治療は病型・年齢・腎機能などにより選択が異なるため、医師の判断が必須です。
5. 糖尿病の合併症とその予防法
糖尿病の怖さは、血糖値そのものではなく合併症の発症にあります。血管障害が全身に広がり、QOL(生活の質)を大きく損なうこともあります。
● 主な慢性合併症
| 分類 | 合併症 | 主な症状・影響 |
| 細小血管障害 | 糖尿病網膜症、腎症、神経障害 | 失明、人工透析、感覚障害・しびれなど |
| 大血管障害 | 動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞 | 歩行困難、麻痺、突然死のリスクも |
これらの合併症は、HbA1cを7.0%未満に維持することで発症リスクを大きく下げることが可能です。
6. 内科クリニックでできること:早期発見と継続治療の支援
糖尿病は長期間にわたる治療が必要な慢性疾患です。内科クリニックでは、以下のような支援体制を整えています。
- 定期的な血糖・HbA1c測定によるモニタリング
- 合併症の早期発見(眼底検査・尿検査・神経評価など)
- 食事・運動・生活指導(必要に応じて専門職と連携)
- 患者に寄り添った治療計画と、薬の調整
「まだ大丈夫」と思わず、早めに医師のアドバイスを受けることが、健康寿命を延ばす鍵となります。
まとめ:糖尿病は早期発見・継続治療でコントロールできる
糖尿病は発症しても早期に対応すれば、合併症を防ぎ、健やかな日常生活を送ることが可能です。初期症状を見逃さず、定期的な健診と内科医による管理を受けることが何より大切です。
内科クリニックでは、患者さま一人ひとりのライフスタイルや健康状態に合わせた治療を行い、長期的な健康維持をサポートしています。気になる症状がある方は、早めにご相談ください。



