受診のご案内

「最近、なんとなく疲れが取れない」「体がだるいけれど、原因がわからない」――そんな漠然とした不調は、実は深刻な病気の前触れである可能性があります。
内科診療では、血液検査や問診、診察を通じて自覚症状の少ない“隠れた病気”の兆候を早期に見つけることができます。この記事では、日常に潜む体の異変からどんな疾患が疑われるのか、内科的な視点で詳しく解説し、どのようなタイミングで受診すべきかをお伝えします。
1. 自覚症状の少ない「隠れた病気」とは?
● 「隠れた病気」の定義とは?
「隠れた病気」とは、日常生活ではっきりとした症状が出にくく、本人が気付きにくい疾患を指します。進行して初めて症状が現れるケースが多く、見逃しやすいため、早期の医療的アプローチが必要不可欠です。
こうした病気は、以下のような方法で初めて見つかることがあります。
- 健康診断での異常値
- 内科受診時の問診や血液検査
- 他の疾患で通院中の定期チェック
● 主な隠れた病気の一例
| 疾患名 | 隠れたサイン |
| 高血圧症 | 朝の頭痛、肩こり、めまい |
| 2型糖尿病 | 喉の渇き、疲れやすさ、頻尿 |
| 脂質異常症(高脂血症) | 無症状のことが多く、動脈硬化が進行する |
| 甲状腺機能低下症 | むくみ、寒がり、気力低下 |
| 慢性腎臓病(CKD) | 足のむくみ、貧血、血圧の変動 |
2. 何気ない不調の裏にある疾患の可能性
● 疲れやすい・だるい:ただの疲労ではない
慢性的な倦怠感は、肝機能障害、貧血、内分泌異常(特に甲状腺機能低下症)などが原因であることがあります。血液検査によって、ヘモグロビン値や肝酵素、甲状腺ホルモンの値を確認することで、正確な診断が可能になります。
● 食欲不振・体重減少:消化器疾患や内臓疾患のサイン
短期間での体重減少や食欲の低下は、胃潰瘍、胃がん、肝臓疾患、糖尿病、悪性腫瘍などの疑いがあります。胃腸の機能評価や血糖値、肝機能検査がカギとなります。
● 頻尿・喉の渇き:糖尿病や腎疾患の可能性
1日に何度もトイレに行く、特に夜間頻尿が増えたという場合、糖尿病の初期症状の一つであることがあります。また、腎臓機能が低下していると尿量の異常が生じることもあり、尿検査や血清クレアチニン値などが診断材料となります。
3. 内科診療でどのように見つけるのか?
● 問診の重要性:話すことで気づく病気の兆候
内科診療の出発点は丁寧な問診です。「最近疲れやすくなった」「食欲がない」といった一見些細な不調の背後に、重大な疾患が隠れている可能性があります。特に高齢者では、症状の訴えが曖昧になりがちなため、医師が日常の変化や生活習慣を細かく聞き取ることが重要です。
● 血液検査・尿検査・心電図:数値から見える異常
以下のような基本検査で、多くの隠れた疾患が早期に見つかります。
- 血液検査:肝機能、腎機能、糖代謝、貧血の有無などを総合的に確認
- 尿検査:尿糖、尿タンパク、潜血などから糖尿病や腎障害をチェック
- 心電図:不整脈や心筋の異常を見つけ、狭心症や心筋梗塞の予兆を確認

● 健診との違い:診察と組み合わせる臨床判断
定期健診では一定の検査項目しか測定されませんが、内科診療では医師が症状や訴えに応じて必要な検査を選択・追加します。これにより、健診では見逃されやすい異常値や身体所見を補足することができます。
4. 見逃さないために日常で意識すべき変化
内科的な病気は、日常生活のちょっとした変化から見抜くことができます。以下のチェックリストをもとに、気になるサインがあれば早めに医療機関を受診しましょう。
● 体調変化のセルフチェックリスト
| 項目 | チェックポイント |
| 睡眠の質 | 寝つきが悪い/朝早く目覚める |
| 食欲と体重 | 食欲がない/体重が5%以上減った |
| 疲労感 | 休んでも疲れが取れない/集中力が落ちた |
| 排尿・排便の変化 | 頻尿/尿が泡立つ/便秘または下痢が続く |
| 気分・感情の変化 | 気分が落ち込む/イライラが続く |
これらが2週間以上続く場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。
5. 定期的な内科受診のすすめ
● 「何もない」時こそ受診する意味
症状が出てからでは遅い場合も多いため、特に以下に該当する方は年に1〜2回の定期的な内科受診を検討してください。
- 40歳以上の方
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症の家族歴がある方
- 健診を受ける機会が少ない方
- 偏った食生活や運動不足が続いている方
● 医師との継続的な関係が病気を防ぐ
内科医は、身体全体を包括的に診る“総合的な窓口”です。定期的に通院していれば、体の小さな変化にも気付きやすく、より精密なフォローアップが可能となります。
まとめ:内科診療は病気を「見つける医療」
内科診療は、症状がはっきり出てから治療を行うだけの場ではありません。日常生活の中で気づきにくい不調や数値の異常を捉え、病気の芽を早期に摘み取る「予防と発見」のための医療です。
「最近、何となく調子が悪い」「年齢的に気になることが増えてきた」という方は、遠慮せずにお近くの内科クリニックを訪れてみてください。



