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「風邪は治ったはずなのに、咳だけがいつまでも続く」「夜になると咳が止まらず眠れない」──そんな経験はありませんか?
咳は呼吸器系の防御反応ですが、2週間以上続く場合は、単なる風邪ではなく、喘息や感染症、胃酸逆流、さらには心疾患などが原因となっている可能性があります。
この記事では、“咳が止まらない”ときに疑うべき病気とその見分け方、検査・治療法、そして受診すべきタイミングについて詳しく解説します。

1. 咳の種類と分類:長引く咳は何が違う?

咳は大きく「急性」「遷延性」「慢性」に分類され、それぞれに考えられる原因が異なります。

● 咳の持続期間による分類

分類期間主な原因の一例
急性咳嗽3週間未満風邪、急性気管支炎、肺炎
遷延性咳嗽3〜8週間百日咳、マイコプラズマ、後鼻漏など
慢性咳嗽8週間以上咳喘息、アトピー咳、GERD、結核など

咳が1週間以上続く場合、自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、早めの内科受診が推奨されます

2. 咳が止まらないときに考えられる病気とは?

長引く咳の原因は非常に多岐にわたります。内科でよく診られる主な疾患を紹介します。

● 咳喘息(Cough Variant Asthma)

喘鳴(ゼーゼー音)や呼吸困難を伴わず、咳だけが持続する喘息の一種。夜間や早朝に悪化しやすく、冷たい空気や運動が引き金になります。

  • 診断法:問診、胸部レントゲン、呼気NO測定など
  • 治療法:吸入ステロイド(ICS)、気管支拡張薬

● アトピー咳

咳喘息と類似するが、気管支の過敏性はなく、アレルギー体質との関連が強い咳。抗ヒスタミン薬や漢方薬で改善することがあります。

● 後鼻漏(こうびろう)

鼻水が喉の奥に流れ落ちて咳の刺激になる症状。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が原因。

  • 治療法:抗アレルギー薬、点鼻ステロイド、抗菌薬など

● GERD(胃食道逆流症)

胃酸が食道へ逆流することで、咽頭や気管支を刺激して咳を引き起こすことがあります。咳のほかに胸やけや喉の違和感を伴うことも。

  • 治療法:PPI(プロトンポンプ阻害薬)、生活習慣の改善

● 感染症後咳嗽

風邪やインフルエンザなどのウイルス感染後に、咳だけが数週間続くことがあります。ウイルスで傷ついた気道粘膜が回復する過程で過敏になっているのが原因です。

  • 治療法:鎮咳薬、気道安定化薬(漢方や吸入ステロイドなど)

3. 受診前に確認したい「咳のチェックポイント」

内科を受診する前に、次のような点を整理しておくと、診断がスムーズになります。

● 咳の発生タイミング・時間帯

  • 夜間や明け方に悪化 → 咳喘息の可能性
  • 食後に咳が出る → GERDの可能性
  • 季節の変わり目に出やすい → アレルギーやウイルス性かも

● 咳の性質

  • 乾いた咳(乾性咳嗽):咳喘息、GERD、アトピー咳など
  • 痰が絡む咳(湿性咳嗽):気管支炎、肺炎、COPDなど

● その他の症状の有無

  • 発熱や倦怠感があるか?
  • 息切れ、胸痛、体重減少、夜間の寝汗はあるか?
  • 痰に血が混じっていないか?

こうした情報を医師に正確に伝えることで、余計な検査を減らし、的確な診断につながります

4. 内科で行う検査と診断プロセス

● 問診と聴診

まずは咳の背景にある生活環境や既往歴、薬剤使用歴を丁寧に聞き取ります。聴診で異常音(ラ音、喘鳴など)の有無を確認します。

● 胸部X線(レントゲン)

肺炎、肺結核、肺がんなどを早期に除外するために最も基本的かつ重要な画像検査です。

● 呼気一酸化窒素測定(FeNO)

咳喘息の診断に有用な検査で、気道に炎症があるかどうかを非侵襲的に評価します。

● 血液検査

アレルギーの有無(IgE)や、炎症反応(CRP、白血球数)などを確認。

● 呼吸機能検査

喘息やCOPDの評価に使用。肺活量や気流制限の有無を調べます。

5. 内科での治療アプローチ:根本原因に応じた対応

咳の治療は“症状を抑える”だけでなく、“原因を特定して改善する”ことが基本です。

● 薬物療法の選択肢

症状・疾患主な治療薬
咳喘息・アトピー咳吸入ステロイド、抗アレルギー薬、漢方薬(麦門冬湯など)
GERDプロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2ブロッカー
感染後咳嗽鎮咳薬、去痰薬、気道保護薬
後鼻漏抗ヒスタミン薬、抗菌薬、点鼻薬

※咳止めは症状緩和に有用ですが、漫然と使い続けることは避けるべきです。診断に基づいた使用が基本です。

薬が置かれている

● 生活習慣へのアドバイス

  • タバコを吸わない(受動喫煙にも注意)
  • 加湿や空気清浄機で室内環境を整える
  • 横になったときに咳が悪化する場合、枕を高くして寝ると改善することも

6. 咳で受診すべき「赤信号」の症状とは?

以下の症状がある場合は、速やかに内科を受診、または場合によっては呼吸器内科の紹介を受けるべきです。

  • 咳が3週間以上続く
  • 呼吸困難や息切れを伴う
  • 血の混じった痰が出る
  • 夜間の寝汗や急激な体重減少
  • 喘鳴(ゼーゼー音)や胸痛がある
  • 市販薬でまったく改善しない

まとめ:咳は“からだの警報音”。自己判断せず、専門医の評価を

長引く咳は、生活の質を著しく下げるだけでなく、背景に重篤な疾患が潜んでいる可能性も否定できません。
内科では、問診・検査・治療の三位一体で咳の根本原因を探り、症状に合わせた適切な治療方針を立てることができます。
「まだ我慢できるから…」と思わず、早めに呼吸器専門医の診察を受けて、健康な呼吸を取り戻しましょう。