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「最近、体重が増えてきた」「健康診断で肥満気味と指摘された」――このような経験はありませんか?肥満は単なる体型の問題にとどまらず、高血圧、糖尿病、脂質異常症、さらには心臓病や脳卒中など、さまざまな疾患のリスク要因となります。内科では、医学的な視点から肥満を「疾患」として捉え、健康的な体重管理を目指すための診断と治療を行います。本記事では、肥満の定義、内科的治療の進め方、そして日常生活で実践できる健康的な体重管理のコツについて詳しく解説します。
1. 肥満の医学的定義とリスク
● BMIによる判定基準
肥満の評価には、主にBMI(Body Mass Index:体格指数)が用いられます。計算式は以下のとおりです。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²
日本肥満学会では、以下のように分類されています。
| BMI(kg/m²) | 判定 |
| 18.5未満 | 低体重(やせ) |
| 18.5〜24.9 | 普通体重 |
| 25.0〜29.9 | 肥満(1度) |
| 30.0〜34.9 | 肥満(2度) |
| 35.0〜39.9 | 肥満(3度) |
| 40.0以上 | 肥満(4度) |
BMI25以上が「肥満」とされ、特に内臓脂肪型肥満は代謝異常を引き起こす原因となるため、医療的な介入が推奨されます。
● 肥満が引き起こす代表的な疾患
肥満によりリスクが高まる主な疾患は以下の通りです。
- 2型糖尿病
- 高血圧症
- 脂質異常症(高コレステロール血症など)
- 心筋梗塞・狭心症
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 膝関節症、腰痛
- 一部のがん(大腸がん、乳がん、子宮体がんなど)
これらはメタボリックシンドロームとも関連しており、早期の体重管理が重要とされています。
2. 内科で行う肥満の診断と治療方針
● 初診時の評価項目
内科では、次のような評価を通じて、肥満のタイプや健康への影響を総合的に判断します。
- 身体測定(BMI・腹囲)
- 血圧測定
- 血液検査(血糖値、HbA1c、脂質、肝機能など)
- 心電図や腹部エコー(内臓脂肪の評価)
- 既往歴や家族歴、生活習慣の聞き取り
特に重要なのは、「肥満が他の疾患を引き起こしていないか」「どのくらい生活に支障をきたしているか」という点です。
● 治療の4本柱
内科では、以下の4つの柱に基づいた多角的な治療を行います。
① 栄養指導
- 一人ひとりの食生活を見直し、摂取カロリーの適正化を図る
- 高カロリー・高脂肪・高糖質な食習慣の改善
- 野菜、たんぱく質、食物繊維のバランス重視
② 運動療法
- 無理なく継続できる有酸素運動(ウォーキング・軽いジョギングなど)を推奨
- 週150分以上の中等度運動が理想
- 筋肉量を維持・増加させる筋トレも効果的
③ 行動療法
- 食べ過ぎの「きっかけ」を認識し、生活習慣全体を整える
- ストレス対処や睡眠改善も治療の一環とする
- 記録(体重、食事、運動など)をつけることで意識を高める
④ 薬物療法(必要に応じて)
- 生活習慣の改善だけで効果が得られない場合、肥満治療薬の投与を検討
- 糖尿病治療薬の一部(GLP-1受容体作動薬など)は体重減少効果も期待される
- ただし、薬物療法はあくまで補助的手段であり、生活習慣の見直しが基本

3. 健康的な体重管理を継続するコツ
● 目標設定は「現実的かつ段階的」に
体重減少の目安は、半年間で現体重の5〜10%減が推奨されます。急激な減量は筋肉量の減少やリバウンドを招く恐れがあるため、次のようなステップが理想です。
- 1ヶ月で1〜2kg減を目標にする
- 食事と運動のバランスを保つ
- 無理な断食や極端な食事制限は避ける
● 継続のための工夫
| 工夫 | 解説 |
| 記録をつける | 毎日の体重・食事内容・運動量を記録し、変化を可視化する |
| 食事を楽しむ | 味や見た目を工夫して満足感を得る |
| 外食は賢く選ぶ | 小盛り・低カロリーメニューを意識する |
| 周囲と協力する | 家族や医師と協力して目標を共有し、モチベーションを維持 |
4. 肥満を「病気」として正しく捉えることの重要性
● 自己責任ではなく「医療的介入」が必要なケースも
「太っているのは本人の努力不足」と考えるのは誤解です。近年の研究では、肥満には遺伝的要因・代謝の特性・心理的ストレス・ホルモンバランスの乱れなどが複雑に関与していることがわかっています。
内科では、こうした要素を踏まえながら、専門的な診断と継続的サポートを提供することが可能です。
● 肥満は早期対応がカギ
放置すればするほど、合併症リスクは高まり、減量も困難になります。「まだ大丈夫」と思わず、以下のようなサインがあれば早めに受診を検討しましょう。
- 健康診断で血糖・脂質・血圧の異常を指摘された
- 体重が急激に増えた
- 睡眠時のいびき・無呼吸が増えた
- 疲れやすく、日常動作が重く感じる
まとめ:医師と二人三脚で無理なく健康体へ
肥満は見た目だけでなく、体内で進行するさまざまな疾患の温床となり得ます。しかし、正しく診断し、適切な治療と生活改善を行えば、多くの場合に改善が可能です。内科クリニックでは、医学的根拠に基づいた治療法を用いながら、患者一人ひとりに合った体重管理をサポートします。
日々の生活の中でできる小さな工夫を積み重ね、専門医と相談しながら健康的な体重を目指しましょう。肥満治療は継続が命。焦らず、自分のペースで取り組むことが成功の秘訣です。



