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血糖値の変動は、糖尿病だけでなく、疲労感・集中力の低下・肥満など、さまざまな体調不良に直結します。年齢や体質に関わらず、日々の生活習慣が血糖値に大きな影響を与えています。この記事では、内科医の視点から、健康な血糖値を保つために重要な食事のとり方や運動習慣、日常生活のポイントをわかりやすく解説します。糖尿病予防にもつながる具体的なアドバイスを、ぜひ日々の生活にお役立てください。
1. 血糖値とは?基本を理解しよう
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を指します。体のエネルギー源であり、主に食事から摂取した炭水化物が消化・吸収された結果として血糖値が上昇します。
基準値の目安(空腹時):
- 正常:70〜99 mg/dL
- 境界型(糖尿病予備群):100〜125 mg/dL
- 糖尿病:126 mg/dL以上
血糖値は、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンによって調節され、エネルギーとして利用されない分は肝臓や筋肉に蓄えられます。しかし、インスリンの働きが低下すると、血糖値が慢性的に高くなり、糖尿病のリスクが高まります。
2. 血糖値に影響する主な生活習慣
以下のような生活習慣は、血糖値の乱れに直結します:
- 過剰な糖質摂取(白米・パン・スイーツなど)
- 運動不足(インスリン感受性の低下)
- 睡眠不足・不規則な生活(ホルモンバランスの乱れ)
- ストレス過多(交感神経の過剰活性による血糖上昇)
- 過度な飲酒や喫煙(代謝機能の低下)
これらはすべて、血糖コントロールに悪影響を及ぼす要因です。内科的な視点からは、定期的な検査を受けながら、これらの習慣を修正することが非常に重要です。
3. 食事管理の内科的ポイント
バランスの良い食事とは?
血糖コントロールの基本は、「低GI食品」の活用と、「食物繊維」の積極的な摂取です。
内科的に推奨される食品:
- 玄米、雑穀米、全粒粉パン(白米・精製パンより低GI)
- 葉野菜、海藻、キノコ類(食物繊維豊富)
- 青魚、豆腐、大豆製品(タンパク質と脂質のバランス)
食事タイミングと量の工夫
- 食事は3食規則的にとることが大切です。
- 朝食抜きはインスリン抵抗性を高めるため避けましょう。
- 夕食は寝る3時間前までに済ませ、過食を避けること。
- よく噛み、食べる順番(野菜→タンパク質→炭水化物)を工夫すると血糖上昇を緩やかにします。
4. 運動が血糖コントロールに与える影響
運動は、インスリンの働きを改善する最も効果的な手段の一つです。
有酸素運動
ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、週に150分以上を目標に。筋肉がブドウ糖を取り込むことで血糖値を下げる効果があります。

レジスタンストレーニング(筋トレ)
筋肉量が増えることで、安静時でも血糖の取り込み能力が高まります。中高年にも安全なスクワットや軽めのダンベル運動などがおすすめです。
日常に取り入れるコツ
- エレベーターより階段を使う
- 通勤・通学時に意識的に歩く
- 食後の軽い散歩(血糖値上昇を抑える)
5. 睡眠とストレスの管理がもたらす効果
睡眠不足が血糖値を悪化させる理由
睡眠不足は、食欲を増進させるグレリンというホルモンの分泌を高め、逆に食欲抑制ホルモンであるレプチンを減少させます。その結果、過食を招き血糖値の乱れに。
睡眠改善のポイント
- 就寝時間・起床時間を一定に
- スマートフォン・テレビなどのブルーライトを就寝前は避ける
- 寝る前に深呼吸やストレッチなど、リラックスできるルーティンを作る
ストレスが血糖に与える影響
ストレスが慢性化すると、コルチゾールというホルモンが分泌され、肝臓からの糖放出が促進され血糖が上昇します。ストレスを溜め込まない工夫が、血糖コントロールにも有効です。
6. 内科で行われる検査と治療方針
主な検査
- 空腹時血糖
- HbA1c(ヘモグロビンA1c):過去1〜2か月の平均血糖を反映
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT):糖尿病予備群の確認に有用
生活指導と薬物療法
- 境界型や初期の糖尿病は生活習慣の改善が基本です。
- 必要に応じて経口血糖降下薬やインスリン治療が導入されます。
内科では、薬だけでなく、栄養士や保健師と連携した多面的なサポートが受けられる点も重要です。
7. 健康な血糖値を保つための習慣づくり
以下のような日常的な習慣の積み重ねが、血糖コントロールには欠かせません。
- 毎日同じ時間に食事・起床・就寝する「体内リズムの安定」
- 軽めでも良いので1日1回の運動習慣
- ストレス対処法(瞑想・アロマ・趣味)を持つ
- アルコールの量は週に2〜3回まで、適量を意識
- 定期的に内科での血液検査を受け、自分の状態を把握
8. よくある質問と内科医からのアドバイス
Q. 血糖値は空腹時だけ見ればよいですか?
A. 空腹時だけでなく、食後の血糖値やHbA1cも重要です。特に食後高血糖は動脈硬化のリスクになります。
Q. 甘いものは絶対にダメですか?
A. 完全に禁止ではありませんが、頻度と量、タイミングが重要です。食後すぐのデザートなど、食事に組み込む工夫を。
Q. 遺伝で糖尿病になりやすいのですが、予防できますか?
A. はい。遺伝的素因があっても、生活習慣次第で発症リスクは大きく下げられます。定期検診と日常の管理が鍵です。
9. まとめ:健康な血糖値は毎日の積み重ねで守れる
血糖値は、単に「甘いものの摂りすぎ」で上がるわけではありません。食事の質・量・タイミング、運動、睡眠、ストレス、そして体質や遺伝など、さまざまな要因が複雑に関係しています。
内科的な視点では、生活全体をバランスよく見直すことが、最も効果的な予防と改善につながります。
「自覚症状がないから大丈夫」と思わず、年に1〜2回の血液検査や健康診断を活用しながら、健康な血糖値を守る習慣を今から始めましょう。



