受診のご案内

頭痛に悩まされていませんか? 日常生活で何気なく感じる頭痛にも、原因や対処法はさまざまです。専門の内科医である筆者が、症状の見分け方や自宅でできる対処法、受診すべきタイミングまで、最新の医学知見に基づいてわかりやすく解説します。頭痛の原因を正しく理解し、適切に対処することで、快適な毎日を取り戻しましょう。
1. 頭痛の種類とそれぞれの特徴
緊張型頭痛
- 症状:首・肩のこりを伴い、後頭部から頭全体が締めつけられるような鈍い痛み。
- 原因:ストレス、長時間の同一姿勢、眼精疲労などによる筋肉の緊張。
- 特徴:周期的・慢性的に現れ、動いても悪化しにくい。
片頭痛(偏頭痛)
- 症状:ズキンズキンと脈打つような痛みが片側に現れ、吐き気・光・音への過敏を伴うことも。
- 原因:血管の収縮と拡張に伴う神経刺激、ホルモン変動、遺伝的素因など。
- 特徴:活動や光、音で悪化する傾向あり。日常生活に支障をきたすことも。
群発頭痛
- 症状:片側目の奥・こめかみ周辺に、非常に激しい刺すような痛み。
- 原因:まだ完全には解明されていませんが、視床下部の異常や血管拡張が関与。
- 特徴:周期性があり、一時的な集中的発作が毎日同じ時期に数週間続くことも。
その他の二次性頭痛
- 症状:頭部や首に外傷があった場合、髄膜炎や脳卒中、脳腫瘍など病気に伴う頭痛。
- 特徴:発熱、吐血、しびれ、意識障害など他の症状を伴う場合は緊急対応が必要。
2. 軽度頭痛の対処法(日常・家庭でできる対策)
生活習慣の改善
- 睡眠の質:就寝・起床の時間を一定にし、深い睡眠を促進。
- 姿勢ケア:デスクワーク時は首・肩のストレッチや適切な椅子・モニター環境を整備。
- 水分補給:軽い脱水も頭痛を誘発。1日1.5〜2ℓの水分を意識的に摂取。
- 食生活:空腹・血糖の急激な低下、偏った栄養は要注意。朝昼晩の規則的な食事。
リラクゼーション法
- ストレッチや体操:首・肩のこりをほぐす簡単な体操を1日2〜3回。
- 深呼吸や瞑想:交感神経優位を和らげ、自律神経のバランスを整える効果。
- 入浴や温冷療法:ぬるめ入浴で全身のリラックス、こりが強い場合は温湿布。
市販薬の活用
- 鎮痛薬:アセトアミノフェン、NSAIDs(イブプロフェンなど)が第一選択。用量・副作用を守って使用。
- 注意点:痛み止めの効きにくさや、連日の使用は「薬物乱用頭痛」(リバウンド頭痛)につながる可能性があるため注意。
3. 頭痛の評価と受診すべきタイミング
症状の記録とセルフチェック
- 痛みの部位・強さ・頻度・持続時間を記録し、傾向を把握。
- 併発症状:吐き気、視覚異常(閃光・視野欠損)、手足のしびれ、発熱など。
緊急受診が必要なサイン
以下のような症状がある場合には、すぐに受診または救急外来へ:
- 突然の激しい痛み(「バットで殴られたような痛み」)
- 意識消失・混乱、手足の麻痺、言語障害など神経症状の出現
- 高熱・悪寒・頸部硬直を伴う頭痛(髄膜炎の可能性)
- 頭部外傷後に始まった頭痛
受診時に医師に伝えるべき情報
- 頭痛の開始時期・頻度・持続時間・痛みの具合
- 前兆の有無(閃光、視野欠損、言語障害など)
- 既往症(高血圧・糖尿病・血栓症など)や服薬歴
- 家族歴(片頭痛や血管疾患の既往など)
4. 医療機関での診断と治療法
初診での検査と診断
- 問診・視診・血圧測定
- 必要に応じて、血液検査・CT・MRI・頭蓋内圧測定(腰椎穿刺)など。
薬物療法
- 片頭痛予防薬:β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、抗うつ薬など。
- 群発頭痛治療薬:トリプタン系、酸素吸入療法など。
- 薬物乱用頭痛の対策:痛み止め多用者には中止・代替療法へ誘導。
非薬物療法・補助療法
- 生物学的製剤:CGRPモノクローナル抗体(最新の片頭痛予防薬)、医師判断での使用。
- 神経ブロック注射:後頭神経ブロックなど、慢性頭痛の緩和に有効。
- 理学療法・鍼灸・認知行動療法:ストレス緩和・姿勢改善・痛みの認識パターン修正。
5. タイプ別アプローチと予防のポイント
緊張型頭痛の予防
- 定期的なストレッチ(首・肩・背中)
- 作業姿勢の見直し:画面高さ・椅子・照明
- ストレス管理:職場や家庭での休息・趣味・リラクゼーションを習慣化

片頭痛の予防
- トリガー除去:チーズ・チョコレート・ワイン・加工食品など、誘発食品への注意
- 規則正しい生活リズム:睡眠・食事・運動のリズムを一定に
- ホルモン関連:女性は月経周期との関連把握と対策(低用量ピルなど医師と相談)
群発頭痛の対策
- 周期の把握と予防的治療:季節変動や発作の時期を記録し、事前に医師と相談
- 吸入酸素療法やトリプタン投与を、発作初期に迅速に対応
6. 頭痛と付き合う日常生活の工夫とアドバイス
仕事や家庭での配慮
- 画面時間が長い場合:ブルーライトカット眼鏡や短い休憩(5〜10分ごとに体を動かす)
- こまめな水分補給と軽食:血糖低下や脱水予防
ストレス・メンタルケア
- 瞑想・マインドフルネス:呼吸を整えて心身の緊張を緩める時間を確保
- 睡眠改善:就寝前のスマホ・テレビを控え、寝る前にはリラックスできる導入行動を追加
運動とリズム
- 有酸素運動(ウォーキング・軽いジョギング・ヨガなど)を週2〜3回、計150分程度
- 柔軟性や筋肉の緊張緩和:週に複数回のストレッチルーチン
7. よくある質問(Q&A)
Q. 頭痛はどのくらい続いたら受診すべき?
A. 数日以上続く、あるいは頻度が増えて生活に支障がある場合は受診をおすすめします。
Q. 市販薬を飲んでも効かない場合は?
A. 用法用量を守っていても改善しない場合、違う種類の薬や予防薬、専門的な治療が必要な可能性があるため、医療機関へ相談しましょう。
Q. 子どもや高齢者の頭痛は注意点がありますか?
A. 原因が異なる場合があるので、特に重篤な症状が疑われる場合は、早めの診断が重要です。
まとめ
- 頭痛には多様なタイプがあり、原因や対処法が異なる
- 軽度のケースは生活改善や市販薬で対応可能
- 突然の激しい痛み、神経症状、発熱を伴う場合は至急医療機関へ
- 日常的なストレス管理と規則正しい生活が最も効果的な予防策
頭痛は「ただの疲れ」ではなく、あなたの体からのサインかもしれません。適切な知識と対策を身につけて、頭痛とうまく付き合いましょう。必要な時は、ぜひ専門医にご相談ください。



