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アレルギー 鼻をかむ女性

くしゃみ、鼻水、皮膚のかゆみ、目の充血……こうしたアレルギー症状に悩まされている方は非常に多く、現代社会では国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を抱えているとも言われています。アレルギーの原因や症状は人によって異なり、治療には専門的な知識が求められます。本記事では、内科医の視点からアレルギー症状に対する正しい理解と、内科的アプローチによる治療および予防策について詳しく解説します。日常生活に取り入れられる対策も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

1. アレルギー症状の正体とは? 内科的な理解から始める

アレルギーとは、本来であれば体を守るはずの免疫反応が、特定の無害な物質(アレルゲン)に対して過剰に反応してしまう状態を指します。つまり、花粉や食べ物、ダニやペットの毛といった日常的に身近にあるものを「敵」と誤認識し、体が防御反応を起こしてしまうのです。その結果、くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみ、蕁麻疹(じんましん)、咳といった症状が現れ、生活の質に大きな影響を与えます。

アレルギーは現代社会において非常に身近な疾患で、子どもから大人まで幅広い世代に見られます。中には軽度で日常生活に支障が少ない場合もありますが、重症化すると学校や仕事に影響が出たり、命に関わるアナフィラキシーを引き起こすこともあるため、早めの理解と対応が欠かせません。

よく見られるアレルギーの種類

  • 花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)
    スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因で、春や秋に多く発症します。くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血が代表的な症状です。
  • 通年性アレルギー性鼻炎
    ダニ、ハウスダスト、ペットの毛などが原因で、1年を通して鼻水・鼻づまり・くしゃみが続きます。慢性的な睡眠障害や集中力低下につながることもあります。
  • 気管支喘息
    呼吸器に炎症が起こるタイプのアレルギーで、咳や息切れ、呼吸音(ヒューヒュー・ゼーゼー)が特徴です。発作的に症状が強く出ることがあり、重症化すると救急対応が必要になる場合もあります。
  • アトピー性皮膚炎
    皮膚のバリア機能が弱く、外部からの刺激に反応して炎症を起こします。強いかゆみや湿疹が続くのが特徴で、乳児期から発症するケースも多く、長期的なケアが必要です。
  • 食物アレルギー
    卵、乳、小麦、ナッツ類などに反応し、蕁麻疹や腹痛、嘔吐、下痢を起こします。重度の場合は血圧低下や意識障害を伴うアナフィラキシーショックにつながるため、特に注意が必要です。

内科では、これらのアレルギー症状を問診や検査によって丁寧に見極め、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立てます。とくに複数のアレルギーが重なっている場合や、症状の原因がはっきりしない場合には、総合的に体全体を診る内科的アプローチが大きな役割を果たします。

2. アレルギーの原因を探るための検査と診断

内科的にアレルギーを適切に管理するためには、まず原因物質(アレルゲン)を明らかにすることが大前提です。検査は以下のような方法で行われます。

血液検査(特異的IgE抗体検査)

アレルゲンに対するIgE抗体の有無を調べる検査です。特定のアレルゲンに対して体が過敏に反応しているかを数値で確認できます。

皮膚プリックテスト

皮膚に少量のアレルゲンをつけ、反応を見るテストです。即時型アレルギー反応の確認に有効です。

問診と生活環境の評価

食事内容、住環境、ペットの有無、季節による変化なども重要な情報源です。症状の出るタイミングやパターンを詳細に把握することが、正確な診断につながります。

内科医は、これらの情報を総合的に評価し、必要に応じて耳鼻科や皮膚科、アレルギー専門医と連携することもあります。

3. 内科的治療法:薬物療法と生活指導の両輪

内科で行われるアレルギー治療は、対症療法原因除去・回避、そして体質改善の三本柱で構成されています。

薬物療法

  • 抗ヒスタミン薬:かゆみ、鼻水、くしゃみなどの症状を抑える第一選択薬。眠気の少ない第2世代が主流です。
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬:気道の炎症や鼻閉に効果があります。
  • 点鼻薬・点眼薬:局所に直接作用する薬で、全身的な副作用が少ないのが特徴です。
  • 吸入ステロイド薬:喘息や重度の鼻炎に使用。炎症を根本から抑制します。
  • 抗IgE抗体(オマリズマブ):重症アレルギーに対して用いられる生物学的製剤で、根本的な免疫応答を調整します。

生活指導と環境整備

  • 室内のこまめな掃除(ダニ・ハウスダスト対策)
  • 空気清浄機や加湿器の活用
  • 花粉飛散時のマスク・眼鏡の着用
  • 食事日記をつけてアレルゲンの特定
  • ストレスや睡眠不足の軽減(免疫バランスに影響)

薬だけに頼らず、日常生活の中での改善が大きな効果をもたらします。患者自身の意識改革が、治療効果の持続につながるのです。

空気清浄機

4. アレルギーを未然に防ぐための予防法

アレルギー体質を根本から変えることは難しいものの、症状が出にくい体づくりや環境づくりは可能です。内科医が推奨する予防法には以下のようなものがあります。

免疫バランスを整える食生活

  • 抗炎症作用のある食品(青魚、緑黄色野菜、発酵食品)を積極的に摂取
  • 腸内環境を整えることで、免疫細胞の過剰反応を抑える
  • 食物繊維と水分をしっかり摂り、便通を良好に保つことで老廃物の蓄積を防ぐ

アレルゲンへの曝露を最小限に

  • 寝具のこまめな洗濯と布団乾燥機の活用
  • 花粉の時期には洗濯物を部屋干しにする
  • ペットを飼っている場合は、寝室への出入りを制限する

ストレスマネジメントと規則正しい生活

免疫系はストレスと深く関係しています。過度なストレスは免疫のバランスを崩し、アレルギー反応を誘発する一因になります。リラックス法(深呼吸、入浴、軽い運動)を取り入れ、睡眠の質を高めることも予防につながります。

5. アレルギーと付き合うという視点:内科医のアドバイス

アレルギーは、風邪のように「治ったらもう終わり」という病気ではなく、しばしば一生にわたって付き合っていく必要のある慢性的な疾患です。花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息、食物アレルギーなど、種類によって症状は異なりますが、いずれも「完治」というよりは症状をうまくコントロールし、生活の質を守ることが大きな目標になります。

5-1. 内科が重視するアプローチ

内科の診療では、薬を出して症状を一時的に和らげるだけでなく、患者さんの生活習慣や環境をふまえた総合的なサポートが行われます。たとえば、

  • 花粉症の方に対しては、花粉シーズン前からの予防的な薬の使用や生活環境の工夫
  • アトピー性皮膚炎の方には、保湿やスキンケアの習慣づけとともに、ストレスケアのアドバイス
  • 食物アレルギーの方には、誤食を防ぐための食事管理や学校・職場での対応指導
    など、日常生活に密着した提案が行われます。

また、アレルギーは心理的な影響を強く受けやすい病気でもあります。症状が続くと「また発作が起きるのでは」と不安になり、睡眠の質が下がったり、ストレスがたまりやすくなったりすることもあります。そのため、内科ではメンタルサポートや患者さんとの対話を重視し、安心して治療を続けられる環境づくりを心がけています。

5-2. 背後に隠れた疾患を見逃さない

さらに注意が必要なのは、「アレルギーと思っていた症状の背後に、別の病気が隠れている場合」です。
例えば、長引く咳が喘息だと考えられていた患者さんが、実は好酸球性肺炎を発症していたり、鼻炎のような症状の裏に慢性副鼻腔炎が潜んでいたりすることもあります。こうしたケースでは、アレルギー治療だけでは改善が見られず、むしろ病状が進行してしまうこともあります。

そのため、定期的な受診や検査の継続はとても重要です。「症状が前より強くなった」「薬の効き目が以前より弱い気がする」といった小さな変化も、医師に伝えることで別の病気の早期発見につながります。

5-3. 総合診療を担う内科の役割

内科は体全体を診る診療科です。アレルギーの治療においても、呼吸器や皮膚、消化器などの症状を総合的に見ながら、全身状態のバランスを整えるという重要な役割を担っています。薬の調整だけでなく、

  • 生活習慣の改善(睡眠、食事、運動)
  • 精神的なケア(ストレス対策、カウンセリング的なサポート)
  • 必要に応じた他科への紹介(耳鼻科、皮膚科、呼吸器内科など)
    を組み合わせることで、患者さんが「安心して日常生活を送れる状態」を維持していくことを目指します。

5-4. 内科医と二人三脚で歩む安心感

アレルギーと向き合うには、患者さん自身のセルフケアも欠かせません。しかし、自分だけで取り組むと不安や迷いが出てしまうこともあります。そんなとき、内科医と定期的に相談しながら「薬の調整」「生活習慣の改善」「症状の記録」などを続けていくことで、治療は長続きし、症状も安定しやすくなります。

つまり、内科の役割は「症状を和らげること」だけではなく、「患者さんと共にアレルギーと付き合う道筋を作っていくこと」にあります。長期的な視点で、体と心の両面から支えていく内科医の存在は、アレルギーと上手に向き合う上で欠かせないパートナーだといえるでしょう。

まとめ

アレルギーは一人ひとり異なる原因や症状を持つ、非常に個別性の高い疾患です。そのため、内科的な視点で丁寧な診断を行い、原因に応じた薬物療法と生活改善を組み合わせることが、もっとも効果的な対策となります。

予防法としては、食事、睡眠、ストレス管理といった基本的な健康管理が極めて重要です。アレルギーと上手につきあい、症状を最小限に抑えた生活を送るためには、医療機関との連携と自分自身のセルフケアの両方が欠かせません。

つらいアレルギー症状に悩む方は、ぜひ一度内科を受診し、適切なアドバイスと治療を受けてみてください。健康的な毎日を取り戻すための第一歩となるはずです。