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「最近、平熱が35度台」「寒くないのに手足が冷たい」——そんな体の冷えやだるさを感じていませんか?一見些細なようで、実は放置すべきでないのが“低体温”です。体温の低下は、代謝機能や免疫力の低下を引き起こすほか、内臓やホルモンバランスに関係する病気のサインであることも。この記事では、内科医の視点から、体温が低くなる原因と考えられる疾患、生活習慣の影響、改善策について詳しく解説します。健康的な体温に近づけるために、今すぐチェックしてみましょう。

1. 「平熱35度台」は本当に異常?体温の基礎知識

体温は健康状態を知る上での重要なバロメーターです。一般的に、成人の平均体温は36.5℃前後とされていますが、個人差があるため、一概に「何度以下が異常」とは言えません。ただし、平熱が35.5℃未満になると、医療的に「低体温」とみなされることがあり、注意が必要です。

正常な体温の目安(成人)

区分体温(℃)説明
高体温37.5℃以上発熱の可能性あり
正常体温36.0~37.4℃通常の体温範囲
低体温35.5℃未満基礎代謝・免疫力が低下傾向

低体温が続くと、免疫機能の低下、倦怠感、集中力の低下、慢性的な冷え、月経不順、不妊など、さまざまな健康リスクにつながります。

2. 内科で見る「体温が低い」主な原因とは?

体温が下がる理由は一つではなく、いくつもの要因が重なっていることが少なくありません。例えば、生活習慣の乱れが一時的に低体温を招くこともあれば、放置すると重症化する病気が隠れている場合もあります。ここでは、内科的に考えられる代表的な原因を取り上げ、詳しく解説していきます。

2-1 自律神経の乱れ

自律神経は、体温や血流、心拍、消化などを自動的に調整している大切な仕組みです。ところが、ストレス、不規則な生活、睡眠不足などによって自律神経のバランスが崩れると、体温を調節する機能がうまく働かなくなります。

特に現代では、スマートフォンやパソコンを長時間使う習慣が交感神経を刺激し続け、体がリラックスできなくなることも。こうした状態が続くと、血流が悪くなり、手足の冷えや体温の低下につながるのです。

2-2 甲状腺機能低下症

甲状腺は首の前側にある小さな臓器ですが、体全体の代謝をコントロールするホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンが不足すると、体のエネルギー産生が鈍り、自然と体温も低下してしまいます。

この病気では、強い疲労感、むくみ、便秘、皮膚の乾燥、髪の抜けやすさなどを伴うことが多く、単なる「冷え性」とは違うサインが出やすいのが特徴です。診断には血液検査が欠かせず、ホルモン補充療法によって改善するケースも少なくありません。

2-3 貧血や栄養不良

体温を維持するためには、赤血球が酸素を全身に運び、細胞がしっかりエネルギーを作れる状態であることが必要です。ところが、鉄分不足やビタミンB群・タンパク質不足によって赤血球がうまく作れなくなると、体は冷えやすくなり、体温も下がってしまいます。

特に女性は月経による鉄分不足が起こりやすいため注意が必要です。また、偏った食生活や無理なダイエットも、栄養不足による低体温を引き起こす大きな原因となります。

2-4 低血糖・低栄養状態

体は食事から得た栄養をエネルギーに変えて、その一部を「熱」として放出しています。そのため、エネルギー源が足りなくなると体温も下がるのは自然なことです。

朝食を抜く習慣がある人、極端にカロリーを制限している人は、体の燃料が不足して熱を作れなくなりがちです。特に低血糖になると、だるさや集中力低下だけでなく、手足の震えや強い冷えを感じることもあります。

2-5 加齢による代謝の低下

年齢を重ねると、自然と筋肉量が減り、基礎代謝が落ちていきます。筋肉は「熱を生み出す工場」のような役割を果たしているため、筋肉が減ると体温も下がりやすくなるのです。

高齢者では、体温低下により感染症にかかりやすくなるほか、寒さを感じにくいため冬の低体温症や転倒のリスクも高まります。若い人よりも体温の低下が健康リスクに直結しやすいので、特に注意が必要です。

つまり、低体温の背景には「ストレスや生活習慣」といった身近な要因から、「ホルモンの異常や栄養不良」といった医療的介入が必要な問題まで、幅広い原因が潜んでいます。自己判断せず、長引く場合は内科でしっかりと検査を受けることが大切です。

3. 体温の異常に気づいたら?内科での検査と診察の流れ

「なぜ自分の体温が低いのか?」を知るには、内科での総合的なチェックが有効です。体温の問題は、生活習慣だけでなく複数の臓器や代謝の働きに関係するため、問診だけでなく検査による裏付けが重要です。まずは医師が症状や生活習慣、既往歴を丁寧に聞き取り、その上で必要な検査を組み合わせて原因を絞り込みます。

主な検査項目

  • 血液検査:甲状腺ホルモン(TSH・FT4)、貧血、栄養状態、炎症反応などを確認
  • 尿検査:脱水や糖尿病、腎機能の確認
  • 血圧・心拍数:低血圧や自律神経のバランスを確認
  • 体組成測定:筋肉量の評価(基礎代謝の指標)

これらの検査結果を総合的に評価することで、生活習慣による一過性の低体温なのか、治療が必要な病気が隠れているのかを見極めることができます。また、必要に応じて内分泌内科での精密検査や、管理栄養士による栄養指導、体質改善を目的とした漢方治療など、幅広いアプローチが検討されます。気になる体温の変化を放置せず、早めに医師のチェックを受けることが大切です。

4. 体温を正常に戻すための生活習慣改善ポイント

医療的な治療が必要ない場合でも、日常生活を見直すことで体温の改善が期待できます。ここでは、内科医がすすめる具体的な改善策をご紹介します。

4-1 食事で「熱をつくる体」をつくる

  • たんぱく質(肉・魚・卵・豆類):筋肉の材料として体温維持に不可欠
  • 鉄分・亜鉛・ビタミンB群:代謝を助けるミネラル類を意識的に摂取
  • 発酵食品・食物繊維:腸内環境の改善が自律神経と免疫力に好影響
  • 温かい食べ物・飲み物:冷たいものばかり摂ると内臓の温度が下がるので注意

4-2 筋肉をつけて代謝を上げる

体温の約4割は筋肉から産生されます。とくに太もも・お尻まわりの筋肉を意識して動かすことで、効率的に体温が上がります。

  • ウォーキング
  • スクワット
  • 階段昇降
    などの軽い運動から始めてみましょう。

4-3 質の高い睡眠を確保する

就寝前のスマホ使用は控え、室温と寝具の調整で快適な睡眠環境をつくることが重要です。睡眠時間は7時間前後が理想。体温リズムを整えることで自然と「体温が上がる時間帯」を安定させることができます。

4-4 入浴・温活を習慣に

シャワーだけで済ませず、40℃前後のお湯に15〜20分浸かることで深部体温をしっかり温めましょう。生姜湯や温かいお茶を飲むのも効果的です。

バスルーム

5. 低体温がもたらすリスクと、見逃さないためのサイン

「ちょっと寒がりなだけ」と思われがちな低体温ですが、実は体全体の働きに影響を与え、放置すると健康リスクが高まることがあります。ここでは代表的なリスクと、医療機関を受診すべきサインについて解説します。

主な健康リスク

  • 免疫力の低下
     体温が下がると免疫細胞の働きが鈍り、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。体温が1℃下がるだけで免疫力が30%近く落ちるという報告もあり、慢性的な低体温は「感染しやすい体」を作ってしまいます。
  • 消化不良や胃腸トラブル
     血流が悪くなることで胃腸の働きも低下し、食欲不振、下痢や便秘といった症状につながります。「お腹が冷える」と感じるのは単なる感覚ではなく、実際に内臓機能が落ちているサインかもしれません。
  • うつ症状や気分の落ち込み
     体温をコントロールする自律神経が乱れると、気分の安定に関わる神経伝達物質のバランスも崩れやすくなります。その結果、気分の落ち込みやイライラ、不安感など「心の不調」として現れることがあります。
  • 不妊・月経不順
     特に女性では、ホルモンバランスの乱れに直結します。体温が安定しないことで月経周期が乱れたり、排卵障害を起こしたりすることも。不妊治療の現場でも「体温リズム」は大切なチェックポイントです。

受診の目安

次のような状態が続く場合は、自己判断せずに内科での受診をおすすめします。

  • 平熱が常に35.0℃前後、またはそれ以下になっている
  • 倦怠感、動悸、むくみ、集中力の低下などを伴っている
  • 体温低下が 2週間以上 続いている

「ただの冷え性だから」と放置してしまうと、裏にある甲状腺の病気や貧血、栄養不良などを見逃してしまうこともあります。特に女性や高齢者は要注意です。

つまり、低体温は単なる体質の問題ではなく、体のSOSサインである可能性があります。気になる症状があれば、早めに受診して原因を確認し、適切な対策を取ることが健康維持につながります。

まとめ:低体温は体のSOSかもしれません

「なんとなく体温が低い」「手足が冷えやすい」といった症状は、軽く見られがちですが、実際には体の不調を知らせるサインであることが少なくありません。低体温は、免疫力や代謝の低下につながり、風邪や感染症、消化不良、ホルモンバランスの乱れなど、さまざまな健康問題の“入り口”になる可能性があります。

大切なのは、生活習慣を整える工夫と、必要に応じて医療のサポートを受けることです。食事・睡眠・運動といった日常の基本を見直すだけでも体温は改善することがありますが、裏に病気が隠れている場合には、自己判断では限界があります。

体温は、まさにあなたの健康状態を映し出す鏡です。「いつもより低いな」「最近ずっと35度台が続く」と気づいたら、その小さな変化を見逃さないことが大切です。早めに内科でチェックを受けることで、安心につながるだけでなく、将来の大きな病気を予防できることもあります。

正しい知識と適切な対策で、冷え知らずの健やかな毎日を手に入れましょう。