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胸に手をあてる

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に呼吸が断続的に止まることで、本人は自覚しにくいのが特徴の病気です。
そのため、家族がいびきの異常や呼吸停止の兆候を察知することが、早期発見への大きな手がかりとなります。
放置すると高血圧や心疾患などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあるため、家族による観察と適切な受診が欠かせません。
本記事では、家族が気づきやすいSASの兆候や症状の見分け方、診断・治療の流れについて、専門的な視点でわかりやすく解説します。

1. 睡眠時無呼吸症候群とは?基本の理解

1-1. 睡眠時無呼吸症候群の定義と種類

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)または呼吸量の減少(低呼吸)が繰り返される疾患群の総称です。
最も多いのは閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)で、気道が物理的に閉塞することで起こります。
他には中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)や混合型もありますが、日本では閉塞性が約90%を占めます。

1-2. 症状の全貌と合併症

SASは単に「いびきが大きい」だけではなく、睡眠の断片化による日中の眠気や注意力低下を招きます。
さらに、長期間放置すると高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など命に関わる合併症リスクが増大します。
また、交通事故や労働災害の増加とも関連し、社会的な影響も見逃せません。

2. 家族が気づきやすい睡眠時無呼吸症候群の兆候

本人が気づきにくいSASの初期兆候は、ほとんどの場合、家族の観察が鍵となります。具体的には以下のようなサインがあります。

2-1. 強いいびきと断続的な呼吸音の変化

いびきは気道が狭くなっているために起こる振動音です。SASの場合、いびきの音が大きく、時折「ヒューヒュー」「ガーガー」と断続的に途切れ途切れになることがあります。
この異常な呼吸音は、気道閉塞の程度を示す重要なサインです。

2-2. 睡眠中の呼吸停止(無呼吸)とその兆候

最も特徴的なのは、呼吸が一時的に止まる無呼吸状態です。
家族が目撃するケースでは、数秒から数十秒間まったく呼吸をしていない状態が繰り返され、やがて「息を大きく吸い込む」ような激しい呼吸復帰音を伴うことが多いです。
これが数回以上続く場合は、重症の可能性が高いです。

2-3. 睡眠中の異常行動や動きの変化

睡眠中に体を激しく動かしたり、寝返りが多い、うなり声や寝言が増えるといった異常行動もSASの兆候とされます。
これらは睡眠の断片化や低酸素状態に対する脳の反応で、質の良い睡眠が得られていない証拠です。

2-4. 夜間の頻尿や発汗、むせるような咳

SAS患者は夜間に頻繁に目覚めるため、トイレに行く回数が増えることが多いです。
また、寝汗やむせるような咳、口呼吸による喉の渇きもよく報告される症状です。

3. 日中の症状も家族が見逃さないで

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、夜間のいびきや呼吸停止だけでなく、日中の行動や体調の変化にも症状が表れます。特に本人が「疲れているだけ」と勘違いして放置しがちなサインを、家族がいち早く察知することが大切です。

3-1. 強い日中の眠気と集中力低下

質の高い睡眠が得られないことで、日中に強い眠気や倦怠感が現れます。

  • 仕事中や授業中にウトウトする
  • 車の運転中に居眠りしてしまう危険がある
  • 簡単な作業でも集中力が続かない
    これらは、脳や体が十分に休息できていないサインです。特に運転中の眠気は重大な事故につながるため、早急な対応が必要です。

3-2. 気分の変動やうつ症状

慢性的な睡眠不足や低酸素状態は、自律神経や脳内ホルモンのバランスを乱します。

  • 理由のないイライラ
  • 情緒不安定
  • 気分の落ち込みやうつ症状
    家族は、日常会話や表情、行動からこうした変化に気づき、優しく声をかけることが重要です。
頭を抱える女性

3-3. 頭痛や記憶障害

SASでは、夜間の酸素不足による脳への影響が頭痛や記憶力低下として現れます。

  • 起床直後の頭痛
  • 人や物の名前が思い出せない
  • 物忘れが増えた
    これらは単なる加齢や疲れではなく、睡眠障害が原因となっているケースも少なくありません。早めに医療機関での相談を勧めることが、症状悪化を防ぐ第一歩です。

4. 家族ができる具体的な対応方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善には、家族のサポートが欠かせません。特に本人が自覚しづらい疾患だからこそ、周囲の観察や声かけ、生活習慣の見直しが治療の第一歩となります。ここでは、家族が実践できる具体的な対応を詳しく解説します。

4-1. しっかり観察し記録を取る

まずは、日常的に睡眠中の様子をよく観察し、記録することが重要です。

  • いびきの頻度、音の大きさ、途切れ方
  • 呼吸が止まっている時間や回数
  • 寝返りの頻度や睡眠中の異常な動き
  • 起床後の表情や疲労感の有無

録音・録画ができる環境があれば、診察時に医師へ見せることで診断の精度が高まります。記録を日誌としてまとめるのも有効です。

4-2. 本人への伝え方と受診勧奨

本人は自分の症状に気づかず、深刻さを理解できないことも多いです。そのため、穏やかで協力的な態度で受診を促しましょう。

  • 「最近、睡眠中に呼吸が止まっているのを見たから心配」
  • 「大切な健康のために、一緒に病院で調べてみよう」

このように、責める口調ではなく、安心感を与える言葉でサポートすると、受診へのハードルが下がります。

4-3. 生活習慣の見直しをサポート

家族で生活習慣を整えることは、症状改善に大きな効果があります。

  • 体重管理:食事のカロリーコントロールや定期的な運動をサポート
  • 禁煙・節酒:本人だけでなく家族全員で取り組むと効果的
  • 寝室環境の整備:静かな環境を保つ、適度な温湿度を維持、枕の高さを調整
  • 睡眠姿勢の工夫:仰向けではなく横向きに寝るよう促すことで気道が開きやすくなります

家族の協力は、治療の継続や生活改善の成功率を大きく高めます。サポートを続けることで、本人が「一人で頑張らなくてもいい」という安心感を持ち、前向きに治療に取り組めるようになります。

5. 診断と治療のステップ

5-1. 専門医による検査

まずは内科や睡眠専門外来で問診と身体検査を受けます。
簡易検査(在宅での呼吸・酸素飽和度測定)や病院での終夜睡眠ポリグラフィー検査により、無呼吸の頻度・重症度が判明します。

5-2. 治療法の選択

診断結果を踏まえ、患者の症状や重症度に応じた治療法を選びます。

  • CPAP療法:鼻マスクから空気を送り込み気道を開放する標準治療。
  • 口腔内装置療法:顎を前方に固定し気道閉塞を防ぐマウスピース型装置。
  • 手術療法:解剖学的異常が原因の場合に検討される。
  • 生活習慣改善:体重管理、禁煙、節酒など。

5-3. 治療後のフォローアップ

継続的な治療効果の評価や副作用の管理が必要です。
家族の協力で治療の継続率が向上し、症状改善が期待できます。

6. 睡眠時無呼吸症候群と家族の役割

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、単なる「いびき」ではなく、高血圧や心筋梗塞、脳卒中など命に関わる合併症を引き起こすリスクを伴う重大な疾患です。そのため、患者本人だけでなく、身近にいる家族が「健康を守るパートナー」として積極的に関わることが非常に重要です。

家族は、患者が気づきにくい夜間の症状を最前線で観察できる存在です。以下のような具体的な役割を意識することで、早期発見・早期治療に大きく貢献できます。

  • 夜間の症状観察
    毎晩の睡眠中のいびきの大きさや呼吸の途切れ、呼吸が止まる回数や時間を観察します。スマホなどで録音・録画を行うと、診察時に非常に役立ちます。
  • 日中の状態の把握
    強い眠気、倦怠感、集中力の低下、気分の変動などがないか日常生活の中で注意深く見守ります。
  • 受診のサポート
    本人が症状を軽視して受診をためらう場合も多いため、「一緒に病院に行こう」という姿勢で受診を後押しすることが大切です。
  • 生活習慣改善の支援
    食事管理や運動習慣のサポート、禁煙・節酒の促進、寝室環境の改善(空調管理、静かな環境づくり、寝姿勢の調整)などを協力して行います。

早期に異常に気づき、医療機関で適切な検査や治療を受けることで、睡眠の質が大幅に向上し、心身の健康リスクを下げることが可能です。また、治療開始後も、家族がCPAP療法や口腔内装置の使用を見守り、使用状況や体調の変化を共有することで、治療の効果を最大限に引き出せます。

家族が積極的にサポートすることで、患者本人が安心して治療を継続でき、生活の質(QOL)が大幅に改善されます。睡眠時無呼吸症候群は「家族全体で向き合う病気」であるという意識を持ち、日常的な観察とサポートを心がけることが、健康維持への大きな一歩となります。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、本人の自覚だけでは気づきにくく、家族の観察とサポートが早期発見の大きな鍵となります。特に、以下のようなサインは見逃さないよう注意が必要です。

  • 夜間の強いいびきや呼吸停止
  • 息を詰まらせるような呼吸や呼吸再開時の大きな音
  • 寝相の乱れや異常行動、頻繁な寝返り
  • 日中の強い眠気、集中力の低下、気分の変動

こうした兆候を見つけたら、まずは冷静に状況を記録し、本人が受け入れやすい形で症状を伝えることが重要です。録音や録画を残して医師に共有することで、診断の精度も高まります。

放置された睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病や循環器疾患のリスクを大幅に高めますが、早期に診断・治療を行えば症状の改善や合併症の予防が可能です。特にCPAP療法や口腔内装置、生活習慣の改善を組み合わせることで、日常生活の質が飛躍的に向上します。

当院では、診断から治療、そして長期的なフォローアップまでを一貫してサポートしています。睡眠中のいびきや無呼吸、日中の強い眠気といった症状が少しでも気になる場合は、ぜひ早めに専門医へご相談ください。