
布団に入ってから、なかなか寝つけない。そんな夜が続くと、つい「何をすれば眠れるのか」を探してしまいます。ハーブティー、ストレッチ、アロマ。良さそうな方法を次々に試している方も多いはずです。
ただ、診察室で睡眠のお話をうかがっていると、順番が逆になっている方によく出会います。眠りを妨げる行動が夜に残ったまま、良い習慣だけを足そうとしている状態。これでは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。
この記事の視点は「するといいこと」を足す前に、まず「やってはいけないこと」を引くこと。その観点から、就寝前のNG行動を7つに絞りました。いずれも厚生労働省の睡眠ガイドに根拠がある行動です。
この記事でわかること
- 寝る前にやってはいけないこと7つと、それぞれが眠りを妨げる仕組み
- 「寝る前のスマホ」をやめるのがなぜ最優先なのか
- 「寝酒は効いている」と感じていても、夜中に目が覚めてしまう理由
- 7つを一度にやめる必要はない。どれから手をつけるかの優先順位
夜の不調が続くときは、無理に自己流で抱え込まなくてかまいません。ヒロクリニック心療内科(川口院・池袋駅前院)では、不眠のご相談を受け付けています。お電話は048-430-7000、公式LINEからもご連絡いただけます。
寝る前にやってはいけないことは「引き算」から始める
眠りを整えるうえで先に効くのは、良い習慣を足すことではなく、妨げになる行動を減らすことです。
眠気というのは、意志の力で呼び寄せられるものではありません。条件がそろえば自然に訪れ、条件が崩れていれば訪れない。つまり私たちにできるのは、眠気が来る邪魔をしないことだけです。
Xでも同じ発想を見かけました。@Renn_therapistさんが挙げた「やめたら体調がよくなる習慣」。そこには寝る前のスマホ、毎晩の寝酒、たばこが並びます。「マイナスを手放すのが最短の健康法」という一文に、1万超のインプレッションが集まっていました。順番としては、私も同じ考えです。
なお、この記事が扱うのは「やってはいけないこと」だけ。入浴や呼吸法など寝る前にすると良いことは、不眠症の人が寝る前にやるべきこと5選にまとめました。引き算が済んだら、そちらへ進んでください。
朝の光の浴び方やカフェインの門限は1日全体の習慣の話。そちらは不眠症を治すために見直すべき10の習慣で扱います。この記事の範囲は就寝前の数時間に限った行動です。
【NG1】寝床でスマートフォンを見る
寝室にスマートフォンを持ち込むことは、就寝前のNG行動の中で最も影響が広い行動です。
画面の光と、そこから流れ込む情報。この2つが同時に効いてくるところに、スマホの厄介さがあります。
就寝2時間前からの光がメラトニンを止める
体内時計の側から見ると、夜のスマホは「まだ昼だ」という誤った合図になります。
健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)にこう書かれています。就寝の約2時間前から、睡眠を促すメラトニンの分泌が始まる。それ以降に強い光を浴びれば、分泌は抑制されます。結果として睡眠・覚醒リズムが遅れ、入眠が妨げられる。同ガイドはそう指摘します。
影響が強いのは460〜480nm付近の短波長光、いわゆるブルーライトです。網膜にある光感受性網膜神経節細胞がこの波長にもっとも強く反応し、体内時計を動かします。
同ガイドは、寝そべりながらデジタル機器を使う姿勢にも触れています。画面との距離が近くなり、光を浴びる量が増えてしまうためです。ベッドに寝転がってスマホを見る、あの体勢。光の条件としては、いちばん不利な形になります。
「眠いのに寝ない」——就寝時刻の先延ばし
スマホがやめられない本当の理由は、光よりも行動の側にあることが少なくありません。
睡眠ガイド2023には、就寝時刻の先延ばしという概念が紹介されています。特段の理由がないのに、本来の就寝時刻を越えて夜ふかしをしてしまう状態のことです。動画やSNSが止められない、という形で起こります。
Xでは@YabaiTeikokuさんが、この状態を的確に描写していました。「もう寝たほうがいい」と頭ではわかっている。目も疲れている。ショート動画を一本だけと思ったら、気づけば30分。95件の「いいね」が付いていました。
つまり眠れないのではなく、眠らない。ここを混同したまま「不眠症かもしれない」と悩んでいる方は、実際に多くいらっしゃいます。
@fuuro_itoさんの投稿も印象的でした。「Wikipediaを読み漁るのが好きだったけれど、面白すぎて眠れないからやめた」。ブルーライトカット眼鏡では、この面白さは遮れません。
やめ方は「寝室に持ち込まない」の一点
対策は単純です。睡眠ガイド2023も、デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置くことを勧めています。
画面を見ないよう意識で我慢する方法は、うまくいきません。手の届く場所にある限り、判断のたびに意志を消耗するからです。物理的に寝室の外へ出すほうが、結果的に楽になります。
目覚まし代わりに使っている場合は、置き時計を用意してください。光と情報の両方を一度に断てる、いちばん確実な方法です。
【NG2】寝酒で寝つこうとする
眠るためにお酒を飲む習慣は、睡眠の質をはっきりと悪化させます。
ここが難しいのは、本人の実感が正反対になる点です。寝つきは実際に良くなります。だから「効いている」と感じてしまう。
寝つきは良くなるが、睡眠の後半が崩れる
アルコールが睡眠を壊すのは、眠り始めではなく夜の後半です。
睡眠ガイド2023によれば、アルコールは一時的に寝つきを促進します。睡眠前半では、深い睡眠がむしろ増える。ところが睡眠後半の質は顕著に悪化し、飲酒量が増えるほど中途覚醒が増加すると報告されています。
仕組みも示されています。体内で代謝されて生じるアセトアルデヒドが、強い交感神経刺激作用を持つためです。睡眠を阻害するカテコールアミンという興奮性物質を血中で増やしてしまいます。
寝つくために飲んだお酒が、数時間後に自分を起こしに来る。夜中に目が覚めるのに原因が寝酒だと気づけないのは、時間差があるからです。
日本人はアルコールの影響を受けやすい
同じ量を飲んでも、日本人は睡眠への影響が出やすい体質の人が多くいます。
鍵を握るのは、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)の活性。睡眠ガイド2023は、アルコールの代謝能がこの活性に左右されると説明します。活性が低い人は、飲酒後に顔が赤くなりやすいタイプ。日本人を含むアジア人は、欧米やアフリカ系より活性が低い人が多いとされます。
活性が低い人は、少量の飲酒でも影響を強く受けやすい。「グラス1杯だから大丈夫」という感覚が、必ずしも当てはまらないということです。
量が増えてきたら、それは危険なサイン
寝酒でとくに注意していただきたいのは、必要な量が増えていく現象です。
睡眠ガイド2023は、アルコールが連用によって依存や耐性を形成すると述べています。同じ量では眠れなくなり、少しずつ増えていく。この経過をたどっている場合は、不眠の問題を越えつつあります。
飲酒量が増えている自覚がある方は、アルコール依存症患者と家族の向き合い方もあわせてご覧ください。早い段階でご相談いただくほど、対応の選択肢は広く残ります。
診察室では「寝酒をやめたら眠れなくなるのでは」と心配される方が大半です。たしかに数日は寝つきが悪くなることがあります。ただ、その時期を越えると夜中に目覚める回数が減り、朝の重さが変わったとおっしゃる方が多い印象です。
【NG3】夕方以降にカフェインをとる
夜のカフェインは覚醒作用が長く残るため、就寝前の一杯は避けてください。
やっかいなのは、効き目が切れる時刻を見積もり損ねやすいところ。カフェインは、思っているよりずっと長く体内に残ります。
睡眠ガイド2023は、夕方以降のカフェイン摂取は夜間の睡眠に影響しやすいと述べています。入眠困難、熟睡の減少、中途覚醒の増加。夜の一杯が招くのは、この3つです。

@myao_shumiさんの投稿が、その油断をよく表しています。「なんで夜に飲んでしまったのか、カフェインをなめていました」。心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
コーヒーだけの話ではありません。緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーラ、エナジードリンク。いずれもカフェインを含みます。「コーヒーを飲んでいないから大丈夫」という思い込みが、ここでつまずきます。
何時間前までに切り上げるべきか、どの飲み物にどれだけ含まれるのか。その逆算はカフェインは寝る何時間前まで?コーヒーの目安を解説で詳しく扱っています。この記事では、夜の一杯をやめるところまで。
夜に何を飲むかで迷ったときは、不眠症に効く食べ物・飲み物ランキングを参考にしてください。
【NG4】就寝直前に食事をとる
寝る直前の食事は、消化活動によって体を休息モードに入らせません。
夜遅い食事が問題になる理由は、主に2つあります。
- 脂質の多い食事は胃に長くとどまり、横になったときに胃もたれや胸やけを招きます
- 深部体温が下がりにくくなり、入眠のきっかけが遅れます
人は深部体温が下がるときに眠気を感じます。大量に食べると代謝が上がり、本来下がるはずの体温が下がりません。眠くならないのではなく、眠くなる準備が始まらない状態。
目安として、就寝の2〜3時間前までに食事を終えるようにしてください。仕事の都合で難しい夜は、量を軽くし、油と糖質を控えるだけでも違いが出ます。
塩分にも触れておきます。日中にとった食塩の過剰分は、睡眠中に排泄されます。その分だけ夜間の排尿回数が増える、と睡眠ガイド2023は説明します。夜中にトイレで目が覚める方は、味付けを見直す価値あり。
何を食べるかについては不眠症に効く食べ物・飲み物ランキングで詳しく解説しています。
【NG5】寝る前の一服でリラックスする
たばこに含まれるニコチンは覚醒作用を持つため、就寝前の喫煙は寝つきを悪くします。
「一服すると落ち着く」という実感と、体内で起きていることが食い違う。ここは寝酒とよく似た構図です。
睡眠ガイド2023によると、睡眠前の喫煙がもたらすのは4つ。入眠潜時(寝床に入ってから眠るまでの時間)の延長、中途覚醒の増加、睡眠効率の低下、深睡眠の減少です。寝つきから眠りの深さまで、ひととおり悪化する形。
見落とされやすいのが時間の問題です。ニコチンの血中半減期は約2時間。そのため夕方の一服でも、眠る前まで作用が残ることがあると同ガイドは指摘します。
紙巻きたばこだけの話ではありません。加熱式たばこもニコチンを含むため、同じように睡眠の質を悪化させる可能性があるとされています。
厚生労働省「こころの耳」も、睡眠の5原則にこう掲げています。「嗜好品とのつきあい方に気をつけて カフェイン、お酒、たばこは控えめに」。この3つが並ぶのは、偶然ではありません。
【NG6】就寝直前の激しい運動と熱すぎる入浴
体を温めること自体は有効ですが、タイミングを誤ると逆効果になります。
運動も入浴も、深部体温を一度上げてから下がる過程を利用します。下がりきる前に寝床へ入ると、眠気が来ません。
睡眠ガイド2023は、こう述べています。就寝1時間以内の激しい運動は、かえって睡眠の質を低下させる可能性がある。ゆえに寝る直前の運動は控えたほうが良い、と。
入浴も同じ理屈です。就寝の約1〜2時間前に入浴すると、速やかな入眠が得られると報告されています。裏を返せば、寝る直前の熱いお風呂は避けたほうが良いということ。
運動の適切な取り入れ方は不眠症を改善する運動の取り入れ方へ。入浴のタイミングは不眠症の人が寝る前にやるべきこと5選をご覧ください。
【NG7】眠れないまま寝床で粘る
眠れないのに寝床にとどまり続けることは、不眠を長引かせる代表的な行動です。
ここは他のNG行動と性質が違います。物質でも光でもなく、脳の学習の問題だからです。そして自覚されにくい。
寝床が「眠れない場所」として学習される
本来、寝床は横になれば眠くなる場所として脳に登録されています。
ところが眠れない夜に何時間も寝床で過ごすと、その結びつきが上書きされていきます。寝床=考え事をする場所、寝床=焦る場所。こうなると、布団に入った瞬間に目が冴えるようになります。
布団に入った途端に考え事が浮かんで目が冴える。Xの睡眠に関する投稿でも、この訴えは繰り返し見かけます。診察室でうかがう言葉とも、ほとんど重なります。珍しい体質ではなく、条件づけの結果として起こる現象です。
だからこそ、眠れないまま寝床で粘らないことが対策になります。15分から20分ほど眠れなければ、一度寝床を出てください。薄暗い部屋で静かに過ごし、眠気が戻ってから寝床へ帰ります。
遠回りに見えますが、寝床は眠る場所だと脳に再学習させるための手順です。不眠症の認知行動療法でも中核に置かれている考え方で、寝床で過ごす時間をあえて削るところから始めます。
時計を見る行動が不安を増幅する
眠れない夜に時計を確認する行動は、ほぼ確実に事態を悪化させます。
「あと5時間しか眠れない」と計算した瞬間、焦りが生まれます。焦りは交感神経を立ち上げ、眠気を遠ざける。時刻を知って眠りやすくなることは、まずありません。
対策はひとつだけです。時計を見ない。スマートフォンを寝室から出すと、この問題も同時に片付きます。置き時計は文字盤を壁側へ向けてください。
最大のNGは「早く寝なきゃ」と焦ること
眠ろうと努力すること自体が、眠りをもっとも遠ざけます。
7つのNG行動を挙げてきましたが、いちばん手強いのはこれです。努力すればするほど結果が遠のく、という構造を持っているからです。
眠気は副交感神経が優位になったときに訪れます。ところが「眠らなければ」と考えた瞬間、それは課題になります。課題に取り組む脳は交感神経を立ち上げる。「早く寝なきゃ」という焦りそのものが、脳を覚醒させます。
Xで@recontrast_jpさんが、印象に残る書き方をしていました。「眠れない自分を責めていましたが、ちゃんと寝なきゃと焦るほど、目が冴えていって。眠りって、頑張って掴むものじゃないんだなと、最近ようやく思えるように」。
私が診察室でお伝えしているのも、ほぼ同じことです。眠れない夜は、眠ることをいったん諦めてしまってかまいません。「横になって休めていれば十分」と考えるほうが、結果として眠気は早く戻ってきます。
眠れない一晩で、体が壊れることはありません。その安心が、次の夜の眠りを助けます。
7つを一度にやめなくていい【優先順位表】
すべてを同時に変えようとすると、たいてい続きません。
診察室でも、まず1つに絞ってご提案しています。効果の大きさと、取りかかりやすさで並べたのが次の表です。
| 順番 | やめること | 難易度 | 変化を感じるまで |
|---|---|---|---|
| 1 | 寝室にスマホを持ち込む | 中 | 数日〜1週間 |
| 2 | 眠れないまま寝床で粘る/時計を見る | 中 | 1〜2週間 |
| 3 | 寝酒 | 高 | 1〜2週間(数日は悪化しうる) |
| 4 | 夕方以降のカフェイン | 低 | 翌日〜数日 |
| 5 | 寝る前のたばこ | 高 | 1〜2週間 |
| 6 | 就寝直前の食事 | 低 | 翌日〜数日 |
| 7 | 就寝直前の激しい運動・熱い入浴 | 低 | 翌日 |
迷ったら1番から始めてください。影響が広く、今夜から実行できます。まず1つだけ選ぶほうが、7つ並べて眺めるより確実に前へ進みます。
4番と6番と7番は難易度が低いので、先に片付けて自信をつける進め方もあります。順番に正解はありません。続けられる形が、その人にとっての正解です。
NG行動をやめても眠れないときは
行動を見直しても改善しない不眠は、背景に別の要因があることがあります。
不眠は、うつ病や不安障害、睡眠時無呼吸症候群など、ほかの不調のサインとして現れることがあります。生活習慣だけで説明がつかない場合、原因はそちらにあるかもしれません。
次のいずれかに当てはまる場合は、一度ご相談ください。
- NG行動を見直しても、寝つけない・途中で目覚める状態が2週間以上続いている
- 日中の眠気や集中力の低下で、仕事や家事に支障が出ている
- 気分の落ち込みや、何事にも興味がわかない状態が一緒に続いている
- 寝酒の量が少しずつ増えている
- 大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある
不眠が起きる仕組みは不眠症の原因は脳にある?メカニズムを解説で解説しました。どの診療科にかかればよいかは不眠症は何科に行くべき?受診ガイドをご覧ください。
ヒロクリニック心療内科は川口院・池袋駅前院で診療しています。診断書の発行にも対応しています。お電話は048-430-7000、公式LINEからもご予約いただけます。
2週間以上続く不眠は、ご相談ください。眠れない状態が長引くほど、寝床と不安の結びつきは強くなります。早いほうが、対応は簡単になります。
気分の落ち込みが強く、相談先に迷うときもあるでしょう。厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)も利用できます。睡眠に関する公的な情報は厚生労働省の睡眠対策ページにまとまっています。
よくある質問
診察室でよくいただくご質問をまとめました。
Q. 寝る前にやってはいけないことの中で、最初にやめるべきものはどれですか?
A. スマートフォンを寝室に持ち込む習慣から始めてください。光によるメラトニンの抑制と、動画やSNSによる夜ふかしの両方を一度に断てるためです。今夜から実行できて、費用もかかりません。数日から1週間ほどで寝つきの変化を感じる方が多くいらっしゃいます。
Q. 寝る前のたばこも、お酒と同じように睡眠に影響しますか?
A. はい。たばこに含まれるニコチンには覚醒作用があり、就寝前の喫煙は寝つきを悪くします。厚生労働省の睡眠ガイド2023によると、入眠までの時間が延び、中途覚醒が増え、深い睡眠が減ります。ニコチンの血中半減期は約2時間のため、夕方の一服でも眠る前まで作用が残ることがあります。加熱式たばこも同様です。
Q. 寝酒をやめると眠れなくなりそうで不安です。どうすればいいですか?
A. やめ始めの数日は寝つきが悪くなることがありますが、多くは一時的なものです。アルコールは寝つきを助ける一方で、睡眠後半の質を悪化させ中途覚醒を増やします。不安が強い場合や、必要な量が増えてきている場合は、自己判断で急にやめず医療機関にご相談ください。
Q. 寝る前にスマホを見ないと落ち着きません。何か方法はありますか?
A. 意志で我慢するのではなく、物理的に距離を取ってください。充電器を寝室の外に移し、目覚まし用には置き時計を用意します。ブルーライトカット機能や眼鏡は光の対策にはなりますが、動画やSNSの面白さは遮れません。まずは寝室の外に置くところから始めてください。
Q. 眠れないとき、寝床を出たほうがいいのですか?
A. 15分から20分ほど眠れなければ、一度寝床を出てみてください。眠れないまま寝床にとどまると、そこが「眠れない場所」として脳に学習されます。出たあとは照明を落とした部屋で静かに過ごし、眠気が戻ってから寝床へ。このとき明るい画面を見ると振り出しに戻るため、スマートフォンは避けてください。
Q. NG行動をやめても眠れません。受診の目安はありますか?
A. 寝つけない・途中で目が覚める状態が2週間以上続く場合は、一度ご相談ください。日中の眠気で仕事に支障が出ている場合や、気分の落ち込みを伴う場合も同様です。不眠は、うつ病や睡眠時無呼吸症候群のサインとして現れることがあります。生活習慣の見直しだけでは改善しないケースです。
まとめ
寝る前にやってはいけないことは、眠りを妨げる条件を作る行動だと言い換えられます。
挙げた7つを振り返ります。寝床でのスマートフォン、寝酒、夕方以降のカフェイン、就寝直前の食事。寝る前のたばこ、直前の激しい運動と熱い入浴、そして眠れないまま寝床で粘ること。いずれも厚生労働省の睡眠ガイドに根拠がある行動です。
そして最大のNGは、眠ろうと焦ることでした。眠気は努力で手に入れるものではありません。邪魔をやめれば、自然に戻ってきます。
7つを一度に変える必要はありません。まずはスマートフォンを寝室の外に置く。今夜できるのは、それだけで十分です。引き算が済んだら、寝る前にやるといいことを足していってください。
それでも眠れない夜が2週間以上続くようでしたら、ヒロクリニック心療内科にご相談ください。川口院・池袋駅前院、およびオンラインで診療を行っています。
佐々木先生 (ささき)
医師・医学博士 / ヒロクリニック医師
略歴
- 2008年 佐賀大学卒業
- 2019年 ヒロクリニック心療内科
資格・所属
- 日本精神神経学会専門医
- 日本精神神経学会指導医
- 精神保健指定医
この記事は、ヒロクリニック心療内科の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。