妊娠中に「お腹の子は誰の子なのか」を知りたいと感じるのは、決して特別なことではありません。パートナーとの関係や妊娠に至る経緯が複雑なとき、多くの方が同じような不安を抱えます。出生前親子鑑定という方法を使えば、出産を待たずに、母体への負担を抑えながら父子関係を調べられます。
この記事では、そうした気持ちが生まれる背景と、出生前親子鑑定という選択肢について、実際の検査内容を交えてご紹介します。おひとりで抱え込まず、まずは正確な情報を知ることから始めてみてください。
この記事でわかること
- 妊娠中に「誰の子か知りたい」と感じる背景にある事情
- 出生前親子鑑定(NIPPT)の仕組みと受けられる時期
- 侵襲的な検査との違いと、それぞれのリスク
- 検査を受けるまでに整理しておきたいこと
- 費用や結果が出るまでの期間の目安
出産前に父子関係を確認できる検査
法的鑑定もできる
なぜ「妊娠中に誰の子か知りたい」と感じるのか
この感情は、パートナーとの関係や妊娠に至る経緯が複雑なときに生まれやすいものです。誰にでも起こりうる状況であり、そう感じること自体を責める必要はありません。
パートナー以外との関係がある場合
妊娠の前後にパートナー以外との関係があった場合、生物学的な父親が誰なのか、自分自身でも確信が持てなくなることがあります。気持ちを整理しないまま出産を迎えると、産後の生活設計や家族関係にも影響が及びかねません。
特に、パートナーには関係を知られたくないという事情がある一方で、赤ちゃんの健康状態や将来の親子関係を考えると、事実を知っておきたいという思いが同時に生まれることもあります。相反する気持ちを抱えながら一人で判断しようとすると、かえって心の負担が大きくなりがちです。
受精時期や関係性がはっきりしない場合
排卵日の記録が曖昧だったり、複数の関係が同時期に重なっていたりすると、感覚だけでは父親を特定できないケースも少なくありません。相談窓口でお話を伺っていると、「なんとなく察してはいるが、確信が持てないまま日々を過ごすのがつらい」という声をよく耳にします。
月経周期や体調の記録は、あくまで妊娠しやすい時期を推定するための目安であり、特定の一日を100%確定できるものではありません。感覚や記憶だけで判断しようとすると、かえって迷いが深まってしまうこともあります。そうした場合こそ、記憶に頼らずに済む客観的な方法を知っておく意味があります。
出産後ではなく妊娠中に知りたい理由
出産後に鑑定するという選択肢もありますが、妊娠中に知りたいと考える方には、それぞれの事情があります。中絶を検討する際の判断材料にしたい方、パートナーとの今後を出産前に決めておきたい方など、理由はさまざまです。法的な手続きを早めに進めたいという事情から、出生前の検査を選ぶ方もいます。
どの理由であっても、共通しているのは「わからないまま時間だけが過ぎていく状態を終わらせたい」という思いです。妊娠週数が進むほど、その後の選択肢は限られていきます。早い段階で事実を知っておくことは、ご自身のペースで今後を考えるための時間的な余裕を確保することにもつながります。
出生前親子鑑定という選択肢
出生前でも、母体や赤ちゃんに負担をかけずに父子関係を調べる方法があります。それが非侵襲的出生前親子鑑定(NIPPT)です。
侵襲的な検査とそのリスク
出生前に行う検査には、羊水検査や絨毛検査(CVS)を用いる方法もあります。ただし、これらはお腹に針を刺すなどして検体を採取する侵襲的な検査であり、流産のリスクを伴います。ヒロクリニックでは、親子鑑定を目的とした侵襲的な検査は推奨していません。
非侵襲的出生前親子鑑定(NIPPT)の仕組み
NIPPTは、妊娠6週以降であれば受けられる血液検査です。妊娠6週を過ぎると、赤ちゃん由来のDNA(cfDNA)が母親の血液中に流れ込むようになります。この血液と、父親候補となる男性の口腔粘膜(頬の細胞)を採取して照合するだけで、赤ちゃんに直接触れることなく鑑定できます。
cfDNAとは、胎盤の細胞から母親の血液中に漏れ出す、赤ちゃん由来のごく微量なDNA断片のことです。妊娠週数が進むにつれてその濃度が上がり、妊娠6週前後になると解析に十分な量が確保できるようになります。これより早い時期に採血しても、正確な判定に必要な量のcfDNAが得られない場合があるため、ヒロクリニックでは妊娠6週以降での受診をお願いしています。
ヒロクリニックでは、STR法という手法で52座位を分析し、99.99%以上の精度で結果を出しています。解析は、CAP・ISO9001を取得した自社ラボ「東京衛生検査所」で行い、結果までは標準で約2週間。検査は統括院長・岡博史(医学博士、CAPラボディレクター)が医療監修しています。詳しい費用については、出生前親子鑑定の費用相場|他院4社比較と選び方でも比較していますので、あわせてご覧ください。
検査方法ごとの違い
それぞれの検査には、実施できる時期や母体への負担に違いがあります。選ぶ前に、まずこの違いを把握しておきましょう。
| 検査方法 | 実施時期 | 母体への負担 |
|---|---|---|
| NIPPT(非侵襲的出生前鑑定) | 妊娠6週以降 | 採血のみ、リスクなし |
| 羊水検査・絨毛検査(CVS) | 妊娠中期以降(方法により異なる) | 侵襲的、流産のリスクあり |
| 出生後の親子鑑定 | 出産後 | 口腔粘膜採取のみ、リスクなし |
出産後に行う親子鑑定との違い
出産後に行う親子鑑定は、赤ちゃんと父親候補の口腔粘膜(頬の細胞)を採取してDNAを照合する方法です。採血の必要がなく、こちらも非侵襲的でリスクはありません。出生前に確認しておきたい方にはNIPPTを、出産まで待てる方には出生後の鑑定を、それぞれの状況に合わせて選んでいただけます。
出産前に父子関係を確認できる検査
法的鑑定もできる
検査を受けるまでの心の準備
検査そのものは採血と口腔粘膜の採取だけで完了しますが、そこに至るまでの気持ちの整理には時間がかかることもあります。ひとつずつ順を追って考えていきましょう。
パートナーへの伝え方
検査には、父親候補となる男性の検体も必要です。伝え方に正解はありませんが、感情的な対立を避けるためにも、事実確認が目的であることを落ち着いて共有できるタイミングを選ぶ方が多いようです。伝えるのが難しい場合は、相談窓口でどのように進めるか一緒に考えることもできます。
検査前に整理しておきたいこと
検査を申し込む前に、私的鑑定か法的鑑定かを決めておくと、その後の手続きがスムーズになります。裁判所への提出や認知手続きなど、法的な用途を想定している場合は、あらかじめ法的鑑定を選んでおくと安心です。私的鑑定は108,000円(税込)、法的鑑定は149,800円(税込)が目安で、目的に応じて選べます。
ひとりで抱え込まないために
相談窓口で日々お話を伺っていると、多くの方が「こんなことを聞いてもいいのだろうか」とためらいながら問い合わせてくださることに気づきます。同じような状況で申し込む方は、決して少なくありません。どのような理由で申し込む方が多いかは、出生前親子鑑定の申込者についてでも紹介していますので、気持ちの整理に役立ててください。
費用や結果が出るまでの期間の目安
NIPPTの費用は私的鑑定で108,000円、法的鑑定で149,800円(いずれも税込)が目安で、結果は標準でおよそ2週間で判明します。目的に応じてどちらを選ぶかを、あらかじめ整理しておくと手続きがスムーズです。
| 項目 | 私的鑑定 | 法的鑑定 |
|---|---|---|
| 主な目的 | ご本人が事実関係を把握するため | 裁判所や役所への提出、認知手続き等 |
| 本人確認・立会い | 原則不要 | 必要 |
| 費用の目安(税込) | 108,000円 | 149,800円 |
| 結果が出るまでの目安 | 約2週間 | 約2週間 |
裁判所への提出や認知手続きなど、法的な用途を想定していない場合は私的鑑定で十分です。将来的に法的な話し合いに発展する可能性が少しでもある場合は、あとから受け直す手間を避けるためにも、最初から法的鑑定を選んでおくと安心です。他院を含めた費用相場は、出生前親子鑑定の費用相場|他院4社比較と選び方でも比較していますので、あわせてご確認ください。
判断に迷ったときに大切にしたい視点
検査を受けるかどうかは、最終的にご自身が納得できるかどうかで判断していただきたいと考えています。誰かに急かされて決めることではありません。
妊娠中はただでさえ心身の変化が大きく、判断力や気力が普段どおりに保てないことも珍しくありません。中絶を検討する際の判断材料にしたい方、出産後の生活設計を先に決めておきたい方など、検査を考える理由は人によってさまざまです。どのような事情であっても、まず正確な情報を持ったうえで考えることが、後悔の少ない選択につながります。
私自身、相談を受ける中で、検査を受けると決めた時点で気持ちが少し軽くなったとおっしゃる方に何度もお会いしてきました。答えが出ることそのものより、「情報がないまま判断しなければならない」という状態から抜け出せることに、安心感を覚える方が多いように感じます。迷いがある場合は、検査を受けるかどうかを決める前の段階でも、相談だけで構いませんのでお問い合わせください。
よくある質問
このセクションでは、妊娠中に「誰の子か知りたい」と感じた方から寄せられることの多い質問にお答えします。よくある質問のページもあわせてご覧ください。
Q1. 妊娠中にこうした検査を考えることに、抵抗を感じてしまいます。
A. その気持ちは自然なものです。パートナーとの関係や妊娠に至る事情は人それぞれで、迷いながら検討する方がほとんどです。まずは正確な情報を知ることから始めていただければと思います。
Q2. 妊娠何週から検査を受けられますか?
A. 妊娠6週以降が目安です。この時期になると、赤ちゃん由来のDNA(cfDNA)が母体の血液中に十分な量流れ込むため、精度の高い解析が可能になります。それより早い時期の検査はお勧めしていません。
Q3. 検査を受けたことを周囲に知られずに進められますか?
A. プライバシーに配慮した体制で対応しています。採血は提携医療機関で、口腔粘膜の採取はご自宅でも行えるため、来院回数を抑えることも可能です。具体的な進め方については、相談窓口までお問い合わせください。
Q4. 結果が出るまでどのくらいかかりますか?
A. 標準プランでは、およそ2週間が目安です。結果は医師から直接ご説明します。
Q5. 出産後にあらためて鑑定を受け直す必要はありますか?
A. NIPPTはSTR法により99.99%以上の精度で解析するため、出産後に同じ目的で鑑定を受け直す必要は基本的にありません。ただし、認知届などの法的な行政手続きが別途必要になる場合がありますので、詳しくは法的鑑定の担当窓口にご確認ください。
Q6. パートナーに知られずに検査を進めることはできますか?
A. 採血や口腔粘膜の採取方法についてご相談いただけますので、まずは進め方を含めて相談窓口にお問い合わせください。状況によって対応できる範囲が異なるため、個別にご案内しています。
Q7. 検査費用はどちらが負担するのですか?
A. 費用の負担者に決まりはなく、お申し込みいただく方がお支払いいただく形が基本です。パートナーや候補者と費用分担について話し合いたい場合は、事前に整理しておくと手続きがスムーズです。
まとめ
妊娠中に「誰の子か知りたい」と感じることは、特別なことでも責められることでもありません。出生前親子鑑定(NIPPT)を使えば、妊娠6週以降、母体への負担を抑えながら父子関係を調べられます。
大切なのは、価格や周囲の目ではなく、正確な情報とご自身のタイミング。まずは検査の仕組みと費用を知り、ご自身のペースで検討を進めてください。判断に迷う場合は、ひとりで抱え込まずに相談窓口をご利用いただければと思います。
検査を受けると決めた方も、まだ迷っている方も、責められるべき事情は何もありません。正確な情報を手にしたうえで、ご自身のタイミングで次の一歩を選んでいただければと思います。
執筆・医療監修: 岡博史(医療法人社団福美会 理事長/ヒロクリニック統括院長/医学博士)
CAPラボディレクター、東京衛生検査所 指導監督医。
略歴
- 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
- 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
- 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
- 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
- 2009年 医療法人社団福美会 理事長
- 2015年 医療法人社団福美会 理事
資格・所属
- CAPラボディレクター
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
- 日本医師会 産業医
- 東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
堤 修一 (つつみ しゅういち)
医師・医学博士 / ヒロクリニック博多駅前院 院長
略歴
- 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
- 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
発信・関連リンク
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- Bellis MA, Hughes K, Hughes S, Ashton JR. Measuring paternal discrepancy and its public health consequences. J Epidemiol Community Health. 2005 Sep;59(9):749-54.
- Sanner MA. In the shadow of paternity: decision-making and ethical aspects of prenatal paternity testing. Med Health Care Philos. 2011 Nov;14(4):391-401.
- Biaggi A, Conroy S, Pawlby S, Pariante CM. Identifying the associations between depression and anxiety during pregnancy and postpartum: a systematic review. J Affect Disord. 2016 Mar 15;193:233-45.
- Lo YM, Corbetta N, Chamberlain PF, Rai V, Sargent IL, Redman CW, Wainscoat JS. Presence of fetal DNA in maternal plasma and serum. Lancet. 1997 Aug 16;350(9076):485-7.





