自分の子ではない子を育てる確率はあるのか?

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「自分の子ではない子を育てている父親がどれくらいいるのか」という問いに、単一の正確な数値で答えることはできません。海外の研究では調査の対象や方法によって報告される割合に大きな幅があり、一般的な集団を対象にした調査と、親子関係にすでに疑問を持つ人だけを対象にした調査とでは、結果が大きく異なることが知られています。

言葉にしにくいテーマだからこそ、根拠があいまいな情報や、切り取られた数字だけが独り歩きしやすい領域でもあります。この記事では、これまで報告されてきた研究データの内容と、その数値をどう読み解けばよいかを整理したうえで、実際に血縁関係を確認する方法についてもご紹介します。

この記事でわかること

  • 血縁上の父親と育ての父親が異なるケースという言葉の意味
  • 国内外の研究で報告されている割合の幅とその出典
  • 数値が大きくばらつく理由(調査対象による違い)
  • 血縁関係を確実に確認する方法はDNA鑑定のみであること
  • 検査を検討する際に知っておきたい配慮

血縁上の父親と育ての父親が異なるケースとは

血縁上の父親(生物学的な父親)と、実際に子を育てている父親が一致していない状態は、海外の学術文献で「misattributed paternity(誤って父親とされること)」と呼ばれ、遺伝疫学の分野で研究されてきたテーマです。日本語には定着した一語の訳語がないため、この記事では「血縁上の父親と育ての父親が異なるケース」という表現で説明します。

この現象は、父親側が意図的に事実と異なる説明をしたケースだけでなく、母親自身がそのことに気づいていないケースも含めて研究の対象とされています。特定の個人の落ち度を指摘するための言葉ではなく、統計的にどの程度の頻度で起こりうるかを調べるための学術的な分類として使われてきた点は、押さえておきたいポイントです。

検索でこのテーマにたどり着いた方の中には、断片的な数字だけを見て不安になっている方もいらっしゃるかもしれません。次の章では、実際にどのような研究が行われ、どのような数値が報告されているのかを、出典とともに整理してご紹介します。

出産前に父子関係を確認できる検査
法的鑑定もできる

国内外の研究で報告されている数値の幅

このテーマを扱った代表的な研究では、調査対象によって0.8%から30%程度までの幅がある結果が報告されています。幅が大きいからこそ、どの調査を根拠にした数字なのかを確認することが欠かせません。

2005年に英国の疫学専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health」に掲載されたBellis氏らの研究では、それまでに発表されていた17件の先行研究をまとめて分析しています。この分析によると、一般的な集団を対象にした調査では、血縁上の父親と育ての父親が異なる割合は0.8%から30%まで幅があり、中央値(データを大きさ順に並べたときの真ん中の値)は3.7%程度と報告されています。

一方、同じ分析の中で、父子関係にすでに疑いがあり、その確認のためにDNA鑑定を申し込んだ人たちだけを対象にした調査では、17%から33%(中央値26.9%)と、より高い割合が報告されています。この違いについては、次の章で詳しく説明します。

なお、日本国内を対象にした同種の大規模な疫学調査で、公表されているデータは確認できていません。海外の研究データをそのまま日本国内の状況に当てはめることはできず、国内の状況を示す確立した数値は、現時点では存在しないと考えるのが正確です。

数値が大きくばらつく理由|対象集団の違い

これほど数値に幅が出る最大の理由は、調査対象がどのように選ばれたかという「サンプルの偏り」にあります。同じテーマを扱った研究でも、対象集団が違えば結果はまったく異なる意味を持ちます。

一般的な集団からランダムに選んだ調査では、血縁上の父親と育ての父親が異なる割合は数パーセント程度にとどまる傾向があります。一方、DNA鑑定機関に申し込んだ人だけを対象にした調査では、そもそも「関係に疑問を感じている人」が集まっているため、割合が高く出やすくなります。

つまり、報告されている数値のうち高い方の数字(20%や30%といった数値)は、一般的な集団全体に当てはまるものではなく、あくまで「すでに疑いを持ってDNA鑑定を申し込んだ人たちの中での割合」である点に注意が必要です。この違いを踏まえずに数字だけが独り歩きすると、実態以上に不安をあおる情報になりかねません。

Bellis氏らの研究では、若い年齢での妊娠や、婚姻関係にないカップル、社会経済的な状況など、いくつかの要因との関連も指摘されています。ただし、これらはあくまで特定の集団における傾向を示したものであり、個々のケースにそのまま当てはめて判断できるものではありません。

相談を受けていると、こうした数字を見て「自分のケースもその割合に当てはまるのではないか」と不安を強めてしまう方にお会いすることがあります。統計はあくまで集団の傾向であり、個別の親子関係がどうであるかを教えてくれるものではありません。目の前の疑問に答えられるのは、確率の数字ではなく、実際の検査結果だけです。

このテーマがインターネット上でたびたび話題になる背景には、数字だけが一人歩きしやすいという事情もあります。出典を示さずに「3割」「4人に1人」といった表現だけが引用されると、実際にはサンプルが偏った調査の数字であっても、あたかも一般的な確率であるかのように広まってしまいます。数字を目にしたときは、それが誰を対象にした調査によるものかを確認する習慣を持っていただければと思います。

出産前に父子関係を確認できる検査
法的鑑定もできる

確実に知る方法はDNA鑑定のみです

統計的な傾向をいくら調べても、目の前の親子関係が実際にどうであるかは分かりません。血縁関係を確実に確認する方法は、DNA鑑定だけです。

DNA鑑定では、STR法(Short Tandem Repeat、52箇所の遺伝子座位を比較する解析方法)を用いて、99.99%以上の精度で親子関係を判定します。子は父親・母親それぞれから遺伝子型を1つずつ受け継ぐため、父親候補の遺伝子型と子の遺伝子型の一方が一致するかどうかを、複数の座位で確認していく仕組みです。

出生前(妊娠6週以降)であれば、母体の血液に含まれる赤ちゃん由来のDNA(cfDNA)を解析することで、出産を待たずに血縁関係を確認できます。出生後であれば、子と父親候補それぞれの口腔粘膜(頬の内側の細胞)を綿棒で採取するだけで、採血の必要もありません。

ヒロクリニックでは、自社ラボ「東京衛生検査所」(CAP・ISO9001取得)で一貫して検査を行い、統括院長・岡博史(医学博士、CAPラボディレクター)が医療監修を担当しています。検体はバーコードで個別に管理し、医療機関から直接ラボへ配送することで、取り違えのリスクを抑える体制を整えています。

項目私的鑑定法的鑑定
主な目的ご本人が事実関係を把握するため裁判所や役所への提出、認知手続き等
本人確認・立会い原則不要必要
ヒロクリニックの料金(税込)108,000円149,800円
結果が出るまでの目安約2週間約2週間

他院を含めた費用相場の比較は、出生前親子鑑定の費用相場|他院4社比較と選び方でも詳しく紹介しています。

検査を検討する際に知っておきたいこと

このテーマで検査を考えるとき、多くの方が「事実を知ることで関係が壊れてしまうのではないか」という不安を抱えています。その気持ちは、決して不自然なものではありません。

ただ、相談を受けていると、疑いを抱えたまま日々を過ごすことの方が、心の負担として大きいと感じておられる方が少なくないという印象を持っています。結果がどちらであっても、正確な情報を得ることが、その後の関係や生活を考えるための土台になります。

医療機関には守秘義務があり、ご本人の同意なく検査に関する情報が第三者に伝わることはありません。検査を受けるかどうか迷っている段階でも、相談だけで構いませんのでお問い合わせください。

検査の結果、血縁関係がないと分かった場合、認知の取り消しなど法的な手続きが必要になる場合があります。戸籍上の親子関係は検査結果だけで自動的に変わるものではなく、個別の対応については弁護士や法テラスなど専門家にご相談ください。

検査を受ける・受けないの判断も、結果が出た後にどう向き合うかも、正解が一つに決まっているわけではありません。ご自身とご家族にとって納得できる形を、時間をかけて探していただければと思います。

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法的鑑定もできる

よくある質問

このセクションでは、血縁上の父親と育ての父親が異なるケースやDNA鑑定について、特にお問い合わせの多い6つの質問にお答えします。その他の疑問はよくある質問ページもあわせてご確認ください。

日本国内での割合について、公的なデータはありますか?

現時点で、日本国内を対象にした大規模な疫学調査の公表データは確認できていません。海外の研究データをそのまま日本国内の状況に当てはめることはできない点にご注意ください。

よく言われる「1割〜3割」という数字は正しいのですか?

この数字は、父子関係にすでに疑いを持ってDNA鑑定を申し込んだ人たちを対象にした調査で報告された割合(17%〜33%程度)に近いものです。一般的な集団全体を対象にした調査では、割合はおおむね数パーセント程度(中央値3.7%程度)にとどまると報告されています。どの対象を調べた数字なのかによって意味が大きく異なる点にご注意ください。

DNA鑑定はいつから受けられますか?

出生前であれば妊娠6週以降、出生後であればいつでも受けられます。出生前は母体の血液、出生後は口腔粘膜を採取して解析します。

検査の精度はどれくらいですか?

STR法という解析方法で52箇所の遺伝子座位を比較しており、99.99%以上の精度で親子関係を判定できます。解析は自社ラボの東京衛生検査所(CAP・ISO9001取得)で行っています。

検査を受けたことは周囲に知られてしまいますか?

医療機関には守秘義務があり、本人の同意なく検査内容が第三者に伝わることはありません。決めかねている状態でも、まずは相談だけでお問い合わせいただけます。

血縁関係がないと分かった場合、法律上の親子関係はどうなりますか?

検査結果だけで戸籍上の親子関係が自動的に変わるわけではありません。認知の取り消しなど法的な手続きが必要になる場合があるため、具体的な対応は弁護士や法テラスにご相談ください。

まとめ

血縁上の父親と育ての父親が異なる割合について、単一の正確な数値は存在しません。海外の研究では、一般的な集団を対象にした調査で中央値3.7%程度、父子関係にすでに疑いを持つ人だけを対象にした調査で中央値26.9%程度と、対象によって大きく異なる数字が報告されています。日本国内を対象にした確立した公的データは、現時点では確認できていません。

統計上の数字がどうであれ、目の前の親子関係を確認できるのはDNA鑑定だけです。気になる数字に不安をあおられるよりも、まずは正確な検査の仕組みと費用を知ることから始めてください。判断に迷う場合は、ひとりで抱え込まずに相談窓口をご利用いただければと思います。


執筆・医療監修: 岡博史(医療法人社団福美会 理事長/ヒロクリニック統括院長/医学博士)
慶應義塾大学医学部卒業、同大学院医学博士号取得。CAPラボディレクター、東京衛生検査所 指導監督医。

参考文献: Bellis MA, Hughes K, Hughes S, Ashton JR. “Measuring paternal discrepancy and its public health consequences.” Journal of Epidemiology and Community Health. 2005;59(9):749-754.(英国の疫学専門誌に掲載された、17件の先行研究を対象とした分析)

出産前に父子関係を確認できる検査
法的鑑定もできる

医師監修 監修日:2024年9月10日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月10日

堤 修一 (つつみ しゅういち)

医師・医学博士 ヒロクリニック博多駅前院 院長

略歴

  • 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

発信・関連リンク

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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