父親と鑑定されなかった場合には?

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この記事の概要

DNA鑑定の結果、父親ではなかった場合、通常、次のようなことが考えられます。

DNA鑑定で「父親ではない」という結果が出ても、そこで全てが終わるわけではありません。まずは結果を落ち着いて受け止め、次にどう進むかを一つずつ整理していきましょう。

ヒロクリニックには、検査結果が想定と異なったご家族からのご相談が寄せられています。この記事では、結果を受け止める際に知っておきたい考え方と、法律面・心理面での次の一歩について、専門家への相談を前提にご紹介します。

この記事でわかること

  • 父子関係が否定された結果をどう受け止めればよいか
  • よくある誤解と、次に取るべき現実的なステップ
  • 法律上の父子関係と生物学上の父子関係の違い(嫡出推定・嫡出否認)
  • DNA鑑定の精度と、誤判定が起こりにくい理由
  • 再検査や専門家への相談方法

結果を受け止めるために

否定的な結果は精神的な衝撃が大きいものですが、多くの方が時間をかけて気持ちを整理し、次の行動に移っています。まずは結果の意味を正確に理解するところから始めましょう。

結果の再確認

信頼できる検査機関でのDNA鑑定は精度が非常に高いものの、心配な場合は再検査という方法もあります。ヒロクリニックの鑑定結果は、統計的に2割から3割程度が父子関係を否定する内容になっています。

これは検査を依頼される方の多くが、何らかの疑問や事情を抱えて申し込んでいることも影響していると考えられます。否定的な結果自体は、決して珍しいものではありません。

結果報告書には、単に「一致」「不一致」という二択だけでなく、複数のSTR座位ごとの型の比較結果が示されます。父子関係が否定される場合は、複数の座位で子どもの型が父親候補由来のものと一致しないことを確認したうえで判定するため、偶然のばらつきによる誤判定が起こりにくい仕組みになっています。医師による結果説明の際には、この座位ごとの比較結果もあわせて確認できますので、疑問点はその場でご質問ください。

感情の整理にかかる時間

結果を知った直後は、ショックや混乱、怒りなど様々な感情が入り混じることがあります。一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に話すことから始めてみてください。

結論を急いで出す必要はありません。数日から数週間かけて気持ちを整理しながら、次のステップを考えるご家族も多く見られます。相談窓口で対応していると、最初のご連絡では言葉少なだった方が、数週間後の再度のご連絡では落ち着いた声で今後の相談をされるケースもよく見受けられます。

家族や周囲との向き合い方

パートナーや子どもとどう向き合うかは、ご家庭ごとに事情が異なります。すぐに全てを伝える必要はなく、誰に、いつ、何を伝えるかを段階的に決めていく方法もあります。

子どもがいる場合は、年齢や状況に応じた配慮が欠かせません。判断に迷うときは、家族問題に詳しいカウンセラーや弁護士に相談しながら進める方法もあります。

親子鑑定の結果について家族で話し合う様子をイメージした写真

よくある誤解や次のステップ

父子関係が否定されても、戸籍上の父が自動的に変わるわけではありません。ここではよくある誤解を整理し、現実的な次のステップを確認します。

親子関係の見直し(嫡出推定・嫡出否認)

生物学的なつながりがなくても、法律上は父親としての権利や義務が続く場合があります。婚姻中に生まれた子どもは、法律上「夫の子」と推定される制度があるため、DNA鑑定の結果だけで戸籍が自動的に変わるわけではありません。

この推定を覆すための手続きが「嫡出否認の訴え」です。2024年4月に施行された民法改正により、それまで夫だけに認められていた否認権が子どもや母親にも拡大されました。出訴期間も1年から3年に延長されており、起算点は子や母は子の出生時から、夫は子の出生を知った時からとされています。子については、父と同居した期間が3年に満たない場合、21歳になるまで訴えを提起できる特例もあります。

最高裁判所第一小法廷は平成26年7月17日、婚姻中に生まれた子について、DNA鑑定で夫以外の男性が生物学上の父親である可能性が高いことが分かった事案でも、子の身分関係の法的安定を理由に、親子関係不存在確認の訴えという別の手続きでは父子関係を争えないとの判断を示しました。科学的な証拠だけで法律上の親子関係が当然に覆るわけではないという考え方の背景には、子どもの生活の安定を重視する家族法の基本姿勢があります。法律上の父子関係を変更するには、家庭裁判所での嫡出否認の手続きなど、別途の対応が必要になります。手続きの要否や進め方は状況によって異なるため、弁護士など法律の専門家にご相談ください。

認知されていた場合との違い

婚姻していない状態で認知した子どもについては、嫡出推定ではなく「認知」という別の制度が適用されます。認知の効力を争う場合は「認知無効の訴え」を使うことになり、提起できるのは子・認知した父・母に限られ、出訴期間は原則7年です。婚姻中の嫡出否認(原則3年)とは名称も期間も異なるため、ご自身のケースがどちらに当てはまるかを、まず整理しておくことが大切です。判断に迷う場合は、弁護士に事実関係を伝えて確認してもらうのが確実です。

心理的サポートの活用

DNA鑑定で父親でないと判明することは、関係者にとって心理的に大きな影響を与えます。専門のカウンセラーへの相談は、気持ちの整理に役立つ選択肢の一つです。

ヒロクリニックでは検査結果のご説明の際に、ご希望に応じて相談先のご案内もしています。一人で判断せず、周囲のサポートを頼ってみてください。

法的な対応の検討

父親でないとわかった場合、養育費や親権などについて法的な手続きが必要となることがあります。具体的な対応方法は、状況やご家族の希望によって大きく異なります。

信頼できる機関や専門家のサポートを受けながら進めてください。親子関係不存在確認や嫡出否認といった手続きには出訴期間の制限があるため、早めに弁護士へ相談しておくと安心です。

法的な手続きの中で、あらためて法的な効力のある鑑定書が必要になる場合もあります。私的鑑定と法的鑑定の違いについては、DNA鑑定の費用(私的、法的鑑定の比較)で詳しく説明しています。

相続関係への影響

法律上の父子関係が続いている間は、相続における権利や義務も従来どおり続きます。DNA鑑定で生物学的なつながりが否定されたとしても、嫡出否認や認知無効といった手続きを経て法律上の親子関係が改められない限り、戸籍上の親子関係を前提とした相続関係はそのまま存続します。

将来の相続を見据えて対応を検討したい場合も、まずは戸籍上の親子関係が現時点でどうなっているかを確認し、必要な手続きの要否を弁護士に相談することから始めてください。DNA鑑定の結果だけで相続関係が自動的に整理されるわけではない点は、誤解が生じやすい部分です。

検査精度に関する補足

DNA鑑定の結果に不安を感じる方も少なくありませんが、適切な体制で行われた検査の精度は非常に高い水準にあります。ここでは検査の仕組みと精度について補足します。

STR法による高精度な解析

ヒロクリニックでは、STR法(52座位を分析する手法)を採用し、99.99%以上の精度で親子関係を判定しています。分析する座位数が多いほど、識別力が高まる仕組みです。父子関係を否定する結果の場合、複数の座位で子どもの型が父親候補由来のものと一致しないことを確認したうえで判定するため、一つの座位だけで結論づけることはありません

自社ラボと最新機器による検査体制

検査には、日本初導入となるQiagen社製「MiSeq FGx System」を使用しています。解析は自社ラボ「東京衛生検査所」で行い、CAP認定・ISO9001を取得した体制のもとで運用しています。

外部機関への委託を挟まないため、検体の受け渡し回数が少なく、取り違えなどのリスクを抑えやすい点も特徴です。

第三者機関による認証の意味

CAP(米国病理学会)認定やISO9001は、検査工程と品質管理の体制が一定水準を満たしていることを示す第三者機関の認証です。自己申告ではなく外部の審査を経ている点が、精度への裏付けの一つになります。

検査機関を選ぶ際は、こうした認証の有無も判断材料の一つにしてみてください。

それでも結果が不安なとき

高精度な検査であっても、検体の採取方法や保管状況によって結果に疑問が残る場合はあります。気になる点があれば、再検査という選択肢も検討できます。

再検査にかかる費用の目安は、出生前親子鑑定の費用相場|他院4社比較と選び方でご確認いただけます。

よくある質問

父子関係が否定された後によく寄せられる質問をまとめました。個別の状況については、専門家への相談もあわせてご検討ください。

Q. 父親でないという結果が、実は誤りだったということはありますか?

信頼できる検査機関でのSTR法による鑑定は精度が非常に高く、誤判定が起こる可能性は極めて低いとされています。それでも心配な場合は、再検査を依頼することが可能です。

Q. 法律上の父親と生物学上の父親が違う場合、戸籍はどうなりますか?

婚姻中に生まれた子どもは法律上「夫の子」と推定される制度があり、DNA鑑定の結果だけで戸籍が自動的に変わるわけではありません。戸籍上の親子関係を変更するには家庭裁判所での嫡出否認の手続きが必要になる場合があるため、弁護士など専門家にご相談ください。

Q. 嫡出否認の訴えは、夫以外の人も起こせますか?

2024年4月の民法改正により、夫だけでなく子どもや母親も嫡出否認の訴えを起こせるようになりました。出訴期間も1年から3年に延長されています。

Q. 認知していた場合も、同じ手続きになりますか?

いいえ。婚姻中に生まれた子は嫡出否認、未婚で認知した子は認知無効の訴えと、使う手続きが異なります。出訴期間もそれぞれ原則3年・原則7年と異なるため、ご自身のケースを確認したうえで弁護士にご相談ください。

Q. 結果を知った後、誰かに相談することはできますか?

ご家族や信頼できる友人のほか、心理カウンセラーや弁護士など専門家への相談も選択肢の一つです。ヒロクリニックでも、結果説明の際に相談先のご案内をしています。

Q. 再検査をする場合、費用はどのくらいかかりますか?

私的鑑定は108,000円(税込)、法的鑑定は149,800円(税込)が目安です。どちらが適しているかは状況によって異なるため、事前にご相談ください。

Q. 検査結果は裁判など法的な手続きに使えますか?

法的な手続きに使用するには、本人確認や採取時の立会いなど厳格な手順を経た法的鑑定が必要です。裁判所への提出可否や手続きの詳細は、弁護士など法律の専門家にご確認ください。

Q. DNA鑑定の結果は、相続関係にすぐ影響しますか?

いいえ。法律上の父子関係が続いている間は、相続における権利や義務も従来どおり続きます。嫡出否認や認知無効といった手続きを経て法律上の親子関係が改められない限り、DNA鑑定の結果だけで相続関係が自動的に変わることはありません。

その他の疑問点は、Q&Aページもあわせてご確認ください。

まとめ

父親と鑑定されなかった結果はつらいものですが、一つひとつ整理しながら次のステップを考えていくことができます。結果の正確性、法律上の手続き、心理的なサポートなど、状況に応じて専門家の力を借りながら進めていきましょう。婚姻中に生まれた子か、未婚で認知した子かによって使う法的手続きも異なるため、まずご自身のケースを整理することが、次の一歩を踏み出す助けになります。

ヒロクリニックでは、検査結果のご説明から再検査のご相談まで対応しています。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。法律面の手続きについては弁護士、心理面の負担についてはカウンセラーなど、状況に応じた専門家と連携しながら進めていくことが、遠回りに見えても確実な近道になります。


執筆・医療監修:岡博史(医療法人社団福美会 理事長/ヒロクリニック統括院長/医学博士、CAPラボディレクター)
共同監修:堤修一(博多駅前院院長/医学博士)

参考情報:法務省 民法等の一部を改正する法律について

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医師監修 監修日:2024年10月29日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年10月29日

堤 修一 (つつみ しゅういち)

医師・医学博士 ヒロクリニック博多駅前院 院長

略歴

  • 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

発信・関連リンク

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

記事の監修者