親子鑑定にSTR以外にSNPも必要ですか?

必要不要

親子鑑定の精度を左右するのは、STR(短鎖タンデムリピート)とSNP(一塩基多型)という2つの解析手法です。結論から言うと、ヒロクリニックの出生前親子鑑定はSTR法のみで99.99%以上の判定精度を実現しており、通常SNP検査を追加する必要はありません。ただし、検体の状態や目的によってはSNPが補助的に検討されるケースもあります。ここでは両者の違いと、STR単独で高精度を出せる理由を解説します。

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この記事でわかること

STRとSNPの基本的な違い

STRだけで高精度な判定ができる理由

SNPが補助的に検討される例外的なケース

STRとSNPの違いをわかりやすく比較

STRとSNPは、どちらもDNA配列の個人差を利用する解析手法です。ただし、着目する配列の単位と、個人識別に使える情報量が異なります。

STR(Short Tandem Repeat)とは

STRは、2〜6塩基程度の短い配列が繰り返される部分です。繰り返し回数が人によって異なるため、個人差を捉えやすいという特徴があります。

  • 特徴:リピート数のパターンが個人ごとに異なり、多様性が高い配列です。
  • 用途:高い変異率と多様性により、法医学や親子鑑定、個人識別に広く利用されています。

代表的な座位の一つに「D1S1656」があります。1番染色体上にある「TAGA」という4塩基の繰り返し配列で、人は父由来・母由来の2本の染色体を持つため、それぞれの繰り返し回数(例:6回と4回)を「D1S1656 6, 4」のように表記します。米国連邦捜査局(FBI)のDNAデータベース「CODIS」でも、2017年からD1S1656を含む20か所のSTR座位が標準として採用されており、STRが法医学分野で信頼されている解析手法であることがわかります。

SNP(Single Nucleotide Polymorphism)とは

SNPは、ゲノム上の1塩基だけが個人によって異なる部分です。1か所あたりの情報量はSTRより小さいものの、ゲノム全体に数多く分布しています。

  • 特徴:変異は一塩基レベルで、STRほど多型性は高くありませんが、ゲノム全体に広く分布しています。
  • 用途:進化研究や集団遺伝学、疾患関連研究など幅広い分野で利用されています。

例えば「rs1490413」は1番染色体上の特定の位置にあるSNPで、この位置の塩基はA(アデニン)またはG(グアニン)のいずれかになります。1か所ごとの違いは小さいため、STRと同等の判定精度を得るには、複数のSNPマーカーを組み合わせる必要があります。

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なぜSTR単独で高い精度を実現できるのか

1か所あたりの情報量で比較すると、STRはSNPより効率よく個人差を捉えられます。研究では、15座位のSTRと同程度の識別力を得るには50〜60個程度のSNPが必要になるという報告もあり、より複雑な血縁関係(二親等以上)を判定する場合はさらに多くのSNPマーカーが必要とされています。

比較項目STRSNP
変異の単位短い配列の繰り返し回数1塩基の違い
1マーカーあたりの情報量多い少ない
親子鑑定での主な役割主要な判定手法補助的に用いられる場合がある
ヒロクリニックでの解析箇所数52箇所通常は使用しない

ヒロクリニックの出生前親子鑑定では、STRを52箇所解析しています。これは法医学分野で標準とされるCODISの20座位を大きく上回る数で、検査機器には日本初導入となるQiagen社の次世代シーケンサー「MiSeq FGx System」を使用しています。この機器についての詳しい解説は、MiSeq FGx Systemと出生前親子鑑定についての記事で紹介しています。

共同監修者の堤修一(医学博士、元東京大学先端科学技術研究センター准教授)は「解析するSTR座位数を増やすほど、偶然の一致による誤判定のリスクを下げられます。52箇所という座位数は、通常の親子鑑定に必要な精度を十分に満たす水準です」と説明しています。

検査可能妊娠週STRSNP
ヒロクリニックの出生前親子鑑定(NIPPT6週0日から52箇所0箇所(通常は不要)
ヒロクリニックで調べる項目

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SNPが補助的に検討される例外的なケース

通常の出生前親子鑑定ではSTR解析のみで十分な精度が得られますが、まれにSNPなど追加の解析が検討される場面もあります。

  1. 近親者間の複雑な血縁鑑定:兄弟姉妹や祖父母鑑定など、候補者同士の遺伝的な近さが判定を難しくする場合があります。
  2. STR解析で結果が境界的だった場合:まれなケースとして、追加のマーカーによる確認が検討されることがあります。
  3. 学術・研究目的での利用:親子鑑定そのものではなく、遺伝的背景を広く調べる研究用途で使われることがあります。

ヒロクリニックでは、通常の出生前親子鑑定においてSNP検査を追加する運用は行っていません。特殊なケースに該当するかご不安な場合は、お申し込み前にクリニックへご相談ください。

検査精度を支えるヒロクリニックの管理体制

解析手法だけでなく、検体の管理体制も判定精度を左右します。ヒロクリニックでは、精度を維持するための仕組みを複数用意しています。

  • 全自動検査システム:ヒューマンエラーを防止し、迅速な結果報告を実現しています。
  • バーコード管理:検体の取り違えを防止し、医療機関からの直接配送で紛失リスクも抑えています。
  • 認証取得ラボ:自社ラボ「東京衛生検査所」はCAP・ISO9001を取得し、専属医師の管理下で運用されています。

私自身、検体管理の現場を見てきた中で、解析手法の選択と同じくらい、取り違え防止の仕組みが結果の信頼性に直結すると感じています。座位数やマーカーの種類だけでなく、検体がどのように管理されているかも、検査機関を選ぶ際の確認ポイントにしてください。

よくある質問

STRとSNP、どちらが精度が高いですか。

1マーカーあたりの情報量はSTRの方が多く、同程度の判定精度を得るにはSNPの場合はより多くのマーカー数が必要になるとされています。ヒロクリニックではSTRを52箇所解析することで高精度な判定を実現しています。

SNP検査を追加したい場合は対応してもらえますか。

通常の出生前親子鑑定ではSTR解析のみで十分な精度が得られるため、SNP検査は標準では実施していません。特殊なケースについては、お申し込み前にクリニックへご相談ください。

STRの座位数は多いほど良いのですか。

一般に、解析する座位数が増えるほど偶然の一致による誤判定のリスクは下がります。FBIのDNAデータベース「CODIS」も2017年に13座位から20座位へ標準を拡大しており、座位数の充実は精度向上につながる要素の一つです。

一卵性双生児の場合もSTR解析で判定できますか。

一卵性双生児は遺伝的に極めて近いため、通常のSTR解析だけでは判別が難しい場合があります。特殊なケースに該当しますので、事前にクリニックへご相談ください。

検査結果の精度はどのように示されますか。

判定結果は「父権肯定率」や「尤度比」といった統計指標で示されます。詳しい考え方は、当院の検査精度についてのページで解説しています。

まとめ

ヒロクリニックの出生前親子鑑定は、STRを52箇所解析することで99.99%以上の高精度な判定を実現しており、通常はSNP検査を追加する必要はありません。近親者間の複雑な血縁鑑定など特殊なケースに心当たりがある場合は、お申し込み前にご相談ください。

検査機器や体制についてさらに詳しく知りたい方は、MiSeq FGx Systemと出生前親子鑑定についての記事料金についてのページもあわせてご覧ください。

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よくある質問

Q

A

医師監修 監修日:2024年8月5日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年8月5日

堤 修一 (つつみ しゅういち)

医師・医学博士 ヒロクリニック博多駅前院 院長

略歴

  • 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

発信・関連リンク

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. Hook EB. Rates of chromosome abnormalities at different maternal ages. Obstet Gynecol. 1981 Sep;58(3):282-5.
  2. Norton ME, Jacobsson B, Swamy GK, Laurent LC, Ranzini AC, Brar H, et al. Cell-free DNA analysis for noninvasive examination of trisomy. N Engl J Med. 2015 Apr 23;372(17):1589-97.

記事の監修者