
眼瞼下垂症とは?
眼瞼下垂症は、上まぶたが十分に上がらず、視界を妨げたり、見た目に眠そうに見えたりする状態です。
原因には次のようなものがあります。
- 加齢性(後天性):まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の腱がゆるむ
- 先天性:生まれつき筋肉の発達が弱い
- 外傷・手術後:外科的処置や長期のハードコンタクトレンズ使用などで腱が傷む
- 神経疾患:重症筋無力症など
手術の目的
- 視野を広げ、見えやすさを改善
- 額の筋肉を使わずにまぶたを上げられるようにする
- 左右のまぶたのバランスを整え、見た目を改善
- 肩こり・頭痛・疲れ目の改善につながることもある
手術方法の種類
眼瞼の状態によって術式が選ばれます。
- 眼瞼挙筋前転法(もっとも一般的)
- ゆるんだ腱(眼瞼挙筋腱膜)を前に引き出し、まぶたの軟骨(瞼板)に縫い付け直す
- 加齢性眼瞼下垂に多く行われる
- ゆるんだ腱(眼瞼挙筋腱膜)を前に引き出し、まぶたの軟骨(瞼板)に縫い付け直す
- ミュラー筋短縮法
- 眼瞼挙筋と連動する補助筋(ミュラー筋)を短縮してまぶたを上げる
- 軽度の下垂に適応
- 眼瞼挙筋と連動する補助筋(ミュラー筋)を短縮してまぶたを上げる
- 前頭筋吊り上げ術
- 自分の筋膜や人工糸で、まぶたをおでこの筋肉(前頭筋)に吊り上げる方法
- 筋肉の働きが弱い先天性眼瞼下垂などに用いられる
- 自分の筋膜や人工糸で、まぶたをおでこの筋肉(前頭筋)に吊り上げる方法
手術の流れ
- 局所麻酔(子どもや重症例では全身麻酔もあり)
- まぶたの皮膚を切開(重瞼術と同じラインで切ることが多い)
- 筋肉や腱を処理し、適切な位置に縫い付ける
- 皮膚を縫合して終了
手術時間と入院
- 手術時間:片眼で30分〜1時間程度
- 入院:多くは日帰り手術、必要に応じて1泊入院
メリット
- 視野が広がり、物が見やすくなる
- 額の筋肉の負担が減り、頭痛や疲労の改善が期待できる
- 見た目が自然になり、若々しい印象になる
デメリット・リスク
- 左右差が残ることがある
- まぶたが上がりすぎたり、逆に十分に上がらなかったりすることがある
- まぶたの腫れや内出血(一時的)
- 再発の可能性(腱が再びゆるむなど)
- 角膜が乾きやすくなる(ドライアイ症状)
術後の注意
- 数日は腫れや内出血が出やすい
- 抜糸は1週間前後
- しばらくは激しい運動やコンタクトレンズ使用を避ける
- 乾燥感がある場合は点眼薬を使用
- 定期的な診察で左右差や開閉の状態を確認
まとめ
眼瞼下垂症手術は、下がったまぶたを上げるために筋肉や腱を修復・強化する手術です。
見た目の改善だけでなく、視野の改善や日常生活の快適さにつながる大切な治療です。













