この記事でわかること
- 耳垂裂(じすいれつ)がどんな状態か、完全裂と不全裂の違い
- ピアス・外傷・先天性という3つの主な原因
- 形成外科で行う縫合・形成手術のおおまかな流れ
- ケロイド体質の方が術後に気をつけたいこと
- 保険適用と自費の目安、放置した場合のリスク
耳たぶがピアスの穴から下に向かって裂けてしまった、あるいは生まれつき切れ込みがある。そうしたお悩みで来院される方は少なくありません。この状態を医学的には耳垂裂(じすいれつ)と呼びます。この記事では、耳垂裂の原因から治療、術後の注意点までを、形成外科の視点でていねいに解説します。
耳垂裂(じすいれつ)とは?耳たぶが裂けた状態のこと
耳垂裂とは、耳たぶ(耳垂)が裂けたり切れたりした状態を指します。裂け方には程度の差があり、大きく2つに分けて考えます。日常でよく見られるのはピアスの穴が下方向に広がってしまうタイプです。
完全裂と不全裂の違い
耳垂裂は、耳たぶが最下端まで完全に切れているか、途中までかで呼び分けます。見た目の印象も、手術の考え方も少し変わってきます。
| タイプ | 状態 | よくあるきっかけ |
|---|---|---|
| 完全裂 | 耳たぶの縁まで完全に切れ、2つに分かれている | ピアスの強い引っかかり、外傷 |
| 不全裂 | 途中まで裂けて、ピアス孔が縦長に広がった状態 | 重いピアスの長年の使用、拡張ピアス |
診察をしていると、「最初は小さな穴だったのに、気づいたら涙のしずくのような形に伸びていた」とお話しされる方によく出会います。不全裂は少しずつ進むため、自覚しにくいところがあります。
耳垂裂が起こる主な原因
耳垂裂の原因は、ピアス・外傷・先天性の3つに整理できます。原因によって、保険の扱いや治療後の見通しが変わる場合があります。
ピアスによる裂け
もっとも相談が多いのがピアスによるものです。重いピアスを長年つけ続けると、穴の下側の組織が徐々に薄くなって伸びていきます。衣類や髪、マスクのひもにピアスを勢いよく引っかけた瞬間に、一気に切れてしまうこともあります。ボディピアスで穴を大きくする拡張ピアスも、組織に負担がかかりやすい使い方です。
外傷(けが)によるもの
スポーツ中の接触や転倒、事故などで耳たぶが切れるケースもあります。ピアスをしていない方でも起こりうる原因です。出血がある鋭い切り傷の場合は、早めに医療機関を受診してください。
生まれつき(先天性)のもの
まれに、生まれつき耳たぶに切れ込みや裂けがある場合があります。成長とともに気になり、整えたいと相談に来られる方もいます。先天性のものは、原因が後天的なものとは異なる位置づけになります。
| 原因 | 特徴 | 保険の目安 |
|---|---|---|
| ピアス(不全裂・完全裂) | 穴の拡大や引っかかりによる裂け | 状況により異なる。診察で判断 |
| 外傷 | けがによる切れ。急な受診が必要なことも | 保険適用となることが多い |
| 先天性 | 生まれつきの切れ込み | 保険適用となることが多い |
耳垂裂の治療は形成外科の縫合・形成手術
耳垂裂の基本の治療は、裂けた縁を整えて縫い合わせる縫合・形成手術です。多くは局所麻酔の日帰り手術で対応できます。自然にふさがることは期待しにくいため、きれいに治したい場合は手術を検討します。
手術の流れ
手術では、まず裂けた両側の縁を新鮮な切り口に整えます。傷の縁が古いまま合わせても、うまくくっつかないためです。そのうえで層ごとにていねいに縫い合わせ、耳たぶの丸みを再現します。所要時間は状態によりますが、局所麻酔のためその日のうちに帰宅できることがほとんどです。抜糸は後日行います。
ピアス孔を作り直したい場合
「治したあと、またピアスをつけたい」という希望もよく伺います。手術した部位に再びピアスを開けたい場合は、傷が十分に治ってから改めて検討してください。治りきる前に穴を開けると、同じ場所が弱くなり、再び裂けるおそれがあります。開ける位置は縫合線を避けて選ぶと安心です。
傷あとをできるだけ目立たせないケアの考え方は、ニキビ跡の治療の記事でも触れています。傷あとと上手につきあうヒントとして参考にしてください。
ケロイド体質の方が注意したいこと
ケロイド体質の方は、術後のケアに特に注意が必要です。耳たぶはもともとケロイドができやすい部位とされており、傷が盛り上がって赤くなることがあります。過去にピアスの穴やけがのあとがしこりになった経験がある方は、診察の際に必ずお伝えください。
ケロイドが心配な場合でも、あらかじめ体質を共有しておけば、テープによる固定や経過観察など、状態に合わせた術後ケアを組み立てられます。私自身、初診で体質を丁寧に伺うほど、その後の相談がスムーズに進むと実感しています。不安な点は遠慮なく質問してください。
保険適用と自費の考え方
保険が使えるかどうかは、裂けた原因と治療の目的で決まります。外傷性や先天性のものは保険適用となることが多く、機能や見た目を整える医療として扱われます。一方、美容目的の一部は自費診療となる場合があります。
ピアスによる裂けは、状況によって扱いが分かれます。どちらになるかは実際に耳たぶを拝見して判断しますので、費用が気になる方は診察時に率直にご質問ください。手術前に見通しをお伝えします。金額の目安を知ってから決めたい、というご要望にも対応します。
放置するとどうなる?早めの受診を
耳垂裂は、放置すると裂けが広がることがあります。不全裂のまま同じピアスを使い続けると、穴がさらに伸びて完全裂へ進むおそれがあるためです。裂け目が大きくなるほど、整える範囲も広がりやすくなります。
自己流でふさごうとしたり、市販のテープで無理に留めたりするのは避けてください。かえって皮膚を傷めたり、感染の原因になったりします。気になった段階で早めに形成外科を受診していただくのが、結果的にシンプルな治療につながります。
ヒロクリニックの耳たぶ形成について
ヒロクリニック皮膚科・形成外科では、形成外科として耳たぶの縫合・形成手術に対応しています。ピアスによる裂け、外傷、先天性のいずれのご相談も承ります。まずは状態を拝見し、保険・自費の見通しや手術の流れをご説明します。
| 院 | アクセス | 電話 |
|---|---|---|
| 川口院 | 埼玉県川口市栄町3-11-27/JR川口駅東口 徒歩3分 | 0120-241-929 |
| 池袋駅前院 | 東京都豊島区西池袋5-1-3 メトロシティ西池袋3F | 0120-241-929 |
診療時間は平日9:00〜13:00・14:30〜18:00です。水曜午後・土曜午後・日曜は休診で、土曜は午前のみの診療となります。ご来院前にWEB予約をご利用いただくとスムーズです。
よくある質問
Q1. 耳垂裂の手術は痛いですか?
手術は局所麻酔で行うため、処置中の強い痛みは抑えられます。麻酔の注射時にチクッとした感覚はありますが、その後は痛みを感じにくくなります。麻酔が切れたあとの痛みには個人差があり、必要に応じて痛み止めで対応します。
Q2. 手術した日にお風呂に入れますか?
入浴の可否は傷の状態によって異なります。当日はシャワーのみとご案内することが多く、傷を濡らさない配慮が必要です。具体的な過ごし方は手術後に個別にお伝えしますので、指示に沿ってください。
Q3. 治ったあと、またピアスを開けられますか?
傷が十分に治ってからであれば、改めて検討できます。ただし縫合した線の上は避けて開ける必要があります。時期や位置は診察で相談してください。焦って早く開けると、同じ場所が再び裂けるおそれがあります。
Q4. 傷あとはどのくらい残りますか?
傷あとの残り方には個人差があり、体質や術後のケアで変わります。形成外科ではできるだけ目立たないよう縫合を工夫しますが、まったく跡が残らないと断定はできません。ケロイド体質の方は特に、事前にご相談ください。
Q5. 保険は使えますか?
外傷性や先天性のものは保険適用となることが多く、ピアスによる裂けは状況によって扱いが分かれます。実際に耳たぶを拝見して判断しますので、費用の目安を含めて診察時にご質問ください。
監修:岡 博史(ヒロクリニック皮膚科・形成外科 統括院長/医学博士/日本皮膚科学会 皮膚科専門医)








