ヒアルロン酸注射の効果5つと副作用|皮膚科専門医解説

女性顔

ヒアルロン酸注射は、皮膚にもともとある成分を使い、しわやたるみをふっくらさせる皮膚科の施術です。効果を実感しやすい一方、まれに血管塞栓のような重い合併症も報告されています。

当院の外来でも、ほうれい線や口角の下がりを訴える40代以降の方が増えている印象があります。
本記事では、効果と副作用、費用の考え方、クリニックの選び方を皮膚科医の視点で解説します。

この記事でわかること

  • ヒアルロン酸注射で得られる5つの効果
  • 血管塞栓を含む副作用と安全に受けるための注意点
  • 施術を受けられない人の条件
  • 効果の持続期間とメンテナンスの目安
  • 信頼できる皮膚科クリニックの選び方

1. ヒアルロン酸注射とは|皮膚科で行う施術の仕組み

ヒアルロン酸注射とは、体内にもともとある保湿成分を、皮膚の狙った部位に注入する施術です。

ヒアルロン酸は、皮膚の真皮層で水分を抱え込み、肌のハリを支える成分です。加齢とともに体内の量が減るため、しわやたるみが目立ちやすくなります。

注入用のヒアルロン酸製剤は、薬機法上の医療機器または医薬品です。国の承認を受けた製剤かどうかは、施術前に必ず確認してください。

メスを使わず、針での注入のみで完結します。切開を伴う手術に比べ、ダウンタイムの短さも特徴のひとつです。

ヒアルロン酸製剤には、硬さや粘弾性が異なる複数の種類があります。部位や希望する仕上がりに応じて、医師が適切な製剤を選択します。骨に近い部位はやや硬めの製剤、唇のような柔らかい組織にはなじみやすい製剤を選ぶのが一般的です。使う量や種類は、部位ごとの組織の性質に合わせて医師が判断します。

2. ヒアルロン酸注射で得られる5つの効果

主な効果は、即効性・自然な仕上がり・調整のしやすさ・短いダウンタイム・幅広い適応の5つです。

期待できる変化は部位によって異なりますが、共通するメリットは次の5つ。

  • 即効性:施術直後からボリュームアップを実感しやすい施術です。数日後に効果が出るタイプとは体感が異なります。
  • 自然な仕上がり:注入量や部位を細かく調整できます。周囲に気づかれにくい変化を目指せます。
  • 調整のしやすさ:万が一仕上がりに満足できない場合も対応可能。ヒアルロニダーゼという酵素で分解し、元に戻せる可逆性があります。
  • 短いダウンタイム:施術時間は部位により10〜30分程度です。内出血や腫れが軽度なら、数日〜1週間ほどで落ち着きます。
  • 幅広い適応:ほうれい線やたるみだけでなく、唇や輪郭形成、涙袋にも使えます。悩みに応じて選択肢が広い施術です。
ヒアルロン酸注射の効果をイメージした抽象イラスト(保湿・時間・安全性・観察・自然な輝きのアイコン)

3. 施術の流れと費用を考えるときの注意点

ヒアルロン酸注射は自由診療のため、費用は医療機関や使用量、製剤の種類によって異なります。

施術は、カウンセリングで悩みや希望を伝えることから始まります。医師が注入部位と量を決め、麻酔クリームなどで痛みを抑えたのち、専用の針で少量ずつ注入します。

費用の算出方法は「1本あたり」「部位ごと」など医療機関で異なります。同じ製剤でも、価格差が生じる理由です。正確な料金は、カウンセリング時に必ず書面で確認してください。

価格の安さだけで選ぶと、製剤の質や医師の技術力が伴わないケースもあります。実際に、価格重視で他院を選び、仕上がりに悩んで当院へ来院される方も見受けられます。

4. 施術当日の流れとアフターケア

施術前後の過ごし方に気をつけることで、腫れや内出血のリスクを抑えやすくなります。

施術前は、血流を良くする行為を控えるのが基本です。飲酒や長時間の入浴、激しい運動は、施術前日から避けてください。

抗凝固作用のあるサプリメント(イチョウ葉エキスやビタミンEなど)も、内出血を助長します。服用中の方は、事前に医師へ伝えてください。

施術直後から数日は、次の点に気をつけて過ごしましょう。

タイミング注意したいポイント
施術直後注入部位を強く触らない・マッサージしない
当日熱いお湯での入浴、サウナ、飲酒を避ける
当日〜翌日激しい運動を控え、血行を上げすぎない
メイク部位を避ければ当日可能なケースが多いが医師の指示に従う

血行が良くなりすぎると、内出血や腫れが長引く原因になります。指示された期間は、体を温めすぎない過ごし方を心がけてください。

5. 副作用・リスクと血管塞栓への対処

頻度が高いのは内出血や腫れですが、まれに血管塞栓による皮膚壊死や視力障害も報告されています。

日本美容外科学会の診療指針でも、血管塞栓・壊死・視力障害のリスクが明記されています。十分な知識と技術を持つ医師が行うべき施術です。(出典:日本美容外科学会 診療指針

起こりうる症状には、軽いものから重いものまで幅があります。

  • 内出血・腫れ:注射に伴う一般的な反応です。数日から1週間程度で自然に軽快することがほとんどです。
  • アレルギー反応:頻度は低いものの起こり得ます。製剤や麻酔成分が原因になるケースがあります。
  • しこり・遅発性結節:施術から数週間〜数ヶ月後に生じることがあります。感染や免疫反応が関係するケースが報告されています。
  • 血管塞栓・皮膚壊死・視力障害:血管内に誤って注入されると血流が止まります。皮膚の壊死や、まれに視力障害に至ることがあります。

発生頻度は極めて低いとされています。ただし重篤化を防ぐには、異常な痛みや白色化への早期対応が欠かせません。厚生労働省も、施術前の十分なリスク説明を受けるよう注意喚起しています。(出典:厚生労働省

ヒアルロン酸注射の副作用・安全対策をイメージした抽象イラスト(安全確認・医療チェック・注意喚起のアイコン)

異変を感じたときの対応

施術部位が急に白くなる、強い痛みが引かない、視界がかすむ。こうした症状が出たら、自己判断で様子を見ないでください。すぐに施術を受けた医療機関、または救急外来へ連絡することが重要です。

6. 施術を受けられない人・注意が必要な人

妊娠中や授乳中の方、自己免疫疾患のある方などは、施術を受けられない、または慎重な判断が必要です。

以下に当てはまる方は、施術前に必ず医師へ申告してください。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 自己免疫疾患の治療を受けている方
  • 抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)を服用中の方
  • ヒアルロン酸や麻酔成分にアレルギーの既往がある方
  • 施術部位に炎症や感染症がある方

持病や服用中の薬は、事前の問診で正直に伝えてください。安全に施術を受けるための第一歩です。

7. 効果の持続期間とメンテナンスの目安

効果は永久ではなく、部位によっておおむね半年から1年半程度で体内に吸収されます。

製剤の種類や注入量、代謝の個人差によって持続期間は変動します。一般的な目安は次の通りです。

部位持続期間の目安
ほうれい線・マリオネットライン約6〜9ヶ月
唇・涙袋・頬約4〜6ヶ月
鼻・顎など骨に近い部位約1年〜1年半

少量ずつ継続してメンテナンスを行うと、自然な変化を保ちやすくなります。一方、間隔を空けすぎると、注入前の状態に戻る点は理解しておきましょう。

同じ製剤・同じ部位でも、代謝の速さや生活習慣によって持続期間には個人差があります。喫煙や紫外線対策の有無も、肌の状態を左右する要因のひとつです。

8. 他の美容医療との組み合わせ方

ボトックスやレーザー治療と組み合わせると、より総合的なエイジングケアにつなげやすくなります。

単独でも効果はありますが、悩みの種類によっては組み合わせが向くケースもあります。

ボトックス注射との組み合わせ

表情ジワにはボトックス、ボリューム不足にはヒアルロン酸。役割を分けて使うのが基本的な考え方です。両者の併用で、しわ改善とボリューム補整を同時に狙えます。

レーザー・光治療との組み合わせ

肌質を底上げしたい場合は、フラクショナルレーザー光治療との併用も選択肢です。肌のキメやトーンを整えつつ、ヒアルロン酸で立体感を補うアプローチになります。

併用時は、施術の間隔が重なると肌への負担が増します。皮膚科医と相談しながら計画を立てることが欠かせません。

施術の順序も仕上がりに影響します。表情筋の動きは、先にボトックスで整えます。後日、ヒアルロン酸でボリュームを補う順番が向くケースもあります。焦らず、医師と一緒にスケジュールを組み立てましょう。

9. 信頼できる皮膚科クリニックの選び方

クリニック選びで重視すべきは、価格の安さではなく医師の専門性と説明の丁寧さです。

以下のチェックリストで、安心して任せられるクリニックかを確認してください。

  • 医師が皮膚科専門医・形成外科専門医など専門資格を持っている
  • 使用する製剤名・メーカー名の説明が明確である
  • リスクや副作用について事前にしっかり説明してくれる
  • 万が一のトラブル時に対応できる体制が整っている
  • カウンセリング時に無理な勧誘がない
  • 症例や実績について誠実に説明してくれる

皮膚科と美容皮膚科は役割が異なります。違いを理解したうえでクリニックを選ぶことも大切です。

カウンセリングでは、小さな疑問でも遠慮せず質問してください。製剤の名前や過去の合併症対応の実績を尋ねると、クリニックの姿勢が見えやすくなります。疑問を解消してから施術に進むことが、安心につながります。

当院グループの皮膚科・形成外科は、2008年8月の開院以来の実績を積み重ねています。皮膚外科的処置は、2026年6月までに累計21,576件です。専門資格を持つ医師が複数在籍し、皮膚科的な視点から相談を受けられる体制を整えています。

皮膚科クリニックでのカウンセリングをイメージした抽象イラスト

10. ヒアルロン酸注射に関するよくある質問(FAQ)

施術を検討する際によく寄せられる質問にお答えします。

Q1. ヒアルロン酸注射は痛いですか。

A1. 麻酔クリームや極細針を使うため、痛みは軽減できます。唇や骨に近い部位は、やや痛みを感じやすい傾向があります。

Q2. ダウンタイムはどのくらいですか。

A2. 内出血や腫れが出ても、数日から1週間程度で落ち着くことがほとんどです。当日メイク可能な場合も多く、忙しい方にも向いています。
気になる腫れが長引くときは、自己判断せず施術先へ連絡してください。

Q3. 効果が気に入らなかった場合、元に戻せますか。

A3. ヒアルロニダーゼという酵素の注射で、分解し元の状態に近づけられます。気になる場合は、施術を受けた医療機関へ早めに相談してください。
自己判断で他の薬剤を使うのは避けましょう。

Q4. 妊娠中でも施術を受けられますか。

A4. 妊娠中・授乳中の方は施術を受けられません。自己判断はせず、必ず医師に相談してください。

Q5. 保険は適用されますか。

A5. 美容目的のヒアルロン酸注射は自由診療です。保険は適用されず、費用は医療機関ごとに異なります。

Q6. どのくらいの頻度で通うのが理想ですか。

A6. 部位ごとの持続期間に応じ、半年〜1年に1回程度が目安です。無理せず、経過を見ながら医師と相談して決めましょう。

Q7. 何歳から受けられますか。

A7. 年齢の下限は明確に定められていませんが、多くの場合は成人が対象です。未成年の方は、保護者の同意や医師の判断が必要になることがあります。詳しくは、カウンセリング時に確認してください。

まとめ

ヒアルロン酸注射は、短時間・低ダウンタイムで自然な変化を目指せる皮膚科の施術です。一方、血管塞栓のようなまれな重篤合併症があることも事実です。正しい知識と、信頼できる医師選びが欠かせません。

気になる症状や施術後の異変があれば、我慢せず早めに医療機関へ相談してください。エイジングサインが気になる方も、自然な仕上がりを望む方も、専門医への相談から始めましょう。

まず何から始めればよいか迷ったら、カウンセリングで悩みを伝えるところからで構いません。次の一歩は、専門医への相談。

本記事は、ヒロクリニック皮膚科・形成外科 統括院長・岡博史医師(医学博士)の監修のもとに作成しています。
岡医師は日本皮膚科学会 皮膚科専門医です。川口院・池袋駅前院の両院で、皮膚科専門医による診療を行っています。

参考文献

  1. 日本美容外科学会「美容医療診療指針(令和三年度改訂版)」(Mindsガイドラインライブラリ)
  2. 厚生労働省「美容医療の施術を受ける前にもう一度確認してください」
  3. 政府広報オンライン「美容医療サービスの消費者トラブル」
  4. 一般社団法人 日本形成外科学会

この記事の監修者 — 皮膚科専門医による監修

  • 岡 博史 (統括院長/医学博士)
    日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 遠田 博 (池袋院 皮膚科医)
    日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 土屋 海士郎 (川口院 皮膚科医)
    日本皮膚科学会 専門医/難病指定医

本記事は当院の編集・監修体制に基づき作成しています。詳しくは編集ポリシー/監修体制をご覧ください。

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