統合失調症のリハビリは、症状を消すためだけの訓練ではありません。その人が望む暮らしを取り戻すために行う支援です。デイケア、作業療法、SST、訪問看護。どれも医師の指示や公的な制度と結びついていて、費用の多くは公費で軽くできます。

ところが、その制度が本人に届いていないことが本当に多い。私は診察室で「自立支援医療は使っていますか」とよく尋ねます。何年も通院しているのに初めて聞いた、という方に今でも出会います。

この記事では、統合失調症の方が地域で暮らすために使える7つの制度と資源を整理します。厚生労働省の資料に沿って、費用の上限額と申請窓口まで具体的に書きました。

この記事でわかること

  • デイケア・作業療法・SST・訪問看護が、実際に何をするところなのか
  • 通院もデイケアも訪問看護も1割負担にできる「自立支援医療」の上限額と申請先
  • 入院から地域に戻るときに使える「地域移行支援」「地域定着支援」の中身
  • 制度の申請や暮らしの困りごとを、どこの窓口に相談すればいいか

なお、症状や初期サインについては統合失調症の初期症状とサインをご覧ください。この記事は制度と地域資源にしぼってお伝えします。

川口院・池袋駅前院で診療しています。電話は 048-430-7000公式LINEからもご相談いただけます。

統合失調症のリハビリとは|症状を消すことではなく生活を取り戻すこと

精神科のリハビリは、薬で症状を抑えた先にある「暮らし」を組み立て直すための支援です。

統合失調症の治療は、大きく薬物療法と心理社会的な支援の二本立てで進みます。薬は幻覚や妄想といった陽性症状をやわらげるうえで、中心的な役割を担います。

一方で、薬だけでは届きにくい部分も残ります。意欲が湧かない、人と会うのがおっくうといった陰性症状。そして、生活リズムの乱れです。

そこを埋めるのが精神科リハビリテーションです。日中の居場所をつくる。人と話す場面を練習する。服薬と体調の管理を手伝ってもらう。地道な積み重ね。

ここで大事なのは、リハビリのゴールを「発症前の自分に戻ること」に置かないことです。私が診療で感じるのは、元どおりを目指すほど苦しくなるということ。うまくいかない時期に、自分を責めてしまう方が多いのです。

今の自分が納得できる生活をつくり直すことのほうが、結果として長続きします。薬物療法そのものは統合失調症の薬と最新の治療で解説しています。運動の効果は統合失調症と運動をご覧ください。

統合失調症のリハビリ4つの柱|デイケア・作業療法・SST・訪問看護

統合失調症のリハビリは、通う形の支援と、来てもらう形の支援に分かれます。

医療機関で行われる代表的なリハビリは、精神科デイケア、作業療法、SSTの3つ。これに、自宅へ看護師が訪れる精神科訪問看護が加わります。まず全体像を表で確認してください。

支援どこで受けるか主な内容
精神科デイケア医療機関に通う日中の居場所、レクリエーション、軽作業、生活リズムづくり
作業療法(OT)医療機関に通う/入院中手工芸・園芸・調理・軽運動などを通じた生活機能の回復
SST(社会生活技能訓練)医療機関・デイケア等対人場面の練習、症状や服薬との付き合い方
精神科訪問看護自宅に来てもらう体調・服薬の確認、生活の相談、受診や手続きの支援
統合失調症のリハビリで中心となる4つの支援

この4つはいずれも自立支援医療の対象になり、自己負担を軽くできます。制度の中身は次の章で説明します。

精神科デイケアで軽作業やレクリエーションに参加する利用者と看護師

精神科デイケア|日中の居場所と生活リズムを整える

デイケアは、医療機関に日中通って過ごすプログラムです。

内容は施設によって幅があります。レクリエーション、軽作業、料理、心理教育、SSTなどの組み合わせ。半日だけのショートケアを設けている施設も多くあります。いきなり終日は不安、という方でも始めやすい形です。

デイケアの価値は、プログラムの中身そのものよりも「行き先がある」ことにあると私は感じています。朝起きる理由ができる。誰かと言葉を交わす。この2つが戻るだけで、生活は驚くほど変わります。

デイケアに通うご本人からは、周囲の見方とのギャップに触れる声も届いています。25歳から統合失調症とともに暮らし、現在デイケアに通うという@luv4uakiさん。

かわいそうな人生だと想像する人もいるかもしれない。けれど、自由に過ごせて交通の便がよい場所に住み、楽しく過ごす場所もある。そう言い換えると自分は幸せに思えてくる、と綴っています。

同じ生活でも、ものさしを変えれば見え方が変わる。リカバリーの核心がここにあります。

作業療法(OT)|手を動かしながら生活機能を取り戻す

作業療法は、作業療法士が担当する医療的なリハビリです。

手工芸、園芸、調理、パソコン、軽い運動など。具体的な作業を通して、集中力や体力、段取りをつける力を取り戻します。入院中から始まることも多く、退院後は外来やデイケアの中で続けるという流れが一般的です。

作業そのものが目的ではありません。決まった時間に取りかかり、途中で疲れを自覚し、休みを入れて、最後まで仕上げる。その一連の流れを取り戻すことが目的です。

SST(社会生活技能訓練)|対人場面をあらかじめ練習する

SSTは、人とのやりとりを具体的な場面で練習するプログラムです。

たとえば「調子が悪い日に休みを申し出る」場面。「デイケアで初めて会う人に話しかける」場面。参加者同士でモデルを見せ合い、実際に演じ、感想を伝え合いながら身につけていきます。

扱うのは、大きな課題ではなく小さな場面です。薬を飲み忘れたと主治医に伝える。その一言が言えるかどうかで、生活の安定はずいぶん変わります。

なお、幻聴への具体的な対処法は幻聴とはで解説しています。気持ちが不安定なときの落ち着かせ方は統合失調症のストレス対処をご覧ください。

自宅を訪れた訪問看護師が利用者と一緒に一週間分の薬を整理している様子

精神科訪問看護|自宅に来てもらうという選択肢

通うことが難しい時期でも、看護師に自宅へ来てもらう方法があります。

精神科訪問看護は、主治医が必要と認めて精神科訪問看護指示書を交付することで利用できます。看護師や精神保健福祉士などが自宅を訪れ、体調と服薬の確認、生活の相談、受診の調整などを行います。

訪問回数は、医療保険の原則で週3日までが基本です。ただし退院直後など、主治医が必要と判断した場合。より頻回の訪問が認められる仕組みもあります。

訪問看護が支えるのは、症状だけではありません。精神の手帳を持ち、訪問看護と居宅介護を利用している@nuxyotaurusさん。

訪問看護師が週1回自宅に来て、薬のパッキングを手伝ってくれる。自立支援医療の変更や更新といった行政手続きも支援してくれる。おかげで薬をキャンセルしなくなり、睡眠も安定したと投稿しています。

手続きの書類を自分ひとりで書き切るのは、体調が悪い時期ほど難しいもの。そこを一緒にやってくれる人がいるかどうかが、制度を使えるかどうかの分かれ目になります。

リハビリの自己負担を1割にする「自立支援医療(精神通院医療)」

自立支援医療は、精神科の通院医療費の自己負担を原則3割から1割に軽くする制度です。

統合失調症の方にとって、最初に押さえるべき制度がこれです。公的医療保険で3割を負担しているところを、1割に軽減する。厚生労働省の資料にそう明記されています。

医療費が7,000円かかり、保険の自己負担が2,100円になる場合。この制度で700円まで軽減されるという例が挙げられています。

対象になる医療の範囲には、外来と外来での投薬に加えて、デイケアと訪問看護も含まれます。前の章で説明したリハビリの多くが、この制度で1割になるということです。一方で入院医療の費用は対象外とされています。

統合失調症は「重度かつ継続」の対象疾患

統合失調症は、負担上限がさらに下がる区分に位置づけられています。

医療費が高額な治療を長期にわたり続ける必要がある方。厚生労働省はこれを「重度かつ継続」と呼び、負担上限額を低く設定しています。

その対象疾患として、統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)が明記されています。ほかに器質性精神障害(F0)、精神作用物質使用による障害(F1)。気分障害(F3)、てんかん(G40)も対象です。

つまり統合失調症の場合、診断名の時点で「重度かつ継続」に該当します。ここを知らずに申請していない方が、いまだに少なくありません。

世帯の所得に応じた1か月の負担上限額

上限額は世帯の所得区分で決まります。

ここでいう世帯とは、通院する方と同じ公的医療保険に加入している方をひとまとまりとして捉えたものです。同居していても健康保険が別なら、同じ世帯には数えません。

統合失調症で「重度かつ継続」に該当する場合の上限額は、次のとおりです。

世帯の所得区分1か月の負担上限額
生活保護受給世帯0円
市町村民税非課税世帯/受給者の収入80万円以下2,500円
市町村民税非課税世帯/受給者の収入80万円超5,000円
市町村民税課税世帯(市町村民税33,000円未満)5,000円
市町村民税33,000円以上235,000円未満10,000円
市町村民税235,000円以上20,000円(経過的措置)
自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合の負担上限額。厚生労働省の資料をもとに作成

この上限は、1つの医療機関だけの話ではありません。指定を受けた病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション。それぞれの自己負担を合算して、月の上限に収まる仕組みです。

デイケアに週数回通っても上限を超えない。この点が実際には大きく効いてきます。制度の詳細は厚生労働省が公開しています。自立支援医療(精神通院医療)の概要自立支援医療(精神通院医療)についてをご確認ください。

申請の窓口と必要な書類

申請は市区町村の担当窓口で行います。

担当課の名前は自治体によって異なり、障害福祉課や保健福祉課が担当することが多いようです。申請が認められると、自立支援医療受給者証が交付されます。必要な書類は次のとおりです。

  • 申請書(自立支援医療(精神通院)支給認定申請書)
  • 医師の診断書(通院している精神科の病院・診療所で記入してもらいます)
  • 世帯の所得の状況が確認できる資料(課税証明書・非課税証明書など)
  • 健康保険証の写しなど、医療保険の加入関係を示すもの

自治体によって必要書類が異なる場合があります。注意したいのは、この制度で助成を受けられるのが指定自立支援医療機関での医療に限られる点です。

多くの精神科の医療機関が指定を受けています。ただ、通っている病院や薬局が指定されているかは事前に確認してください。

制度を知らないまま負担し続けてしまう例は、SNSでもよく共有されています。自立支援医療について発信している@d_encourage_kswさん。

通院費が3割から1割になること、薬代とデイケアも対象になること。障害者手帳がなくても申請できること、申請先が市区町村の窓口であること。これらを「市役所で教えてほしかった」情報として挙げています。

同じ問題意識は@UTU_KOKUFUKU_CHさんの投稿にも見られます。会計の窓口で自分だけ負担が重い理由が、自立支援医療の有無だったと気づいた経験。制度を何年も知らされず、SNSで初めて知って損をしたという声も語られています。

制度は申請しなければ始まりません。診察のときに一言、聞いてみてください。

精神障害者保健福祉手帳|等級と2年ごとの更新

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患のある方が各種の支援策を受けるための手帳です。

厚生労働省によれば、等級は1級から3級まであります。申請は市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事または指定都市市長に対して行います。

自立支援医療とは別の制度で、どちらか一方だけを申請することもできます。

更新の頻度は決まっています。手帳の有効期限は2年です。交付を受けた方は2年ごとに認定を受け直す必要があります。障害等級に定める状態にあることを、都道府県知事が認定する仕組みです。

うっかり切らしてしまうと、手帳で受けていた割引やサービスが止まります。カレンダーに入れておいてください。

手帳で受けられる支援は、税の控除や公共料金の割引など、自治体や事業者によって幅があります。全国一律ではありません。詳細は厚生労働省の障害者手帳についてに掲載されています。

手帳は、障害者雇用枠で働くときにも使われます。ただ、就労の詳しい話はこの記事の範囲を越えます。企業に在籍したまま職場に戻る流れは統合失調症の復職支援へ。福祉サービスとして働く形は就労継続支援A型をご覧ください。

入院から地域へ戻るときの「地域移行支援」と「地域定着支援」

入院中から退院後まで、切れ目なく支える障害福祉サービスがあります。

長く入院していると、生活の土台が退院と同時にいっぺんに押し寄せます。住まいの確保。役所の手続き。近所付き合い。それを一人で背負わずに済むように用意されているのが、この2つのサービスです。

精神科病院から地域のアパートへ、支援者に付き添われて移行していく流れ

地域移行支援|退院に向けて住まいと体験を用意する

地域移行支援は、退院して地域で暮らすための準備を一緒に進めるサービスです。

対象は、障害者支援施設や病院等に入所・入院している障害者です。住居の確保その他、地域生活へ移行するための支援を行うと厚生労働省の資料に説明されています。

精神科病院に入院している精神障害者が対象に明記されています。支給決定期間は6か月間です。

  • 住居の確保など、地域生活に移行するための活動に関する相談
  • 地域移行にあたっての障害福祉サービスの体験的な利用支援
  • 地域移行にあたっての体験的な宿泊支援

机上の説明では終わりません。実際に泊まってみる、実際に通ってみる。そこまで含んでいるのがこのサービスの特徴です。担当は相談支援専門員が務めます。

地域定着支援|退院した後の「もしも」に備える

地域定着支援は、一人暮らしを続けるための連絡体制を確保するサービスです。

対象は、居宅において単身で生活している障害者などです。同居する家族がいても、その家族が障害や疾病のために緊急時の支援が見込めない場合は対象になります。支給決定期間は1年間です。

  • 常時の連絡体制を確保し、適宜、居宅への訪問等を行って状況を把握する
  • 障害の特性に起因して生じた緊急の事態における相談等の支援
  • 関係機関との連絡調整や、一時的な滞在による支援

グループホームや宿泊型自立訓練の入居者は対象外とされています。すでに支援者が常駐しているためです。これらのサービスの内容は厚生労働省の障害福祉サービスの内容で確認できます。

ここで、ひとつ申し添えます。地域で暮らすことが常に正解というわけではありません。症状が激しい時期には、入院して守られる環境が本人を助けます。

地域移行は、入院を否定する考え方ではありません。入院が必要な時期を短くし、退院できる状態になった人が戻る場所を用意しておく。そういう考え方です。

制度の使い方がわからないという段階でも構いません。電話は 048-430-7000 です。

困ったときの相談先|相談支援事業所・精神保健福祉センター・保健所

制度の入り口がわからないときは、相談専門の窓口から入るのが近道です。

自立支援医療は市区町村、障害福祉サービスは相談支援事業所。窓口が分かれています。全部を自分で調べる必要はありません。どこか1か所につながれば、そこから他へつないでもらえます。

窓口主な役割こんなときに
市区町村の障害福祉課など自立支援医療・手帳の申請受付医療費を軽くしたい、手帳を取りたい
相談支援事業所障害福祉サービスの利用計画づくり、相談どのサービスが使えるか整理したい
精神保健福祉センター精神保健福祉に関する専門的な相談本人・家族の相談、制度の疑問
保健所地域の精神保健に関する相談・訪問受診につながっていない段階の相談
病院の精神保健福祉士(PSW)院内から地域への橋渡し入院中・通院中に生活の相談をしたい
統合失調症の地域支援に関する主な相談窓口

精神保健福祉センターと保健所は、本人が受診に至っていない段階の相談も受け付けています。家族だけで相談してもかまいません。費用もかかりません。

気持ちがつらく、すぐに誰かと話したいときの窓口もまとめておきます。厚生労働省のまもろうよ こころに掲載されている窓口です。

  • いのちの電話(フリーダイヤル):0120-783-556(無料)
  • #いのちSOS:0120-061-338
  • よりそいホットライン:0120-279-338
  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556

ご家族が本人への接し方に悩んでいる場合は、統合失調症の家族の接し方と家族教室で詳しく解説しています。

リカバリーという考え方|回復のものさしは本人が決める

リカバリーとは、症状がゼロになることではなく、自分が納得できる生活を築いていく過程を指します。

精神保健の分野では、回復を2つに分けて考えるようになっています。症状や検査値が改善する臨床的な回復。そして、本人が自分の人生を取り戻していくパーソナルなリカバリー。

この2つは、必ずしも同じ速さでは進みません。症状が少し残っていても、働き、笑い、好きな場所に出かけている方はいます。

だからこそ、地域支援の制度はリカバリーと相性がよいのです。自立支援医療で通院を続けられる。訪問看護で服薬が安定する。デイケアに行き先ができる。ひとつずつが、本人の選べる幅を広げます。

制度は本人の人生を管理するためではなく、選択肢を増やすためにあります

診察室で私がよく感じること。回復の実感は「症状が減ったとき」ではなく、「自分で決められたとき」に訪れます。デイケアを1つ減らすと自分で決めた方が、その後ぐっと落ち着いた例もあります。

統合失調症が治るのか、回復した方がどんな経過をたどったのか。それは統合失調症は治るのか・回復した事例で詳しく紹介しています。予後について知りたい方は、そちらをお読みください。

よくある質問

統合失調症のリハビリと地域支援について、診察室でよく受ける質問をまとめました。

Q. 統合失調症のリハビリは、いつから始めればよいですか?

A. 主治医が状態を見て判断します。急性期に幻覚や妄想が強い時期は、まず休養と薬物療法が優先されます。

症状が和らぎ、日中の活動に体力が向いてきた回復期以降。デイケアや作業療法から少しずつ始めるのが一般的です。焦って早く始めるほど良いというものではありません。診察のときに「そろそろ何か始めたい」と伝えてみてください。

Q. デイケアや訪問看護にはいくらかかりますか?

A. 自立支援医療(精神通院医療)を申請してください。公的医療保険の自己負担が、原則3割から1割に軽減されます。デイケアと訪問看護はどちらもこの制度の対象です。

さらに世帯の所得に応じて、1か月の負担上限額が決まります。統合失調症は「重度かつ継続」の対象疾患とされています。市町村民税非課税世帯で受給者の収入が80万円以下なら、上限は月2,500円です。金額は所得区分で変わるため、市区町村の窓口で確認してください。

Q. 障害者手帳を持っていないと自立支援医療は使えませんか?

A. 手帳がなくても申請できます。自立支援医療と精神障害者保健福祉手帳は別々の制度で、それぞれ単独で申請が可能です。同時に申請すると、診断書が1枚で済む場合もあります。手帳を持つことに抵抗がある方でも、医療費の軽減だけを先に受けられます。

Q. 入院中ですが、退院後に一人で暮らせるか不安です。

A. 精神科病院に入院している方は、地域移行支援の対象になります。相談支援専門員が住まい探しの相談に乗ります。退院前に地域のサービスを体験利用したり、実際に宿泊を体験したりできる仕組みです。

支給決定期間は6か月間とされています。退院後も、地域定着支援を使えば連絡体制を確保できます。まずは病院の精神保健福祉士に相談してください。

Q. 統合失調症は治るのでしょうか?

A. 回復して仕事や生活を続けている方は、実際に大勢います。ただ、この記事は地域で暮らすための制度を扱います。予後や回復の経過については、別の記事で詳しく解説しています。回復した方の具体的な経過を知りたい場合は、統合失調症は治るのかを整理した記事をお読みください。

Q. 家族が受診を拒んでいます。本人抜きで相談できますか?

A. できます。精神保健福祉センターと保健所は、ご家族だけの相談も無料で受け付けています。本人が受診に至っていない段階の相談も想定された窓口です。お住まいの自治体名と「精神保健福祉センター」で検索すると、窓口が見つかります。

まとめ|制度は申請しないと始まらない

統合失調症のリハビリと地域支援は、そろえて使うことで力を発揮します。

この記事で扱った7つの制度と資源を、もう一度並べておきます。

  • 精神科デイケア:日中の居場所と生活リズム
  • 作業療法(OT):手を動かしながら生活機能を回復する
  • SST:対人場面をあらかじめ練習する
  • 精神科訪問看護:自宅で体調・服薬・手続きを支える
  • 自立支援医療:通院・デイケア・訪問看護を1割負担にする
  • 精神障害者保健福祉手帳:1級から3級、2年ごとの更新
  • 地域移行支援・地域定着支援:退院の準備と、その後の連絡体制

どれも、申請しなければ動き出しません。そして申請の書類は、体調が悪い時期ほど重く感じられます。

だからこそ、まわりを頼ってください。主治医や精神保健福祉士、訪問看護師に「これ、手伝ってください」と言ってしまうのが確実です。

まず何から始めるか。迷ったら自立支援医療からにしてください。統合失調症は「重度かつ継続」の対象疾患にあたり、負担が目に見えて軽くなります。次の診察で、診断書のことを一言たずねる。それが最初の一歩です。

ヒロクリニック心療内科は川口院・池袋駅前院で診療しています。自立支援医療の診断書にも対応しています。048-430-7000 または公式LINEからご相談ください。

【監修】ヒロクリニック心療内科編集部/運営統括:岡 博史(医師・医学博士)。本記事の制度に関する記載は、厚生労働省の公開資料に基づいて作成しています。参照したのは、自立支援医療(精神通院医療)の概要、障害者手帳について、障害福祉サービスの内容です。制度は改定されることがあります。最新の取り扱いは、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

医師監修 監修日:2025年10月8日

佐々木先生 (ささき)

医師・医学博士 ヒロクリニック医師

略歴

  • 2008年 佐賀大学卒業
  • 2019年 ヒロクリニック心療内科

資格・所属

  • 日本精神神経学会専門医
  • 日本精神神経学会指導医
  • 精神保健指定医

この記事は、ヒロクリニック心療内科の編集・監修体制にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。