復職の不安…適応障害後の働き方とは | ヒロクリニック

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復職の不安…適応障害後の働き方とは

頭を抱える女性

適応障害からの回復後、「また同じような状況にならないだろうか」「仕事をきちんとこなせるだろうか」という不安は、多くの人が抱く自然な感情です。復職はゴールではなく、新たなスタートライン。無理なく働き続けるためには、復職前の準備、職場でのサポート体制、そして自分自身のセルフケアが欠かせません。本記事では、適応障害からの復職における不安の正体と、それを和らげながら働くための具体的な方法を解説します。 1. 適応障害と復職の関係を正しく理解する 適応障害とは 適応障害は、特定の環境変化や強いストレス要因にうまく適応できず、心身の不調が現れる疾患です。主な症状としては、不安感や抑うつ、集中力の低下といった精神症状だけでなく、頭痛・動悸・倦怠感・胃腸の不調などの身体症状も伴います。これらは単なる気分の浮き沈みや性格の問題ではなく、脳と自律神経のバランスが崩れることによって起こる医学的な反応です。 国際的にも、米国精神医学会の診断基準「DSM-5」や世界保健機関の「ICD-10」に明記されており、診断基準・治療方針が確立されたれっきとした精神疾患です。また、症状はストレス要因が始まってから3か月以内に出現し、原因が解消されると改善しやすいという特徴がありますが、放置すればうつ病や不安障害などへ移行するリスクもあります。 なぜ復職が不安になるのか 適応障害からの復職は、単に休んだ分の仕事に戻るだけではなく、「再びストレスと向き合うこと」そのものが大きな試練となります。復職にあたっては、次のような心理的負担が重なりやすいのです。 このように、適応障害からの復職は心身の回復と同時に、再発予防・環境調整・自己信頼の再構築が不可欠です。 「症状が落ち着いた=すぐ復帰できる」ではなく、働き方や職場環境の見直しを含めた段階的なアプローチが、安心して職場に戻るための重要な鍵となります。 2. 復職前に整理すべき3つのポイント ① 医師による復職可否の判断 復職の第一歩は、主治医や産業医による医学的な評価です。適応障害は症状の波があるため、一時的に調子が良くても安定が続かない場合があります。医師が復職可能と判断するためには、次のような条件が整っていることが望まれます。 自己判断での復帰は、再発リスクを高めます。必ず医師と相談し、段階的な復職プランを作成することが重要です。 ② 職場との事前調整 復職の不安を軽減するには、職場とのすり合わせを事前に行うことが不可欠です。特に、人事担当者や直属の上司とは以下の点を話し合いましょう。 復職後のギャップを減らすには、「何をどのペースでやるか」を双方で明確にすることが大切です。 ③ 生活基盤の安定 復職は仕事だけでなく、日常生活の安定が前提条件です。通勤、家事、睡眠などが滞りなくこなせる体力・気力が整っていないと、職場復帰後すぐに疲弊してしまう可能性があります。 生活リズムが乱れたまま復職すると、症状再発のリスクが急激に高まるため、家庭・健康・職場のバランスを整えてから復帰することが重要です。 3. 復職後に意識すべき働き方の工夫 ① 業務負荷を徐々に増やす 復職直後は、体力・集中力・精神的余裕がまだ完全には戻っていない場合が多く、いきなり以前と同じペースで働くと再発のリスクが高まります。そのため、段階的な業務復帰が基本です。 「早く元の自分に戻らなければ」という焦りは逆効果です。“少し物足りない”くらいのペースで進めることが、長期的な安定につながります。 ② こまめな自己チェック 復職後は、自分の体調やメンタルの変化を見逃さないことが重要です。特に、適応障害は症状の再燃(ぶり返し)が起きやすいため、自己モニタリングの習慣をつけましょう。 日記やスマホアプリを使い、毎日1分で記録するだけでも、早期のサインに気づけます。もし3日以上悪化傾向が続く場合は、医師や上司への相談を検討しましょう。 ③ サポートを活用する 復職後は、「一人で抱え込まない仕組み」をあらかじめ作っておくことが大切です。 特に、「調子が悪いときは早めに知らせる」と周囲に伝えておくことで、悪化する前に環境調整が可能になり、再発予防に直結します。 4. 復職後に生じやすい不安とその対処法 ① 「また休むことになるのでは」という再発への不安 適応障害の経験者にとって、最も多い心理的負担が「再発への恐れ」です。特に復職初期は、ちょっとした疲労やストレス反応を「また悪化するのでは」と過敏に感じてしまうことがあります。この不安を和らげるには、小さな成功体験を積み重ねることが有効です。 「1日ごとの積み重ね」が、再発不安を和らげる最大の武器です。 ② 周囲の視線や反応が気になる 復職後は、「同僚がどう思っているか」「評価が下がっていないか」という不安がつきまといます。しかし、復職理由や経緯を細かく説明する義務はありません。 “説明責任”ではなく、“業務に集中できる環境”を守ることが、安定した再スタートの鍵です。 ③ 業務パフォーマンスの低下 休職前と同じパフォーマンスをすぐに発揮できないのは自然なことです。焦って元のスピードや質を目指すと、心身に再び負担がかかります。 自分を追い詰めず、“できる範囲”を着実にこなす働き方が長期的な安定を生みます。 5. 再発防止のためのセルフケア習慣 適応障害からの回復後は、症状が再び悪化しないように日常生活での予防策を意識することが重要です。特に以下の3つの習慣は、再発リスクを大きく下げます。 …

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