MiSeq FGx Systemは、ヒロクリニックの出生前親子鑑定で使用している次世代シーケンサー(NGS)です。もともとは法医学分野向けに開発された機器で、ヒロクリニックは日本で初めてこの機器を出生前親子鑑定に導入しました。ここでは、MiSeq FGx Systemがどのような機器で、出生前親子鑑定にどう活かされているのかを解説します。
妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定
MiSeq FGx Systemとは
MiSeq FGx Systemは、Illumina(イルミナ)社の技術をもとに、法医学分野に特化した次世代シーケンサーとして開発された機器です。現在はQiagen(キアゲン)社が提供しており、世界で10万件以上の実績を持ちます。
- 解析できる項目の幅広さ:専用の試薬キットと組み合わせることで、STR型やSNP型など最大231種類の遺伝マーカーを同時に解析できます。
- 公的機関での採用実績:米国連邦捜査局(FBI)が管理する国家DNAデータベース「NDIS」で、次世代シーケンシング技術として初めて承認された機器です。
もともとは犯罪捜査など法医学分野での個人識別を主な用途として開発されましたが、高精度なSTR解析能力を活かし、親子鑑定など血縁関係の判定にも応用が進んでいます。
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出生前親子鑑定への活用方法
出生前親子鑑定では、母体の血液に含まれる胎児由来のDNA断片を解析します。MiSeq FGx Systemは、この解析に必要な精度とデータ量を備えている点が特徴です。
長いリード長でSTRを正確に読み取れる
STRの解析には、繰り返し配列を正確に読み取れるだけの十分なリード長(一度に読み取れるDNA配列の長さ)が必要です。MiSeq FGx Systemは最大600bpのリード長に対応しており、繰り返し配列の数や順序を正確に判定できます。
大量データを短時間で処理できる
次世代シーケンサーは一度に大量のDNA配列データを生成できるため、複数のSTR座位を同時に、かつ短時間で解析できます。ヒロクリニックでは、この能力を活かしてSTRを52箇所解析し、高精度な判定を行っています。
法医学的な標準に準拠している
MiSeq FGx Systemは、法医学分野の国際標準規格「ISO 18385」に準拠した試薬・工程で運用されており、信頼性と一貫性が担保された設計になっています。
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ヒロクリニックが日本で初めて導入した理由
ヒロクリニックは、MiSeq FGx Systemを出生前親子鑑定に日本で初めて導入しました。自社ラボ「東京衛生検査所」は次世代シーケンサーを5台保有し、CAP・ISO9001の認証を取得したうえで、専属医師の管理下で運用しています。
統括院長の岡博史(医学博士、CAPラボディレクター)は「法医学分野で実績のある機器と工程をそのまま出生前親子鑑定に応用することで、検体の取り違えや解析ミスのリスクを抑えながら、高い精度を安定して提供できます」と話しています。多くの検査機関では簡易的なシーケンサー(MiniSeqなど)を使用しているケースもありますが、その場合はリード長の制約からSTR解析が難しいことがあります。この違いについては、MiniSeqではSTRは読めませんの記事で詳しく解説しています。
より詳しい機器仕様は、Qiagen公式サイトのMiSeq FGx Systemページで確認できます。
検体採取から結果報告までの流れ
MiSeq FGx Systemでの解析自体は検査所内で行われるため、妊婦さんやパートナーが直接この機器に触れる場面はありません。実際の流れは、次のようになります。
- 採血:クリニックで母体の血液を採取します。妊娠6週0日から検査が可能です。
- 検体の配送:採取した血液は、医療機関から自社ラボ「東京衛生検査所」へバーコード管理のもと直接配送されます。
- DNA抽出とシーケンシング:血液中の胎児由来DNAを抽出し、MiSeq FGx SystemでSTRを解析します。
- 結果報告:解析結果はメールで届きます。法的鑑定の場合は、医師の直筆サインが入った書類が別途郵送されます。
私自身、この一連の流れを確認するたびに、機器の性能だけでなく検体管理の丁寧さが結果の信頼性を支えていると感じます。次世代シーケンサーがどれほど高精度でも、検体が正しく管理されていなければ意味がありません。
よくある質問
MiSeq FGx Systemはどのような検査に使われていますか。
もともとは法医学分野の個人識別を目的に開発された次世代シーケンサーです。ヒロクリニックでは、この機器のSTR解析能力を出生前親子鑑定に応用しています。
他の検査機関との違いは何ですか。
検査機関によっては、リード長の短い簡易的なシーケンサーを使用している場合があり、STRを正確に解析できないことがあります。ヒロクリニックはMiSeq FGx Systemを使用することで、STRを52箇所解析できる体制を整えています。
MiSeq FGx Systemは日本国内でも広く使われていますか。
ヒロクリニックは、この機器を出生前親子鑑定に日本で初めて導入しました。世界では10万件以上の実績を持つ機器です。
検査結果の信頼性はどのように担保されていますか。
機器の性能に加え、検体のバーコード管理や全自動検査システム、CAP・ISO9001認証を取得した自社ラボでの運用など、複数の仕組みで管理しています。
検査精度についてさらに詳しく知りたい場合はどうすればよいですか。
当院の検査精度についてのページで、判定に用いる統計指標の考え方を解説しています。あわせてご確認ください。
まとめ
MiSeq FGx Systemは、法医学分野で実績のある次世代シーケンサーです。ヒロクリニックは日本で初めてこの機器を出生前親子鑑定に導入し、STRを52箇所解析することで高精度な判定を実現しています。
STRとSNPの違いについてさらに詳しく知りたい方は、親子鑑定にSTR以外にSNPも必要ですか?の記事もあわせてご覧ください。
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略歴
- 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
- 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
- 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
- 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
- 2009年 医療法人社団福美会 理事長
- 2015年 医療法人社団福美会 理事
資格・所属
- CAPラボディレクター
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
- 日本医師会 産業医
- 東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
堤 修一 (つつみ しゅういち)
医師・医学博士 / ヒロクリニック博多駅前院 院長
略歴
- 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
- 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
発信・関連リンク
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- Xavier C, de la Puente M, Arden T, et al. Evaluation of the MiSeq FGx Forensic Genomics System for forensic analysis. Forensic Sci Int Genet. 2016;25:124-135.
- Novroski NM, King JL, Churchill JD, Seah LH, Budowle B. Characterization of STR loci of the ForenSeq DNA Signature Prep Kit on the MiSeq FGx Forensic Genomics System. Forensic Sci Int Genet. 2016;25:102-113.





