父親が行う認知とは

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この記事の概要

認知とは、未婚の父親が自分の子供であることを法的に認める手続きです。認知が行われると、子供は父親との法的な親子関係が確立され、養育費や相続権などの権利を持つことになります。認知は、父親が自発的に行う「任意認知」と、母親や子供が裁判所に申し立てることで行われる「強制認知」、そして子供が生まれる前に行う「出生前認知」の3つの形式があります。

父親が行う「認知」は、婚姻関係にない男女の間に生まれた子との間に、法律上の父子関係を生じさせる民法上の手続きです。DNA鑑定の結果だけでは戸籍上の親子関係は変わらず、認知の届出や裁判所の手続きを経て初めて法的な効力が生じます。

「DNA鑑定で親子と分かれば、それだけで認知したことになるのでは」と誤解されている方も少なくありません。この記事では、認知という制度の基本と、出生前親子鑑定(DNA鑑定)がどのような場面で関わってくるのかを整理して解説します。

本記事は法律の一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。認知の手続きや条文の解釈について具体的に知りたい場合は、必ず弁護士・法テラス・法務局など専門家にご確認ください。

この記事でわかること

  • 認知とはどのような制度か(民法上の基本的な位置づけ)
  • DNA鑑定の結果と認知の法的な効力の違い
  • 私的鑑定と法的鑑定、認知の手続きに関わるのはどちらか
  • 任意認知・強制認知・胎児認知(出生前認知)の違い
  • 認知に関してよくある5つの疑問
  • 認知によって生じる養育費(扶養)・相続などの法的な権利義務

認知とは何か|民法上の基本を確認しておきましょう

認知とは、婚姻関係にない父又は母が、自分の子であると法律上認める手続きです。認知が成立すると、それまで法律上のつながりがなかった子との間に、法律上の父子(または母子)関係が生じます。

婚姻関係にない男女の間に生まれた子は、出生の時点では法律上の父が定まっていません。民法779条では、父又は母がその子を認知できる旨が定められています。認知の届出は、原則として市区町村役場の戸籍窓口に届け出る方式で行います(民法781条)。

認知が成立すると、養育費など扶養に関する義務や、将来の相続権といった法律上の権利義務も発生します。認知の効力は子の出生時にさかのぼって生じるとされていますが、具体的な取り扱いは個別の事情によって異なるため、詳細は弁護士や法務局にご確認ください。

私自身、出生前親子鑑定のご相談を受ける中で、「DNA鑑定さえ受ければ認知の手続きは終わる」と思い込んでいた方に何度もお会いしてきました。鑑定と認知は別の手続きだと理解しておくだけで、その後の進め方をスムーズに検討できます。

意外と知られていないのが、認知が成立しても子の氏(姓)は当然には変わらないという点です。父の氏を名乗るには、家庭裁判所の許可を得たうえで届け出る必要があります(民法791条)。詳しい手続きは裁判所「子の氏の変更許可」のページで案内されていますので、参考にしてください。

戸籍や嫡出推定との関係など、より詳しい法的な論点はDNA出生前親子鑑定の実施における法的問題でも解説しています。あわせてご覧ください。

出産前に父子関係を確認できる検査
法的鑑定もできる

認知とDNA鑑定はどう関わるのか|法的鑑定が果たす役割

DNA鑑定は認知そのものではありませんが、認知するかどうかを判断する材料や、認知に関する話し合い・手続きを進めるうえでの根拠として活用されています。特に、裁判所や役所に提出する可能性がある場面では、どの種類のDNA鑑定を選ぶかが重要になります。

出生前親子鑑定には、大きく分けて私的鑑定と法的鑑定の2種類があります。私的鑑定はご本人が血縁関係を確認するための検査で、本人確認や採取時の立会いは原則不要です。一方、法的鑑定は本人確認と第三者の立会いのもとで実施し、裁判所や役所などに提出できる証拠能力を持たせた検査です。

項目私的鑑定法的鑑定
主な目的ご本人の状況確認認知の話し合い・裁判所や役所への提出等
本人確認・立会い原則不要必要
ヒロクリニックの料金(税込)108,000円149,800円
認知の法的手続きへの活用参考情報にとどまることが一般的証拠として提出できる場合がある

認知してもらえるかどうかで話し合いが難航している場合や、将来的に家庭裁判所の手続きに進む可能性がある場合は、私的鑑定ではなく法的鑑定を選んでおくと、後になって鑑定を受け直す手間を避けられます。裁判における証拠としての扱われ方は事案や裁判所の判断によって異なるため、申し込み前に弁護士へ相談し、法的鑑定が必要かどうかを確認しておきましょう。

ヒロクリニックでは、STR法(52座位)による解析で99.99%以上の精度を実現し、自社ラボ「東京衛生検査所」(CAP・ISO9001取得)で一貫して検査を行っています。統括院長・岡博史(医学博士、CAPラボディレクター)が医療監修を担当し、検体の受け渡し回数を抑えることで取り違えリスクを低減する体制を整えています。

費用面の詳しい内訳は出生前親子鑑定の費用相場|他院4社比較と選び方で、私的鑑定と法的鑑定の違いはDNA鑑定の費用(私的、法的鑑定の比較)でも詳しく紹介していますので、あわせてご確認ください。

認知の主な種類|任意認知・強制認知・胎児認知(出生前認知)

認知には、父親が自ら進んで行う「任意認知」、裁判所の手続きを通じて認めさせる「強制認知」、そして子の出生前に行う「胎児認知(出生前認知)」の3つの類型があります。どの方法に該当するかによって、必要な手続きや関係者の同意の要否が変わってきます。

任意認知

任意認知は、父親が自ら進んで子を自分の子として認める手続きです。市区町村役場に認知届を提出することで成立し、子には法律上の父子関係が生じます。扶養義務や相続権といった法律上の権利義務も、この届出の受理をもって発生します。話し合いで合意できている場合、3つの類型の中でもっともシンプルに進められる方法といえるでしょう。

任意認知は父親側の意思表示によって成立する手続きで、原則として子や母の同意は求められません。胎児認知の場合だけ母の承諾が必要になる点と混同しやすいので、この違いは押さえておきましょう。

強制認知(認知の訴え)

強制認知とは、父親が任意に認知しない場合に、裁判所の手続きを通じて法律上の父子関係を認めさせるものです。民法787条では、子やその法定代理人などが認知の訴えを提起できる旨が定められており、実務上はまず家庭裁判所の調停から進めるのが一般的です。手続きの中では、親子関係を確認する資料としてDNA鑑定が用いられることがあります。ご自身のケースで何から始めればよいか迷う場合は、早めに弁護士へ相談してください。

胎児認知(出生前認知)

胎児認知は、子がまだ生まれる前に父親が行う認知です。民法783条により、胎児認知には母親の承諾が必要とされています。出生後の認知と同様に、子が生まれた時点で法律上の父子関係が認められます。

一般的な届出の流れは、次のようなステップで進みます。ただし必要書類は自治体や個別の事情によって異なる場合があるため、届出前に窓口へ確認しておくと安心です。

  1. 届出先の確認:市区町村役場の戸籍窓口に届け出ます。
  2. 必要書類の準備:認知届、届出人の印鑑、母の承諾書、戸籍謄本などが一般的に求められます。
  3. 窓口への提出:書類一式を揃えて役場に提出します。
  4. 受理・記載:書類が受理されると、子の出生後に戸籍へ反映されます。

妊娠中に将来を見据えて手続きを進めておきたいという相談は、決して珍しくありません。時間に余裕を持って窓口に確認しておくことで、出産後の手続きをスムーズに進められます。

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認知が成立すると生じる権利義務|養育費と相続

認知が成立すると、子には父に対して養育費(扶養)を請求できる立場と、父の法定相続人になる立場が法律上生じます。DNA鑑定はあくまで血縁関係を明らかにする検査ですが、その先にどのような権利義務が生まれるのかを知っておくと、認知するかどうかの話し合いを進めやすくなります。

民法877条は、直系血族(親子など)が互いに扶養をする義務を負うことを定めています。認知によって法律上の父子関係が生じると、子は父に対して養育費を請求できる立場になります。実務上は、家庭裁判所が公表している算定表などを参考にしながら、双方の収入や生活状況を踏まえて話し合いや調停で金額を決めるのが一般的です。具体的な金額の見通しについては、弁護士や家庭裁判所にご相談ください。

相続についても、認知の有無で子の立場は大きく変わります。かつて民法900条4号ただし書では、婚姻関係にない父母から生まれた子(非嫡出子)の法定相続分は、嫡出子の2分の1と定められていました。しかし2013年9月4日、最高裁判所大法廷はこの規定を憲法14条1項が定める法の下の平等に違反するとの決定を下し、同年12月の民法改正でこの規定は削除されました。現在は、認知された子も嫡出子と同じ割合で法定相続分を持ちます。

項目認知前認知後
法律上の父子関係生じていない生じる
養育費(扶養)の請求原則として請求できない請求できる立場になる
父の相続権ないある(嫡出子と同じ割合)
戸籍への記載父の欄は空欄のまま認知した父の氏名が記載される

相談を受けていると、認知によって子の将来の権利がどう変わるのかまで理解した上で来院される方は、実はそれほど多くありません。DNA鑑定の結果と、認知が成立した後に生じる法的な権利義務は別の話であることを押さえておくと、その後の話し合いや手続きの見通しが立てやすくなります。個別の金額や手続きの進め方は、弁護士や法テラス、家庭裁判所にご確認ください。

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法的鑑定もできる

よくある質問

このセクションでは、認知とDNA鑑定に関して特にお問い合わせの多い7つの質問にお答えします。費用面など、その他の疑問についてはよくある質問ページもご参照ください。

認知とDNA鑑定の結果は同じ意味を持ちますか?

いいえ、同じではありません。DNA鑑定の結果は遺伝的なつながりを示す医学的な情報であり、それだけで戸籍上の法律上の親子関係が生じるわけではありません。法律上の父子関係を発生させるには、認知の届出や裁判所の手続きが別途必要です。DNA鑑定は、認知するかどうかを判断したり、認知の届出や話し合いを進めたりするための材料として活用されています。

胎児認知(出生前認知)は誰でもできますか?母親の同意は必要ですか?

父親候補となる男性が単独で行える手続きではありません。胎児の段階で認知を行う場合は、民法783条により母親の承諾が必要とされています。母親の同意が得られない場合の対応については、お住まいの市区町村窓口や弁護士にご確認ください。

認知の手続きに使うDNA鑑定は、私的鑑定と法的鑑定のどちらが必要ですか?

役所や裁判所への提出を予定している場合は、本人確認と第三者の立会いのもとで実施する法的鑑定を選んでください。私的鑑定はご本人が事実関係を把握するための検査であり、法的な証拠としての提出には向いていません。ただし提出先によって求められる書類や条件が異なることがあるため、事前に届出先の窓口へ確認しておくと安心です。

父親が認知してくれない場合はどうすればよいですか?

話し合いで任意認知に応じてもらえない場合は、家庭裁判所の調停や、認知の訴え(強制認知)といった法的手続きを検討することになります。民法787条では、子やその法定代理人などが認知の訴えを提起できる旨が定められています。手続きの進め方は個別の事情によって異なるため、弁護士や法テラスに相談することをおすすめします。

認知の届出はどこで行い、どのような書類が必要ですか?

認知届は、市区町村役場の戸籍窓口に提出します。一般的には認知届、届出人の印鑑、戸籍謄本などが必要とされますが、状況によって必要書類が異なる場合があります。提出前に、届出を予定している市区町村の窓口へ問い合わせておくと手続きがスムーズです。

認知されると、子は父の遺産を相続できますか?

認知によって法律上の父子関係が生じると、子は父の法定相続人となります。以前は非嫡出子の相続分が嫡出子の2分の1とされていましたが、2013年の最高裁判所大法廷決定と同年の民法改正により、この規定は廃止され、現在は嫡出子と同じ割合で相続する権利を持ちます。相続に関する具体的な手続きは、弁護士にご確認ください。

認知された子は父に養育費を請求できますか?

認知により法律上の父子関係が生じると、子は父に対して扶養(養育費)を請求できる立場になります。金額や支払い方法は、話し合いや家庭裁判所の調停・審判で決めるのが一般的です。具体的な金額の目安については、弁護士や家庭裁判所にご相談ください。

まとめ

認知は、婚姻関係にない父又は母と子との間に法律上の親子関係を生じさせる民法上の手続きです。DNA鑑定の結果だけで戸籍上の親子関係が変わるわけではなく、認知の届出や裁判所の手続きを経て初めて法的な効力が生じます。

認知の話し合いや手続きに検査結果を役立てたい場合は、私的鑑定と法的鑑定の違いを理解したうえで、目的に合った検査を選んでください。法的な手続きの進め方そのものについては、弁護士や法テラス、法務局といった専門家に相談することをおすすめします。

関連記事として、DNA出生前親子鑑定の実施における法的問題、出生前親子鑑定の費用相場|他院4社比較と選び方もあわせてご覧ください。


執筆・医療監修: 岡博史(医療法人社団福美会 理事長/ヒロクリニック統括院長/医学博士)
慶應義塾大学医学部卒業、同大学院医学博士号取得。CAPラボディレクター、東京衛生検査所 指導監督医。

本記事の法律に関する記述は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な手続きについては、必ず弁護士・法テラス・法務局など専門機関にご確認ください。

参考情報: e-Gov法令検索「民法」 / 法務省「民法等の一部を改正する法律について」 / 法テラス(日本司法支援センター)

出産前に父子関係を確認できる検査
法的鑑定もできる

医師監修 監修日:2024年8月30日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年8月30日

堤 修一 (つつみ しゅういち)

医師・医学博士 ヒロクリニック博多駅前院 院長

略歴

  • 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

発信・関連リンク

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. 民法(明治29年法律第89号). 第779条(認知)、第781条(認知の方式)、第787条(認知の訴え).
  2. 戸籍法(昭和22年法律第224号). 第60条、第61条(認知の届出).
  3. 法務省. 認知届 [Internet]. 東京: 法務省; [cited 2023 Oct].
  4. 裁判所. 認知調停 [Internet]. 東京: 最高裁判所; [cited 2023 Oct].
  5. 日本法医学会. DNA親子鑑定に関する指針. 法医学の実際と研究. 2011;54:79-82.
  6. Wagner A, Bilić R, Jurić F, et al. Non-invasive prenatal paternity testing (NIPPT) using cell-free fetal DNA: A review of the literature. Forensic Sci Int Genet. 2020;49:102383.

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