「露出部以外」とは?

  • 顔、首、手、前腕、下腿など衣服で隠れにくい部分以外を指します。
  • 胸、腹部、背中、腰、臀部、大腿など、普段衣服で覆われる体幹や四肢の部分が「露出部以外」です。
  • 整容性(見た目)の配慮は必要ですが、露出部に比べると優先度はやや低く、腫瘍を確実に取り除くことが重視されます。

皮膚・皮下腫瘍とは?

  • 皮膚の表面や皮下組織にできる腫瘍のこと。
  • 良性腫瘍:脂肪腫、粉瘤(アテローム)、線維腫など
  • 悪性腫瘍:基底細胞がん、扁平上皮がん、悪性黒色腫など

手術が必要な理由

  • 良性でも大きくなると圧迫感や痛み、炎症を起こすことがある
  • 悪性腫瘍の可能性が否定できない
  • しこりの存在自体が不安や日常生活の妨げになることがある

手術の目的

  • 腫瘍を完全に切除し、症状を改善する
  • 摘出した腫瘍を病理検査に提出して確定診断を行う
  • 再発や悪性化を防ぐ

手術の流れ

  1. 麻酔
    • 多くは局所麻酔(日帰り可能)。大きな腫瘍や深いものは全身麻酔で行う場合もある。
  2. 切開
    • 腫瘍の大きさに合わせて皮膚を切開。露出部に比べて傷あとを隠しやすいため、切開線のデザインは機能性優先。
  3. 腫瘍の摘出
    • 腫瘍と周囲の組織を切除。
    • 良性 → 腫瘍をくり抜くように切除。
    • 悪性の疑い → 周囲を広めに切除。
  4. 止血と縫合
    • 出血を止めて縫合。大きな切除で皮膚が足りない場合は皮弁や植皮を行う。
  5. 病理検査
    • 摘出した腫瘍を顕微鏡で検査し、良性か悪性かを確定する。

手術時間と入院

  • 小さい腫瘍:30分〜1時間程度、日帰り
  • 大きい腫瘍や悪性腫瘍:1〜2時間以上、数日の入院

メリット

  • 腫瘍を完全に除去できる
  • 病理診断で安心できる
  • 症状や不快感の改善

デメリット・リスク

  • 傷あとが残る(ただし衣服で隠れる部位)
  • 出血や感染
  • 神経や血管損傷の可能性
  • 再発のリスク

術後の注意

  • 傷を清潔に保つ
  • 抜糸は1週間前後(溶ける糸を使う場合は不要)
  • 体幹部は動作で皮膚が引っ張られるため、無理な運動を控える
  • 悪性の場合は追加治療(再手術・放射線・化学療法)が必要なこともある

まとめ

皮膚・皮下腫瘍摘出術(露出部以外)は、胸や腹、背中、大腿など衣服で隠れる部分の腫瘍を切除する手術です。
整容性よりも「確実な摘出」と「診断確定」が重視されます。良性なら比較的短時間で日帰り可能ですが、悪性腫瘍の疑いがある場合は広めに切除し、追加治療が必要になることもあります。