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脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは、過剰な皮脂やマラセチアという真菌によって引き起こされる慢性的な湿疹のことです。この記事では、脂漏性皮膚炎の症状・原因・治療などを具体的に解説します。

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)とはどんな病気?


人間の皮膚には、皮膚表面のあぶら(皮脂:ひし)を分泌する脂腺(しせん)という組織が存在しています。
頭・額・鼻の周り・わきの下などは脂漏部位(しろうぶい)と呼ばれており、脂腺が発達して集まっているため皮脂の分泌が特に活発といわれています。
この脂漏部位に慢性的な湿疹ができるのが脂漏性皮膚炎の特徴です。
別名、脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)と呼ばれることもあります。
脂漏性皮膚炎という病名はあまり聞き馴染みがない方も多いと思いますが、実は非常にありふれた病気で、皮膚科外来を受診する患者さまの約3%を脂漏性皮膚炎が占めているともいわれています。1)
また女性よりも男性がかかりやすい病気で、男女比は約2:1です。
年齢別にみると、生後3カ月以内の乳児と30~70歳の成人に好発します。

脂漏性皮膚炎の症状


脂漏部位の皮膚が炎症を起こし、落屑性紅斑(らくせつせいこうはん)という特徴的な見た目になります。
落屑とはフケのような白いカサつきのことで、紅斑とは赤い平坦な湿疹のことです。
つまり落屑性紅斑とは、赤い湿疹の上にフケのような白いカサつきが出ている状態を指します。
頭や髪の毛の生え際、鼻の周りの症状は目立ちやすいため、精神的に負担に感じる患者さまもいらっしゃいます。
いかにもかゆそうな見た目になりますが、意外とかゆみは感じないか、あっても軽いことが多いです。

脂漏性皮膚炎のタイプ分け


脂漏性皮膚炎には赤ちゃんにできる『乳児型』と、思春期以降にできる『成人型』の2種類があります。
それぞれの特徴について解説します。
乳児型の脂漏性皮膚炎

生後2〜4週ごろに発症し、頭・おでこ・まゆげ・鼻まわりなどに好発します。
黄白色の厚いかさぶたがこびりつくようになり、その周りに小さな湿疹が多発します。
かゆみは少なく、治療しなくても生後2〜3ヶ月頃には自然に治ることが多いです。
数ヶ月経っても治らない場合には、アトピーなど他の疾患の可能性を考える必要があります。
成人型の脂漏性皮膚炎

脂漏部位や皮膚がこすれやすい場所にできやすいとされています。
そのほかにも前胸部・上背部・へそ・股などにできることもあります。
症状の程度は様々ですが、重症な例では落屑が牡蠣(カキ)のからのように分厚くなり、こびりつくこともあります。
乳児型よりも治りにくく、慢性化しやすいです。

原因は、過剰な皮脂とマラセチア


皮脂の分泌が盛んな季節に生じやすいこと、脂漏部位に生じやすいことなどから、過剰な皮脂が脂漏性皮膚炎の原因と考えられています。
油っぽい肌質の人、肌がテカりやすい人は特に気をつけたほうがいいかもしれません。
また、マラセチアというカビも脂漏性皮膚炎に関係すると言われています。
マラセチアは誰の皮膚にでもいる常在菌(じょうざいきん)の一種です。
普段は無害ですが、皮脂を分解すると遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)という皮膚を刺激する物質を作り出してしまいます。
常在菌のバランスが崩れてマラセチアが増加すると、結果として遊離脂肪酸の量も増え、脂漏性皮膚炎を生じる原因の一つになると考えられています。
そのほかにもビタミンB6の代謝異常が関与しているという説や、ストレス・気温変化・湿度変化が関わっているという説もあります。

他の人にうつる?


カビが原因と聞くと感染性が心配になる方も多いと思います。
しかし結論を言うと、脂漏性皮膚炎が周りの人にうつる心配はほぼありません。
前述の通りマラセチアというカビ自体ほとんどの人の皮膚にもともと住んでいます。
多少マラセチアの移動があったとしても、それだけでは脂漏性皮膚炎は発症しないのが通常です。

検査・診断


特別な検査は必要ではありません。
脂漏性皮膚炎の特徴的な臨床症状から診断します。
ただし、見た目が似ている他の皮膚疾患でないことを確認しておく必要はあります。
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)・白癬菌やカンジダなどの真菌感染症・アトピー性皮膚炎・接触皮膚炎などは脂漏性皮膚炎と見た目が似ているため、これらの病気の可能性を考えて検査をする場合もあります。

他の皮膚疾患を否定するためには?


尋常性乾癬:特に頭の皮疹の場合に見分けることが困難です。尋常性乾癬の場合には四肢の関節などに皮疹が出やすいので、関節に皮疹がないかチェックしたり、悩ましい場合には皮膚生検(皮膚の一部をメスで切り取り、皮膚の断面を顕微鏡で確認する検査)などを行います。
真菌感染:真菌感染の可能性を否定するには落屑を顕微鏡で観察し、真菌の存在を確認します。この検査は非常に簡便に行えるため、検査されることも多いです。
アトピー性皮膚炎:アトピーでも脂漏性皮膚炎に似た症状になることがあります。血液検査でアトピーで特異的に上昇する項目などをチェックします。
接触皮膚炎:疑わしい物質との接触歴の有無から判断できることが多いですが、悩ましい場合にはパッチテストを検討する場合もあります。

脂漏性皮膚炎の治療法


塗り薬(ステロイドや抗真菌薬)を使って治療するのがもっとも効果的です。
落屑の量が多かったり痒みが強い場合にはまず強めのステロイドで治療し、症状が軽くなってきたら弱めのステロイドや抗真菌薬での治療に切り替えていきます。
ただしステロイド中止後には皮疹が再発しやすいため、結果として長期間の使用を余儀なくされることもあります。
その場合は皮膚の萎縮(いしゅく)やステロイドによる潮紅などの副作用も懸念されるため、慎重な経過観察が必要です。
その点抗真菌薬は長期間使用しても問題が起きにくいですが、症状が強い場合には少し効果が足りないように感じると思います。
また通常、皮膚の病変には軟膏やクリームを用いますが、頭皮の病変にはローションタイプの薬を地肌に塗るようにします。
このように、病変の部位に応じて薬の剤型を使い分けることで、それぞれの薬が最も高い効果を発揮できます。
脂漏性皮膚炎はそもそもが治りにくく、治っても再発しやすいという特徴があるため、気長に薬を塗り続けることも重要です。

補助的な治療


治療の中心は塗り薬になりますが、症状に応じて補助的な治療を併用します。
かゆみが強い場合には、かゆみ止めの内服薬を用いたり、皮脂の分泌を抑える目的でビタミンB2・B6・Hの内服薬を用いることもあります。
保湿剤を併用して肌の状態を整えるのも有効です。

治療中、してはいけないこと


皮脂が多いことやカビが原因になると聞くと、脂漏部位を「ゴシゴシ強く」「頻回に」洗いたくなると思いますが、過剰に洗うのは逆効果です。
皮脂を過剰に除去しすぎたら乾燥肌になりますし、強く洗うことで肌が傷つく恐れもあります。
最終的に脂漏性皮膚炎以外の肌トラブルにつながる恐れもありますので、あくまで優しく、丁寧に、適度な回数(1日1〜2回)洗うようにしましょう。

治療後の注意


小児型は自然に治ることが多いですが、成人型の脂漏性皮膚炎はきちんと治療しないと再発しやすいため、特に注意が必要です。
予防のためには、石鹸やシャンプーを用いて洗顔・洗髪を行い皮膚を清潔に保つこと、生活リズムを整えて健康な肌を維持することなどを意識してください。

まとめ


脂漏性皮膚炎は非常にありふれた病気ですが、適切なスキンケアで予防することができます。
日々のスキンケアを忘れずに行いましょう。
ご自身の症状で「これはもしかして脂漏性皮膚炎かも?」と思った場合にはなるべく早めに皮膚科を受診するようにしてください。


【参考文献】
・古江増隆他:本邦における皮膚科受診患者の多施設横断四季別全国調査.日皮会誌119:1795-1809,2009
・あたらしい皮膚科学 第3版 中山書店
・今日の皮膚疾患治療指針 第4版 医学書院

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