親子鑑定でSTR(短鎖反復配列)が重要視されるのは、個人ごとの違いが大きく、メンデルの法則に従って規則的に親から子へ受け継がれるためです。この規則性があるからこそ、子供のDNA型と親候補のDNA型を比較し、統計的な確からしさをもって親子関係を判定できます。この記事では、STRが親子鑑定に適している理由を4つの観点から解説します。
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この記事でわかること
STRが親子鑑定で重視される4つの理由
メンデルの法則とSTR型の遺伝の仕組み
親子鑑定以外でのSTRの活用場面
1. 個人差が大きく、識別力が高い
STRは、同じ座位でも人によって繰り返し回数が異なる多型性の高い領域です。この多型性の高さが、STRを個人識別や親子鑑定に用いる最大の理由です。
繰り返し回数のパターン(アリル)は座位ごとに数種類から十数種類存在し、複数の座位を組み合わせることで、無関係な人物同士が偶然すべて一致する確率は極めて低くなります。座位数を増やすほど識別力が高まる仕組みはヒロクリニックのNIPPT検査項目でも紹介しています。
2. メンデルの法則に従って規則的に遺伝する
STRは、メンデルの法則に従って親から子へ受け継がれます。子供が持つ2つのアリルのうち、一方は父親から、もう一方は母親から、それぞれ1つずつ受け継いだものです。
この規則性があるからこそ、特定のSTRマーカーについて「子供が両親のどちらから、どのアリルを受け継いだか」を確認する作業が成立します。子供のアリルが両親のいずれのアリルとも一致しない場合、その座位は不一致と判定されます。不一致マーカーが結果全体にどう影響するかは親子鑑定の尤度比を求める方法で詳しく解説しています。
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3. 少量のDNAから簡便かつ高精度に分析できる
STRはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法で効率よく増幅できるため、頬粘膜や血液など、少量のサンプルからでも安定した分析が可能です。PCRの仕組みはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)をわかりやすく解説で紹介しています。
現在は次世代シーケンサーを用いた解析技術の進歩により、STRプロファイリングはさらに高精度化しています。微小な繰り返し回数の違いも正確に検出できるため、判定結果の信頼性向上につながっています。
4. 国際的に標準化され、データベースとの比較がしやすい
法医学的DNA分析で使用するSTRマーカーの多くは、国際的に標準化されたセットが定められています。米国のCODIS(Combined DNA Index System)で採用されているマーカーもその一例です。
標準化されたマーカーを用いることで、異なる検査機関や国の間でも結果を比較しやすくなります。この標準化されたマーカーセットに加えて独自の座位を増やしている点が、ヒロクリニックの検査体制の特徴です。
STRが活用される主な分野
STR型分析は、親子鑑定以外にもさまざまな分野で活用されています。
- 親子鑑定:子供と親候補のSTR型を比較し、一致するアリルを確認することで親子関係を判定します。
- 法医学(犯罪捜査):犯罪現場に残されたDNAサンプルと被疑者のDNA型を比較し、個人識別に活用します。
- 系譜学・集団遺伝学研究:家系や集団内の遺伝的多様性を調べる研究でも広く利用されています。
統括院長の岡博史は「STRの仕組みを理解していただくと、なぜ複数の座位を検査する必要があるのか、報告書の数値の意味も伝わりやすくなります」と、来院者への説明でSTRの基本を伝えることの重要性を口にしています。
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よくある質問
STRとSNPはどちらが親子鑑定に向いていますか。
STRはSNPに比べて座位ごとの多型性(個体間の違い)が高く、少ない座位数でも高い識別力を発揮しやすいという特徴があります。そのため、親子鑑定を含む法医学分野ではSTRが標準的な手法として使われています。
子供のアリルが両親のどちらとも一致しない場合はどうなりますか。
その座位は不一致と判定されます。ただし突然変異の可能性もあるため、1座位の不一致だけで結論を出さず、他の座位の結果もあわせて総合的に判断します。
STRマーカーはどの検査機関でも同じですか。
国際的に標準化されたマーカーが一部共通して使われていますが、検査機関によって分析する座位数や組み合わせは異なります。座位数が多いほど識別力は高まる傾向にあります。
STR分析にはどのくらいのDNA量が必要ですか。
PCR法による増幅が可能なため、頬粘膜や血液など少量のサンプルからでも分析できます。詳しい採取方法は検査申し込み時にご案内しています。
STRは犯罪捜査でも使われているのですか。
使われています。犯罪現場に残されたDNAサンプルと被疑者のDNA型を比較する個人識別に、STR分析の技術が広く活用されています。
まとめ
STRが親子鑑定で重視されるのは、個人差が大きく識別力が高いこと、メンデルの法則に従って規則的に遺伝すること、少量のDNAから簡便に分析できること、そして国際的に標準化されていることの4点に集約されます。
ヒロクリニックでは、これらの特性を活かし、常染色体・Y染色体をあわせて52座位のSTR型を分析しています。検査の仕組みについてご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。
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略歴
- 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
- 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
- 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
- 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
- 2009年 医療法人社団福美会 理事長
- 2015年 医療法人社団福美会 理事
資格・所属
- CAPラボディレクター
- 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
- 日本医師会 産業医
- 東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
堤 修一 (つつみ しゅういち)
医師・医学博士 / ヒロクリニック博多駅前院 院長
略歴
- 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
- 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授
発信・関連リンク
この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- Edwards A, Civitello A, Hammond HA, Caskey CT. DNA typing and genetic mapping with trimeric and tetrameric tandem repeats. Am J Hum Genet. 1991 Oct;49(4):746-56.
- Butler JM. Forensic DNA typing: biology, technology, and genetics of STR markers. 2nd ed. London: Academic Press; 2005.
- Lo YM, Corbetta N, Chamberlain PF, Rai V, Sargent IL, Redman CW, et al. Presence of fetal DNA in maternal plasma and serum. Lancet. 1997 Aug 16;350(9076):485-7.





