多汗症の治療|塗り薬・イオントフォレーシス・ボトックスを解説

多汗症は、生活に支障が出るほど汗が多く出る状態で、塗り薬・イオントフォレーシス・ボトックス注射など複数の治療で改善を目指せます。手のひらや足の裏、脇など、汗の悩みは部位によって向いている治療が変わります。この記事では、皮膚科でできる多汗症の治療法を、それぞれの特徴・保険適用・回数の目安まで、皮膚科専門医の監修のもとで整理します。

この記事でわかること

  • 多汗症とはどんな状態で、どの部位に出やすいか
  • 塗り薬・イオントフォレーシス・ボトックス注射など治療法の全体像
  • 手汗・脇汗・足汗、それぞれに向いた治療の選び方
  • イオントフォレーシスの仕組みと、効果を出すための回数の目安
  • 当院の多汗症治療の体制

多汗症とは

多汗症は、体温調整に必要な範囲をこえて汗が多く出る状態です。汗そのものは自然な働きですが、量が多すぎて日常生活や仕事に支障が出る場合に、治療の対象になります。

はっきりした原因がなく汗が多い「原発性多汗症」と、ほかの病気や薬の影響で起こる「続発性多汗症」に分けられます。汗が急に増えた、体の片側だけ、といった場合は背景に別の原因が隠れていることもあるため、まず診察でその見きわめをします。

汗が出やすい部位

多汗症は、汗腺が多い部位に出やすい傾向があります。悩みの多い部位を整理します。

  • 手のひら(手掌):書類が濡れる、スマホが反応しない、握手がためらわれる
  • 足の裏(足底):靴下やサンダルが滑る、においが気になる
  • 脇(腋窩):服にしみが出る、色が変わる
  • 頭・顔:人前で顔から汗が流れる

「たかが汗」と我慢してしまう方は少なくありません。ですが、汗の量で行動が制限されているなら、それは立派な相談の理由です。私自身、受診されて初めて「治療できると知らなかった」とおっしゃる方に何度も出会ってきました。

多汗症の治療法【一覧】

多汗症の治療は、部位や重症度に応じて、塗り薬から注射・機器を使った治療まで段階的に選びます。まず全体像を表で確認してください。

治療 主な対象部位 特徴 保険の目安
塗り薬(外用) 脇・手・足 手軽に始められる第一歩 薬により保険/自費
イオントフォレーシス 手のひら・足の裏 水に微弱電流を流す。繰り返し継続 保険適用
ボトックス注射 脇(手のひらも可) 汗の指令を一時的に抑える。数か月持続 脇の重症は保険/手のひらは自費
内服薬 全身・補助 汗を抑える飲み薬。副作用に注意 保険の場合あり
手術 重症の手のひら等 神経を遮断。専門的な治療

どれか一つだけと決めるのではなく、部位や生活スタイルに合わせて組み合わせるのが実際的です。以下で一つずつ見ていきます。

① 塗り薬(外用)

塗り薬は、多くの方が最初に試しやすい、多汗症治療の入り口です。汗腺の出口に作用して、汗の量を抑えます。

古くから使われているのが塩化アルミニウムの外用で、脇・手のひら・足の裏など幅広い部位に使えます。就寝前に塗るなど、使い方にコツがあります。

近年は、脇(腋窩)の多汗症に対して、ソフピロニウム(エクロックゲル)グリコピロニウム(ラピフォートワイプ)といった保険適用の外用薬も使えるようになりました。1日1回のケアで続けやすいのが利点です。塗り薬で刺激やかぶれが出ることもあるため、合う薬を診察で選びます。

② イオントフォレーシス

イオントフォレーシスは、手のひらと足の裏の多汗症に対する保険適用の治療で、水に手足を浸して微弱な電流を流します。当院が力を入れている治療のひとつです。

水を張った容器に手や足を入れ、そこに弱い電流を通します。この刺激が汗腺の働きを一時的に抑えると考えられています。痛みはほとんどなく、ピリピリとした感覚がある程度です。

効果を出すには「繰り返し」が大切

イオントフォレーシスは、1回で終わる治療ではありません。効果を実感するには、目安として10回以上の繰り返しが大切です。

はじめのうちは間隔を詰めて回数を重ね、汗が落ち着いてきたら、間隔をあけて維持していきます。続けるほど手ごたえを感じやすい治療です。効果には個人差があり、やめると徐々に戻ることもあるため、良い状態を保つには継続がポイントになります。焦らず、コツコツ積み重ねてください。

当院はイオントフォレーシスの機器を2台そなえています

当院では、イオントフォレーシスの機器を2台そなえ、多くの治療実績があります。機器が2台あることで、両手・両足の治療や複数の方の対応がしやすく、通院の待ち時間を抑えられます。

繰り返し通うことが前提の治療だからこそ、続けやすさは大きな意味を持ちます。回数を重ねる治療で、待たされずスムーズに受けられる環境。これは地味ながら、続ける力になります。汗との付き合い方については、わきがは何科で診るかもあわせてご覧ください。

③ ボトックス注射(ボツリヌス療法)

ボトックス注射は、汗を出す指令を一時的にブロックして発汗を抑える治療で、とくに脇の多汗症に効果的です。

ボツリヌス毒素を皮膚のごく浅い層に少量ずつ注射します。汗腺への神経の伝達を抑えることで、汗の量を減らします。重度の原発性腋窩(脇)多汗症では保険適用となり、手のひらへの注射は保険適用外(自費)で行うのが一般的です。

効果は数か月ほど持続し、切れてきたら繰り返します。注射時のチクッとした痛みはありますが、施術自体は短時間です。汗のシーズン前に受ける方も多い治療。持続期間や費用を含め、診察でご説明します。

④ 内服薬・その他の選択肢

塗り薬や機器での治療で足りない場合や、全身的に汗が多い場合には、飲み薬などの選択肢もあります。

汗を抑える抗コリン薬の内服が使われることがありますが、口の渇きや便秘といった副作用が出ることもあり、体質を見ながら慎重に用います。

重症で日常生活への支障が大きい手のひらの多汗症では、汗の神経を遮断する手術という選択肢もあります。ただし手術後に別の部位の汗が増える「代償性発汗」などの課題があり、専門的な検討が必要です。まずは体への負担が少ない治療から段階的に考えていきます。

保険でできる多汗症治療

多汗症には、保険適用で受けられる治療が複数あります。費用が心配で受診をためらっている方も、まずは保険でできる治療から検討できます。

いずれも「原発性多汗症」と診断された場合が対象で、詳しい適応は診察で確認します。保険が使える主な治療を整理します。

保険でできる治療 対象部位 ポイント
イオントフォレーシス 手のひら・足の裏 水に微弱電流。10回以上の繰り返しが目安
外用薬(ソフピロニウム/グリコピロニウム) 脇(腋窩) 1日1回の塗り薬。原発性腋窩多汗症で保険適用
ボトックス注射 脇(腋窩) 重度の原発性腋窩多汗症で保険適用

手のひら・足の裏の汗はイオントフォレーシス、脇の汗は保険の外用薬やボトックス注射と、部位に応じて保険治療が用意されています。手のひらへのボトックス注射など一部は自費となるため、保険適用の可否は診察でご案内します。

部位別・多汗症治療の選び方

どの治療が向くかは、汗の出る部位によって変わります。目安を整理します。

部位 まず検討しやすい治療
手のひら(手汗) 塗り薬 → イオントフォレーシス(保険)→ ボトックス(自費)
足の裏(足汗) 塗り薬 → イオントフォレーシス(保険)
脇(脇汗) 塗り薬(保険の外用薬)→ ボトックス注射(重症は保険)

手汗・足汗はイオントフォレーシス、脇汗は塗り薬やボトックスが中心になりやすい、と覚えておくと分かりやすいです。もちろん、実際の治療は診察のうえで一人ひとりに合わせて選びます。

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お電話でのご相談:0120-241-929(川口院)

副作用・注意点

多汗症の治療は比較的受けやすいものが多いですが、それぞれに注意点があります。安全に進めるための前提を確認します。

塗り薬では、皮膚の刺激やかぶれが出ることがあります。イオントフォレーシスでは、ピリピリ感や皮膚の乾燥、まれに小さな水ぶくれが生じることがあります。ペースメーカーなど体内に電気機器や金属が入っている方、妊娠中の方、治療部位に傷がある方は、事前に必ずお伝えください。ボトックス注射では、注射部位の痛みや一時的な違和感が出ることがあります。

いずれの治療も効果には個人差があり、続けることで効果を保つタイプの治療が中心です。気になる症状が出たときは、我慢せずご相談ください。

当院の多汗症治療について

ヒロクリニック皮膚科・形成外科では、塗り薬・イオントフォレーシス・ボトックス注射など、多汗症に対する複数の治療に対応しています。イオントフォレーシスの機器は2台そなえ、多くの治療実績があります。

手汗・足汗にはイオントフォレーシスを、脇汗には塗り薬やボトックス注射をと、部位や重症度に合わせて選びます。まずは診察で汗の状態を確認し、続けやすい治療を一緒に組み立てます。

川口院はJR川口駅東口から徒歩3分、埼玉県川口市栄町3-11-27。池袋駅前院は東京都豊島区西池袋5-1-3 メトロシティ西池袋3Fにあります。診療時間は平日9:00〜13:00・14:30〜18:00で、水曜午後・土曜午後・日曜は休診、土曜は午前のみの受付です。

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川口駅東口 徒歩3分/お電話 0120-241-929

よくある質問

多汗症の治療について、診察でよく寄せられる質問をまとめました。

多汗症の治療は保険が使えますか?

治療によって異なります。手のひら・足の裏のイオントフォレーシスや、重度の脇多汗症へのボトックス注射などは保険適用となります。一方、手のひらへのボトックス注射などは自費です。診察のうえで、保険適用の可否を含めてご説明します。

イオントフォレーシスは何回くらい通えばよいですか?

効果を実感するには、目安として10回以上の繰り返しが大切です。はじめは間隔を詰めて回数を重ね、落ち着いてきたら間隔をあけて維持します。効果には個人差があり、続けることで良い状態を保ちやすくなります。

手汗と脇汗で治療は違いますか?

はい、向いている治療が変わります。手汗・足汗はイオントフォレーシスが中心になりやすく、脇汗は塗り薬やボトックス注射が選ばれやすい傾向です。まずは診察で部位と程度を確認します。

治療すれば汗は完全に止まりますか?

「完全に止める」ことを目的とするより、日常生活に支障が出ない程度まで汗を減らすことを目指します。多くの治療は続けることで効果を保つタイプのため、良い状態を維持する形で進めます。効果には個人差があります。

まずは何から始めればよいですか?

皮膚科を受診し、汗の状態を診てもらうことから始めてください。多くの場合、体への負担が少ない塗り薬やイオントフォレーシスから段階的に検討します。汗で困っているなら、それだけで受診の理由になります。


監修:岡 博史(統括院長・医学博士・日本皮膚科学会 皮膚科専門医)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療の適応や効果、保険適用の可否は個々の状態によって異なります。診断・治療は必ず医師の診察を受けたうえでご確認ください。

この記事の監修者 — 皮膚科専門医による監修

  • 岡 博史 (統括院長/医学博士)
    日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 遠田 博 (池袋院 皮膚科医)
    日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 土屋 海士郎 (川口院 皮膚科医)
    日本皮膚科学会 専門医/難病指定医

本記事は当院の編集・監修体制に基づき作成しています。詳しくは編集ポリシー/監修体制をご覧ください。

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