紫外線対策の基本は、UVAとUVBの違いを理解し、日焼け止めを規定量塗り、こまめに塗り直すことです。SPFの数値を上げることより、必要な量を守って塗り直す方が実際の防御力を左右します。
日焼け止めは塗っているのに、夏の終わりに肌の色が変わっている。
そうした経験がある方は、量とタイミングに原因があるかもしれません。
本記事では選び方と塗り方、日焼け後の対処、皮膚科でできることを解説します。
この記事でわかること
- UVAとUVBの違いと、それぞれが肌に与える影響
- SPF・PAの読み方と、生活シーン別の選び方
- 効果を発揮させる塗る量と塗り直しの間隔
- 日焼けしてしまったときの正しい対処
- 皮膚科でできるUVケアと受診が必要な症状
UVAとUVB|性質が違う2種類の紫外線
地上に届く紫外線にはUVAとUVBがあり、肌への働き方がまったく異なります。
UVAは肌の奥まで届いてハリを支える組織にダメージを与え、UVBは表面を赤く炎症させます。
両方を防ぐ必要があるため、日焼け止めには2つの指標が併記されています。
| 種類 | 届く深さ | 主な影響 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| UVA | 真皮まで | しわ・たるみ・色素沈着 | 窓ガラスや雲を通過する |
| UVB | 表皮まで | 赤み・炎症・シミの引き金 | 夏や日中に強く、窓で遮られやすい |
「今日は曇りだから大丈夫」と考えがちですが、UVAは雲を通り抜けます。
室内の窓際やドライブ中も、UVAは届いていると考えてください。
年間を通じた対策が必要になるのは、この性質があるためです。
紫外線量は季節で変動し、地域差もあります。
詳しい観測データは環境省の紫外線環境保健マニュアルで確認できます。
光老化とは|紫外線の影響は積み重なる
加齢による変化とは別に、紫外線を浴び続けたことで起こる肌の変化を光老化と呼びます。
しわ、たるみ、しみ、皮膚のごわつきは、その代表的なあらわれ方です。
日常的に日光を浴びる部位とそうでない部位を比べると、違いがはっきり出ます。
顔や手の甲と、二の腕の内側の皮膚を見比べてみてください。
年齢は同じでも、質感やしみの量に差があるはずです。
その差の多くは、浴びてきた紫外線量の違いによるもの。
光老化は数十年かけて進むため、若いうちの対策が将来の状態を左右します。
一方で、いまから始めても遅すぎることはありません。
紫外線対策は、しみの予防だけでなく皮膚がんのリスクを下げる意味も持ちます。
SPFとPAの読み方|数値が高ければよいわけではない
SPFはUVBを防ぐ指標、PAはUVAを防ぐ指標で、生活シーンに応じて選び分けます。
数値が高い製品ほど紫外線吸収剤が多く配合され、肌への負担が増える傾向があります。
日常生活で最高値を選び続ける必要はありません。
| シーン | 目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 通勤・買い物などの日常 | SPF20〜30/PA++ | 塗り直しを前提に選ぶ |
| 屋外での軽い運動・散歩 | SPF30〜40/PA+++ | 汗で落ちるため2〜3時間ごとに追加 |
| 海・山・長時間の屋外 | SPF50/PA++++ | 耐水性のあるタイプを選ぶ |
紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の違い
吸収剤は紫外線を化学的に熱などへ変えて防ぎ、伸びが軽く白浮きしにくいのが利点です。
散乱剤(酸化亜鉛・酸化チタン)は物理的に反射させる仕組みで、刺激を感じにくい傾向があります。
肌がしみやすい方は、散乱剤主体の製品から試してみてください。
敏感肌の方向けの選び方は敏感肌の治療とスキンケアでも解説しています。
効果を発揮させる塗り方|量と塗り直しがすべて
表示されたSPFの値は、規定量を塗ったときの数値です。
実際には半分以下の量で使っている方が多く、防御力もその分下がります。
製品を選び直すより、量を見直す方が効果を感じやすいはずです。
- 量の目安:顔全体でクリームなら真珠1粒分、液状なら1円玉大
- 塗る順番:スキンケアの最後、下地の前に薄く2回に分けて重ねる
- 塗り直し:2〜3時間ごと。汗をかいた後やタオルで拭いた後は都度
- 塗り忘れやすい部位:耳、首の後ろ、手の甲、髪の分け目
メイクの上から塗り直す場合は、パウダーやスプレータイプが実用的です。
完璧を目指すより、続けられる方法を選んでください。
塗り直しを2回増やすだけでも、1日の総量は大きく変わります。
体に塗る場合は、容器から直接肌に線を引くように出してから伸ばします。
手のひらで広げると、多くが手に残ってしまうためです。
背中や肩は塗り残しが出やすく、家族に手伝ってもらうか、スプレーを併用してください。
日焼け止め以外の対策|遮る・避ける・補う
日焼け止めだけに頼らず、物理的に遮る対策を組み合わせると負担が減ります。
塗り直しが難しい場面ほど、帽子や日傘の効果が大きくなります。
紫外線が最も強いのは、1日のうち午前10時から午後2時頃です。
つばの広い帽子は、顔と首の後ろを同時に守ります。
UPF表示のある衣類や、UVカット加工の日傘も選択肢に。
屋外で長時間過ごす日は、日陰で休む時間をあらかじめ組み込んでください。
いわゆる飲む日焼け止めは、塗る対策の代わりにはなりません。
あくまで補助的な位置づけと考え、基本の対策を省かないようにしましょう。
サングラスも有効な対策のひとつです。
目に入る紫外線は、結膜や角膜への負担だけでなく、まぶたの皮膚の変化にも関わります。
レンズの色の濃さより、UVカット表示の有無で選んでください。
対策が抜けやすい人・場面
男性は日焼け止めを使う習慣がない方が多く、屋外の仕事や通勤で浴び続けています。
顔だけでなく、首の後ろと耳が焼けやすい部位。
べたつきが苦手な方は、さらっとしたジェルやスプレーから始めてみてください。
お子さんは屋外で過ごす時間が長く、生涯に浴びる紫外線量のうち相当量を子ども時代に受けます。
高齢の方は、長年の蓄積によって皮膚の変化や腫瘍が出やすくなる時期です。
いずれも、帽子や衣類で遮る対策の方が続けやすいことがあります。
日焼けしてしまったときの対処|冷やして、保湿する
ヒリヒリする赤い日焼けは、程度の軽いやけどと同じ状態です。
まず冷やして炎症を鎮め、落ち着いてから保湿するのが基本の順番。
この時期に美白目的の刺激的なケアを重ねると、かえって色素沈着を招きます。
- 冷たいタオルや保冷剤をタオルで包み、ほてりが引くまで冷やす
- こすらず、低刺激の保湿剤をたっぷり重ねる
- 水分をこまめに補給する
- 皮がむけても無理にはがさない
水ぶくれができた場合や、広範囲で強い痛み・発熱を伴う場合は受診してください。
自己判断で潰すと感染の原因になります。
日焼け後にできたシミの相談は皮膚科で受けられる美白治療もご覧ください。
皮膚科でできるUVケア|相談できることの範囲
皮膚科では、日焼けによる炎症の治療から、日焼け止めが合わない場合の相談まで対応できます。
紫外線で症状が悪化する疾患をお持ちの方は、季節に合わせた治療計画も立てられます。
市販品選びに迷ったときも、成分の考え方をお伝えできます。
| 相談内容 | 対応 | 区分 |
|---|---|---|
| 日焼けによる炎症・水ぶくれ | 外用薬・内服による治療 | 保険 |
| 日焼け止めでかぶれる | パッチテストで原因成分を特定 | 保険 |
| 日光で悪化する皮膚疾患 | 診断と季節に応じた治療計画 | 保険 |
| できてしまったシミの改善 | 外用・レーザーなど(内容により異なる) | 自費が中心 |
短時間の日光で赤く腫れる、湿疹が出るという場合は日光過敏症の可能性があります。
薬の副作用として光線過敏を起こすこともあるため、内服中の薬は診察時にお伝えください。
光を使った治療の詳細は皮膚科の光治療で解説しています。
日焼け止めでかぶれてしまう場合
塗った部分だけに赤みやかゆみが出るなら、接触皮膚炎(かぶれ)の可能性があります。
原因になりやすいのは、紫外線吸収剤、香料、防腐剤などの成分です。
製品を替えても繰り返す場合は、パッチテストで原因を特定できます。
原因の成分が分かれば、それを含まない製品を選べるようになります。
「日焼け止めは全部合わない」と諦めていた方が、使える製品を見つけられることも。
受診の際は、使っていた製品を持参いただくと判断が早く進みます。
季節別の考え方|冬こそ油断しやすい
紫外線量は5月から8月にかけて最も多くなりますが、冬でもゼロにはなりません。
特にUVAの減少幅は小さく、冬の晴天日には相応の量が降り注いでいます。
雪面やアスファルトからの反射も加わるため、油断しやすい季節です。
冬は乾燥でバリア機能が落ち、紫外線の影響を受けやすくなる時期でもあります。
保湿と紫外線対策はセットで考えてください。
季節ごとのケアは冬の肌荒れ対策にまとめています。
診察室で伺う、紫外線対策の悩み
「毎日塗っているのに焼ける」というご相談の多くは、量と塗り直しの回数に原因があります。
SNSでも、日焼け止めの量が足りていないという指摘は繰り返し共有されています。
使い切るまでの期間を伺うと、1本を半年以上使っている方が少なくありません。
紫外線対策に関するよくある質問
受診前によく寄せられる質問をまとめました。
Q1. SPFとPAはどう違いますか?
A1. SPFは主にUVB(肌を赤くする紫外線)を防ぐ指標、PAは主にUVA(肌の奥に届く紫外線)を防ぐ指標です。
数値やプラスの数が大きいほど防御力が高くなりますが、日常生活ではSPF30前後・PA++〜+++で十分とされています。
Q2. 日焼け止めはどのくらいの量を塗ればいいですか?
A2. 顔全体でクリームなら真珠1粒分、液状なら1円玉大が目安です。
表示されたSPFの効果は規定量を塗った場合の値で、薄く伸ばすと実際の防御力は下がります。
2〜3時間ごとの塗り直しも欠かせません。
Q3. 曇りの日や室内でも日焼け止めは必要ですか?
A3. 必要です。
UVAは雲や窓ガラスを通過するため、曇天や室内の窓際でも降り注いでいます。
デスクが窓際にある方、車の運転が多い方は、季節を問わず対策してください。
Q4. 日焼けしてしまったらどうすればいいですか?
A4. まず冷やして炎症を鎮め、保湿してください。
ヒリヒリする赤みは軽度のやけどと同じ状態です。
水ぶくれができた場合や、広範囲で痛みが強い場合は自己判断せず皮膚科を受診してください。
Q5. 子どもにも日焼け止めを使って大丈夫ですか?
A5. 生後6か月以降であれば、子ども向けに作られた製品を使えます。
紫外線散乱剤主体で低刺激のものを選び、まず腕の内側で試してから顔に使ってください。
帽子や衣類での物理的な遮断も併用しましょう。
Q6. 飲む日焼け止めだけで対策できますか?
A6. 塗る日焼け止めの代わりにはなりません。
補助的な位置づけであり、これだけで紫外線を防げるものではないと考えてください。
基本は塗る対策と、帽子・日傘・衣類による遮断です。
まとめ
紫外線にはUVAとUVBがあり、性質が異なるため両方への対策が必要です。
日常生活ならSPF30前後で十分。数値を上げるより、規定量を守って塗り直す方が効果的です。
帽子や日傘で物理的に遮る工夫も、同じくらい実用的。
日焼けしてしまったら、冷やして保湿するのが基本の順番です。
水ぶくれや強い痛みがある場合は、自己判断せず受診してください。
ヒロクリニック皮膚科・形成外科では、2008年8月から2026年6月までに21,576件の手術実績があります。
川口院はJR京浜東北線「川口駅」東口から徒歩3分。日焼けによる炎症からシミの相談まで対応しています。
肌のトラブルが続く場合は、お電話(048-240-6606)またはWebからご相談ください。
参考情報
本記事は、ヒロクリニック皮膚科・形成外科 統括院長・岡博史医師の監修記事です。
岡医師は日本皮膚科学会 皮膚科専門医、医学博士(慶應義塾大学医学部卒)です。
皮膚疾患・皮膚外科の診療と、当サイトの医療情報の監修統括を担当しています。













