総合父性除外率(排除確率)とは|計算の考え方を解説

親子鑑定 NIPPT DNA鑑定  SNP 総合父性除外率 排除確率

総合父性除外率(Combined Paternity Exclusion、CPE)とは、無関係な男性を「父親ではない」と正しく除外できる確率を、検査で使用する複数の遺伝子座(マーカー)をすべて組み合わせて算出した指標です。この記事では、CPEの意味と、複数の遺伝子座を組み合わせることで数値が高くなっていく考え方を、専門的になりすぎない範囲で解説します。

「精度は本当に信頼できるのか」と不安に感じる方も少なくありません。総合父性除外率は、検査手法そのものの信頼性を数値で示す代表的な指標のひとつです。数値の意味を理解しておくと、報告書を受け取ったときにも数値の背景まで含めて安心して結果を確認できます。

この記事でわかること

  • 総合父性除外率(CPE)の正確な意味
  • 1つの遺伝子座ごとの「除外力」の考え方
  • 複数の遺伝子座を組み合わせて数値が上がっていく仕組み
  • ヒロクリニックの検査における実際の考え方

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

総合父性除外率(CPE)とは

総合父性除外率は、血のつながりのない無関係な男性を「父親ではない」と正しく判定できる確率を表す指標です。あるDNA鑑定の手法(使用する遺伝子座の組み合わせ)そのものの性能を示す数値であり、個別のケースの判定結果ではなく、検査キットや検査機関の精度を説明する際に用いられます。

似た言葉に「父性肯定率・父性否定率」がありますが、こちらは実際に採取した親子のDNA型を比較した結果として算出される、個別のケースごとの数値です。両者の違いは、父性肯定率・否定率とは|親子鑑定の確率をわかりやすく解説で詳しく解説しています。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

1つの遺伝子座ごとの「除外力」の考え方

1つの遺伝子座(マーカー)だけでは、除外力が限定的で判定の決め手にはなりません。STR(Short Tandem Repeat)解析では、遺伝子座ごとに複数の型(アレル)が存在し、それぞれの型が集団の中でどのくらいの頻度で見られるかは、公的に検証された遺伝子データベースに記録されています。

ある遺伝子座の「除外力(1座位あたりの父性除外率)」は、その遺伝子座にどれだけ多くの型が存在し、それぞれの出現頻度がどの程度分散しているかによって決まります。たとえば、ある座位に型が10種類あり出現頻度が均等に分散している場合と、型が3種類しかなく特定の型に偏っている場合とでは、前者のほうが無関係な人物のDNA型がたまたま一致する確率は低くなります。

  • 型の種類が多い遺伝子座:無関係な人物のDNA型がたまたま一致する可能性が低いため、除外力が高くなります。
  • まれな型を含む一致:出現頻度の低い型が一致していた場合、偶然の一致である可能性はさらに低くなります。
  • 型の種類が少ない遺伝子座:偶然に型が一致する人物が相対的に多くなるため、除外力は低めになります。

1つの遺伝子座だけの除外力は、それほど高い数値にはなりません。そのため実際の鑑定では、1つの遺伝子座の結果だけで判定することはなく、複数の遺伝子座を組み合わせて総合的に判断します。個々の遺伝子座の除外力は、検証済みの人口統計データをもとに専門機関が算出しており、簡易な式で手計算できる単純な値ではない点にご留意ください。

なお、除外力の考え方は「血縁関係のない無関係な第三者」を基準とした確率です。判定対象が被検者の近親者(兄弟など)である場合、無関係な第三者よりも型が偶然一致しやすいため、実務上はより多くの座位を確認するなど慎重な判断が必要になります。また、SNP法(一塩基多型)よりSTR法のほうが1座位あたりの型のバリエーションが豊富なため、同じ座位数でも除外力の合計は高くなりやすいという特徴があります。

ここで使われるアレル頻度のデータは、無作為に集めた集団のDNA型を大量に解析して作成された、公的な遺伝子データベースに基づいています。データベースは民族集団ごとに作成されており、検査を受ける方が属する集団に合ったデータベースを使うことも、正確な数値を得るうえで欠かせない要素です。こうした背景があるため、除外力の算出は検査を実施する専門機関の役割であり、利用者が自分で正確な数値を導き出すことは想定されていません。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

複数の遺伝子座を組み合わせて総合除外率を求める考え方

複数の遺伝子座を掛け合わせることで、総合的な除外率は大きく上昇します。それぞれの遺伝子座で「除外できない確率(1−除外力)」を掛け合わせ、その結果を1から引くことで総合的な除外率を求めます。これは法医学分野で標準的に用いられている考え方です。

複数の遺伝子座を組み合わせた総合父性除外率の計算式

言葉で表すと、「総合除外率 = 1 −(すべての遺伝子座で除外できない確率を掛け合わせたもの)」となります。考え方を理解するための単純化した例で確認してみましょう。以下の数値は説明のための仮の設定であり、実際の判定に使われる数値ではありません。

遺伝子座この座位の除外力(仮の値)除外できない確率(1−除外力)
座位A60%40%
座位B50%50%
座位C70%30%

3つの座位すべてで除外できない確率は、0.4×0.5×0.3=0.06(6%)です。したがって総合除外率は、1−0.06=0.94、つまり94%になります。それぞれの座位は60〜70%程度の除外力しかなくても、組み合わせることで94%まで数値が上がることが分かります。

座位を1つ追加すると、数値はどう変わるでしょうか。先ほどの例に、除外力55%の座位D(仮の値)を加えて計算してみます。除外できない確率は0.4×0.5×0.3×0.45=0.027(約2.7%)となり、総合除外率は1−0.027=0.973、つまり97.3%まで上昇します。座位を1つ増やしただけで、94%から97.3%へと数値が大きく伸びていることが分かります。

この仕組みから分かるとおり、使用する遺伝子座の数が増えるほど、総合除外率は加速度的に100%へ近づいていきます。法医学分野で広く参照されるFBIのCODIS(DNAデータベース)では20座位が標準として使われていますが、ヒロクリニックの出生前・出生後親子鑑定では、これを上回る52座位を分析することで、高い精度を実現しています。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

ヒロクリニックの検査における総合除外率

ヒロクリニックの出生前親子鑑定は、STRを52座位解析することで総合父性除外率99.99%以上を実現しています。これは法医学分野で標準とされるFBIのDNAデータベース「CODIS」の20座位を大きく上回る座位数です。

ゲノム医学・エピゲノム解析を専門とする共同監修医・堤修一の見解を踏まえても、解析する遺伝子座の数が多いほど、偶然の一致による誤判定のリスクは統計的に下がると考えられます。座位数が十分に多いことは、それだけ誤判定のリスクを抑えられることを意味します。

私自身、報告書の数値についてご質問をいただく際は、「99.99%」という数字だけでなく、その背景にある座位数の多さや、検体管理の確実性もあわせてお伝えするようにしています。数値の意味を正しく理解したうえで結果を受け止めていただきたいと考えているためです。解析には日本初導入の次世代シーケンサー「Qiagen社 MiSeq FGx System」を使用し、検体はバーコード管理のもと自社ラボ「東京衛生検査所」で解析しています。

実際の判定結果に表示される数値の意味については、STRを用いた尤度比の計算方法もあわせてご覧いただくと、より理解が深まります。

報告書に記載される数値は、座位数が多いほど「99.9%」「99.99%」「99.999%」と桁が増えていきますが、桁数の多さそのものが検査の優劣を単純に決めるわけではありません。法医学分野では99.9%以上を法的鑑定の一つの目安とする運用が広く使われており、それを上回る水準であれば実務上十分な信頼性があるとされています。数値の桁数だけにとらわれず、座位数や検体管理体制など、数値の背景にある要素もあわせて確認することをおすすめします。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

報告書の数値を確認するときのポイント

報告書に記載された総合除外率の数値だけでなく、算出の前提となる座位数や検査体制もあわせて確認すると、結果への理解が深まります。数値は検査手法の性能を表すものであり、その性能を実際の結果につなげているのは、検体を扱うラボの運用体制です。

各遺伝子座の型頻度データは、検査対象となる集団(民族集団)に応じたデータベースをもとに算出されます。適切なデータベースが使われているかどうかも、精度を左右する要素のひとつです。ヒロクリニックでは、日本初導入の次世代シーケンサー「MiSeq FGx System」を用い、CAP・ISO9001認証を取得した自社ラボ「東京衛生検査所」でSTR52座位の解析を行っています。

検体はバーコードで管理し、医療機関からの直接配送によって取り違えのリスクを抑えています。座位数の多さと検体管理の確実性の両方が揃って初めて、報告書の数値どおりの信頼性が担保されると考えています。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

総合父性除外率に関するよくある質問

総合父性除外率とはどんな数値ですか?

血のつながりのない無関係な男性を「父親ではない」と正しく判定できる確率を、検査で使用する複数の遺伝子座を組み合わせて表した指標です。検査手法そのものの性能を示す数値であり、個別のケースの結果とは異なります。

1つの遺伝子座だけでは判定できないのですか?

1つの遺伝子座だけの除外力は限定的なため、実際の鑑定では複数の遺伝子座を組み合わせて総合的に判断します。座位数が多いほど、偶然の一致による誤判定のリスクを抑えられます。

総合父性除外率と父性肯定率はどう違いますか?

総合父性除外率は検査手法そのものの性能を表す数値です。一方、父性肯定率は実際に採取したDNA型を比較した結果として算出される、個別のケースごとの数値です。詳しくは父性肯定率・否定率とはをご覧ください。

座位数が多いほど検査結果は信頼できますか?

一般的に、解析する遺伝子座の数が多いほど、偶然の一致による誤判定のリスクは下がります。ヒロクリニックではSTRを52座位解析し、法医学分野の標準(CODIS・20座位)を上回る精度を実現しています。

自分で総合除外率を計算することはできますか?

組み合わせの考え方自体は単純な掛け算ですが、各遺伝子座の除外力は検証済みの人口統計データをもとに専門機関が算出する値のため、簡易な式だけで正確に手計算することはできません。実際の数値は検査機関の報告書でご確認ください。

総合父性除外率が99.99%であれば100%と考えてよいですか?

99.99%以上であっても100%ではありません。ごくわずかに誤判定の可能性が残るという意味です。実務上は、法医学分野で目安とされる99.9%以上の水準を満たしていれば、十分な信頼性があるとされています。

座位数が違うと総合除外率はどのくらい変わりますか?

座位数が増えるほど、除外できない確率同士を掛け合わせる回数が増えるため、総合除外率は加速度的に100%へ近づきます。具体的な上昇幅は各座位の除外力によって異なるため、正確な数値は検査機関の報告書でご確認ください。

まとめ

総合父性除外率(CPE)は、無関係な男性を正しく「父親ではない」と判定できる確率を、複数の遺伝子座を組み合わせて表した指標です。1つの遺伝子座あたりの除外力は限定的でも、除外できない確率を掛け合わせて1から引くことで、座位数が増えるほど総合除外率は加速度的に高くなります。

ヒロクリニックでは、STRを52座位解析することで総合父性除外率99.99%以上を実現しています。座位数の多さに加えて、検体のバーコード管理や自社ラボでの一貫した解析体制も、数値どおりの結果につながる重要な要素です。数値の意味に不安がある場合は、申し込み前にお気軽にご相談ください。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

ヒロクリニックでのDNA出生前親子鑑定

ヒロクリニックDNA出生前親子鑑定NIPPT)は、全国のヒロクリニック直営クリニックでご利用いただけます。この検査は妊娠6週0日から提供され、1回の来院で検査が完了するため、必要な時間と労力を最小限に抑えることができます。自社ラボ「東京衛生検査所」(CAP認定・ISO9001取得)による検査ですので、安心してお受けいただけます。ただし、ご夫婦そろっての受診をお願いしています。そうすることで、より正確な検査結果を得ることができます。ご興味のある方は、こちらをクリックしてご予約いただくか、お問い合わせください。※料金・再検査対応の詳細は公式料金ページでご確認ください。

妊娠6週からできる親子鑑定
周りにバレずにこっそり判定

医師監修 監修日:2024年9月5日

岡 博史 (おか ひろし)

医師・医学博士 ヒロクリニック統括院長

YouTubeチャンネルなどを通じて、遺伝子やNIPT(新型出生前診断)についてわかりやすく発信しています。

略歴

  • 1996年 慶應義塾大学医学部 卒業
  • 2004年 慶應義塾大学 医学博士号 取得
  • 2005年 慶應義塾大学 皮膚科学教室 助手
  • 2008年 ヒロ皮フ形成クリニック 開業
  • 2009年 医療法人社団福美会 理事長
  • 2015年 医療法人社団福美会 理事

資格・所属

  • CAPラボディレクター
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 日本医師会 産業医
  • 東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月5日

堤 修一 (つつみ しゅういち)

医師・医学博士 ヒロクリニック博多駅前院 院長

略歴

  • 1993年 東京大学医学部医学科 卒業
  • 2016〜2019年 東京大学先端科学技術研究センター 准教授

発信・関連リンク

この記事は、 ヒロクリニックNIPPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. Gürtler H. Principles of blood-group statistical evaluation of paternity cases at the Institute of Forensic Medicine, Copenhagen. Acta Med Leg Soc (Liege). 1956;9:83-93.
  2. Essen-Möller E. Die Beweiskraft der Ähnlichkeit im Vaterschaftsnachweis; theoretische Grundlagen. Mitt Anthrop Ges Wien. 1938;68:9-53.
  3. Hall AL, Sanger T, Saucier JB, et al. Noninvasive prenatal paternity testing. Genet Med. 2016;18(3):214-220.

記事の監修者