皮膚科の光治療とは|適応症・効果・回数を解説

当院の光線療法設備(全身照射に対応)

当院は、全身にまとめて照射できるキャビン型(ボックス型)のナローバンドUVB治療器と、患部だけをねらって照射するエキシマライト「セラビームUV308」の両方を備えています。全身型の照射装置は設備規模が大きく、導入している医療機関は限られますが、当院では皮疹が広い範囲におよぶ場合も全身照射で対応でき、症状に応じて全身照射と局所照射を使い分けられます。

皮膚科の光治療とは、特定の波長の光を皮膚に照射する治療の総称です。乾癬やアトピー性皮膚炎、シミ・赤みなど、幅広い症状にアプローチします。

この記事では、皮膚科専門医の監修のもと光治療の基礎知識をお伝えします。種類・適応症・効果の目安・通院頻度・注意点まで整理しました。

この記事でわかること

  • 光治療には保険診療の「光線療法」と自由診療の美容目的光治療がある
  • ナローバンドUVBやエキシマライトの保険適用となる代表的な疾患
  • 美容目的の光治療(IPLなど)で期待できる効果と限界
  • 通院頻度の目安と、光治療を受ける際の注意点

1. 光治療とは?医療用と美容目的の2つがある

光治療とは、特定の波長の光を皮膚に当てて症状の改善を促す治療の総称です。ポイントは、保険診療か自由診療かという目的の違い。大きく分けると光治療には2種類あります。

1つは健康保険が適用される「光線療法」です。もう1つはシミや赤みへの美容目的の光治療(自由診療)です。

同じ「光治療」という言葉でも、目的も機器も費用の仕組みも異なります。まずは両者の違いを整理しておきましょう。医療機関のウェブサイトや診察時に、どちらの光治療にあたるのか確認しておくと安心です。

医療用の光線療法美容目的の光治療
主な光源ナローバンドUVB/エキシマライトIPL(フォトフェイシャル等)
主な対象乾癬・アトピー性皮膚炎・尋常性白斑・掌蹠膿疱症などシミ・そばかす・赤ら顔・毛穴の開きなど
費用健康保険適用(3割負担で1回1,020円程度)自由診療(クリニックにより異なる)
目的炎症や免疫異常の治療肌質や見た目の改善

2. 医療保険が適用される光線療法の仕組み

光線療法は、特定の波長の紫外線を患部にピンポイントで照射し、過剰な免疫反応を抑える治療です。塗り薬だけでは改善しにくい慢性的な炎症性疾患に用いられます。光線療法と外用薬・内服薬を組み合わせる「併用療法」が選択されることも珍しくありません。

光が皮膚の層に働きかける仕組みを示す抽象的な図解イラスト

2.1 ナローバンドUVB療法

ナローバンドUVBは、309〜313nmという狭い波長域だけを選んで照射する治療法です。熱傷を起こしやすい短い波長をカットしているのが特徴です。そのため、従来のブロードバンドUVBより副作用が少ないとされています。

照射された光は、皮膚で過剰に活性化しているTリンパ球にアポトーシス(細胞の自然死)を誘導します。異常な炎症細胞の働きを鎮め、赤みやかゆみ、皮むけといった症状を抑えていく仕組みです。

2.2 エキシマライト療法

エキシマライトは、308±2nmのキセノンエキシマランプを用いる光線療法です。ナローバンドUVBよりピーク波長がわずかに短く、その分だけ光線作用が強く出るとされています。

照射面が小さく設計されており、専用フィルターで健常な皮膚を保護できます。患部だけに絞って照射できるのが強みです。肘や膝の分厚い皮疹、顔や手先の白斑など、局所の頑固な病変への「ターゲット療法」に向いています。

当院ではエキシマライト光線療法機器「セラビームUV308」を導入しています。医療機器認証番号は220AGBZX00156000です。1カ所あたり数秒〜十数秒という短い照射時間で治療を行っています。


3. 光線療法の保険適用となる代表的な疾患

光線療法は、いくつかの慢性的な皮膚疾患に対して健康保険が適用されています。代表的な適応疾患は次の4つです。

3.1 乾癬

皮膚が赤く盛り上がり、銀白色の鱗屑がポロポロと剥がれ落ちる病気です。ナローバンドUVBは、塗り薬だけで改善しなかった皮疹を平らにします。長期的な寛解を目指す治療の柱の一つとされています。

3.2 アトピー性皮膚炎

ステロイド外用薬だけでのコントロールが難しい中等症〜重症の方に有効とされます。かゆみを伝える神経線維の伸長を抑える働きもあり、外用薬の使用量を減らせるケースもあります。

3.3 尋常性白斑

メラノサイト(色素を作る細胞)の働きが低下し、皮膚が白く抜ける病気です。ナローバンドUVBやエキシマライトの照射で、メラノサイトの増殖・移動を促します。色素の再生をサポートする働きです。

3.4 掌蹠膿疱症

手のひらや足の裏に、無菌性の膿疱が繰り返しできる病気です。歩行や手作業に支障が出やすい疾患です。光線療法の併用によって早期の症状改善が期待できるとされています。

これらはいずれも一般的な適応の目安です。実際に治療の対象になるかどうかは、診察による医師の判断が必要になります。同じ病名でも重症度や体質によって、選ばれる光源や照射プランは変わってきます。


4. 美容目的の光治療(IPLなど)でできること

美容皮膚科領域では、IPL(Intense Pulsed Light)という光治療がよく使われます。医療用の光線療法とは異なり、こちらは自由診療です。

IPLは複数の波長を含む光を照射する治療法です。短い波長でメラニン色素に反応させ、シミ・そばかすにアプローチします。長い波長では毛細血管に働きかけ、赤ら顔の改善が期待できるとされています。

ただし、肝斑(頬骨周りに左右対称に出る色素斑)は光治療との相性がよくないケースが知られています。摩擦や光刺激で悪化することがあるため、自己判断で施術を受けるのは避けたいところです。

美容目的の光治療は、クリニックによって導入している機器や施術メニューが異なります。当院で受けられる光治療の詳細については、診察の際に直接ご確認ください。


5. 光治療の効果を実感するまでの回数と通院頻度

光治療は、1回の照射で劇的に改善するものではありません。回数を重ねて少しずつ効果を積み重ねていく治療です。

光治療の通院頻度が徐々に間隔を空けていくイメージ図

光線療法の場合、治療開始当初は週1〜2回のペースが一般的な目安です。症状が落ち着けば、2週間に1回、1カ月に1回と間隔を空けていきます。この段階を「維持療法」と呼びます。

当院で光線療法を受けている患者様の傾向から見た所見です。通院を数カ月継続することで、症状の落ち着きを実感される方が多い印象です。疾患の種類や重症度によって、効果を感じるまでの期間は異なります。

美容目的のIPLも1回の施術で完結するものではありません。数回〜数カ月おきの継続的な施術で変化を積み重ねていくのが一般的です。


6. 光治療を受ける前に知っておきたい注意点

光治療は比較的安全性の高い治療ですが、副作用がまったくないわけではありません。受診前に押さえておきたいポイントを整理します。

  • 照射後の赤み・乾燥・かゆみが一時的に出ることがあります
  • 光線療法・IPLとも、まれに水ぶくれや色素沈着が生じる場合があります
  • 妊娠中の方や光線過敏症のある方は、治療の可否を必ず医師に相談してください
  • 照射当日から数日は、患部の日焼け対策を徹底してください
  • 内服中の薬がある場合は、光線過敏を起こす薬剤でないか事前に伝えてください

これらの症状の多くは一時的なもので、時間の経過とともに落ち着くケースがほとんどです。気になる症状が続く場合は、我慢せず担当医に伝えてください。照射後は保湿剤で肌を落ち着かせ、こすらないよう優しくケアすることも大切です。光治療で大切なのは、焦らない継続。

光治療で確実な効果が保証されるわけではありません。効果の現れ方には個人差があります。過度な期待をせず、医師と相談しながら治療計画を立てることが大切です。


7. 光治療の種類と使い分け早見表

ここまで紹介した光治療の種類を、波長帯ごとに一覧で確認しておきましょう。

光治療の種類を示す抽象的な図解イラスト
種類波長の目安主な用途
ナローバンドUVB309〜313nm乾癬・アトピー性皮膚炎・尋常性白斑など(保険診療)
エキシマライト308±2nm局所の頑固な皮疹・白斑への集中照射(保険診療)
IPL複数波長を含む光シミ・そばかす・赤ら顔など(自由診療)
フラクショナルレーザー単一波長のレーザー光ニキビ跡・毛穴・肌質改善など(自由診療)

肌の赤みやシミが気になる方は赤ら顔治療:皮膚科での最新アプローチも参考にしてみてください。

色素沈着を改善する皮膚科の治療法も合わせてご覧ください。ニキビ跡が気になる方はニキビ跡を消すための皮膚科治療法で解説しています。

フラクショナルレーザーの詳細は皮膚科で行うフラクショナルレーザーの効果をご覧ください。敏感肌の方は敏感肌の人に適した皮膚科の治療法も参考になります。

導入機器の詳細は導入医療機器・医療設備のページでも紹介しています。光治療を検討する際は、皮膚科専門医が在籍しているか確認しておきましょう。健康保険の取り扱いがあるかも、あわせて確認すると安心です。


8. よくある質問

光治療を検討する際によく寄せられる質問をまとめました。

Q1. 光治療は痛みを伴いますか?

多くの場合、輪ゴムで軽く弾かれるような刺激を感じる程度です。痛みの感じ方には個人差があるため、不安な場合は事前に医師へ相談してください。照射部位を冷却しながら行う機器もあり、刺激を和らげる工夫がされています。

Q2. 光線療法は何回くらいで効果が出ますか?

疾患の種類や重症度によって異なります。週1〜2回のペースで数カ月継続する中で、症状の落ち着きを実感する方が多い傾向です。

Q3. IPLと医療用の光線療法は同じ機器ですか?

異なります。IPLは美容目的の自由診療で使われる機器です。ナローバンドUVBやエキシマライトは、保険診療の光線療法専用の機器です。波長も用途も別のもので、混同しないよう注意しましょう。

Q4. 光線療法に健康保険は使えますか?

乾癬やアトピー性皮膚炎、尋常性白斑、掌蹠膿疱症など、医師が適応と判断した場合は健康保険が適用されます。受診時は健康保険証をお持ちください。

Q5. 妊娠中でも光治療は受けられますか?

妊娠中は治療の可否を慎重に判断する必要があります。自己判断で予約せず、必ず事前に医師へ妊娠している旨を伝えてください。

Q6. 光治療はどのくらいの頻度で通院すればよいですか?

治療開始当初は週1〜2回のペースが一般的な目安です。症状が落ち着けば、2週間に1回、1カ月に1回と間隔を空けていきます。

Q7. 光治療と医療脱毛のレーザーは同じですか?

異なる技術です。医療脱毛は毛根のメラニンに反応する単一波長のレーザーを使います。光線療法やIPLとは目的も照射方式も別のものです。

Q8. 子どもでも光線療法を受けられますか?

年齢だけで一律に判断することはできません。症状や体格、協力が得られるかなどを踏まえ、医師が個別に適応を判断します。

Q9. 光線療法と美容目的の光治療で費用はどのくらい違いますか?

光線療法は保険点数340点が目安で、3割負担なら1回1,020円程度です。美容目的の光治療は自由診療のため、金額はクリニックごとに異なります。事前に見積もりを確認しておくと安心です。


9. まとめ

光治療には2つの種類があります。乾癬やアトピー性皮膚炎などに使う保険診療の光線療法です。シミや赤みにアプローチする自由診療の美容目的光治療もあります。

目的も費用も異なるため、混同せずに理解しておくことが大切です。大切なのは、正しい理解と専門医への早めの相談。光治療は継続することで少しずつ効果を積み重ねる治療です。

自己判断で通院を中断せず、症状の経過を医師と一緒に確認しながら進めていきましょう。肌の症状や光治療の適応について気になる方は、皮膚科専門医による診察でご相談ください。ご自身の症状がどちらの光治療に当てはまるのか迷ったときほど、早めに専門医へご相談ください。


監修医師:岡 博史

ヒロクリニック皮膚科・形成外科 統括院長/医学博士/日本皮膚科学会 皮膚科専門医

参考文献・情報源

  1. 日本皮膚科学会 一般公開ガイドライン
  2. 日本皮膚科学会雑誌「乾癬の光線療法ガイドライン」
  3. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
  4. 環境省「紫外線による健康影響」

この記事の監修者 — 皮膚科専門医による監修

  • 岡 博史 (統括院長/医学博士)
    日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 遠田 博 (池袋院 皮膚科医)
    日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
  • 土屋 海士郎 (川口院 皮膚科医)
    日本皮膚科学会 専門医/難病指定医

本記事は当院の編集・監修体制に基づき作成しています。詳しくは編集ポリシー/監修体制をご覧ください。

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