形成外科では、できもの・けが・傷跡・まぶた・爪・生まれつきの変形という6分野の治療を扱い、その多くが健康保険の対象です。局所麻酔による日帰り手術で対応できるものが中心になります。
粉瘤を取りたい、巻き爪が痛い、傷跡が気になる。
どこまで保険で受けられるのか、費用はいくらか、迷う点は多いはずです。
本記事では治療を分類ごとに整理し、費用と流れの目安をお伝えします。
この記事でわかること
- 形成外科で受けられる治療の全体像(6分類)
- 保険適用の範囲と費用の目安
- 日帰り手術の流れと術後の通院
- 症状別の受診タイミング
- 受診前に準備しておくとよいこと
治療の全体像|6つの分類で整理する
形成外科の治療は、対象によって6つに整理できます。
いずれも体表に生じた問題を、機能と見た目の両面から扱うものです。
自分の症状がどこに当たるかを確認してみてください。
| 分類 | 主な症状 | 治療 | 保険 |
|---|---|---|---|
| できもの | 粉瘤、脂肪腫、ほくろ、皮膚腫瘍 | 切除手術、病理検査 | 対象 |
| けが・やけど | 切り傷、擦り傷、熱傷、咬傷 | 洗浄・縫合・創傷処置 | 対象 |
| 傷跡・変形 | 傷跡、ケロイド、ひきつれ | 修正手術、外用・注射 | 対象 |
| まぶた・耳 | 眼瞼下垂、逆さまつげ、耳垂裂 | 手術 | 症状により対象 |
| 爪・手足 | 巻き爪、陥入爪、ばね指 | 処置・手術 | 対象 |
| 生まれつきの変形 | 副耳、多指症、アザ | 手術、レーザー | 対象 |
美容目的の施術は、この分類とは別に自由診療として扱われます。
診療科の役割の違いは形成外科とはで解説しています。
できものの切除|粉瘤・脂肪腫・ほくろ
皮膚のできものは、薬で消えることがないため切除が基本の治療になります。
粉瘤は袋ごと、脂肪腫は被膜ごと取り除くことで再発を防ぎます。
取り出した組織は、病理検査で性質を確認します。
粉瘤の手術には、数ミリの穴から取り出すくり抜き法と、切開法があります。
大きさ・部位・炎症の有無によって使い分けます。
詳細は粉瘤の摘出手術にまとめました。
ほくろは、切除とレーザーのどちらを選ぶかを診察で判断します。
悪性を否定する必要がある場合は、病理検査ができる切除が基本です。
形の不整や色ムラ、急な変化がある場合は、早めに受診してください。
けが・やけどの治療
けがの処置は、受傷からの時間が短いほど選べる方法が増えます。
顔など目立つ部位の傷は、当日のうちに受診していただく価値があります。
洗浄と縫合の質が、その後の傷跡を大きく左右します。
やけどでは、深さの評価が治療方針を決めます。
水ぶくれができている場合や範囲が広い場合は、自己判断で処置しないでください。
まず流水で冷やし、そのうえで受診していただくのが安全です。
動物に咬まれた傷は、感染のリスクが高い傷です。
見た目が小さくても、深部で組織が損傷していることがあります。
自宅で消毒して様子を見るより、早く受診してください。
傷の中に砂や小石が残ったままふさがると、色素が沈着して残ります。
外傷性刺青と呼ばれる状態で、後から取り除くのは簡単ではありません。
転倒などで汚れた傷を負った場合は、初期の洗浄が特に重要になります。
市販の絆創膏で処置していても、そのままお越しいただいて構いません。
剥がして状態を確認しますので、無理に洗い直す必要はありません。
出血が続く場合は、清潔なガーゼで押さえながら受診してください。
傷跡・ケロイドの治療
傷跡の治療は、目立ちにくい状態に置き換えることが目的で、完全に消すことはできません。
その前提を共有したうえで、方法を選びます。
時間が経った傷跡でも、相談していただけます。
| 状態 | 主な治療 | 目安 |
|---|---|---|
| 幅の広い傷跡 | 修正手術(切除して縫い直す) | 傷が成熟してから |
| ケロイド・肥厚性瘢痕 | 外用・貼付薬、注射、内服 | 数か月単位で継続 |
| ひきつれ(拘縮) | 皮膚を移動させる手術 | 可動域の回復が目的 |
| 色素沈着 | 外用と紫外線対策 | 時間をかけて薄くする |
ケロイドは、胸や肩など張力のかかる部位で起こりやすい状態です。
体質が関わるため、早めに治療を始めた方が大きくなりにくくなります。
ピアスの穴が原因で耳にできることもあります。
手術で切除するだけでは、同じ場所に再発することがあります。
そのため、注射や貼付薬を組み合わせて再発を抑える方針を取ります。
治療期間は数か月から年単位になることもあり、根気が必要な分野です。
傷跡の修正手術は、傷が成熟してから行うのが原則です。
受傷直後は組織が不安定で、この時期に手を加えても結果が安定しません。
おおむね半年から1年を待って判断します。
まぶた・耳の治療
まぶたが下がって視野が狭くなる眼瞼下垂は、機能の問題として保険診療の対象になります。
額の筋肉で目を開ける状態が続くと、頭痛や肩こりを伴うことがあります。
「加齢だから」と諦めていた症状が、治療で軽くなる例もあります。
逆さまつげは、まつげが眼球に当たって傷をつける状態です。
放置すると角膜を傷めるため、程度によって手術を検討します。
子どもの場合は、成長に伴い自然に改善することもあります。
耳垂裂は、ピアスや外傷で耳たぶが裂けた状態です。
局所麻酔の日帰り手術で修復できます。
再度ピアスを開けられるかどうかは、経過を見てから判断します。
ピアスによる耳のトラブルは、裂ける以外にもいくつかあります。
金属によるかぶれ、しこり、ケロイドなどが代表的です。
症状によって治療が変わるため、まず診断を受けてください。
爪・手足の治療|巻き爪と陥入爪
巻き爪や陥入爪は、痛みが出る前に相談いただくと処置が簡単に済みます。
当院では陥入爪手術を2,375件行ってきました。
症状の程度によって、保存的な方法と手術を使い分けます。
軽度であれば、爪の切り方の指導とテーピングで改善することがあります。
深く食い込んでいる場合は、ワイヤーや手術で対応します。
化膿している場合は、まず炎症を抑える処置から始めます。
再発を防ぐには、爪の切り方を変えることが欠かせません。
両端を深く切り込まず、指先の形に沿ってまっすぐ整えてください。
靴による圧迫も、繰り返す原因のひとつです。
スポーツや立ち仕事で足先に負担がかかる方は、再発しやすい傾向があります。
靴のサイズが合っているか、つま先に余裕があるかを見直してください。
爪切りの正しい方法は巻き爪を防ぐ爪の正しい切り方で解説しています。
糖尿病がある方は、足のトラブルが重症化しやすいため注意が必要です。
自分で処置せず、早い段階で医療機関に相談してください。
感覚が鈍っていると、悪化に気づきにくいことがあります。
生まれつきの変形・アザの治療
生まれつきの変形やアザは、成長に合わせて治療の時期を判断します。
早く治療した方がよいものと、成長を待つ方がよいものがあります。
いずれも保険診療の対象になります。
副耳は、耳の前にできる小さな突起です。
局所麻酔で切除でき、年齢や大きさに応じて時期を決めます。
多指症のように、手の機能に関わるものは早めの対応が必要になります。
アザはレーザー治療の対象になるものがあります。
太田母斑や異所性蒙古斑、赤あざなどが該当します。
詳しくは皮膚科のレーザー治療で解説しています。
治療の開始時期は、お子さんがじっとしていられるかも判断材料になります。
範囲が広い場合は、麻酔の方法を含めて計画を立てます。
迷っている段階でも、一度ご相談ください。
費用の目安と日帰り手術の流れ
皮膚・皮下腫瘍摘出術の場合、3割負担で数千円から2万円程度が目安になります。
大きさと部位で区分が変わり、別途、初診料や病理検査の費用がかかります。
正確な金額は診察時にご確認ください。
- 受診・診察:診断と方針の説明。保険診療の手術は前日までに採血が必要なため、手術日は後日あらためてご予約いただきます
- 手術:局所麻酔で15〜40分程度。入院は不要です
- 翌日〜数日:ガーゼ交換のため通院します
- 約1週間後:抜糸。部位により時期が前後します
- 2週間前後:病理検査の結果説明
デスクワークであれば、翌日から通常どおり働ける方がほとんどです。
背中や関節近くなど動きで引っ張られる部位は、運動を1〜2週間控えます。
診療報酬の考え方は厚生労働省が定める点数表に基づきます。
受診前に準備しておくとよいこと
経過と内服薬の情報があると、診察は大きく早く進みます。
特に手術を検討する場合、飲んでいる薬の確認は欠かせません。
次の4点をご準備ください。
- いつから気づいたか、大きさや症状に変化があるか
- 過去に赤く腫れたこと、化膿したことがあるか
- お薬手帳(特に血液をさらさらにする薬)
- 手術を希望するかどうかのご意向
持病がある方は、内科の主治医と連携して進めることがあります。
未成年の方は保護者の同意書が必要です。
手続きの流れは未成年の手術と同意書で解説しています。
診察室で伺う、受診が遅れた理由
「手術と聞くと大げさに思えて踏み切れなかった」という声を、よく伺います。
SNSでも、粉瘤や巻き爪を長く放置して悪化させたという投稿は繰り返し見られます。
痛みが出てから受診されるケースでは、処置が二段階に増えることも少なくありません。
形成外科の治療に関するよくある質問
受診前によく寄せられる質問をまとめました。
Q1. 形成外科の手術は日帰りでできますか?
A1. 粉瘤やほくろの切除、巻き爪の処置など多くは局所麻酔による日帰り手術です。
入院は不要で、当日は歩いて帰宅できます。
範囲が大きい場合や全身麻酔が必要な場合は、対応できる施設をご案内します。
Q2. 費用はどのくらいかかりますか?
A2. 皮膚・皮下腫瘍摘出術の場合、3割負担で数千円から2万円程度が目安です。
大きさと部位で区分が変わり、別途、初診料や病理検査の費用がかかります。
正確な金額は診察時に確認してください。
Q3. 傷跡は何年経っていても治療できますか?
A3. できます。
時間が経った傷跡でも、修正手術や外用療法で目立ちにくくできる場合があります。
ただし完全に消すことはできず、目立ちにくい線に置き換えることが目的になります。
Q4. 巻き爪はどんな治療をしますか?
A4. 症状の程度で選びます。
軽度なら爪の切り方の指導やテーピング、食い込みが強い場合はワイヤーや手術による処置を行います。
歩行時の痛みがある段階で受診してください。
Q5. 子どもも治療を受けられますか?
A5. 受けられます。
副耳や多指症など生まれつきの変形は、成長に合わせて治療の時期を判断します。
未成年の手術には保護者の同意書が必要です。
Q6. 手術当日は入浴できますか?
A6. 部位と処置の内容によります。
多くは当日の入浴を控え、翌日以降にシャワーから再開します。
医師の指示に従ってください。
まとめ
形成外科では、できもの・けが・傷跡・まぶた・爪・生まれつきの変形を扱います。
その多くが健康保険の対象で、局所麻酔による日帰り手術で対応できます。
皮膚・皮下腫瘍摘出術の費用は、3割負担で数千円から2万円程度が目安。
けがや炎症を起こした粉瘤は、時間が経つほど治療が長引きます。
痛みが出る前の段階で相談していただく方が、処置も通院回数も少なくて済みます。
ヒロクリニック皮膚科・形成外科では、2008年8月から2026年6月までに21,576件の手術実績があります。
川口院はJR京浜東北線「川口駅」東口から徒歩3分。形成外科専門医が診察から手術まで担当します。
気になる症状は、お電話(048-240-6600)またはWebからご相談ください。
参考情報
本記事は、ヒロクリニック皮膚科・形成外科 形成外科医・海老沢武志医師の監修記事です。
海老沢医師は日本形成外科学会専門医です。
川口院・池袋駅前院にて形成外科診療を担当しています。













