妊娠37週以降はいよいよ「正産期」と呼ばれ、いつ陣痛が来てもおかしくない時期に突入します。長い妊娠期間を経て、出産という大きな節目を迎える臨月には、体調の変化も大きく、心身ともに不安を抱える妊婦さんも少なくありません。この記事では、臨月における体調管理のポイント、出産準備のチェックリスト、メンタル面のサポート、そしてNIPT(新型出生前診断)後の最終ステージとしての心構えについて専門的に解説します。安全で安心な出産に向けた実践的なアドバイスをお届けします。
臨月に起こる体と心の変化
妊娠37週以降は「正期産」と呼ばれ、赤ちゃんはいつ生まれても大丈夫な状態に近づいています。この最終ステージでは、母体には大きな変化が現れます。
- 頻尿・むくみ・腰痛の増加:子宮が大きくなり膀胱や血管を圧迫することで起こります。
- 前駆陣痛の出現:不規則な子宮収縮が始まり、本陣痛に向けて子宮がトレーニングを始めるサインです。
- おりものの変化:少量の血が混じる「おしるし」が出る場合があります。
- 胃の圧迫感が軽減する一方、骨盤の痛みが増す:赤ちゃんが下に降りてくることで重心が変化。
- 感情の揺れ動き:出産への不安と期待が入り混じり、情緒不安定になりやすくなります。
これらは出産が近づいている自然な変化。過度に心配せず、異常があればすぐ医療者に相談することが大切です。
臨月の体調管理チェックポイント
臨月(妊娠36週以降)は、出産が間近に迫り、体も心も大きく変化する時期です。安全でスムーズな出産を迎えるためには、体調管理と心の準備が重要です。
1. 睡眠と休息を最優先に
臨月はお腹が大きくなることで、夜間の頻尿や胎動、腰の痛みで眠りが浅くなりがちです。睡眠不足は体力の消耗につながり、分娩の持久力にも影響します。
- 昼寝や短時間の休息で体力を補う
- 寝る姿勢は、シムス体位(左側を下にして横向き)が理想
- 子宮や大静脈への圧迫を軽減し、血流がスムーズに保たれます
- 部屋を暗く静かに保ち、寝る前のスマホやカフェイン摂取は控えるとさらに質の良い睡眠につながります
2. 栄養と水分をしっかり確保
出産を控えた体は、多くの栄養素と水分を必要とします。バランスを整えることが、母体と胎児の健康を守る鍵です。
- 鉄分:出産時の出血に備えて、貧血を予防
- カルシウム:胎児の骨や歯の形成、母体の骨密度維持
- ビタミンC:免疫力サポートと鉄分吸収を促進
- マグネシウム:子宮の収縮や筋肉の働きをサポート。ナッツ類や葉物野菜、全粒穀物がおすすめ
- 水分:1.5〜2Lを目安に、常温の水や白湯をこまめに摂取。むくみがあっても水分制限はせず、適量を維持することが大切です
3. 適度な運動で血流促進
無理のない範囲で体を動かすことは、血流を促し、出産時の骨盤の柔軟性を高めます。
- マタニティヨガ:骨盤周りの緊張をほぐし、呼吸法の練習にもなる
- 散歩:軽い有酸素運動で体力維持と血流促進
- 注意点
- お腹の張り、出血、破水を感じた場合はすぐ中止
- 続ける前に必ず医師の指導を受けることが安心です
4. 出産兆候を見極める
出産が近づくと、体にはさまざまなサインが現れます。
- おしるし:血の混じったおりもの。出産が近いサインですが、慌てず経過を観察
- 規則的な陣痛:10分間隔以下で規則的に痛みが来たら、病院への連絡・受診を
- 破水:急に水っぽい液体が流れ出たら、感染リスクを避けるため即病院へ

出産に向けた準備リスト
- 入院準備:母子手帳、診察券、産褥ショーツ、授乳ブラ、赤ちゃんの肌着などをバッグにまとめておく
- 連絡タイミング:陣痛が規則的になった、破水、出血、胎動が少ないなどはすぐに連絡
- 家族との連携:陣痛タクシーや交通手段、立ち合い可否、家事・育児の分担を確認
心のケアと心構え
- 正しい情報に基づいて安心を得る
SNSや体験談は参考程度にし、医師や助産師からの情報を軸に判断。 - 呼吸法・リラックス法の習得
ラマーズ法やソフロロジーで陣痛に対応できるよう練習しておくと安心。 - 産後を見据えた心の準備
育児生活をイメージし、サポート体制を整えておくことが産後の安定にもつながります。
NIPT後の臨月:安心して出産に臨むために
NIPTを受けて陰性であっても「絶対大丈夫」という保証ではありません。
臨月はむしろ、胎動や母体の変化を観察する大切な時期です。
- 胎動カウント:1時間に10回を目安に動きをチェック
- 急な減少や異常は病院へ連絡
検査の結果に安心しすぎず、今この瞬間の母子の状態を観察することが出産に直結します。
まとめ
臨月は心も体も大きく揺れる時期ですが、
- 栄養・休養・運動のバランス
- 出産兆候の正しい理解
- 家族や医療者との連携
- 冷静に整える心構え
これらを意識すれば、不安を和らげ安心して出産に臨めます。
「赤ちゃんに会える日」を楽しみに、一歩一歩準備を整えていきましょう。

