全常染色体全領域部分欠失・重複疾患とは

東京衛生検査所の次世代シークエンサーを用いたNIPTの検査の結果、全常染色体全領域において、欠失および重複が患者さまの300~400人に1人に検出されています。文献によるとこれまでに48種類の欠失・重複が報告されています。東京衛生検査所はこれら48種類に加えて、全領域での欠失・重複を報告しています。この報告は700万塩基以上の欠失・重複があるケースのみ行います。

微小欠失疾患は100万塩基から300万塩基程度の欠失でも症状を発症しますが、症例によっては当該遺伝子を含んで700万塩基以上の欠損を伴うこともあります。疾患特有部位の遺伝子欠損を超える大きな欠失があった場合も、該当遺伝子が欠損してるために同様の症状またはより重度の疾患を伴うことが考えられます。そのため、該当欠損部位が疾患特異的部位にふくまれている場合、欠損範囲が大きい場合でも同じ診断名をつけるのが妥当と我々は考えております、、微小欠失と呼ぶと誤解を招くため、当サイトでは「部分欠失疾患」として記載させていただきます。

  • 全常染色体全領域部分欠失疾患

    全常染色体全領域部分欠失疾患

  • 通常の染色体

    通常

  • 全常染色体全領域部分重複疾患

    全常染色体全領域部分重複疾患

700万塩基のうちエクソン領域は約2%含まれており、それは14,000塩基にもなります。それだけの長さのエクソンがモノソミーまたはトリソミーになると中等度以上の障害を伴うことが予想されます。700万塩基の範囲は大きいと考える方もいるかもしれませんが、羊水穿刺後のマイクロアレイ検査でも500万塩基以下の欠失・重複は製造機器メーカ保証がありません。

全常染色体全領域部分欠失・重複疾患の報告例

染色体欠失

染色体 欠失部 症候群 備考
1番 1p12 アラジール症候群(Alagille症候群)  
1番 1q21.1 1q21.1微細欠失症候群  
1番 1p36 1p36欠失症候群 発生頻度(出生時)4,000〜10,000件中1件
成長障害、重度精神発達遅滞、難治性てんかんなどの症状
2番 2q13 ネフロン癆(Nephronophthisis)1型  
2番 2p21 全前脳胞症  
2番 2q37.3 オルブライト(Albright)症候群様中手骨・中足骨短縮  
3番 3q29 3q29微細欠失症候群  
4番 4p16.3 ウォルフヒルシュホーン症候群(Wolf-Hirschhorn症候群) 発生頻度(出生時)50,000件中1件
重度の精神発達の遅れ、成長障害、難治性てんかん、多発形態異常。
5番 5p13.2 コルネリア・デ・ランゲ症候群(Cornelia de Lange症候群)  
5番 5p15.2 猫鳴き症候群 発生頻度(出生時)20,000〜50,000件中1件
低出生体重、成長障害、甲高い猫のなき声のような啼泣。顔貌所見や筋緊張低下、精神運動発達の遅れ。
5番 5q35.3 ソトス症候群(Sotos症候群) 発生頻度(出生時)14,000件中1件
7番 7q11.23 ウィリアムズ症候群(Williams症候群)  
7番 7p13 パリスター・ホール症候群(Pallister-Hall症候群)  
7番 7p14.1 グレイグ脳多合指趾症(Greig 脳多合指趾症)  
7番 7p21.1 セートレ・ヒョッツェン症候群(Saethre-Chotzen症候群)  
7番 7q36.3 全前脳胞症3型  
8番 8q12.2 チャージ症候群(CHARGE症候群)  
8番 8p23.1 8p23.1微細欠失症候群  
8番 8q23.3 毛髪・鼻・指節症候群1型  
8番 8q24.11 ランガー・ギデオン症候群(Langer-Giedion症候群)  
11番 11p11.2 ポトツキ・シェファー症候群(Potocki-Shaffer症候群)  
11番 11p13 WAGR症候群  
12番 12q24.13 ヌーナン症候群(Noonan症候群)  
13番 13q14.2 網膜芽細胞腫・発達遅滞  
13番 13q32.3 全前脳胞症5型  
15番 15q11.2〜q13 プラダー・ウィリー症候群(Prader-Willi症候群) 発生頻度(出生時)10,000〜25,000件中1件
筋緊張低下、色素低下、外性器低形成。
15番 15q11.2〜q13 アンジェルマン症候群(Angelman症候群) 発生頻度(出生時)12,000件中1件
重度の精神発達の遅れ、てんかん、失調性運動障害、行動異常、睡眠障害、低色素症、特徴的な顔貌。
16番 16p11.2 16p11.2微細欠失  
16番 16p13.11 16p13.1微細欠失  
16番 16p13.3 ルビンシュタイン・テイビ症候群(Rubinstein-Taybi症候群) 発生頻度(出生時)125,000件中1件
16番 16p13.3 結節性硬化症2型  
17番 17p13.3 ミラー・ディカー症候群(Miller-Dieker症候群)  
17番 17p11.2 スミス・マギニス症候群(Smith-Magenis症候群) 発生頻度(出生時)15,000~25,000件中1件
17番 17q11.2 神経芽細胞種1型  
20番 20p12.23 アラジール(Alagille)症候群  
22番 22q11.2 ディ・ジョージ症候群(DiGeorge症候群)2型  
22番 22q11.2 22q11.2欠失症候群 発生頻度(出生時)4,000件中1件
先天性心疾患、精神発達遅延、特徴的顔貌、免疫低下、口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全、鼻声、低カルシウム血症。
22番 22q13.33 フェラン・マクダーミド症候群(Phelan-McDermid症候群)  

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染色体重複

染色体 欠失部 症候群 備考
1番 1q21.1 1q21.1微細重複症候群  
1番 2p21 全前脳胞症  
3番 3q29 3q29微細重複症候群  
5番 5p13.2 コルネリア・デ・ランゲ症候群(Cornelia de Lange症候群)  
5番 5q35.3 ソトス症候群(Sotos症候群)  
7番 7q11.23 ウィリアムズ症候群(Williams症候群)  
8番 8p23.1 8p23.1微細重複症候群  
10番 10q24.3 染色体10q24重複症候群  
11番 11p11.2 ポトツキ・シェファー症候群(Potocki-Shaffer症候群)  
11番 11p13 WAGR症候群  
12番 12q24.1 ヌーナン症候群(Noonan症候群)  
13番 13q32.3 全前脳胞症5型  
15番 15q11.2 プラダー・ウィリー症候群(Prader-Willi症候群) 筋緊張低下、色素低下、外性器低形成。
15番 15q11.2 アンジェルマン症候群(Angelman症候群) 重度の精神発達の遅れ、てんかん、失調性運動障害、行動異常、睡眠障害、低色素症、特徴的な顔貌。
15番 15q26qter 過成長・知的障碍  
16番 16p11.2 16p11.2微細重複  
16番 16p13.11 16p13.1微細重複  
16番 16p13.3 ルビンシュタイン・テイビ症候群(Rubinstein-Taybi症候群)  
17番 17p11.2 ポトツキ・ルプスキ症候群(Potocki-Lupski症候群)  
17番 17p12 シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth)1A型  
17番 17q21.31b 17q21.31微細重複症候群  
22番 22q11.1 猫の目症候群  
22番 22q11.2 22q11.2重複症候群 先天性心疾患、精神発達遅延、特徴的顔貌、免疫低下、口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全、鼻声、低カルシウム血症。

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(報告例は部分欠失・重複の一部です)
東京衛生検査所で使用している次世代シークセンサーは700万塩基以下の欠失・重複は検出できません。症候群の全ての症例を検出できるわけではありません。

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