妊娠超初期症状はいつからはじまる?~受精から着床まで~【医師監修】

受精から着床まで。妊娠超初期の知りたい!を解説

受精から着床までの妊娠超初期に、女性の体にはさまざまな変化が起きています。頭痛や眠気など、普段からよくみられる症状のため気づかない女性も少なくありません。妊娠超初期にあらわれる症状に気を付けられるようにわかりやすく解説します。

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妊娠超初期とは

妊娠超初期はいつの時期のことを指すのでしょうか。妊娠初期との違いも合わせて確認しましょう。

妊娠初期と妊娠超初期の違い

妊娠初期は13週6日までの期間をさします。

このうち、妊娠2週〜3週までの期間を医療・医学の専門用語ではないのですが、妊娠超初期と呼ぶことがあります。この期間は、卵子と精子が受精し着床する期間にあたり、妊娠が確認できない期間です。

妊娠超初期 授精

妊娠週数の数え方

妊娠週数の数え方には、排卵日から数える方法と最終月経から数える方法、病院でのエコー検査から推定する方法があります。

排卵日から数える方法

排卵日を妊娠2週0日として数えます。

最終月経の初日から数える方法

月経の初日を妊娠0週0日として数えます。この方法は月経周期が28日であると想定して計算するため、月経周期が28日と大幅にずれる場合は、妊娠週数にも大幅なずれが生じてしまいます。

超音波検査で確定する

排卵日から数える方法や最終月経から数える方法では、妊娠週数にずれが生じてしまうことが多いため、多くの場合、妊娠8~11週に超音波で胎児の頭殿長(胎児の頭の先からお尻までの長さ)を測り、妊娠週数・出産予定日を確定します。

妊娠超初期はいつからいつまで?

妊娠超初期は妊娠2週〜3週目を指しています。目安は最終月経から妊娠が成立するまで、受精から着床までの時期です。「妊娠超初期」という医療・医学の専門用語はありません。けれども、赤ちゃんの成長・発達にとても重要な時期で、体の変化に気付く女性も多いため注目すべき時期なのです。

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受精とは?

妊娠超初期をあらわす重要なキーワードが2つあります。それは、受精と着床です。まずは、受精についてくわしく解説していきます。

受精の時期はいつ?

受精の時期は、最後の生理から2週間程度あとの排卵の時期です。異性との性行為後、排卵した卵子に精子が入ることで受精が成立します。

受精すると女性の体に起こる変化

性行為後、体調変化はいつから起こるのでしょうか。受精が成立すると、少しずつですが女性の身体に変化が起こります。それは、気付かない人もいるような、ちょっとした症状や体調の変化です。これらの妊娠超初期症状を知っておくことで、妊娠の兆候に早く気付き、体調に注意できます。ここでは、受精後に自覚しやすい代表的な3つの体の変化を紹介します。

 腰痛

性行為後、受精が成立すると腰痛を感じやすくなります。女性ホルモンのバランスが変化する影響で、子宮内膜の状態が変わるからです。受精卵が着床するために、子宮内膜は厚く柔らかくなっていきます。その変化を、腰の違和感や腰痛として感じる方がいます。この変化は、生理のときとあまり変わらない症状のため、気付かない人も少なくありません。

 頭痛

受精により変化した女性ホルモンの影響で、頭痛を自覚することがあります。女性ホルモンの1つであるプロゲステロンには、血管を広げる作用があります。脳の血管が広がると、脳の神経を刺激するため頭痛を起こすことがあるのです。ホルモンバランスの変化で感じる頭痛は、普段とかわらない程度のものから、薬を飲むほどの痛みまでさまざまです。

 眠気

受精すると、眠気を感じる女性も少なくありません。女性ホルモンのバランスが変化し、プロゲステロンというホルモンが増えます。プロゲステロンには以下の働きがあります。

  • 妊娠を継続させる
  • 体温を上げる
  • 眠気を強くする

その結果、眠気を感じやすくなるのです。「しっかり眠っているのに、なんだかいつもより眠い」というときには、妊娠している可能性があるのです。

妊娠超初期 着床時期に女性の体に起こる変化

着床とは

 精子と卵子は受精したあと、1週間〜10日位の期間をかけて子宮にたどりつきます。子宮にたどりついた受精卵が、子宮内膜にくっつくことを「着床」といいます。

着床の時期はいつ?

最終生理から2週間程度で排卵がおきます。その時期に性交し、受精した受精卵は、1週間〜10日間をかけて着床します。着床の目安は妊娠3週目前後です。着床障害などがない場合は、受精卵ができてからおよそ12日前後に着床完了となる場合が多いと考えられています。

着床時期に女性の体に起こる変化

受精だけでなく、着床時期の女性の体にもさまざまな変化がおこります。ここでは、着床の時期にみられる特徴的な体の変化を解説します。    

腰痛

受精のあとだけでなく、着床時期にも腰痛を感じることがあります。着床すると受精卵が発育するため、子宮内膜が変化し腰痛を感じることがあります。

さらに、着床するとリラキシンというホルモンが分泌されます。リラキシンは出産に向けて、骨盤の周りを柔らかくする働きをもつホルモンです。リラキシンの影響で、妊娠超初期にも腰痛がみられることがあるのです。

着床時期にみられる痛みを着床痛といいます。その中でも腰痛はよくみられる症状で、着床腰痛と呼ばれることがあります。

おりもの

おりものは、エストロゲンというホルモンの分泌にあわせて量や性状がかわります。受精するとエストロゲンの量が増え、おりものの量が増えやすくなります。さらに、着床時期にはおりものの性状が変化します。その理由は、着床により腟のpHが変わるためです。おりものがさらさらしたり、ねばねばしたりといつもと違うことを実感することがあります。

着床出血

着床のあとに起きやすい症状に「着床出血」があります。受精卵が子宮内膜にくっつく時に、子宮内膜が傷ついてしまうことがあります。そのため1〜2日前後という短い期間だけ、出血がみられることがあるのです。

着床出血を自覚する人は4人に1人のため、着床出血のみられないこともあります。

基礎体温の変化

基礎体温を測っている人は、基礎体温の変化がいつもと違うことで、受精・着床に気付くかもしれません。

普段は生理3〜4日前から体温が低下し、生理がおこります。しかし着床していると、高体温が続き生理が遅れます。生理開始予定日を過ぎても、高体温が続いている場合は妊娠の可能性が高くなるのです。

月経がこない

いちばんの決定的な症状は、生理が来ないということでしょう。普段規則正しく生理が来ている人は、生理開始予定日から1週間程度遅れても生理が始まらない場合に、受精・着床している可能性がとても高くなります。

そのほかにも、生理前に快便だった人が妊娠すると便秘になりやすかったり、いつもと何か違うような、ちょっとした体調の変化が現れることがあるため、注意しましょう。

妊娠の決定的な症状とは

これまで説明してきたとおり、妊娠超初期には着床痛やおりものなど、さまざまな症状があらわれることがあります。

一方で、特に症状があらわれない方もいます。妊娠していたら、「いつごろまでにこんな症状が出る」など、明確な基準はありませんので、症状がなくても心配しないようにしましょう。

しかしながら、妊娠の決定的な症状として「生理がこない」ということは挙げることができます。

生理開始予定日よりも1週間程度遅れている場合には、妊娠検査薬のチェックをおすすめします。

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超初期症状と生理の見分け方

妊娠超初期に現れる症状の中で、着床出血は「生理がきたのかもしれない」と思われる人も少なくありません。

着床出血は妊娠3〜4週目の、生理開始予定日と同じくらいにみられる症状です。

妊娠超初期症状にみられる着床出血と、生理を見分けるポイントは以下になります。ぜひ、参考にしてください。

着床出血生理
日数1~2日数日~1週間
うすいピンク、茶色の血液、真っ赤赤~暗赤色
少量1日30ml 大さじ2杯程度
そのほかの特徴おりものにまざっている血の塊がでることがある

受精から着床が、おりものの状態でわかるって本当?

妊娠超初期には、女性ホルモンが変化します。その結果おりものが増えたり、おりものの色や臭いが変わりやすくなります。ここでは受精から着床にみられる、特徴的なおりものの状態について解説します。

おりものの量

普段はおりものが出ないという方でも、おりものがでることがあります。けれども個人差がおおきく、量が変わらない・減ったという人もいます。

おりものの色

妊娠超初期はおりものがいつもより水っぽくサラッとした状態になったり、半透明だった色が乳白色や黄色っぽく変化したりすることがあります。おりものの色も個人差があるので、変化を自覚しない人もいます。

おりものの臭い

酸っぱいようなニオイがすることもあります。ただ、この変化には個人差があり、妊娠してもおりものの量が変わらない、減ったという人、状態もむしろ粘りの強いものになったという人もいます。

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妊娠超初期に、体と心が出す様々なサイン

妊娠超初期には体と心にさまざまなサインがあらわれます。その多くは、月経前症候群(PMS)と似た症状です。ここでは妊娠超初期にみられる、さまざまなサインを簡単にまとめました。「妊娠したかもしれない?」と思ったときは、これらの症状がないかチェックしてみましょう。

  • おりものの量が増えた、色が変わった
  • ごく少量の出血がある
  • 下腹部が痛い、お腹が張る
  • 眠気を感じる、急に眠くなる
  • 食欲がなくなる、食欲がありすぎる
  • においに敏感になる
  • めまいやふらつきがある
  • 熱っぽい、体がほてるかんじがする
  • わけもなくイライラする、気分が落ち込む
  • 便秘がちになる
  • 胸が張る、乳頭がチクチクする

妊娠が分かったら

病院を受診する

月経が1週間遅れたタイミングで妊娠検査薬を使って陽性反応が出た場合、そこからさらに1週間くらい待ち、月経が2週間ほど遅れたら病院を受診しましょう。月経が28日周期であれば、前回の月経が始まった日から数えて6週目になります(妊娠6週目)。

妊娠届出書を提出し、母子健康手帳(母子手帳)をもらう

受診する病院によってタイミングは異なりますが、赤ちゃんの心拍を確認できる頃になると、妊娠届出書を発行してくれる場合が多いです。妊娠届出書を自治体に提出すると、母子手帳をもらうことができます。

母子手帳は今後の妊婦検診で使用し、妊娠の経過を記録していくものであるため、初回の妊婦検診までに必ずもらうようにしましょう。

NIPT(新型出生前診断)を検討しましょう

妊娠10週を越えると、NIPT(新型出生前診断)を受けることができます。NIPT(新型出生前診断)は、母体の血液に含まれる胎児由来のDNAの量を推定することにより、胎児のダウン症候群(21トリソミー)エドワーズ症候群(18トリソミー)パトウ症候群(13トリソミー)などの染色体の異常を調べることができる非確定的検査です。

非確定的検査ではありますが、これまでの母体血による出生前診断と比較し検査精度が高く、感度・特異度ともに99.9%とされています。非侵襲性出生前遺伝学的検査とも呼ばれており、採血のみで検査できるため、流産などのリスクを伴いません。

NIPT(新型出生前診断)は、妊娠10〜15週に受けることが推奨されています。妊娠前など早い時期から知識を入れておき、妊娠が分かったら早めに検討しましょう。

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妊娠がわかったら気をつけること

生活習慣

妊娠がわかったら、胎児に影響を及ぼす恐れのある喫煙や飲酒は控えましょう。

コーヒーなどのカフェインを含むものも、摂りすぎるとよくないことが分かっています。摂りすぎに注意し、1日1〜2杯までにとどめるようにしましょう。

また、持病で服用している薬がある方は、ただちにかかりつけ医を受診し、妊娠期間中も継続してよいかを確認するようにしてください。

なお、妊娠期間中は、おなかの赤ちゃんのためにもストレスを溜めないように気を付けましょう。油断しすぎも禁物ですが、神経質になりすぎず、リラックスできる時間を見つけて、心と体に負担をかけずに妊娠生活を送れるといいですね。

切迫流産

胎児が子宮内に残っており、流産の一歩手前である状態を切迫流産といいます。子宮の中に血液のかたまり(絨毛膜下血腫)がある切迫流産では安静が有効との報告があります。切迫流産と診断されたら、医師の指示に従い、安静にするようにしましょう。

まとめ

妊娠超初期に感じるさまざまなサインは「まったく感じなかった」という人もいるくらい、軽い症状になることもあります。

症状がないから妊娠していないと思い込み、生理予定日をだいぶ過ぎてから妊娠に気づくこともあります。生理が遅れている、なんだかいつもより体調がすぐれない時には、妊娠検査薬でチェックしてみましょう。

適切なタイミングで妊娠が判明することで、計画的にNIPT(新型出生前診断)や羊水検査をおこなうことができます。計画的にNIPT(新型出生前診断)や羊水検査が行えると、ママにも赤ちゃんにも負担が少なくなります。

妊娠したらNIPT(新型出生前診断)を受けたいと考えている方は、妊娠10週から検査可能なヒロクリニックNIPTの受診をご検討ください。

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【参考文献】

Q&A
よくある質問

妊娠超初期についてよくある質問をいくつかまとめました。参考にしてみてください。

  • Q
    妊娠超初期に妊娠検査薬で確認できる?
    一般に販売されている妊娠検査薬は生理開始予定日の1週間後から使えるタイプです。その他、薬剤師がいる調剤薬局等で販売されている早期妊娠検査薬は生理予定日から検査することができます。

    ただし、早期妊娠検査薬を使っても妊娠反応が出るのは妊娠4週以降のため、妊娠超初期には陽性反応が出ない場合がほとんどです。検査できる時期まで待ってから検査を行うようにしましょう。
  • Q
    妊娠がわかったら、早めに病院を受診するべき?
    あまり早く病院を受診しても、胎嚢と赤ちゃんの心拍を確認できずに後日また受診することになってしまうかもしれませんので、症状や妊娠検査薬で妊娠がわかったら、最後の生理がはじまった日から5週目の終わり~6週目くらいに産婦人科を受診するのがおすすめです。

    また、妊娠後にNIPT(新型出生前診断)や羊水検査などを検討している方は、検査の適切なタイミングを逃さないためにも、適切な時期に妊娠検査薬でチェックしましょう。

受精から着床までの妊娠超初期に、女性の体にはさまざまな変化が起きています。頭痛や眠気など、普段からよくみられる症状のため気づかない女性も少なくありません。妊娠超初期にあらわれる症状に気を付けられるようにわかりやすく解説します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

記事の監修者


川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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