妊娠初期症状と身体の変化
妊娠初期症状には個人差があり、身体の変化や症状は異なります。妊娠初期の症状は、PMS(月経前症候群)や風邪のひき始めと似ていることもあり、判断がつきにくいとされています。しかし、妊娠を希望する方はいつもと違う身体の変化に「妊娠しているかもしれない」と期待が膨らむでしょう。
以下は一般的な妊娠初期(妊娠4〜15週目)の症状と、多くの妊婦さんに見られる身体の変化となります。
一般的な妊娠初期症状
- 特定のニオイに気持ちが悪くなる
- お腹が張る
- 腰が重く感じる
- 頻尿
- 便秘気味になる
一般的に起こりやすい妊娠初期症状の他、多くの妊婦さんたちが体験した妊娠初期症状の統計は以下の通りです。
妊娠初期症状の統計
1位 微熱(高温期)になった 32.1% 2位 ニオイがダメになった 27.8% 3位 眠気 26.7% 4位 胃痛・胸やけ 23.5% 5位 乳房・乳首に違和感 22.7% 6位 風邪みたいな症状 15.5% 7位 おりものが変わった 13.6% 8位 生理前(PMS)みたいに不安定になった 9.4% 9位 腹痛 8.6% 10位 腰痛 7.8% 11位 便秘・下痢 7.5% 12位 頻尿 6.4% 13位 唾液が多くなった 2.1% 14位 その他 15%
妊娠による体調の変化には妊娠時に分泌されるホルモンが大きく関わります。また多くの妊婦さんは妊娠週数ごとに下記のような体調の変化が現れます。
微熱
体温は、排卵日の前は低温期・排卵日の後は高温期と、二相に分かれています。妊娠すると、生理予定日をすぎても体温が高い状態が持続するので、『微熱・眠気・風邪っぽい』といった症状を感じます。
妊娠前から基礎体温を計っていると妊娠かPMSかがわかりやすいため、日ごろから基礎体温表をつけて体温チェックを心がけましょう。

つわり
多くの妊婦さんが経験しているにも関わらず、医学的に原因がはっきりしていないつわり。自律神経の乱れや、妊娠による体内環境の変化などが原因ではないかと考えられています。個人差の大きな症状なので、脱水症状や体重減少など重症化しないように注意が必要です。
一般的に妊娠12週までに治まるといわれているつわりですが、実際につわりを体験した方のつわり期間の統計は以下の通りです。
つわりの期間
妊娠4~5週 6.8% 妊娠6~7週 9.9% 妊娠7~8週 9.9% 妊娠8~9週 13.3% 妊娠9~10週 11.3% 妊娠10~11週 9.6% 妊娠11~12週 10.2% 妊娠12週以上 29.0%
多くの妊婦さんが、つわりによって日常生活に支障があるといわれています。吐き気や嘔吐以外にも、胃痛や胸やけ、唾液過多などもつわりの症状です。つわりによって脱水症状や、体重減少がある場合は医師に相談しましょう。
乳房・乳首の違和感
妊娠すると女性ホルモンの分泌が多くなるので、『胸が張る・大きくなる・乳首が痛い』などの症状が起こります。
その他にも
- 乳首が黒くなる
- 乳輪に小さなぶつぶつができる
- 胸の血管が浮き出る
これらの症状は多くの妊婦さんに起こるものであり、病気ではありません。また乳首の黒ずみなどは出産後、しばらくすると元の状態に落ち着きます。乳房は1〜3カップほどサイズが大きくなるため、締めつけ感のない肌触りの優しい下着を選びましょう。
おりものの変化
妊娠すると女性ホルモンの分泌量が増加し、おりものの量や状態に変化を感じることも少なくありません。つわりと同様に、妊娠初期のおりものには個人差がありますが、一般的な症状は以下の通りです。
ニオイ | 生臭い・酸っぱいニオイ |
---|---|
状態 | 水っぽい・卵の白身のようなトロンとした形状 |
量 | 生理予定日を過ぎても、生理予定日前のおりものの量と変わらない、もしくは増える |
おりもののニオイや状態は個人差がありますが通常、生理前はおりものの量が減少します。おりものの量が増えているのであれば妊娠の可能性もあるため、妊娠検査薬で検査をおこないましょう。
妊娠以外にも腟内の病気や性病によって、おりものの状態は変化します。日頃から自身のおりものの状態を観察し、色や量・ニオイなどに異常がある場合は早めに診察を受けましょう。
腟内の病気
細菌性膣層 | 性器カンジダ症 | |
---|---|---|
ニオイ | 生臭い | なし |
状態 | 灰白色 | 白いチーズ状 |
陰部のかゆみ | なし | あり |
性病
クラミジア | ヘルペス | 梅毒 | 淋病 | トリコモナス | |
---|---|---|---|---|---|
状態 | 多量の水溶性 | - | - | 黄色 | 泡状で黄色い |
陰部の症状 | - | 水ぶくれ | 硬いしこり | 排尿時の痛み | 強いかゆみ |
妊娠期間に起こる排泄悩み
便秘・下痢・腹痛・頻尿など、妊娠期間は排泄に関する症状も多く現れます。個人差はありますが、おもに以下のような原因によって引き起こります。
原因 | |
---|---|
便秘 |
妊娠中のホルモンの分泌で、筋肉が緩んで腸の動きが低下するため。 ※赤ちゃんが成長すると、腸が圧迫されることでも便秘になります。 |
下痢 |
①ホルモンの分泌で自律神経が乱れるため。 ②つわりで冷たい物や飲み物を多く摂取しているため。 ③ストレスや鉄剤による副作用。 ※鉄剤は、妊娠後期の貧血改善で処方されます。 |
頻尿 |
①腎臓の働きが活発になり、尿量が増えるため。 ②子宮が大きくなり膀胱が圧迫されるため。 ③妊娠中のホルモンの分泌により、膀胱の筋肉も緩むため。 |
妊娠による便秘や下痢は、赤ちゃんへの影響は少ないとされています。しかし、異常な腹痛や脱水症状を引き起こすような下痢などの症状が現れた際は、すぐに受診が必要です。

妊娠初期に起こる関節痛とは
妊娠期間は女性ホルモンの影響により筋肉が弛緩します。これは子宮収縮を防ぐために起こる現象ですが、ヒトの関節は筋肉により守られています。そのため、関節周りの筋肉が弛緩してしまうことで、関節に負荷がかかり関節痛が引き起こされます。
女性ホルモンの影響以外では、子宮が大きくなることで腰骨圧迫による痛みや、体重増加によって起こる関節痛なども挙げられます。
妊娠初期から後期にかけての関節の痛みは、一般的な妊娠症状とされます。しかし、関節痛とともに高熱がある場合は腎盂腎炎の疑いもあるため、すぐに受診しましょう。
妊娠初期の出血と流産の危険性
妊娠初期に出血を経験する妊婦さんは少なくありません。妊娠初期の出血は子宮内膜の毛細血管が損傷することで起こるとされています。しかし、この出血が直接的な流産に繋がることは稀であり、妊娠初期に出血した妊婦さんと、出血のなかった妊婦さんを比較しても流産の確率は変わらないといわれています。
妊娠初期に起こる流産の原因は、胎児の染色体異常とされています。そして現代の医療技術では、染色体異常を原因とする流産は治療法が確立されていません。
しかし、流産の原因のひとつである染色体異常についてはNIPT(新型出生前診断)により、妊娠10週0日で調べることが可能です。

NIPT(新型出生前診断)で早期に知る流産リスク
NIPT(新型出生前診断)は妊婦さんの血液のみで検査が可能です。健康診断と同じ採血法で胎児のもつ染色体異常による先天性疾患リスクの確率を調べることができます。ヒロクリニックNIPTによるNIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの年齢などを問わず妊娠10週0日から検査を受け付けております。
ヒロクリニックNIPTのNIPT(新型出生前診断)の検体検査は国内によっておこなわれます。採血と同時にバーコード管理されるため、検体の取り違えといった人為的ミスは非常に少ないことが特長です。またヒロクリニックNIPTは国内での検体検査のため、検査結果を、採血から通常2~5日(一部の院および連携施設の場合は通常3~6日以内)でお届けします。なお、連携施設を除くヒロクリニックNIPT各院では、特急便オプションをご利用いただけます(採血から2~3日以内にお届け)。
妊娠初期に染色体異常を原因とする流産リスクを知ることは、より健やかな妊娠期間を過ごすためにとても大切といえるでしょう。
胎児の健康状態を早期に知りたい、またはNIPT(新型出生前診断)について詳しく知りたい妊婦さんはヒロクリニックNIPTへ、ぜひ一度ご相談ください。

参考文献
- 女性にやさしい職場づくりナビ – 妊娠中の身体の変化と対応ポイント
- 日本性感染症学会 – 細菌性腟症
- 日本産科婦人科医会 – Q&A性感染症について教えて下さい。
- 厚生労働省 – 不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会
記事の監修者

川野 俊昭先生
ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医
産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。
略歴
1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長
資格
日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医