この記事のまとめ
妊活中の食事は、特定の食べ物で妊娠を保証するものではなく、栄養バランスの整った食生活で体を妊娠しやすい状態に近づけることが基本です。葉酸や鉄、たんぱく質などを不足なくとり、アルコールやカフェインのとりすぎ、生ものなどを控えると安心です。食事は女性だけでなく男性にも関わります。この記事では、妊活中にとりたい食べ物・飲み物と避けたいもの、男性の食事、妊娠が確定したあとのNIPTの位置づけまでをまとめました。
この記事でわかること
- 妊活と食事の基本的な考え方(バランス・朝食・体重管理)
- 妊活中にとりたい栄養素と、多く含む食品の一覧
- 妊活中に避けたい食べ物・飲み物と、その理由
- 男性の食事と精子の関係、妊娠が確定したあとのNIPTの位置づけ
妊活と食事の基本の考え方
妊活の食事は「何か特別な食品を足す」よりも、栄養バランスの整った食生活を毎日続けることがいちばんの土台になります。体を作る材料は日々の食事から届きます。
妊活とは、妊娠に向けて体と心、生活環境を整えていく準備のことです。女性だけが頑張るものではなく、パートナーと二人で取り組むもの。その中でも食事は、毎日のことだからこそ後回しにされがちで、けれど積み重ねが大きく効いてくる部分です。特別なレシピを覚える必要はありません。いつもの献立を少しずつ整えるだけでも、体は着実に応えてくれます。
栄養が偏ると、女性ホルモンのバランスが乱れたり、貧血が起きたりすることがあります。反対にとりすぎれば体重が増え、妊娠したあとの高血圧や糖尿病のリスクにもつながります。極端に足りない、極端に多い、そのどちらも避けたいところ。ちょうどよいところを保つ感覚が大切です。
私は、妊活の食事で最初につまずきやすいのは朝食を抜いてしまう習慣だと感じています。朝を抜くと一日の栄養が不足しやすく、間食も増えがちです。まずは三食のリズムを整えることから始めてみてください。妊娠前からの体づくりについては妊娠前に知っておきたいこともあわせてご覧ください。
体重も見逃せない要素です。やせすぎも太りすぎも、月経周期や排卵に影響することがあります。急な減量や増量ではなく、無理のないペースで整えるのがコツ。食事と体重を一緒に考えたい方は体重管理と献立が参考になります。妊娠前からの健康づくりという考え方は、成育医療研究センター プレコンセプションケアでも詳しく紹介されています。
妊活中におすすめの栄養素と食品
妊活中は、葉酸・鉄・たんぱく質・亜鉛・ビタミンD・大豆製品を意識してとると、体づくりの助けになります。特定の一品にこだわらず、いろいろな食品から少しずつ集めるのが基本です。主な栄養素と食品を表にまとめました。
| 栄養素 | 体の中でのはたらき | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| 葉酸 | 赤ちゃんの脳や脊髄の発育を助ける | ほうれん草・ブロッコリー・納豆・いちご |
| 鉄 | 血液をつくり、貧血を防ぐ | 赤身肉・レバー・小松菜・あさり |
| たんぱく質 | 体の土台となる細胞をつくる | 肉・魚・卵・大豆製品 |
| 亜鉛 | 細胞分裂やホルモンの働きに関わる | 牡蠣・牛赤身肉・卵・ナッツ |
| ビタミンD | カルシウムの吸収を助ける | 鮭・さんま・きのこ類 |
| 大豆製品 | たんぱく質やイソフラボンを含む | 納豆・豆腐・豆乳 |
葉酸は妊娠前から意識してとりたい栄養素
数ある栄養素の中でも、葉酸は妊娠前から意識してほしいものです。赤ちゃんの脳や脊髄がつくられる妊娠のごく初期は、まだ妊娠に気づいていない時期と重なります。気づいてから慌てても間に合わないことがあるため、計画の段階からの準備がすすめられています。
妊娠を計画している女性は、食事に加えてサプリメントで1日400μg(プテロイルモノグルタミン酸)を補うことが目安とされています。食事だけで必要量をそろえるのは難しいため、サプリメントの活用が現実的です。摂取量の考え方は厚生労働省「日本人の食事摂取基準」でも確認できます。葉酸の詳しい役割は葉酸についてで解説しています。
鉄・たんぱく質・亜鉛でホルモンと血液を整える
月経のある時期は、鉄が不足しやすくなります。赤身肉や小松菜、あさりなどをこまめにとって、貧血を防いでいきましょう。たんぱく質は体そのものの材料。肉・魚・卵・大豆をかたよりなく組み合わせてください。
亜鉛は、細胞分裂やホルモンの働きを支える栄養素です。牡蠣や赤身肉、卵、ナッツなどに多く含まれます。大豆製品はたんぱく質とイソフラボンをあわせてとれる便利な食材。納豆や豆腐、豆乳を毎日の献立にそっと足すだけでも、栄養の底上げにつながります。
ひとつ気をつけたいのが、レバーなどに多いビタミンAです。ビタミンAはとりすぎると赤ちゃんに影響することがあるため、レバーを毎日大量に食べるような食べ方は避けてください。鉄を補いたいときは、レバーに頼りきらず赤身肉や野菜と組み合わせるのが安心です。

妊活中に避けたい食べ物・習慣
妊活中は、アルコールやカフェインのとりすぎ、トランス脂肪酸や加工食品にかたよる食べ方、生ものを控えると安心です。「足すこと」より「減らすこと」から見直すと整えやすくなります。
私は妊活の食事を考えるとき、つい「何を食べれば良いか」に意識が向きがちだと感じます。けれど、続けやすいのはむしろ逆の順番。まず「何を減らすか・やめるか」から始めるほうが、日々の選択がぶれにくくなります。Xでも@ninkatu_nyankoさんが、妊活中の食生活は「何を食べるか」より、まず「何を食べないか」を考えることが大切だと書いていました。この視点は、忙しい毎日でも実践しやすいと思います。
アルコール・カフェインのとりすぎ
アルコールは、妊娠に気づく前の時期に赤ちゃんへ影響する可能性が否定できません。妊活中は量を意識し、できるだけ控えめにしてください。カフェインもとりすぎると体に負担がかかります。カフェインは1日200〜300mg程度までが一つの目安とされ、コーヒーだけでなく紅茶や緑茶、エナジードリンクにも含まれる点に注意が必要です。
トランス脂肪酸・加工食品のとりすぎ・生もの
マーガリンやショートニング、揚げ物やスナック菓子に多いトランス脂肪酸は、とりすぎると体の負担になります。加工食品やファストフードにかたよる食べ方も、栄養が偏りやすく体重増加につながりがち。頻度を下げるだけでも変化を感じられます。
生ものにも気を配ってください。生肉にはトキソプラズマ、生卵にはサルモネラ菌が付着している可能性があります。妊娠に気づく前に感染すると赤ちゃんへ影響することがあるため、肉や卵はしっかり火を通すと安心です。妊娠が確定したあとに控えたい食品は妊娠中に控えるべき食べ物で一覧にしています。
妊活中の飲み物と水分のとり方
妊活中の飲み物は、水や白湯を基本にして、カフェイン入りの飲み物は量を意識するのがおすすめの整え方です。体の多くは水分でできています。
体内の水分が不足すると血流が滞り、子宮や卵子へ栄養が届きにくくなることがあります。水分は1日1〜2Lを目安に、水や白湯でこまめにとってください。一度に大量に飲むより、少しずつ回数を分けるほうが体になじみます。冷たい飲み物ばかりだと体が冷えやすいため、白湯を挟むと落ち着きます。朝起きたときの一杯、食事のあいだ、就寝前など、タイミングを決めておくと飲み忘れを防げます。
カフェイン入りの飲み物は、前の章でふれた1日200〜300mg程度を目安に。コーヒーが好きな方は、カフェインレスや麦茶、ルイボスティーなどに置き換える日をつくると無理なく減らせます。エナジードリンクは糖分もカフェインも多いため、妊活中は頻度を下げると安心です。私は、飲み物は毎日のことだからこそ、我慢というより「置き換え」で考えると続けやすいと感じています。
男性におすすめの食べ物と精子の関係
妊活は女性だけのものではなく、男性の食事も精子の状態に関わるため、たんぱく質・亜鉛を中心にバランスよく食べることが大切です。男性側の準備も同じくらい意味があります。
健康的な精子をつくるには、材料となる質のよいたんぱく質が欠かせません。肉や魚、卵、大豆製品など、いろいろな食品から集めてください。亜鉛は精巣の働きを支える栄養素で、牡蠣や赤身肉に多く含まれます。アルコールやカフェインのとりすぎを控える点は、女性と共通します。
私は、男性側は「今日の食事はすぐ関係ない」と考えてしまいがちだと感じます。ところが体づくりには時間差があります。Xでも@ihmed2014さんが、精子は約2〜3か月ごとに新しく作られるため、今の食事や生活習慣がこれからの精子の質に影響しうると書いていました。つまり、今日整えた食事が数か月先に効いてくるということ。だからこそ早めに、そして二人で取り組む価値があります。

妊娠が確定したら考えたいNIPT
妊娠が確定したあとに赤ちゃんの染色体について知りたいときの選択肢のひとつが、NIPT(新型出生前診断)です。食事を整えたその先の安心にもつながる情報として紹介します。
妊娠がわかると、赤ちゃんの健康が気になる方は少なくありません。おなかの赤ちゃんの状態を調べる検査は出生前診断と呼ばれ、その中でも母体の採血だけで受けられるのがNIPTです。妊婦さんの血液を用いるため、赤ちゃんの体に負担がかからない点が特徴です。
NIPTは、13・18・21トリソミーなど対象の染色体を調べる非確定的検査であり、確定診断には羊水検査などが必要です。結果が陽性だった場合は、羊水検査などのより詳しい検査で確かめる流れになります。検査を受ける前には、内容や結果の意味について医師の説明を受けると安心です。ヒロクリニックNIPTでは、産婦人科・小児科・臨床遺伝の専門医が連携し、遺伝カウンセリングを行っています。
妊娠中の食事や生活の悩みは、公的な情報も心強い味方になります。母子保健の基本はこども家庭庁 母子保健で確認できます。NIPTを検討したい方は、まず気軽にご相談ください。
よくある質問
妊活中の食べ物・飲み物について、よく寄せられる疑問をまとめました。毎日の食事づくりの参考にしてください。
Q. これを食べれば妊娠できるという食べ物はありますか?
特定の食べ物で妊娠を保証できるものはありません。妊活の食事で大切なのは、葉酸や鉄、たんぱく質などを不足なくとり、栄養バランスの整った食生活を続けることです。ひとつの食品に頼らず、いろいろな食材を組み合わせてください。
Q. 葉酸はどのくらい摂ればよいですか?
妊娠を計画している女性は、食事に加えてサプリメントで1日400μg(プテロイルモノグルタミン酸)を補うことが目安とされています。食事だけで必要量をそろえるのは難しいため、サプリメントの活用がすすめられています。
Q. 妊活中のカフェインは完全にやめるべきですか?
完全にやめる必要はありませんが、量を意識してください。1日200〜300mg程度までが一つの目安とされています。コーヒーだけでなく紅茶や緑茶、エナジードリンクにも含まれるため、合計で考えるとよいです。
Q. お酒は妊活中にどのくらいまで大丈夫ですか?
妊娠に気づく前の時期に赤ちゃんへ影響する可能性が否定できないため、妊活中はできるだけ控えめにしてください。飲む量や頻度を減らし、気になるときはかかりつけの医師に相談すると安心です。
Q. 男性の食事も妊活に関係しますか?
関係します。精子は約2〜3か月ごとに新しく作られるため、今の食事や生活習慣がこれからの精子の状態に影響しうるとされています。たんぱく質や亜鉛を中心にバランスよく食べ、アルコールやカフェインのとりすぎを控えてください。
著者・監修
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- Mikkelsen EM, Riis AH, Wise LA, Hatch EE, Rothman KJ, Cueto HT, et al. Alcohol consumption and fecundability: prospective Danish cohort study. BMJ. 2016 Aug 31;354:i4262.
- Chavarro JE, Rich-Edwards JW, Rosner BA, Willett WC. Dietary fatty acid intake and the risk of ovulatory infertility. Am J Clin Nutr. 2007 Jan;85(1):231-7.
- Scholl TO, Johnson WG. Folic acid: influence on the outcome of pregnancy. Am J Clin Nutr. 2000 May;71(5 Suppl):1295S-303S.
- Montoya JG, Liesenfeld O. Toxoplasmosis. Lancet. 2004 Aug 14-20;363(9421):1965-76.

