妊娠すると、お腹の赤ちゃんの性別が気になるもの。男女産み分けできるとしたら、皆さんはどちらがいいと思っているのでしょうか?女の子が欲しい、男の子が欲しいと思う理由や、産み分けの方法、胎児の性別判定についてご紹介します。
気になる赤ちゃんの性別は?
初めてママになる妊婦さんはもちろん、二人目、三人目でも、お腹の子は「男の子がいいな」とか「女の子がいいな」と思い描いていることでしょう。
お腹の赤ちゃんの性別を教えてくれるクリニックが増えましたが、出産までのお楽しみにして、性別を聞かない方もいると思います。
男の子でも女の子でも我が子は可愛いものですし、生まれたときに性別がわかるほうが、より感動的かもしれませんね。
「男の子なら、こんな風に育てたい」「女の子なら、可愛い服を着させたい…」などと想像するのは、妊娠中の楽しみでもあります。
この記事では先輩ママたちの声も紹介しながら、生まれてくる子供の性別について掘り下げました。

子どもを一人だけ持てるとしたら、男の子、女の子どっちが希望?
統計数理研究所が2013年に報告した調査によると、「欲しいのは男の子?それとも女の子?」という質問に対して、1988年は男の子と回答する人が多かったのですが、1993年頃から20年間、女の子を望む人のほうが多くなっています。
また、サンケイリビング新聞社が2018年に実施したアンケートでも、「一人だけ生むとしたら女の子がいい!」という人が66%、ついで「どちらでもいい」が20%、「男の子がいい!」は13%でした。
統計数理研究所の調査結果と合わせてみると、この25年間、女の子を希望する人のほうが多い傾向にあるようです。
女の子を希望するのは日本だけの傾向?!
生まれてくる子供は「女の子がいい」と考える人が増えてきたのは、なぜでしょうか?
2006年に実施した調査によると、東アジアの3ヶ国(韓国・台湾・中国)では「男の子が欲しい」と回答する人が多く、特に中国では男の子を希望する人が女の子の倍以上でした。
中国は「一人っ子政策」のもと、後継ぎとして男の子を欲しがる家が多く、実際に「産み分け」も横行していました。そのせいで、若年層では男性の数が女性の数を大きく上回っています。
日本でも一昔前までは「家を継がせたい」と男の子を望む人が多かったのですが、時代は変わり、跡継ぎという考え方が薄れてきたのでしょう。
生まれてくる赤ちゃんの性別の希望には、政治的な背景や経済・産業構造が関係しているのかもしれません。

女の子が良いと思う理由とは?
ネット上にも、生まれてくる子供の性別について、さまざまな声が寄せられていますので、以下に紹介します。まずは、「女の子がいい!」という人の理由から。
- 可愛い洋服がたくさんあり、着せるのが楽しい
- 女の子のほうが育てやすいと聞いている
- 「男の子を育てるには体力がいる!」と友達から聞いた
- 女の子なら、一緒にショッピングやランチを楽しめる
- 娘と友達のような関係になることに憧れる
- 女に生まれたほうが楽しい人生を送れるから
- 娘の孫なら心置きなく遊んだり、世話したりできる
- 将来、世話をしてもらうようになったとき、女の子のほうが頼りになる
- 息子は結婚すると疎遠になりそうだけれど、娘は何かと家に戻ってきそう

男の子が良いと思う理由とは?
男の子派の意見もまとめてみました。
- 女の子より手がかかるけれど、その分可愛い
- 小さいうちは、息子は恋人のような存在
- 主人がアウトドア派なので、付き合ってあげるには男の子がいい
男の子が欲しいと思うのは、女性よりも男性に多いようです。
男性の意見としては、
- 家でも外でも一緒に遊べる
- 一緒にキャッチボールなどをしたい
- 息子は家族の中で同志という感じがする
- 自分が果たせなかったことを息子にさせたい
- 将来、自分の仕事を継いでくれるかもしれない
いかがでしたか。皆さん、将来まで見据えているようですね。
男の子を持つのと女の子を持つのとでは、将来まで見据えると、いろいろ違いが出てくるようですね。しかし、親にとっては、我が子であればどちらも可愛いのが本音かもしれません。
ちなみに、筆者は男の子と女の子、両方の子育てを経験しましたが、今振り返ると、子育てが楽だったのは娘の方でした。
男の子も女の子も、どちらも思春期になると、一般的には反抗期があります。
男の子の場合、反抗期が大変です。個人差はあると思いますが、女の子は言葉だけの反抗が多いので、我慢の範囲内でしょう。
反抗期は成長の一過程だと思って、嵐が過ぎ去るのを待つしかないのかもしれません。
希望する性別に産み分けは可能?
男の子でも女の子でも「どちらでもいい」という方も多いですが、産み分けられるものなら産み分けたいと思う方もいるでしょう。
男女の産み分けは、100%ではありませんが、技術的には可能です。
産み分け指導を行っている産婦人科クリニックもあり、成功率は一般的に70~80%と言われています。希望の性別の赤ちゃんが生まれる確率はもともと50%ですから、かなり高まるわけです。
しかし、産み分け指導を受けても失敗することはありますし、期待しすぎは禁物。「できれば男の子がいいな」「できれば女の子がいいな」くらいの心構えで臨むことが大切です。
そもそも産み分けとは?赤ちゃんの性別はどうやって決まるの?
産み分けに挑戦する前に、まずは赤ちゃんの性別がいつ、どうやって決まるかを知っておきましょう。
ヒトの性別は、2本の性染色体の組み合わせによって決まります。
- 男性は「X染色体」と「Y染色体」
- 女性は「X染色体」と「X染色体」
一方、精子と卵子には性染色体が1本ずつしか含まれません。
- 精子は「X染色体」か「Y染色体」のどちらか1本
- 卵子は「X染色体」が1本
そして、精子と卵子が出会った瞬間、つまり受精したときに2本になり、性別が決まるのです。
- X染色体を持つ「X精子」が受精する⇒性染色体は「XX」で女の子
- Y染色体を持つ「Y精子」が受精する⇒性染色体は「XY」で男の子
男女産み分けは、この原理に基づいて受精をコントロールします。
実は、「X精子」と「Y精子」は性質が微妙に異なり、それぞれに適した環境を用意することで、希望の性別の赤ちゃんが生まれる確率が高くなるのです。
男の子の産み分け方法
男の子に必要な「Y精子」には、以下のような性質があります。
- 寿命が約1日と短い
- アルカリ性の環境で生き残りやすい
そのため、Y精子が卵子と出会って受精しやすい環境をつくるには、次の2つが重要です。
- 排卵日にセックスをする(タイミング法)
- 膣内をアルカリ性にする
通常、女性の膣内は雑菌の侵入を防ぐために酸性になっています。排卵日が近づくとアルカリ性になりますが、よりアルカリ性を高めるための方法もあります。
- 「グリーンゼリー」というアルカリ性のゼリーをセックスのときに膣内に挿入する
- セックスでオルガズムに達する(女性が「いく」と、子宮頚管からアルカリ性の粘液が分泌されます)
- リン酸カルシウムを主成分とする「リンカル」というお薬を、セックスするまでの2ヶ月間飲み続ける(メカニズムは不明ですが、リンカルを飲むと男の子ばかり生まれるそうです)
これらを試すことで、男の子が産まれやすくなります。
女の子の産み分け方法
女の子に必要な「X精子」には、以下のような性質があります。
- 寿命が約2~3日と長い
- 酸性の環境で生き残りやすい
そのため、X精子が卵子と出会って受精しやすい環境をつくるには、次の2つが重要です。
- 排卵日の2日前にセックスをする(タイミング法)
- 膣内を酸性にする
排卵日が近づくと膣内がアルカリ性になりますが、これを酸性にするための方法もあります。
- 「ピンクゼリー」という酸性のゼリーをセックスのときに膣内に挿入する
- セックスでオルガズムに達しないようにする(女性が「いく」「絶頂感に達する」と、子宮頚管からアルカリ性の粘液が分泌されます)
これらを試すことで、女の子が産まれやすくなります。
産み分けに向いていない人がいる?!
産み分けは、X精子かY精子のどちらかを活発にすると同時に、どちらかの活動を弱めてしまうため、妊娠率が低下します。
したがって、年齢や体質などの条件から「妊娠が難しい人」や「不妊治療を行っている人」には向いていないと言えるでしょう。
また、セックスをするタイミングが重要なので、パートナーの協力が必要です。
「夫婦で意見が一致していない人」は、産み分けに挑戦するのは難しいかもしれません。
さらに、「希望しない性別の赤ちゃんを出産する意思がない人」にもおすすめできません。
産み分けが命の選別につながってはならないからです。
産み分けは、授かった命が男の子でも女の子でも、大切に育てることを前提としています。

赤ちゃんの性別はいつ頃わかる?
赤ちゃんの性別は、妊婦健診の際にエコー検査(超音波検査)で外性器を見て判定します。
性別がわかると、あらためて「ママになるんだ!」という実感がわきますが、外性器の違いがはっきりしてくるのは、妊娠20~23週(6ヶ月)とされています。
エコー検査は、ママのお腹に専用機器で超音波を発信すると、その反射信号が画像に変換され、モニターに映し出される仕組みです。
放射線の心配がない安全性の高い検査ですが、赤ちゃんの向きよっては外性器がうまく映らない場合もあります。それでも何度かエコー検査を受けるうちに見えてくるでしょう。
今はエコー検査も進化しており、赤ちゃんの形状を立体的に映し出せる3Dエコーや、赤ちゃんの表情や動きを観察できる最新の4Dエコーを導入しているクリニックもあります。
お腹の中であくびをしたり、指をしゃぶったりする我が子を見ると、ますます愛おしくなりますね。
妊娠10週から検査できるNIPT(新型出生前診断)で性別判定も可能
赤ちゃんの性別をもっと早く知りたい人は、妊娠10週から検査できる「NIPT(新型出生前診断)」を検討してみてはいかがでしょうか。
NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液から検出される赤ちゃんのDNAから、染色体の病気を調べるスクリーニング検査です。
通常、染色体は細胞の中に存在しますが、胎児の染色体のかけら(cell free DNA)が母体の血液中を巡っていることがわかりました。
NIPT(新型出生前診断)はこのわずかな胎児のDNAを分析して染色体の病気を調べられるため、非常に精度が高く、採血だけで検査できるという特徴があります。
これまでは、出生前診断として、絨毛検査や羊水検査などが行われてきましたが、これらは妊婦さんのお腹に針を刺すため、流産のリスクがあり、妊婦さんにとって大きな負担を与えるものでした。
そこで、陰性的中率(検査で陰性の人が真の陰性である確率)が極めて高いNIPT(新型出生前診断)が注目されているのです。NIPT(新型出生前診断)は血液採取のみの検査ですので、母体への負担や感染症のリスクが少ないのが特徴です。
NIPT(新型出生前診断)の結果が陰性であれば対象の疾患を持っている可能性はほとんどないため、リスクのある絨毛検査や羊水検査を受けなくても良いと考えられます。
NIPT(新型出生前診断)では性別判定も可能です。
病気と関係ないのでおまけですが、NIPT(新型出生前診断)ではエコー検査よりも2ヶ月ほど早く性別がわかります。
エコー検査では胎児の性別を判別できるのは、一般的には妊娠20週頃ですが、NIPT(新型出生前診断)では妊娠10週から判定が可能です。気になる方は、妊娠10週から受けられるNIPT(新型出生前診断)で、染色体異常の検査と合わせて性別告知を希望すると良いでしょう。
妊娠・出産は、人生最大と言ってもいいくらいワクワクするライフイベントです。
可愛い赤ちゃんに会える日が待ち遠しいですね。
男の子が生まれても女の子が生まれても、子育てを楽しみながら、親子の信頼関係を築いていきましょう。
我が子が幸せな人生を送れるように、導いてあげたいですね。

【参考文献】
- 社会実情データ図録 – 欲しいのは男の子、女の子?
- 日本経済新聞 – 一人っ子政策とは 中国、「産み分け」や無戸籍も生む
妊娠すると、お腹の赤ちゃんの性別が気になるもの。男女産み分けできるとしたら、皆さんはどちらがいいと思っているのでしょうか?女の子が欲しい、男の子が欲しいと思う理由や、産み分けの方法、胎児の性別判定についてご紹介します。
記事の監修者

白男川 邦彦先生
ヒロクリニック名古屋駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医
産婦人科専門医として40年近くにわたる豊富な経験を持ち、多くの妊婦さんとかかわる。
現在はヒロクリニック名古屋駅前院の院長としてNIPTの検査担当医を行う一方、全国のヒロクリニック各院からのオンラインで妊婦さんの相談にも乗っている。
経歴
1982年 愛知医科大学付属病院
1987年 鹿児島大学附属病院 産婦人科
1993年 白男川クリニック 院長
2011年 かば記念病院
2019年 岡本石井病院
2020年 ヒロクリニック名古屋駅前院 院長