男女、希望する性別に産み分けは可能?【医師監修】

赤ちゃんの性別

妊娠すると、お腹の赤ちゃんの性別が気になる方も多いと思います。男女の産み分けができるとしたら、皆さんはどちらが良いなどの希望はありますか?女の子が欲しい、男の子が欲しいと思う理由や、産み分けの方法、胎児の性別判定についてご紹介します。

胎児の性別は
9週目でわかります

胎児の性別は
9週目でわかります

この記事のまとめ

男の子、女の子を確実に産み分けられる方法は存在しません。精子を選別して産み分けを行うパーコール法を利用しても、産み分け成功率は60〜70%程度だといわれています。性別に関わらず赤ちゃんが無事に生まれてくることが一番ですが、少しでも希望の性別を授かる努力をするかどうかは、夫婦でしっかり話し合って決める事が大事です。

胎児の性別は10週目でわかる

気になる赤ちゃんの性別

初めて出産を迎える妊婦さんはもちろん、二人目、三人目の妊婦さんも、お腹の子は「男の子がいいな」とか「女の子がいいな」と思い描いていることでしょう。

妊娠中にお腹の赤ちゃんの性別を教えてくれるクリニックが増えましたが、出産までのお楽しみにして、性別を聞かない方もいると思います。

男の子でも女の子でも我が子は可愛いものですし、生まれたときに性別がわかるほうが、より感動的かもしれませんね。

また、「男の子なら、こんな風に育てたい」「女の子なら、可愛い服を着させたい…」などと想像するのは、妊娠中の楽しみでもあります。

この記事では先輩ママたちの声も紹介しながら、生まれてくる子供の性別について掘り下げました。

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子どもを一人だけ持てるとしたら、男の子、女の子?

統計数理研究所が2013年に報告した調査によると、「欲しいのは男の子?それとも女の子?」という質問に対して、1988年は男の子と回答する人が多かったのですが、1993年頃から20年間、女の子を望む人のほうが多くなっています。

また、サンケイリビング新聞社が2018年に実施したアンケートでも、「一人だけ生むとしたら女の子がいい!」という人が66%、ついで「どちらでもいい」が20%、「男の子がいい!」は13%でした。

統計数理研究所の調査結果と合わせてみると、現在は女の子を希望する人のほうが多い傾向にあるようです。

女の子が良いと思う理由

ネット上にも、生まれてくる子供の性別について、さまざまな声が寄せられていますので、以下に紹介します。まずは、「女の子がいい!」という人の理由から。

  • 可愛い洋服がたくさんあり、着せるのが楽しい
  • 女の子のほうが育てやすいと聞いている
  • 「男の子を育てるには体力がいる!」と友達から聞いた
  • 女の子なら、一緒にショッピングやランチを楽しめる
  • 娘と友達のような関係になることに憧れる
  • 女に生まれたほうが楽しい人生を送れるから
  • 娘の孫なら心置きなく遊んだり、世話したりできる
  • 将来、世話をしてもらうようになったとき、女の子のほうが頼りになる
  • 息子は結婚すると疎遠になりそうだけれど、娘は何かと家に戻ってきそう
女の子と男の子

男の子が良いと思う理由

男の子派の意見もまとめてみました。

女性の意見としては、

  • 女の子より手がかかるけれど、その分可愛い
  • 小さいうちは、息子は恋人のような存在
  • 主人がアウトドア派なので、付き合ってあげるには男の子がいい

男性の意見としては、

  • 家でも外でも一緒に遊べる
  • 一緒にキャッチボールなどをしたい
  • 息子は家族の中で同志という感じがする
  • 自分が果たせなかったことを息子にさせたい
  • 将来、自分の仕事を継いでくれるかもしれない

男の子が欲しいと思うのは、女性よりも男性に多いようです。

いかがでしたか。皆さん、将来まで見据えているようですね。男の子を持つのと女の子を持つのとでは、将来まで見据えると、いろいろ違いが出てくるようですね。

しかし、親にとっては、我が子であればどちらも可愛いのが本音かもしれません。男の子も女の子も、思春期になると一般的には反抗期があります。反抗期は成長の一過程だと思って、嵐が過ぎ去るのを待つしかないのかもしれません。

希望する性別に産み分けは可能か

産み分けという行為に関して賛否ありますが、産み分けられるものなら挑戦してみたいと思う方もいるでしょう。

現在の医療技術では、100%男女を産み分ける方法はなく、確実な産み分けは不可能とされています。しかし、希望の性別の子どもを授かる確率を上げると考えられている方法がいくつかあります。

産み分け指導を行っている産婦人科クリニックもあり、成功率は一般的に70〜80%といわれています。希望の性別の赤ちゃんが生まれる確率はもともと50%ですから、かなり高まるわけです。

しかし、産み分けについて、期待しすぎは禁物です。「できれば男の子がいいな」「できれば女の子がいいな」くらいの心構えで臨むことが大切です。

産み分けとは?

男女どちらかの性別の子どもを希望する夫婦が、何らかの方法を使って希望の性別を授かるための対策を行うことをいいます。

赤ちゃんの性別はどうやって決まるの?

産み分けに挑戦する前に、まずは赤ちゃんの性別がいつ、どうやって決まるかを知っておきましょう。

ヒトの性別は、2本の性染色体の組み合わせによって決まります。

  • 男性は「X染色体」と「Y染色体」
  • 女性は「X染色体」と「X染色体」

一方、精子と卵子には性染色体が1本ずつしか含まれません。

  • 精子は「X染色体」か「Y染色体」のどちらか1本
  • 卵子は「X染色体」が1本

そして、精子と卵子が出会った瞬間、つまり受精したときに2本になり、性別が決まるのです。

  • X染色体を持つ「X精子」が受精する⇒性染色体は「XX」で女の子
  • Y染色体を持つ「Y精子」が受精する⇒性染色体は「XY」で男の子

男女産み分けは、この原理に基づいて受精をコントロールします。

実は、「X精子」と「Y精子」は性質が微妙に異なり、それぞれに適した環境を用意することで、希望の性別の赤ちゃんが生まれる確率が高くなるのです。

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シェトルズ法による産み分け

男の子の産み分け方法

男の子に必要な「Y精子」には、以下のような性質があります。

  • 寿命が約1日と短い
  • アルカリ性の環境で生き残りやすい

そのため、Y精子が卵子と出会って受精しやすい環境をつくるには、次の2つが重要です。

  • 排卵日にセックスをする(タイミング法)
  • 腟内をアルカリ性にする

通常、女性の腟内は雑菌の侵入を防ぐために酸性になっています。排卵日が近づくとアルカリ性になりますが、よりアルカリ性を高めるための方法もあります。

  • 「グリーンゼリー」というアルカリ性のゼリーをセックスのときに腟内に挿入する
  • セックスでオルガズムに達する(女性が「いく」と、子宮頸管からアルカリ性の粘液が分泌されます)
  • リン酸カルシウムを含んでいるサプリメントを使用

前回の月経周期から排卵日を計算し、これらを試すことで、男の子を授かりやすくなるといわれています。

女の子の産み分け方法

女の子に必要な「X精子」には、以下のような性質があります。

  • 寿命が約2~3日と長い
  • 酸性の環境で生き残りやすい

そのため、X精子が卵子と出会って受精しやすい環境をつくるには、次の2つが重要です。

  • 排卵日の2日前にセックスをする(タイミング法)
  • 腟内を酸性にする

排卵日が近づくと腟内がアルカリ性になりますが、これを酸性にするための方法もあります。

  • 「ピンクゼリー」という酸性のゼリーをセックスのときに腟内に挿入する
  • セックスでオルガズムに達しないようにする(女性が「いく」「絶頂感に達する」と、子宮頸管からアルカリ性の粘液が分泌されます)

前回の月経周期から排卵日の二日前を計算し、これらを試すことで、女の子を授かりやすくなるといわれています。

この産み分けに向いていない人がいる?

この方法の産み分けは、X精子かY精子のどちらかを活発にすると同時に、どちらかの活動を弱めてしまうため、妊娠率が低下します。

したがって、年齢や体質などの条件から「妊娠が難しい人」や「不妊治療を行っている人」には向いていないと言えるでしょう。

また、セックスをするタイミングが重要なので、パートナーの協力が必要です。

「夫婦で意見が一致していない人」は、産み分けに挑戦するのは難しいかもしれません。

さらに、「希望しない性別の赤ちゃんを出産する意思がない人」にもおすすめできません。産み分けが命の選別につながってはならないからです。

産み分けは、授かった命が男の子でも女の子でも、大切に育てることを前提としています。

男の子と女の子の赤ちゃん

人工授精と産み分け

パーコール法という人工授精を用いた産み分け方法があります。パーコール法は、X精子がY精子より重いことを利用した方法です。

人工受精の際に、採取した男性の精子を遠心分離すると、重いX精子が下層に、軽いY精子が上層に分離します。

下層の精子を用いて人工授精を行うと女の子、上層の精子を用いて人工授精を行うと男の子を授かる確率が高まると考えられています。

しかしながら、この方法でもX精子、Y精子を100%分離することはできないため、100%の確率で産み分けできるわけではありません。

希望の性別でなかった場合でも大切に育てることを前提として、処置を受けるようにしましょう。

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カレンダーや食べ物よる産み分け

カレンダーによって産み分けをする方法もあります。

約700年前に中国の科学者が集計した男女の出生記録をもとに作った中国式産み分けカレンダーを参考にして産み分ける方法で、赤ちゃんの性別を占う方法としても利用されています。また、ブラジル式産み分けカレンダーというものもありますが、発祥や起源は明らかになっていません。

いずれにしても、カレンダーによる産み分け方法は科学的根拠を元にしたものではないため、占いやジンクスのようなものとして参考程度にとどめておいた方がよさそうです。

また、食べ物によって産み分けを試みる方法もあります。酸性の食べ物、もしくはアルカリ性の食べ物を多くとることによって体内を酸性、もしくはアルカリ性に傾け、希望の性別を授かろうとする方法です。

しかし、人の体にはpHを一定に保とうとする機能が備わっているため、食べ物で体のpHを変えることは難しいと考えられます。食べ物による産み分け方法も参考程度にとどめておいた方がよいでしょう。

赤ちゃんの性別はいつ頃わかる?

赤ちゃんの性別は、妊婦健診の際にエコー検査(超音波検査)で外性器を見て判定します。

性別がわかると、あらためて「ママになるんだ!」という実感がわきますが、外性器の違いがはっきりしてくるのは、妊娠20〜23週(6ヶ月)とされています。

エコー検査は、ママのお腹に専用機器で超音波を発信すると、その反射信号が画像に変換され、モニターに映し出される仕組みです。

放射線の心配がない安全性の高い検査ですが、赤ちゃんの向きによっては外性器がうまく映らない場合もあります。それでも何度かエコー検査を受けるうちに見えてくるでしょう。

今はエコー検査も進化しており、赤ちゃんの形状を立体的に映し出せる3Dエコーや、赤ちゃんの表情や動きを観察できる最新の4Dエコーを導入しているクリニックもあります。

お腹の中であくびをしたり、指をしゃぶったりする我が子を見ると、ますます愛おしくなりますね。

エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに検査できるNIPT(新型出生前診断)で性別判定も可能

赤ちゃんの性別をもっと早く知りたい人は、エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに検査できる「NIPT(新型出生前診断)」を検討してみてはいかがでしょうか。

これまでは、出生前診断として、絨毛検査や羊水検査などが行われてきましたが、これらは妊婦さんのお腹に針を刺すため、流産のリスクがあり、妊婦さんに大きな負担を与えるものでした。

そこで、陰性的中率(検査で陰性の人が真の陰性である確率)が極めて高いNIPTが注目されているのです。NIPTは血液採取のみの検査ですので、母体への負担や感染症のリスクが少ないのが特徴です。

NIPTの結果が陰性であれば対象の疾患を持っている可能性はほとんどないため、リスクのある絨毛検査や羊水検査を受けなくても良いと考えられます。

さらに、NIPTでは性別判定も可能です。

NIPTではエコー検査よりも2ヶ月ほど早く性別がわかります。エコー検査では胎児の性別を判別できるのは、一般的には妊娠20週頃ですが、NIPTではエコー検査で妊娠が確認できたら判定が可能です。気になる方は、エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに受けられるNIPTで、染色体異常の検査と合わせて性別判定を希望すると良いでしょう。

世界最高水準のNIPT
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NIPT(新型出生前診断)で性別がわかる理由

NIPT(新型出生前診断)では、母親の血中に存在する胎児由来のDNA断片を採取して、機械(シークエンサー)で解析することで染色体疾患を有している可能性を調べます。

男の子と女の子の違いは性染色体によって決まります。NIPTで性染色体がXY(男の子)、XX(女の子)のどちらであるかを調べることで、性別を判定することができるのです。

ただし、認証施設のNIPTでは性別判定を取り扱いません。NIPTで性別を知りたい場合は、性別判定のオプションを取り扱っている非認証施設で検査を受けるようにしましょう。

まとめ

男女の産み分けについてご説明しました。

男の子、女の子を確実に産み分けられる方法は存在しません。精子を選別して産み分けを行うパーコール法を利用しても、産み分け成功率は60〜70%程度だといわれています。性別に関わらず赤ちゃんが無事に生まれてくることが一番ですが、少しでも希望の性別を授かる努力をするかどうかは、夫婦でしっかり話し合って決めるようにしましょう。

性別判定ができるNIPT(新型出生前診断)、精度はどのくらい?【医師監修】
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【参考文献】

妊娠すると、お腹の赤ちゃんの性別が気になる方も多いと思います。男女の産み分けができるとしたら、皆さんはどちらが良いなどの希望はありますか?女の子が欲しい、男の子が欲しいと思う理由や、産み分けの方法、胎児の性別判定についてご紹介します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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